在庫回転日数に関連する管理指標

在庫は、営業、生産、調達、物流に関連する資産です。
そして在庫回転日数は、「在庫の量を評価する重要な指標」です。
在庫回転日数の測定方法は、大きく二つあります。

  1. 在庫数量÷販売数量
  2. 在庫金額÷売上原価

詳しい在庫回転日数の求め方は、こちらで詳しく解説しています。

在庫回転日数の計算方法

数量による計算方法もありますが、経営資産としての在庫は「金額把握」となります。

今回は、在庫回転日数に影響を与える「25の管理指標」を紹介します。

SCM改革において会社経営のための管理指標体系を、下記にまとめてみました。在庫回転日数に影響を与える管理指標
管理指標は、大きく二つに分けられます

  1. 経営管理、財務・経理に関連する管理指標
  2. オペレーションに関連する管理指標

経営管理、財務・経理に関連する管理指標

まず、経営管理、財務・経理に関連する管理指標をご紹介します。

総在庫と在庫回転日数 

経理上、確定した在庫が適切かどうかを判断します。
また月中の状況を把握することで、資金繰りに活用します。

その他経営指標と在庫回転日数

次の3つの経営管理指標の改善を図るために、CCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)の変換が必要になります。

  • ROE(株主資本利益率)
  • ROIC(投下資本利益率)
  • FCF(フリーキャッシュフロー)

棚卸資産回転日数=在庫額÷売上原価

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オペレーションに関連する管理指標

いくら経営にかんする管理指標を立てても、実行するのは現場です。
現場が実際に理解できる実務のオペレーションに直結する管理指標が必要です。

販売予測達成率と在庫回転日数

在庫は将来の販売の源泉になります。
販売予測達成率は販売力と置き換えてもいいでしょう。
販売達成率を分解すると、以下の二つになります。

  1. 販売予測精度
  2. 計画見直しサイクル

特に商品が小売の場合、実需(最終顧客の購買 セルスルー)の情報をどこまで把握できるかに大きく左右されます。

小売業にとっての事実は明確ですが、卸業にとっては小売店に販売する(セルイン)を意味します。

  • 需要予測的中率と需要計画達成率・・・実需の予測/計画を意味します。
  • 実需入手頻度・・・月末ではなく、日次、週次が理想です。
  • 実需入手カバー率・・・POSデータでもすべての販路でカバーされるわけではありません。市場動向をより正確に
    把握するためにも、カバー率は極めて重要になります。

下表でいう流通在庫の状況を意味します。
流通在庫
流通在庫の在庫回転日数を把握することで、「どれだけの販売量(セルイン)が必要か」が重要です。
月末に押し込み販売で販売予測達成率を達成しても、その反動は翌月に顕在化します。

在庫回転日数の改善には、流通在庫を意識することがポイントです。

手持ち在庫と在庫回転日数

手持ち在庫回転日数は、以下の3項目に左右されます。

  1. 適正在庫率
  2. 安全在庫保有日数
  3. 理論在庫保有日数

適正在庫率とは、取扱商品、市場環境に大きく左右されます。
加えて、企業戦略を考慮する必要があります。
たとえば戦略在庫保有日数は販売戦略と大きく関係します。

また以下の要因も把握する必要があります。

  • 確定後のキャンセル金額
  • 計画充足率
  • 廃却・評価減金額
  • デッド/スロー在庫比率(滞留在庫比率)

安全在庫保有日数は、在庫圧縮の宝庫。
安全在庫は、文字通り、在庫を多めに持つことです。

安全在庫の計算方法はこちら

安全在庫には、主に4つの機能があります。

  1. 欠品の低減・・・欠品率を少なくし、商機ロスをなくす
  2. 生産リードタイムの短縮:オーダーが発行されてから製品が完成するまでの時間で、待ち時間、段取り時間、加工時間、移動時間により構成されます。
  3. 計画立案リードタイム、調達リードタイム、製造リードタイム、計画固定期間も含まれます。
  4. 納期遵守率:お客様との約束をどれだけ満たせたか?
    主に顧客要求納期遵守率と顧客確約納期遵守率があります。
    前者は顧客要求を100%満たせたかどうか、後者は確定した約束を満たせたかどうかになります。

製品在庫理論保有日数とは

理論上、どれだけの在庫を保有が望ましいかを定めるものです。
あるべき姿といっていいかもしれません。
入庫頻度と生産ロットサイズにより左右されます。
SCМで求められる販売予測精度については、

絶対乖離率(単品ごとの絶対乖離)

絶対乖離率
通常、商品が違っても2000台販売見込に対して実績が2000台であれは、精度は100%達成との評価ですが、絶対乖離の考え方では、機種ごとになります。
合計は加重平均で算出するため、0%となります。

MAPE(Mean Absolute Percentage Error)

平均絶対パーセント誤差、もしくは平均絶対誤差率を表します。
誤差の絶対値の差を実測値で割り、100を掛けてパーセントにして、それを期の数で割った値です。

仕掛品在庫保有日数とは

製造事業所での仕掛品在庫の保有日数を示します。
生産計画達成率でその結果は大きく変化します。

原料・材料保有日数とは

調達してから生産または加工前の在庫の保有日数を示します。
入庫の頻度と陳腐化によるデッド/スロー在庫比が重要になります。

積送中在庫回転日数と在庫回転日数

輸送中とは、自社製品が製造所から販売会社に輸送されるまでと、販売会社が小売に販売するまでの輸送の二つあります。

ペーパーリードタイムとは、

情報のやり取りや対応に要する時間のことを言います。
社内の組織間や企業間の取引情報があります。

輸送リードタイム

配送先、輸送手段(鉄道、トラップ、船、飛行機)に大きく左右されます。
また配送先が海外の場合、日本から船で欧州まで配送すると約4~5週間かかります。

輸送頻度は、通常、費用対効果の関係で決められます。

資金繰りの観点、売掛債権リスクの視点から検討されてもいいでしょう。

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