不動在庫とは「売れずに残っている・眠っている在庫」のことです。
動きのない不動在庫を放置しておくことで、売れ残りの在庫がたまるだけではありません。税金が発生して、キャッシュフローを圧迫して、経営を傾かせる要因となります。不動在庫でお困りの場合は、今すぐにでも対策を講じるべきでしょう。
対策としては、「販売」か「処分」があります。しかし、一時的に減らせたとしても、また不動在庫が再発しては意味がありません。ここでは、根本的に問題解決する5つの施策について、在庫管理アドバイザーである筆者の立場から説明します。
そのためにも、まず正しく不動在庫を扱うためには基本をおさえておく必要があります。不動在庫の定義や過剰在庫・滞留在庫との違い、解決すべき理由をわかりやすく解説。不動在庫に関する疑問を網羅的に解消していただけます。
<不動在庫・過剰在庫・長期在庫の処分はプロにお任せ!>
1.不動在庫とは
不動在庫とは、その名の通り「動かない在庫」のことです。
具体的には長期間、工場や倉庫において販売・出荷されずに、残っている在庫です。
「不良在庫」や「不稼動在庫」「死蔵在庫」「低回転在庫」とも呼ばれます(低回転とは、在庫回転率が低いという意味です)。
なぜ販売・出荷されない在庫が生じてしまうのでしょうか。
それは以下の理由が挙げられます。
- 過剰な仕入れ
- 過度な生産
- 保管状態の不備
不動在庫を減らしたくても、通常の価格で販売することは難しいでしょう。販売促進のために営業部門の力を借りなければなりません。値引きをすることによって完売できる可能性はあります。
しかしセール企画をすることで、利益率が低くなり、投資したコストが水の泡になりかねません。中には販売促進やセールをして効果がない不動在庫もあります。
この場合は、在庫の処分や保管方法を考えなければなりません。管理コストはかさみますし、売れ筋の在庫に悪影響を及ぼす可能性が生じます。
一般的に在庫管理コストは在庫金額の15%くらいです。たとえば、5000万円の不動在庫があれば、管理コストは年間750万円前後かかります。動かない在庫が年間750万円もくいつぶしてしまいます。
このように不動在庫は、資金繰りや経営を圧迫する、負の要因となります。在庫にかかるコストについてより具体的に解説した記事もあるので、以下の記事をご覧ください。在庫管理に、どのような費用がかかるのか最低限の知識は持っておきましょう。
【在庫の管理コスト】
☑在庫管理にかかる7大費用とは|在庫金利など代表的なコストを紹介
なお不動在庫とほとんど同じ意味合いで使用されるのが、不良在庫です。詳しい説明はこちらをご覧ください。
➤「不良在庫」とは?減らすポイント・再発しない仕組みづくりを解説
2.過剰在庫・滞留在庫との違い
不動在庫の関連用語として、過剰在庫や滞留在庫があります。それぞれの違いについて見ておきましょう。
2-1.過剰在庫は、倉庫・工場に保管されている在庫
過剰在庫は、倉庫・工場に保管されている在庫のことを指します。不動在庫と違うのは、現在のところヒット商品や売れ筋商品という点です。
今後も売れる見込みがあるため、仕入れ過ぎた在庫が過剰在庫として扱われます。もし過剰在庫が売れずに保管期間が長引けば、不良在庫になります。
2-2.滞留在庫は、販売の見込みがない在庫
滞留在庫は、販売の見込みがない在庫のことです。
売ることができない理由として、例えば以下のような点が挙げられます。
- 品質劣化が見られる
- 使用期限切れが近い
まだ売れる見込みのある不動在庫・過剰在庫とは違って、早急に処分が必要とされます。
3.不動在庫問題を解決すべき理由
不動在庫は在庫管理業務だけでなく、経営においても悪影響を及ぼします。
今すぐでにも解決すべき理由を、2つの視点からお伝えします。
- 税金が発生する
- 問題が発生し続ける
詳しく見ていきましょう。
3-1.税金が発生する
不動在庫は棚卸をする際、棚卸資産として計上されます。
棚卸資産は、課税対象です。
つまり売れていない在庫なのに、税金がかかってしまうということです。
税金額が大きくなるだけではありません。決算資料上では、キャッシュフローの状態が悪く、かつ在庫が効率的に回転していない状態が露見します。
金融機関や投資家からの融資や投資を受ける際は、不利な情報となりえるでしょう。
3-2.問題が発生し続ける
不動在庫は管理コストがかかり、キャッシュフローを圧迫します。早急に処分をすべきなのですが、向き合うべきは「不良在庫」よりも「不良在庫問題」です。
目の前にある在庫を処分しても、根本的な問題を解決しなければ、不動在庫から脱却することはできません。応急処置ではなく、将来的に不動在庫が生まれない仕組みを作っていくことを心がけてください。
4.不動在庫を減らす方法は「販売」か「処分」
不動在庫を減らす方法は、「販売する」か「処分する」かの2択です。
4-1.不動在庫の販売
販売は、セール品として値引きをして販売するのが一般的でしょう。
不動在庫を販売すれば、棚卸資産を減少させられます。課税対象となる在庫が減り、節税が可能です。
4-2.不動在庫の処分
処分する場合ですが、廃棄をするなら 「廃棄損」として損金で計上します。
廃棄損計上では、棚卸資産額が減って、売上原価が増加します。この結果、利益が減少するので節税効果が期待できるでしょう。
また処分には、買取という選択肢があります。具体的な方法については、以下の記事でご確認ください。
【在庫買取に関して】
「在庫管理110番」では、不動在庫をはじめ過剰在庫・過剰在庫を処分のご支援をしています。自社では見つけられなかった販路に買いたたかれず一円でも高く売って不動在庫を一掃しませんか?
5.不動在庫問題を解決する5つの方法
不動在庫が生まれない仕組みを作るためには、5つの対策があります。
- 在庫分析(需要予測)
- ロケーション管理
- 在庫削減
- 在庫回転率の活用
- 適正在庫の設定
それぞれの対策について説明します。
5-1.在庫分析(需要予測)
過剰な仕入れを防ぐためには、需要予測を行います。
需要予測の精度を上げていくことで、市場やニーズの変化にも対応ができます。
☑【需要予測の手法】製造業における在庫管理の改善・在庫削減に活かす
5-2.ロケーション管理
ロケーション管理とは、「在庫を置く場所」を管理することです。
2S(整理・整頓)や3定、棚管理によって、効率的な在庫管理を実現します。
☑【ロケーション管理とは】効率的な運用方法で現場の課題を解決する
5-3.在庫削減
在庫削減のコツは、「種類を減らすこと」と「日数を減らすこと」です。
在庫削減に成功する方法を9つにまとめた記事があるので、ご活用ください。
5-4.在庫回転率の活用
在庫回転率とは、商品や部品などの在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
在庫回転率が低い場合、在庫が会社に滞留していることを意味します。自社の回転率を計算した上で、在庫回転率を上げる施策をしていきます。
5-5.適正在庫の設定
適正な在庫数のことを適正在庫と呼びます。
目指すべき適正在庫を決めることで、アプローチ方法や維持する方法が見えてきます。
6.不動在庫は「在庫管理110番」への相談がおすすめ
不良在庫・不動在庫のお悩み解決なら、在庫に関する総合窓口「在庫管理110番」への相談がおすすめです。
適正在庫の実現や買取オークションに関するご相談を受け付けております。
また在庫管理に関するセミナーを開催しており、ご好評を頂いております。
在庫管理110番は、以下のような強みがあります。
6-1.経験豊富な在庫管理アドバイザー
生産管理、設計変更、発注管理、現場改善、在庫削減などで実績のある在庫管理アドバイザーによる提案が受けられます。
「不動在庫で困っているけど、何から手を付けていいかわからない」
「不良在庫を抱えているけど、買い取りなどベストな選択を知りたい」
「不動在庫が生まれない仕組みづくりをしたい」
など、あなたのお悩みにお答えいたします。
【無料】不良在庫・過剰在庫・長期在庫についてのご相談
6‐2.お悩みに合わせたソリューション
在庫に関する総合窓口として、コンサルティングだけでなく、
セミナー・講習・教材・在庫管理システム・不良在庫の買取と幅広いソリューションを提供しています。
不動在庫問題の原因を突き止めて、その解決を根本からはかることができます。
6-3.各分野の専門家
在庫管理以外の領域でも、エキスパートに相談できます。
- 経営管理(経営指標、資金繰り、CCC)企業価値創造(ブランディング、デザイン)
- 関税削減・移転価格(国際税務)
- 開発プロセス(試作、量産)
- モノ作り改善(現場、作業手順書、VE)
などが一例です。
不動在庫を見直せたとしても、現場・経営でほかの問題を抱えている・・・
そんな場合でも、各領域におけるエキスパートが解決に導きます。
さらに詳しく知りたい方は、「在庫管理110番」の専門家パートナー一覧ページをご覧ください。
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6-4.無料相談(初回のみ・人数限定)
「在庫管理110番」では、無料相談を受け付けています。
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