在庫管理が必要な9つの理由

在庫管理は、他社を圧倒する商品力があり、十分な利益を得ているような余裕のある会社には、在庫管理は不要です。

しかし、競合が多く、売上や利益をもっと増やしたいと思う会社は、在庫管理に取り組む価値は十分あります。

会社の中で最も大きな投資は在庫への投資

もっと売上を上げたい、利益をよくしたい、経費を減らしたい、キャッシュフローを改善したい・・・という会社は取り組むべき価値があります。

なぜなら、在庫への投資は会社が毎月支出する金額でのうち50~80%を占める最大だからです。

 

企業の日常的な投資(毎月発生する支出)に仕入れ(在庫への投資)が占める割合と、他の投資金額を比較したのが次の表です。

毎月の総支出に占める主な支出の割合(卸売業)

ご覧いただいて分かるように、仕入への投資金額は圧倒的です。

 

改善は効果の大きなところに手を付けるのが定石です。なぜなら、改善に対する効果が最も効率的で大きいからです。

しかも、特殊な技術や高度な技術は一切不要なので、どんな企業でも取り組むことができます。

在庫管理を徹底すると得られる代表的な9つの効果をご紹介します。

在庫管理は、経営改善、生産性の向上に一番効果的な取り組みです。

キャッシュフローが良くなる(資金繰りの改善)

キャッシュフローの向上

在庫管理を徹底することで、在庫の流動性(在庫がお金に変わる流れ)が高まります。

在庫管理を徹底することで、主に次の2点の効果が期待できます。

発注回数を増やせる

また、在庫管理110番がシステム導入を支援した会社では、在庫管理ができるようになったことで月1回だった発注業務を月2回に増やすことができました。その結果、

  1. 1回当たりの発注数量を減らすことができた。
  2. 直近の販売予測で良くなるため、安全在庫を削減できた

発注数と安全在庫が減るため、在庫の保有量を減らすことができ、キャッシュフローが良くなりました。

システム導入事例(商品在庫の一元管理化でキャッシュフロー改善と顧客満足を実現)

※改善事例として、みらデジ(中小企業庁)に掲載されています。

 

不良在庫になる前に気づける

在庫金額を増やす最大の原因は、不良在庫の増加です。

不良在庫は、気づいたときには手遅れ(既に売れにくい、売れなくなっている)になっているケースが多いです。

ただ同然で売らざるを得なかったり、最悪の場合、全く売れないものは廃棄です。

 

在庫管理ができるようになると動いていない在庫や動きが鈍くなっている商品や部品をいち早く察知できます。

早く手を打つことができるので、全く売れなくなってしまう前にキャッシュ化することができます。

 

在庫はお金そのものです。在庫が会社で寝ていてはお金に変わりません。

在庫管理ができていない会社は、「いつか売れるから取っておく」、「捨てるのがもったいないから取っておく」で、いつまでも倉庫に売れない在庫が長期滞留しています。

その結果、在庫がお金に変わらず、資金繰りが厳しくなります。

  • 新しい商品を仕入れたくても必要な数だけ仕入れられない
  • 設備投資をしたいが、お金がないからできない。

といった問題を抱えています。

機会損失の回避し売上がアップする

在庫をたくさん抱えていれば、機会損失が減ると思っているのは間違いで、不思議なことに過剰在庫が多い会社は、例外なく欠品も多いです。

むしろ、在庫管理の徹底は、顧客満足の向上と販売チャンスの拡大につながります。

在庫情報が正確になる

システムやエクセルで管理している在庫数と現物の数が一致します。「あるはずの在庫が無い!」ということが無くなります。

「現物を確認しないと不安・・・」ということが無くなり、在庫データに基づいてお客様に勧められます。

複数の店舗やECショップを経営されている場合は、在庫情報が一元管理できるようになるため売り逃しも無くなります。

リアルタイム在庫の把握

リアルタイムで在庫や先々の納品予定、出荷予定を把握できるようになるため、先々の欠品を予測できるようになります。

納品リードタイムが短くなる

現物の確認をしたり、探したりすることが無くなるため、生産着手や出荷準備が早くなります。

ある会社では、在庫管理を徹底する前は、出荷は1日1回だったのですが、在庫管理を徹底して以降、無駄な作業が減り効率的になったので、1日2回出荷できるようになった事例もあります。

引き合いが増える

「あるはずの在庫が無い」、「出荷や確認に時間がかかる」ということが無くなるため、お客様からの信頼性が増すため、引き合いも増えます。

あるスマートフォン用品を売る会社では、スマホの新モデル発表の時期に、小売店から売り場づくりのために商品の種類と在庫数の確認が来ていました。

これまでは、問い合わせから回答まで1週間くらいかかっていました。

 

在庫管理の徹底後、回答したらその日のうちに、遅くても翌日には回答できるようになりました。

そのため、他社よりも対応が早いということで喜ばれ、引き合いが増えたという事例があります。

システム導入事例(商品在庫の一元管理化で引き合いが増加!)

※改善事例として、みらデジ(中小企業庁)に掲載されています。

無駄な経費の流出を削減できる

在庫はお金がかかる

保管しているだけの在庫は金食い虫です。
一般的に、在庫の保有による1年間の経費は、在庫金額の10~20%に相当するといわれています。

保管しているものが増えれば増えるほど、在庫がギュウギュウ詰めになるか広い場所が必要になります。
そのため在庫の多さに比例して、無駄な経費はどんどん増えていきます。

保管している在庫にかかる代表的な9つの経費

  1. 人件費:倉庫作業員の増員が必要になるため、スタッフの給与や関連費用が増えます。
  2. 倉庫賃料:自社倉庫の場合は、維持費が増えます。外部倉庫の場合は、賃貸料が増えます。
  3. 保管設備費用:保管するために必要な棚やパレット、移動回数が増えるためフォークリフトなどの設備費用もかさみます。
  4. 維持・メンテナンス費:倉庫や保管設備の修理やメンテナンス費用が増えます。
  5. 光熱費:倉庫内の照明や空調、品質維持(冷蔵、冷凍など)のための電気代やガス代がかかります。
  6. 保険料:在庫に対する火災保険、盗難保険などの保険料。
  7. セキュリティ費用:倉庫の防犯システムや警備費用が必要です。
  8. 税金:自社倉庫の場合は、不動産の税金がかかります。
  9. その他雑費:在庫にかかる雑多な費用(梱包材料、消耗品など)。

【事例】

ある会社から過剰在庫に悩まされているという相談を受けて、会社や倉庫を見せていただきました。

倉庫を4つ借りていたのですが、そのうち1つが長期滞留在庫だということがわかりました。

ほぼ10年間、ほとんど動いていなかったようです。倉庫賃料は1年間で120万円なので、10年間でなんと1200万円でした。

その後、その会社の社長は、長期滞留在庫を廃棄して、倉庫を1つ解約しました。

品質低下・廃棄の回避できる

在庫管理を徹底すれば、消費期限や賞味期限の管理が可能になり、やむを得ない廃棄を減らせます。

長期保管による劣化によって、品質が低下します。

食品であれば消費・賞味期限、金属であれば錆などが代表的な劣化です。

また、期限が無いものでも、長期保管によって商品が汚れたり、箱がつぶれる等して売れなくなってしまう可能性もあります。

最悪の場合、廃棄せざるを得ません。

バイトやパートなどの安い労働力が活用できるようになる

本来、在庫管理は難しい業務ではありません。

在庫管理を徹底すれば、入社1日目のアルバイトでもピッキング業務や棚入れ作業を任せることができます。

なぜなら、在庫管理ができている会社では、業務の標準化が進んでおり、誰でもできる環境が整っているからです。

 

単発バイトやスキマバイト人材、活用できるようになるため、閑散期・繁忙期に合わせてフレキシブルに労働力の調整ができるようになります。

倉庫作業は比較的、任せやすい仕事の一つです。例えば次のような仕事を任せることが可能です。

  • ピッキング作業
  • 梱包作業
  • 仕入品の棚入れ(格納作業)
  • 検品
  • 仕分け
  • 流通加工

接客業や高度な技術を苦手な黙々とコツコツと仕事をこなしたい人に人気の仕事です。

日本語によるコミュニケーションが苦手な外国人人材の活用も可能です。

 

逆に、在庫管理ができていない会社は、倉庫を隅から隅まで頭の中で把握している倉庫番のベテランがいます。

ベテランに任せていると、その人だけがやりやすいように、在庫が置かれます。その結果、その人に都度確認しないと在庫の場所が分からないという問題が起こります。

 

業務効率がアップする

在庫確認のムダ

在庫管理を徹底すると、業務効率が少なくとも1.5倍になります。

在庫管理に取り組めば、在庫管理システムやIoT、自動化設備を適切に導入できるので、在庫管理の作業の自動化・省力化が進みます。

すると、労働時間が短くなり、従業員の満足度も上がります。一方、残業代の支払いも減るため、会社経営としても人件費の削減が可能です。

 

在庫管理ができていない会社は、とにかく担当者任せの手作業が多く、4大ロスといわれるムダな作業が日常化しているため業務効率がとても悪いです。

特に問題なのが次の2点です。

  • 在庫確認:在庫が本当にあるかどうかを確認する、詳しい人に聞く
  • 在庫探し:在庫がどこにあるかを探す

在庫管理を実施すれば、在庫精度が高く、整頓が行き届くため、ムダな作業が無くなります。

取引先や顧客からの信頼性が向上する

在庫管理信頼性で信頼性アップ

在庫管理ができるようになると、信頼性が向上します。

綺麗に整頓された倉庫と在庫が山積みになった倉庫、あなたならどっちの会社のほうが信頼できますか?

倉庫を見るだけで、

  • 従業員教育が行き届いている
  • 品質管理が徹底している

といったことを想像するのではないでしょうか?

 

クレームを回避できる

さらに、在庫管理を徹底すれば、在庫数の一元管理はとても重要です。

特に、複数のECショップを経営している場合は、在庫が無いのに販売してしまうというクレームを回避できます。

在庫が無いのに販売してしまう

 

 

 

予約在庫を確保できる

予約在庫(引当在庫)とは、先々の出荷(販売)予定が決まっているもののことです。

予約在庫を管理することで、誤って他のお客さんに商品を販売してしまうことを予防できます。

予約在庫(引当在庫)逆に、予約在庫を管理できていない会社は、現在庫数しかわかりません。

また、予約在庫の管理を個人に依存していることが多く、現在庫だけを見て間違って出荷をしてしまったり注文を受けてしまうミスが多いです。

予約や取り置きで、先々の出荷が決まっているものを誤って出荷してしまうと、お客様からの信頼を失ってしまいます。

勘と経験に頼らずデータに基づく意思決定ができるようになる

データに基づく意思決定

在庫管理を徹底すると、在庫に関する精度の高いデータを蓄積できます。

蓄積したデータを分析することで、担当者の勘や経験に頼らず客観的な判断基準に基づいて一歩踏み込んだ在庫管理が可能になります。

売れ筋・死筋商品の把握

ABC分析

在庫分析によって、以下のようなことができるようになります。

  • 売れ筋・死筋商品の把握
  • 在庫金額のABC分析
  • 発注点や安全在庫の調整

誰でもできる簡単な5つのエクセル在庫分析手法

販売計画と実績の進捗確認

下記のように計画と実績の進捗を管理することができるようになります。

PSI管理

行き当たりばったりの計画ではなく、実績を見ながら計画を調整できるようになるため、

売上が増加傾向の時は、いち早く仕入れや生産を増やし欠品を回避できます。逆に売上が計画よりも低下傾向の時は、営業部門に発破をかけるのと同時に、仕入や生産を絞り過剰在庫や不良在庫化を抑制します。

需要予測やAIの活用

データが集まってくれば、需要予測やAIの活用も見えてきます。

有名な事例は、ワークマンです。元々全くデータ活用ができていなかったのですが、今では独自の需要予測・自動発注システムを構築するまでになっています。

ワークマンの需要予測システム導入までの道のり

データを蓄積し、エクセルを使いこなせるようになれば、必ず需要予測や発注の省力化、自動化も実現できます。

 

昭和時代の在庫管理、まだやっていませんか?

『大量の商品を抱える、人海戦術、ベテラン任せ、勘と経験に頼る』昭和の在庫管理を続けていれば、徐々に会社としての体力を奪われ、気づいたときには手遅れになるでしょう。

なぜなら、昭和はとにかく売上を追えばよかったからです。「在庫があれば売れていく」という時代でしたので、在庫管理はそんなに重要ではありませんでした。

一方、今は「在庫があっても簡単には売れない」時代です。商品寿命も短いため、少し時間が経てばあっと言う間に売れなくなってしまいます。

昭和と令和の違いまとめると次のようになります。

 

昭和と令和の需要環境の違い

デカい倉庫を持って、いつ売れるか分からない商品がパンパンに詰め込まれている、、このような会社は昭和は問題無かったですが、令和では大問題です。

昭和の経営を一言で表せば「売上重視」。大きな倉庫を持ち在庫を大量に抱えることが良いとされていました。なぜならどんどん売れるからです。

令和の経営を一言で表せば「資本効率重視」。つまり、少ない在庫(適正在庫)で売上を効率良くあげていくかが重要な時代です。

在庫管理は、ずっと昔から重要だといわれてきましたが、今の時代はより一層重要だと断言できます。

【無料】在庫管理のご相談・お問い合わせ

今回は、在庫管理が必要な9つの理由を解説しました。一つでもできていない・・・と当てはまる場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

在庫管理110番では、在庫管理の専門家による無料相談を実施中です。

  • 過剰在庫が減らない
  • 属人的な仕組みを何とかしたい
  • 問題がありすぎて何からやってい良いか分からない
  • 何度も改善に挑戦しているが、すぐに元通りになってしまう、または失敗している。
  • 詳しい人がおらず、基本が知りたい

といったような在庫管理のあらゆるお悩みを解決します。

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