キャッシュコンバージョンサイクルの業種別比較

今回はキャッシュコンバージョンサイクルを業種別に比較します。
業種別に比較すると、その業界の特徴や問題点・課題が見えていきます。
キャッシュコンバージョンサイクルの基本的な考え方についてはこちらをご覧ください。
【関連記事】
これまでも、コロナ禍でのCCC分析を、業種別に行ってきました。
業界ごとのキャッシュ化速度を参考にしてください。

SCCCとは?

ここではキャッシュコンバージョンサイクルの一歩進んだ「SCCC」を使います。

帝国データバンクはSCCC(サプライチェーン・キャッシュ・コンバージョン・サイクル)に関して、2018年3月に報告書を発表しました。

CCCは、購入代金を支払ってから売上代金を受け取るまでの期間を指します。すなわち運転資金回転期間です。
キャッシュコンバージョンサイクル
CCC = 棚卸資産回転日数 + 売掛債権回転日数 - 買掛債務回転日数

一方、SCCC(サプライチェーン・キャッシュ・コンバージョン・サイクル)は、サプライチェーン全体の資金効率化を目指し、買掛金回転日数も加えます。すなわちオペレーションサイクルを指します。
サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル

SCCC = 棚卸資産回転日数 + 売掛債権回転日数 + 買掛債務回転日数

SCCCが注目された背景

  • FinTech 導入による地域企業の収益力向上を財務面から図る指標として政府が設定。
  • 政府の成長戦略である「未来投資戦略 2017」(平成 29 年 6 月)
    「2020 年度までに、SCCCを 5%改善することを目指す」

SCCCの短縮による効果

SCCCの短縮によって次のような効果が期待できます。

  • サプライチェーン全体での必要資金についても圧縮を見込むことができる。
    それによって成長に向けた資金が機動的に供給できる土台となることが期待できる。
    ただし、サプライチェーン全体として取り組まなければ、川上企業の資金繰り改善効果が得られない。 つまり、関係する二社の利害が完全に一致しない限り、難しい。
  • CCCでは、買掛金日数を延ばすことが運転資本の観点から優位となります。
  • SCCCを推進すると、買掛金日数を短縮する結果になります。資本提携された企業間であれば全体最適は期待できますが、利害関係のある一般の取引先とは難しいと評価。
    →買掛金日数を短縮して、そのお金が別の目的に使われると、サプライチェーン全体から外れてしまう。
  • 企業、業界団体ともに SCCC の短縮に関して肯定的であるが、その実現方法に向けては安価で簡単なシステムが必要と考えている。
    →総論では肯定的なるも、各論では難しい以上、システム投資は無駄ではないだろうか。

国内外の上場企業、非上場企業の状況(8年平均)を調査しています。
そこから、上場企業のCCCとして整理してみました。
算出方法
DSO(売掛債権回転日数)=(期首売掛金+期末売掛金)÷2 / 売上高 × 365
DIO(棚卸資産回転日数)=(期首在庫+期末在庫)÷2/売上原価 × 365
DSO(買掛債務回転日数)=(期首買掛金+期末買掛金)÷2 / 売上原価 ×365

業種別世界のキャッシュコンバージョンサイクルの比較

業種別で、日本と世界のキャッシュコンバージョンサイクルを
比較しました。

日本企業の製造業・非製造業の従業員別のキャッシュコンバージョンサイクル

画像の説明
売掛金、在庫、買掛金とも製造業は長いことは明らかです。

国別のキャッシュコンバージョンサイクルの比較

世界各国のキャッシュコンバージョンサイクル
在庫回転日数はどの国も相対的に高い。(特に中国とドイツ)

自動車・自動車部品業(国別) 

自動車業界のキャッシュコンバージョンサイクル
英国、ドイツ、中国でキャッシュコンバージョンサイクルが遅い。主な原因は在庫にあり

鉄鋼(国別)

鉄鋼業界のキャッシュコンバージョンサイクル
日本と韓国のキャッシュコンバージョンサイクルが遅い。日本は売掛金と在庫

電機業(国別)

電機業界のキャッシュコンバージョンサイクル
どの地域もキャッシュコンバージョンサイクルは遅い。特に在庫が要因

重電(国別)

重電業界のキャッシュコンバージョンサイクル
全業界のなかで、特にキャッシュコンバージョンサイクルが長い。

素形材(国別)

素形材業界のキャッシュコンバージョンサイクル
ドイツと中国のキャッシュコンバージョンサイクルが遅い。特に売掛金と在庫

繊維(国別)

繊維業界のキャッシュコンバージョンサイクル
全業界の中で一番、キャッシュコンバージョンサイクルが長い。特に在庫が多い

飲食業(国別)

飲食品業のキャッシュコンバージョンサイクル
キャッシュコンバージョンサイクルは相対的に速い。(除く中国)

IT(国別)

IT業界のキャッシュコンバージョンサイクル
キャッシュコンバージョンサイクルは全業界で相対的に速い。(除く中国)

サービス業(国別)

サービス業界のキャッシュコンバージョンサイクル
キャッシュコンバージョンサイクルは全業界で最も速い(除く中国)

流通小売(国別)

流通小売業のキャッシュコンバージョンサイクル
キャッシュコンバージョンサイクルは相対的に速い。(除く中国)

建設(国別)

建設業界のキャッシュコンバージョンサイクル
キャッシュコンバージョンサイクルは相対的に速い。(除く中国)

一次産業(国別)

一次産業のキャッシュコンバージョンサイクル
米国、韓国、中国のキャッシュコンバージョンサイクルは遅い。特に在庫

キャッシュコンバージョンサイクルを管理する有用性

サプライチェーンキャッシュコンバージョンサイクル
海外進出している日本企業は、その国の商慣習に影響を受ける。
特に中国国内での売り上げ比率が高い企業は、連結でのキャッシュ化速度
も影響を受ける。
従って、CCCモニタリングをする上で、重要なことは、組織ごとにブレイクダウン
することが重要になります。

CCCの目的は、キャッシュ化速度をモニタリングすることで課題を特定し、改善活動をすることです。
海外に法人がある場合は、法人単位にCCCの状況を確認した上で、目標管理が
求めらます。

キャッシュコンバージョンサイクルについて学ぶ

この記事の執筆した高井先生はCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)
やPSI管理などに関する経験と深い知見を有しており、当サイトに数多くご寄稿いただいてます。

キャッシュコンバージョンサイクルの記事などが多数あります。

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