在庫鮮度管理-事例セブンイレブン

在庫鮮度管理-事例セブンイレブン

セブン‐イレブンは1974年5月15日、日本初の本格的コンビニアンスストアを東京・豊洲店をオープンしました。
2018年で44年を迎え、店舗数は今年6月末現在で66,579店舗(うち国内20,392店舗)です。
競合他社(本年6月末)ファミリーマート(23,928店舗)、ローソン(16,061店舗)を大きく引き離しています。
創業者・鈴木敏文氏によると、お客さまの生活拠点として、「便利の創造」を続けてきた、まさに「変化対応業」と表現しています。
商売における基本4原則とは、

  1. 品揃え:お客さまのほしい商品を揃える
  2. 鮮度管理:常に新鮮な商品を揃える
  3. クリンリネス:清潔で気持ちのいいお店にする
  4. フレンドリーサービス:感じのいい接客をする

成功方程式は死筋商品の徹底管理

成功方程式は死筋商品の管理
セブン‐イレブンのビジネスモデルでは鮮度の向上が常に強調されます。
1年で70%の商品が入れ替わるセブン‐イレブンでは、
商品を大きく、売れ筋商品、死に筋商品に区分します。

死に筋商品は速やかに排除し、その分の空きスペースを売れ筋商品の品揃えに充てます。これが最終的に経費の削減、利益の増大に貢献するという考えが現場レベルまで全従業員に徹底されています。

多くの企業では、損益へのインパクトを鑑み、客先を特定したらまだ売れるという期待感から死に筋商品を捨てきれません。また、社内コンセンサスに時間をかなりの時間をかけて議論しています。

セブン‐イレブンでも、当初、死に筋商品を排除すると、売上減につながるのではないかとの声もあったようですが、結果、売上増につながりました。
この決断がセブン-イレブンの成長を大きく助ける起爆剤になったと言えます。

徹底的な鮮度管理

どの店も商品チェックは、一日に9回決まった時刻に行います。
(1時、3時、5時、9時、11時、14時、15時、17時、19時)
日付確認は1回(0時)実施しています。
商品撤去は、弁当、おにぎり、サンドイッチ、ペストリー等のプライベートブランド商品は基本消費期限の2時間前に撤去されています。

もし、2時間以内の商品がレジに持ち込まれると、アラームが鳴るような仕組みになっています。
また消費期限切れ商品については、保冷回収車が毎日回収し、
専用リサイクルセンターに運ばれます。

セブン‐イレブンのリサイクル加工施設では、一部は肥料より付加価値の高い飼料に加工して製品化されます。飼料に向かないものは、肥料としてリサイクルされます。
セブン‐イレブンは環境指針・環境規約を掲げ、グループを挙げて積極的に環境問題に取り組んでいる点も特筆すべき点です。
商品は1年で7割が入れ替わるセブン‐イレブンで、創業者・鈴木敏文氏が40年以上、一貫して社員に協調してきた二つの基本とは、

  1. 「単品管理」の徹底
    商品ごとの動きを把握し、仮説を立て、データで検証しながら、発注の精度を高める (仮説と検証の繰返し)
  2. お客様のニーズの変化に対応し、自らも変わる努力をする。
    セブン‐イレブンが成長し続ける企業であるための基本事項の大切さを切り口を変えて何度も何度も話し続けています。

単品管理で肝心なことは、常に自分の頭で考えて仮説を立てて、実際に行動に移し、検証するというプロセスであり、明日のお客さまのニーズそのものに応える手法であることを忘れてはならないのです。

POSデータの活用目的

セブン‐イレブンは1982年に日本で初めてPOSシステム(販売時点情報管理。物品販売の売上実績を単品単位で集計するシステム)を導入しました。

POS情報の活用目的は、死に筋商品を排除することと仮説通りの結果が
出たかを確認することに特定します。

しかし、販売データそのものは発注業務に使っていません。
なぜなら、POSの販売データでは過去の消費者動向は把握できても、将来の消費者行動まで予測することは不可能であるからです。

POSデータは過去情報として捉え、これから起こりうる天候の異変や地域イベントなどの条件を加味し、発注業務を自立的に行うことにシステム構築の主眼が置かれています。

POSデータはあくまでも道具に過ぎず、結果をもたらした原因にまで踏み込んで因果関係を検証しなければ、マーケティングのための情報にはなりません。

データを情報に変え、それを知識から知恵へとつなげます
セブン‐イレブンのPOSデータ活用例は、異業種でも参考になります。

キャッシュ・コンバージョン・サイクル

セブン&アイ・ホールディングスの過去3年間(12四半期)の
キャッシュ・コンバージョン・サイクルです。
セブン&アイ・ホールディングスのキャッシュコンバージョンサイクル

16年2Qでは売上原価の大幅減によりDPO(買掛債務回転日数)は改善。その他の四半期では買掛債権、売掛債務の絶対額は通常とほとんど変化ありません。

グループすべての財務情報からCCCを算出してみると、17年度の売上は前年比 約3.4%増の6兆円超に対し、運転資本は20%減少という理想的な数値です。

セブン&アイ・ホールディングスの財務体質の強さはCCCでも確認できます。日数に置き換えると同時に、金額でも表現することで今現在の運転資本がどれだけあるかを意識したオペレーションが必要です。

在庫鮮度管理事例 

高井先生の記事一覧

この記事の執筆した高井先生はCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)
やPSI管理などに関する経験と深い知見を有しており、当サイトに数多くご寄稿いただいてます。

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高井先生は実務的な管理会計のスペシャリストです。
ソニーにて多数のご経験を積まれ、実績を残されています。
欧米ではスタンダードな経営指標であるキャッシュ・コンバージョン・サイクルの普及に努めている数少ない専門家です。
運転資金がいつも厳しい、キャッシュフローが一向に良くならない、キャッシュ・コンバージョン・サイクルを経営指標として取り入れてみたいなどのご相談がありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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