在庫回転日数の基本的な知識と改善のためのヒント

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    筆者:岡本茂靖(在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事)

    在庫管理110番代表。在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。

    在庫管理に関して200社以上の個別相談、コンサルティング・システム導入を行っている。
    大阪府工業協会講師、日本物流学会所属
    著書:経費15%削減在庫管理術【基礎知識編】、寄稿:在庫最適化のためのIoT活用(日刊工業新聞社)、発表:物流における在庫管理の成功事例研究(日本物流学会)他多数。

     

    在庫管理アドバイザーの岡本です。

    在庫回転日数は、在庫管理業務において重要な指標の1つです。

    製造業・メーカー関係者であれば知っておきたい用語であり、現場の改善に役立たせることができます。

    ここでは、在庫回転日数の基本的な知識を紹介します。今回のポイントは、以下の3つです。

    POINT

    ■在庫回転日数とは:「在庫の量を評価する重要な指標」である

    ■在庫回転日数の計算式:「日数÷在庫回転率」で算出する

    ■適正な在庫回転日数:「製造リードタイム」を判断材料にする

    在庫回転日数の定義・計算式について紹介します。

    さらに自社の在庫回転日数の調べ方や、適正かどうかの判断をする方法を、在庫管理の専門家としてわかりやすく解説しています。

    また、在庫回転日数を計算するエクセルシートを無料で配布しています。個別品目と決算書の2種類をご用意しました。用途に合わせて、こちらからダウンロードしてください。

    (無料でDLできます)
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    在庫回転日数とは

    在庫回転日数とは、「対象の在庫が何日で入れ替わっているかを示す値」です。

    よく似ている言葉に、在庫日数があります。

    在庫日数とは、「既存の在庫総数が、何日分の売上額に相当するか」を求める指標です。

    それぞれ以下のようにまとめることができます。

    <在庫回転日数>

    • 在庫の量を評価する重要な指標

    <在庫日数>

    • 適正在庫を知るための指標

    在庫回転日数は調査期間に応じて、年や月、日、時間などで求めること可能です。

    在庫回転日数は「在庫回転率」から算出できます。

    在庫回転率の計算式は、次の通りです。

    ■在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額

    金額ではなくて、数量で求めることもできます。

    在庫回転率の詳しい求め方や、実務での適切な使い方は、以下でわかりやすく解説しています。

    ☑在庫回転率の計算方法と適正値の求め方、改善ポイントを解説

     

    在庫回転日数の計算式

    在庫回転日数の計算式は、

    ■在庫回転日数=日数÷在庫回転率
    (日数は年、月、日、時間などになります。)

    例えば、1年間の在庫回転率が2の場合、以下のようなかたちで計算できます。

    • 在庫回転日数(年)=1÷2=0.5年
    • 在庫回転日数(月)=12÷2=0.6か月
    • 在庫回転日数(日)=365÷2=182.5日

    表現は年・月・日と違いますが、書いてある結果は同じです。
    実務上は、月数または日数で表すことが多いです。

     おすすめは在庫回転日数

    在庫回転日数を「月」で表している企業は多いようです。これは経理の月締めから来ているように思います。

    改善の立場から言えば、在庫回転を「月」で表すのは、おすすめしません。

    経理は1か月で締めることが慣例なので、「月」がなじみやすいかもしれませんが、改善は1日1日の積み重ねです。月締めするものではありません。改善をする場合は、必ず「日」で表すことをお勧めします。

    私はコンサルティング先が在庫回転を「月」で見ている場合は、では必ず在庫回転は「日」で表すように変えています。その理由は、「月」よりも「日」の方が、より細かく改善を図れるからです。

    在庫回転日数は1日を縮めるだけでも大きな効果を得られることもあります。在庫回転日数=1日を月で表すと在庫月数=約0.03となります。「在庫回転月数を0.03改善しよう!」という号令を出しても現場にいまいち響きません。在庫回転を「月」で表すと、どうしても改善が大雑把になりがちです。

    在庫回転日数と調査期間

    先ほどの例は1年間の在庫回転日数でした。
    しかし、実務上では1年間の在庫回転期間が分かったところで、何の役にも立ちません。

    例えば、6月1日から6月30日の在庫回転期間を調査したとします。

    • 6月1日の在庫・・・500個
    • 6月30日の在庫・・・700個
    • 6月中(調査期間中)の出庫量・・・1200個
    • 在庫回転率・・・2

    この時の在庫回転期間(日)は、次のようになります。
    30(日)÷2=15日

    調査期間に応じて、日数が変わります。
    1週間であれば、7日です。

    場合によっては、稼働日だけで表す場合もあります。
    (工場で使っている部品などの場合)

    調査期間に応じて分母を変えるようにしましょう。

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    在庫回転日数をエクセルで計算する

    在庫回転率と在庫回転日数を計算するエクセルシートをご用意しました。
    在庫の調査期間に注意をして、ご利用ください。

    在庫回転率計算書を無料でダウンロードする

    在庫回転率計算書(個別品目)と在庫回転率計算書(決算書)の2種類をご用意しました。

    どちらも無料でダウンロードして頂けます。

    在庫回転率計算書(個別品目)の特徴
    • 品目ごとに在庫回転率が計算できる
    • 数量で求めるので在庫管理の実務向き
    • 在庫数を一定に保つ管理に使用できる
    • 在庫回転率の算出期間を調整できる

    在庫回転率計算書(決算書)の特徴
    • 個別品目の入出庫管理が不要
    • 決算書の項目から在庫回転率が計算できる
    • 金額で計算するので経営者、銀行、税理士、投資家向け

     

     

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    在庫回転日数と製造リードタイム

    在庫回転日数が適正かどうかを判断するひとつの材料として、「製造リードタイム」があります。
    製造リードタイムを見れば、おおよそ在庫回転日数が適正かどうかの判断ができます。

    製造リードタイムについて、詳しい求め方はこちらをご覧ください。

    またSCM改革において会社経営のための管理指標体系を、一覧にしてまとめてみました。

    自社にあった管理指標を設定する際は、お役立てください。

    ▷在庫回転日数に関連する管理指標とは

    在庫を減らしたい経営者、在庫を減らせと言われた担当者へ

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