「過剰在庫」(余剰在庫)が、経営状況やキャッシュフローを苦しめています。
販売されないまま工場で眠っている過剰在庫が、どれだけあるか正確に把握していますか?
知らないうちに増えていることも珍しくありません。原因がわからず、過剰在庫を放置していると問題は悪化する一方です。
今のものづくりは「作ったら余る、仕入れたら余る」という状況です。
作れば売れるという時代は終焉を迎えました。
だからこそ在庫管理が重要となっています。
とくに過剰在庫が増え続けている状況は、優先して食い止めなくてはなりません。
でなければキャッシュフローや生産性を改善するのは困難です。
今回は、その理由について製造の各プロセスに潜む問題に注目をして解説します。
自社の問題がどこにあるのかをご確認ください。
目次
過剰在庫(余剰在庫)が増える理由をご存知ですか?
大多数の人は、以下のように考えています。
- お客様からの注文が分からないから
- 注文がどれだけきても大丈夫なように
- 短納期に対応するため
- 多品種少量生産だから
これらは一見、
お客様のために
と言っているように聞こえますが、
自社は悪くないと断言していることに他なりません。
全て外部に責任を押し付けて、自分自身の改善
をしないと宣言しているにすぎません。
在庫は、
在庫=入庫-出庫
で成り立っています。
- 入庫とは、発注や生産
- 出庫とは、お客からの発注
を示しています。
なお入庫から出庫までの管理方法は、こちらで解説しています。
キャッシュフローが悪化して、過剰在庫の問題を抱えている工場の
多くは入庫に問題があります。
つまり、自社の責任が多いということです。
在庫が入庫で多くなってしまう理由
入庫は、仕入先からの購入品(部品や原料)と
製品の生産過程で発生する仕掛品の2つに分かれます。
購入品と仕掛品を一つずつ見ていきます。
購入品で在庫が多くなってしまう理由
入庫が多くなってしまう理由は、
- たくさん買うと安くなる
- 在庫の記録を取っていない
- 勘で発注してる
たくさん買うと安くなる
確かにたくさん買うと安くなります。
ではたくさん買ったものは、
何日あれば使い切ることができるのでしょう?
その間の保管場所はどうするのでしょう?
保管管理はどうするのでしょう?
腐らないから大丈夫。
確かに食品のように目に見えてダメになるものは
分かりやすいです。
しかし、金属だろうが樹脂だろうが、
モノは必ず劣化します。
そして、保管中にチリやホコリなどの異物
が混入する可能性もあります。
長期保管が、品質の低下を招いてしまう原因、
つまり過剰在庫の原因になっているのかもしれません。
在庫の記録を取っていない
過去のデータなど当てにならないと思っている
かもしれませんが、それは在庫分析をしっかり
していない証拠です。
トヨタやセブンイレブンもデータをしっかりと
取って、過去の傾向を分析しています。
未来の事は誰にも分かりませんが、過去の事なら
分かります。
しかし、記録していなければ過去のことすら分
かりません。
まず、記録をするのは入庫数と出庫数です。
これをやっておけば、在庫数は把握できます。
【在庫分析に役立つ記事】
勘で発注してる
勘で発注せざるを得ない理由は、2つあります。
- 在庫数が分からない
そもそも棚卸の時の一瞬しか、在庫を把握していない
工場も多いのではないでしょうか?
在庫数が分からなければ、
「減ったかな?、そろそろ発注かな?」
と思って、発注するしか方法はありません。
記録を取って発注を出しましょう。 - 勘以外に頼るものが無い
どんな注文が来るのか分からないのは、基本的に
大企業も中小企業でも誰でも同じです。
勘に頼らず、発注を出せる工場は、勘以外に
頼るものがあります。
それは、需要予測です。
余剰在庫は、以下の式で表すことができます。
余剰在庫=販売実績ー需要予測
需要予測は、過去の実績データとマーケティング(市場調査)
で成り立っています。
勘での発注は、需要予測=0です。
余剰在庫が発生するのは当然です。
過去の実績データは、記録を取ればすぐに分かります。
マーケティングは、出荷する客先から、製品の販売予測や
内示をもらうことで解決できます。
もし、それらがもらえない場合は、最終製品と関連の深い
市場の動向やデータを入手することで解決します。
需要予測のやり方は、こちらで詳しく学んでいただけます。
仕掛品で在庫が多くなってしまう理由
- 作りすぎ
- 生産計画や目標が無い
- 無駄な時間が発生している
作りすぎ
作りすぎる理由は、
- まとめて作ったほうが作りやすいから
- 段取り替えが面倒だから
- まとめて作ったほうが安くなるから
確かにどれも正当な理由です。
しかし、不要なものを作る必要はあるのでしょうか?
後工程が待っていることに気づかないのでしょうか?
まとめて作っても安くならない簡単な事例
例えば、工程がA⇒B⇒Cとあったとします。
生産能力は以下の通りです。
- 工程Aの生産能力が100個
- 工程Bの生産能力が70個
- 工程Cの生産能力が100個
工程Aがいくら100個作っても、工程Bは70個しか
作れないので常に30個余ります。
工程Cは、工程Bから70個しか流れてこないので、
30個分が手待ちになります。
工程Aは最大限の能力を発揮して、安く作れた
かもしれませんが、
仕掛品が30個が余剰在庫になり、
工程Cは、30個分の生産が停滞したことになります。
過剰在庫・余剰在庫の減らし方はこちらをご覧ください。
生産計画や目標が無い
生産計画や目標が無いと、現場は何を作ればいいのか
わかりません。
すると、現場は手待ち時間を埋めるために、自分たちが
作りやすく、自分たちの思い込みで、好き勝手な生産を
します。
無駄な時間が発生している
工場は仕入れたものに付加価値を与えることが
仕事です。
工場における付加価値作業は、組立や加工などの作業
しかありません。
それ以外は全て無駄な時間です。
- 移動
レイアウトに問題が無いかどうか?
必要以上にしゃがんだり、座ったり、立ったりしていないか? - 運搬
毎回使うものを、近くに置かず毎回取りに行ったりしていないか? - 段取り
段取り替えを頻繁に行っていないか?そもそも治具が無いのでは? - 不要な作業
やる必要のない加工や組立作業をやっていないか?
自分で学ぶ
キャッシュフロー・経営状況を悪化させる過剰在庫の原因について解説しました。
一度、現場を見て、なにが原因になっているかを分析してみてください。
しかし自分だけで在庫問題を解決するのは至難の業です。
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