卸売業の在庫管理の問題点と改善のヒント
在庫管理110番では、卸売業の経営者からも多く在庫管理について
ご相談をいただいています。
他の業種には見られない卸売業の
各社に共通するお悩みがある事に気づきました。
それは次の3点です。
- 中抜き(中間マージンカット)
- 販売価格の値下げ交渉
- 不良在庫
それぞれの問題を見ていきます。
中抜き(中間マージンカット)
中抜きとは、メーカーが卸売業者を介さずに、直接小売業者に販売する流れです。
中抜きをされると、卸売業者は不要になってしまいます。
これまでは、必ずメーカーは卸売業者に卸していました。
それを止めてなぜ、止めてしまうのでしょうか?
卸売業者が存在するということは、必要だからです。
卸売業者が必要とされる従来の機能をまずは見てみましょう。
- 仕入れと販売
卸売業の最も基本的な基本機能
各社メーカーから商品を仕入れて、メーカーに代わって販売先を探して、
販売してくれます。
これによりメーカーは販売先を探す必要が無いので、せっせと
生産に力を注ぐことができます。 - 小口化と物流
通常、メーカーは大きなロットしか売ってくれないことが多く、資金力も保管場所も無い小さな小売業者は仕入れられません。そこで、卸売業者がまとめて大量に購入して、それらを小口に分けて、小売業者に売ります。
さらにメーカー側から見ると、小売業者に直接販売する場合は、梱包と配送の手間が発生しますが、卸売業者に卸してしまえば、1社で済みます。 - 口座を少なくする
メーカーが、直接小売業者と取引をすると、たくさんの
商品が消費者に購入される前の段階でメーカーに代金を支払い、メーカーが次の生産のために投資できるようにする金融機能と、最終的に商品が売れずに代金が回収できなかった場合の危険負担をする機能です。
卸売業が中抜きされる理由
これまで、景気が良かったのでメーカーは作ったら売れるという時代が長く
続きました。しかし、今は多品種少量、昔に比べると需要も旺盛ではありません。
海外からも多くの製品が入ってきており、競争が激化しています。
さらに、価格の要求も厳しく利益が出し辛くなっています。
中抜きすることで、メーカーはこれまでよりも少し多めに利益をのせることができます。
小売業者や消費者としても、卸売業者が介さず中間マージンが無くなるので、
価格が安くなるので間違いなくメリットを得られます。
この動きを加速化させたのが、ネット通販です。
インターネットが普及したことにより、メーカーは小売業者や消費者に
昔よりも簡単に売れる仕組みを手にしたことが中抜きがより一層進んだ
理由です。
メーカーだけではなく、農家が農協を介さずに自社サイトで直接販売したり、
直売所で販売しているのも同じです。
販売価格の値下げ交渉
あなたの会社が独占で卸している専売品でもない限り、同じ商品を別の問屋が扱っているということはよくある事です。小売店から見れば1円でも安い方がいいので、価格の安い方に流れていきます。
その結果、卸売業間の価格競争は激しくなります。
結果的に、利益幅が薄くなりどんどん厳しくなります。
不良在庫の増加
卸売業で不良在庫が増やすい理由は2つあります。
1つめは多品種少量化です。
多品種少量化により、卸売業の取扱商品数は劇的に増えました。
さらに、時代の流れが早いので、商品寿命はこれまでよりも短くなります。
これにより売れ残り商品が増えます。
2つ目は仕入れ方です。
製造業の場合は製品を作る場合に材料調達や生産設備、人員など考えることが
色々あるので、簡単に新商品を作れません。
また小売業の場合は、規模にもよりますがバックヤードが狭く、多く在庫を保管
できなかったり、店頭に陳列するので在庫が溜まりにくく、見えやすいです。
しかし卸売業は、売れ行きが悪くなると、とりあえず新商品を探して仕入れます。
そして、売れなくなったら広い倉庫に置いておけます。
新商品を調達しやすく、保管しやすいという一見良さそうな条件が、不良在庫を
増やす原因です。
これからの卸売業に求められる在庫管理
これから卸売業が生き残るために意識しなければ
いけないことは2つあります。
- 不良在庫対策
- 卸売業の立ち位置を有効に使う
不良品対策
企画や営業部門は、商品のラインナップが欲しいので安易な仕入れ
に走りがちです。しかし、売れなかったり、売れ行きが悪くなれば、
もう興味はありません。売れない商品を無理に頑張って売るよりは、
売れそうな商品を仕入れて売る方が楽なので、どんどん商品を仕入れます。
この対策として、
売れ行きが悪くなった商品をリストアップする仕組みを作ります。
その仕組みに最適なのが在庫回転率です。
在庫回転率を使えば、簡単に売れ行きが悪くなった商品を見つける
事ができます。
卸売業は情報のハブになるべき!
これまでの卸売業は、これまではメーカーと小売りの
手間を省くためのハブでした。
しかし、中抜き流通が進んでいる以上、今のままではだめです。
これからも卸売業がハブとなるためには、
情報のハブにならなければいけません。
つまり、販売先の状況をつかみやすい立場にいます。
そのために必要なのは消費者により近い小売のデータ
ですが、小売業者からの発注データではだめです。
なぜなら、発注データには、小売業者の意図的な想いが
入っているからです。
例えば、
- 安く仕入れるためにまとめ買い
- 月末の資金繰りで仕入れを抑える
などです。
発注データからは消費者に近いデータは得られません。
卸売業者がつかむべきデータは、実際に売った販売データです。
ただ、簡単に販売データは渡してくれませんよね。
そこで役立つのが、VMIという在庫管理手法です。
現代版「富山の薬売り」で卸売業は優位に立てる!
VMIはアメリカのウォルマートとP&Gで行われた
在庫管理手法でその成果が大変話題になりました。
実はVMIを日本では、300年以上前やっていました。
それが富山の薬売りです。
この在庫管理手法を導入すれば、あなたのお客様は、
- 仕入れ値をたたくことは無くなります
- 販売情報を提供する事を惜しみません
なぜなら、卸売業に有利な仕組みであるとともに、
小売業者にも大きなメリットがあるからです。
在庫管理110番では、富山の薬売りを改良した
現代版富山の薬売りという仕組みを考案しました。
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