在庫鮮度管理-事例亀田製菓

在庫鮮度管理-事例亀田製菓

亀田製菓のキャッシュコンバージョンサイクル

亀田製菓のCCC

キャッシュフローは年間を通じて安定的に推移。
2017年度は前年比 売上1.3%増、運転資本1.4%増。在庫、売掛金、買掛金とも安定的に推移しています。

サプライチェーンのオペレーションの特徴

基本的なオペレーションでは、午前中に受けた注文は、翌日全国に10ヶ所の配送センター(実際の運営はグループ会社の新潟輸送)を経由して届けられる。

  1. 賞味期限管理(=鮮度)の徹底
    賞味期限については、包材の変更、虐待検査(温度などの負荷をかけて行う保存試験)により4年前に従来の120日を150日に延長。
    現在は180日となった商品もあり。品質を担保して、賞味期限を延長することは、お客さまの利便性、食品ロス対策のみならず、在庫管理上も大きなメリット。
  2. オペレーションサイクルは週次
    オペレーション会議は週1回、営業、生産、物流、購買、商品開発の現場を預かる部長や課長といった管理職も参加して行われる。商品・製法の特徴の理解から始まり、資材のリードタイムも相互に理解し、生産・販売方法も含めて調整を実施。
  3. 在庫管理
    在庫は毎日、製品毎に何日分の販売に相当するかが可視化され、週次オペレーション会議で報告されます。「在庫を下げつつ、欠品率を下げる」ことに加え、賞味期限と在庫の先入先出には毎日、注意を払う。
  4. 欠品率の改善
    欠品率は数年前と比べ改善。その要因として以下の点が挙げられる。

    生販調整タイミング変更
    以前は、生産ラインの最後の包装工程で生産量を調整していました。
    しかし、現在は品質の観点、製品毎のリードタイム等のライン特性を考慮し、
    生産する前の段階で調整することで、将来ムダになる可能性のある在庫も削減。

    在庫増の目標値の設定
    簡単な統計手法を使って、売上増、商品アイテム増、欠品率改善に必要な在庫増の目標値を設定し、その分のみ前年比、在庫増の想定値をまとめ、生産キャパ、需給ギャップを考慮して運用。

    物流の工夫
    トラックドライバー不足、環境問題もあり、JR貨物のコンテナ輸送を増やすとともに、トラック輸送に比べダイヤの関係でフレキシブルな対応が難しいJR貨物の輸送網の特性を鑑み、配送センター運営の変更(配置、保管量、人員配置、勤務時間)をし、工場もコンテナ出荷が可能なように投資を行った。

亀田製菓の在庫管理から学ぶ点

亀田製菓から学ぶ点は、中期経営計画でトップが掲げる
キャッシュフロー重視のサプライチェーン強化に向けて、さまざまな制約条件を抱える中、現場が継続可能な限り予兆管理を行い、状況の変化に対して迅速に対応できる体制作りと結束力です。
(出所: 2016年8月 取材に基づく)

在庫鮮度管理事例 

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高井先生は実務的な管理会計のスペシャリストです。
ソニーにて多数のご経験を積まれ、実績を残されています。
欧米ではスタンダードな経営指標であるキャッシュ・コンバージョン・サイクルの普及に努めている数少ない専門家です。
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