在庫管理システムと自動認識技術

自動認識技術
人為的なミスを一挙に解決する一番効果的な手段は、バーコードなど
の自動認識技術の活用です。

在庫管理システムに利用される自動認識技術には
以下のようなものがあります。

  1. バーコード
  2. QRコード
  3. RFID
  4. [[カラーコード>]]
  5. 画像認識

それぞれに特徴がありますので対象品の特性や導入コストを
勘案して採用することをお勧めします。

バーコード

バーコード
光学的反射率の高い棒状のスペース部分と低い棒状のバー部分との組合せで情報を表示し,機械読取りを可能としたものです。現在、最もポピュラーな自動認識技術で技術で導入コストも他に比較して最も安く済みます。スーパーやコンビニの商品にはすべてこのコードが付いています。

なお、バーコードには幾つもの規格(JAN、CODE39・・・)があります。それぞれのバーコード規格が特性をもちそれを活かすことが大切です。

1つのバーコードが持てる情報量は、英数字で30桁くらいまでとなっています。

QRコード

QRコード
X軸及びY軸の両方向に情報を表示し,機械読取りを可能としたものでマトリックスシンボルとも呼ばれています。スマホでの会員認証やURLによる表示などでお馴染みであり、導入コストも一次元シンボルとほぼ同じです。

バーコードを読み取る場合は、方向が限定されていましたが、QRこーどは読み取りが全方向から可能なので、使いやすさも飛躍的にアップしました。

QRコードの面積次第ではありますが、1つのシンボルに英数字2,000桁(バーコードの約67倍)くらいまでの情報を保持できます。

RFID

RFID
カード状またはタグ状の媒体に、電波を用いてデータを記録または読出しを行い、アンテナを介して通信を行う認識方法です。
少し理解がしずらいと思いますが、バーコードやQRコードは、リーダーなどを使って1点ずつ読みこみ作業が必要ですが、RFIDは、電波を用いているため、書き込みと複数タグ一括読み取りができます。従って、電波の届く範囲内であれば、タグ自体が遠くにあっても書き取りと読み取りができます。
これが、バーコードとQRコードとの大きな違いです。
ただし、専用のハンディーターミナルが必要なので導入コストは高くなります。
RFIDは一つのタグに英数字30,000桁(QRコードの15倍)くらいの情報が保持できます。

電車の乗車に使われているICカードなども広義でRFIDの一つです。

画像認識

カメラ等で、読込んだ画像データをコンピュータにより処理して、画像認識技術でモノを認識します。端材の管理などに鉄板やアパレルの反物など、様々な形状になる端材管理などを行う場合は、検討の余地があるでしょう。バーコードやRFIDが使えない場合などに有効です。

自動認識技術を導入するメリット

バーコードに代表される自動認識技術を在庫管理システムに活用すると次のような
メリットが期待できます。

  1. 人為的なミスが減る
  2. 作業の効率化
  3. 作業の標準化

リアル化による情報が同期化されたネットワークインフラとの相乗効果で人為的ミスの防止はもちろん、作業の効率化や標準化のメリットが享受できます。過去は、ハンディーターミナルが高価だったり、ネットワークの構築を行うためには高額な投資が必要で大企業など一部の企業に導入が限られていましたが、近年飛躍的に低価格化がすすみました。バーコードやQRコードに至っては、専用のハンディーターミナルが不要で、みなさんがお持ちのスマートフォンやタブレットなどのモバイル端末で代用できます。

バーコードとPOS

バーコード活用の典型的で分かり易い例としてコンビニに設置してあるPOSがあります。
POSとは、販売時点情報管理(Point of sale system)の略で、物品単位で販売するたびに情報を記録するシステムです。
例えば、ある顧客がコンビニでパンを1個買います。そのパンには4903110079118というJAN規格の商品コードがバーコードに変換され、印刷されています。

POSを活用する最大の利点は、その商品のバーコードをPOSのバーコードスキャナで読み取るだけで、リアルにサーバーから商品名や価格情報が取得できます。
さらに、機能を拡張すればレシート印刷と支払精算ができます。

在庫管理システムとPOS

POSを在庫管理システムと連動させることも可能です。
読み取りと同時に、顧客には関係ないところで店舗在庫からそのパンが1個出庫処理され、そのパンの在庫が1個減ります。つまり、現品の動きとデータの動きの一連の作業がとても効率よく行われ、かつ間違いが発生することがほとんどありません。

POSで情物一致

在庫管理の大きな課題である情物一致がPOSを利用することで、解決できます。仮に作業の内容や手順を誤った場合はブザー音で知らせたり、画面表示で警告したりできるので、人為的ミスを防止することができます。

これを在庫管理システムの出庫作業に置き替えてみると、作業者が持つモバイル端末がPOSになり、出庫品のバーコードを読むだけで出庫処理と在庫更新が同時になされます。もちろん、出庫の指示がモバイル端末上に表示されていれば商品違いや数量入力ミスは即座に端末が教えてくれますので人為的ミスの防止と作業の効率化を同時に実現することができます。こんなに便利な自動認識技術ですが導入にはいくつかの留意点があります。

バーコードを利用するための2つの最低限の条件

バーコードを利用するためには、必ず最低限の条件が2つあります。

1. SKU(単品在庫管理単位)ごとに品目コードが設定されていること
2. 品目コードがマスター登録されていること

これらが整っていないとバーコードは利用できません。
もし、品目コードが無い場合はまずコードの設定が最優先になります。
品目コード以外でも、バーコードで情報を管理したい場合は、管理対象がコード化されており、それがマスターが既に存在すること必要です。
つまり、

バーコードを利用したい=コードの設定+コンピュータへのマスター登録

が必ず必要となります。

バーコードを利用するための2つの準備

バーコードがコンピュータに登録されたら次はそれを利用する
ための準備が必要です。
まず、情報媒体としてのバーコードの存在は、大きく次の3パタ
ーンに分類できます。

1. 現品に直接印刷されている
2. バーコードが印刷されたラベルが現品に貼られている
3. 現品の近くにバーコードが印刷された印刷物がある

上記3つのいずれかにバーコードが印刷または貼り付けてある必要があります。
そして、次にそれを読み取るための器械である「バーコードリーダー」が必要になります。
自動認識システム=印刷されたバーコード+バーコードリーダー

この2つが揃って初めてバーコードが「自動認識システム」として
利用可能となります。

小売業のバーコードの扱い方

スーパーやコンビニなどの小売業を見てください。商品には必ずバーコードがついています。これは、世界共通の13桁のJANコードと言われる「バーコード」が付いており、それをそのまま商品コードとしても利用しています。
仮にバーコードが付いていないモノが入荷されても、その商品コードのバーコードを作り、ラベルを印刷して貼付すればよいことになります。

製造業のバーコードの扱い方

小売業と製造業ではバーコードの扱いが大きく違います。
製造業の場合、仕入れる原材料や部品には殆ど「バーコード」は付いていません。仮に、付いている場合でも原材料や部品のメーカーの社内用コードであり、小売業のような世界共通のコードではないので、仕入れた原材料や部品のコードをそのまま利用できないという問題があります。
この解決策として、仕入れた時点でバーコードラベルを印刷して貼付することになります。

バーコードを作る頻度と在庫の形態

また、製造業の場合は、小売業と違い仕入れた材料が加工されます。そして在庫の形態は材料→仕掛品→製品と次々に変化します。仮に上記の方法を採用すると、在庫として存在する全ての品目(製造工程の仕掛品や中間品、最終製品など)を管理する場合は、その都度1品・1回ごとにバーコードラベルを印刷し貼付けしなければなりません。

この方法は、バーコードラベル発行や貼付の手間、ラベル消耗品代やラベル印刷機の導入に費用がかかり、コストがかかりすぎます。省力化や作業品質向上のためのバーコードを導入したはずが返って、会社の生産性を落とす危険性もあります。

バーコードを使うにも工夫が必要

バーコードを導入するからには生産性を向上させないと意味がありません。
そこでバーコードの扱いにも工夫が必要になります。
工夫すべきポイントは、

1. バーコードラベルの発行
2. バーコードラベルの貼付け
3. バーコード自体のコストダウン

仕入れ時に現品についているバーコードをそのまま利用

バーコードラベルの発行の手間を省く

まずは現品に付いてくる仕入先の品目バーコードをそのまま
利用する方法があります。

コンビニなどの商品についたJANコードをそのまま自社内の
品目コードとして利用する例はその典型です。

同一品目が自社内品目コードと仕入先品目バーコードが異なる場合
システム内に対比テーブルを用意し、現品の仕入先品目バーコード
を読むと同時に自社品目コードに変換して処理します。

この方法を採用する場合の注意点は、仕入先が品目コードを
勝手に変更する恐れです。

対策としてはバーコードの内容の変更に対して両社で取り決めを
作っておく必要があります。仕入先がバーコードを変更したら連
絡を受け、対比テーブルをメンテナンスするなどの対応が必要に
なります。

バーコードの印刷方法

バーコード自体のコストダウン

あらかじめバーコードラベルの発行が可能な場合は、据置型の
専用ラベル印刷機で印刷します。しかし、専用機はとても高価です。

そこで、最初は一般的な汎用プリンタでバーコードラベルを印刷する
のが良いでしょう。なお、プリンターでバーコードを表示する場合は
バーコード専用のフォントが必要です。
(無料のものと有料のものがあります)

バーコードの運用に慣れ、かつバーコードを発行する対象が増えてき
たときに、必要性を感じれば、バーコードをプリンターで印刷する工
数と時間と導入費用を比較し、費用対効果が見込まれる場合は専用機
を導入することをお勧めします。

モバイル機器を利用した印刷

「バーコードラベルの発行の手間を省く」

あらかじめバーコードラベルの発行し準備をしておくことが難しい場合は
対象現品の品目コードをモバイル端末に登録入力しておきます。

そして、モバイル端末に接続された携帯ラベルプリンタから都度、
印刷して貼付します。
最近のプリンターは安い機種でもwifiなどの通信機能を備えています。

物流の激しい現場では特にこの方法が有効です。

現品以外にバーコードを貼り付ける

「バーコードラベルの貼付けの手間を省く」

現品にラベルが貼りにくいモノの場合やラベル消耗品のコストを削減したい
場合は、入荷指示書や出荷指示書の品目コードの横に品目バーコードを
印刷しておきます。
入庫や出庫をするときに対象の現品の品目バーコードを読む方法があります。
(バーコードの使いまわし)

さらに同一商品がまとまって保管される場合などは、個別の商品に
バーコードラベルを貼るのではなく、その商品の保管棚やパレットに
代表の商品バーコードラベルを1枚だけ貼るなどで消耗品とそれを貼
る手間が削減できます。

バーコードスキャナについて

バーコードを読み取るためにはバーコード・スキャナが必要です。
在庫管理の現場での実際の読み取り作業はモバイル端末で行います。

モバイル端末にはバーコード・スキャナを内蔵した機器とモバイル
端末に外付けのバーコード・スキャナを接続した機器があります。

モバイル端末としては専用機のハンディターミナルとそれに代わる
機器としてスマートフォンやタブレットがあります。

バーコードスキャナとしてスマホ・タブレットを利用する

以前は、バーコードスキャナと言えば、専用機しか選択手段が
ありませんでしたが、スマートフォンやタブレットが普及し、
バーコードスキャンの機器として代用できるようになりました。

ハンディーターミナルと比べると導入のコストが安いのが利点です。
一方で、読み取り機器としての課題が残っています。

スマホ・タブレットの問題点

スマートフォンやタブレットの代表的な搭載OSとしては
iOS、Android、Windowsがあります。

それぞれ開発言語が異なりアプリの互換性はありません。
専用機と違い「堅牢性」に弱点があります。バーコードス
キャナが使われる場所は、事務所ではなく倉庫などの現場です。

落下や衝撃を受ける危険性がとても高いです。
スマートフォンやタブレットは一般的にそんなに耐久性が強くなく、
「現場」を考えた時に疑問符が付きます。

また、頻繁なOSのバージョンアップ対応や機器の寿命も2~3年
と短く「同一機種の入手性」にも問題があります。

1年後にはもう同じ機種は生産されていないことが多いので、利
用を拡大しようと思っていたらすでに機種の生産が終了していた、
サポートが切れていたといった問題に直面する可能性もあります。

とはいえ、導入のしやすさは魅力的ですし、いきなり専用機を導入
するのはハードルが高いため、利用シーンによりそれぞれの機器の
特徴を活かして使い分けることをお勧めします。

各種バーコードスキャナの特徴

代表的なバーコードスキャナの特徴をご紹介します。
比較するポイントは次の3点です。
1. ハードの費用
2. バーコードの読取性能
3. 機器の操作性

紹介の順番は、バーコードスキャナとしての性能が高い
ものから順に紹介しています。

  1. ハンディターミナル
  2. スマートフォンをジャケット型外部スキャナーで包む一体タイプ
  3. タブレットと外部スキャナーとをBluetooth通信でつなぐ分離タイプ
  4. スマートフォンと外部スキャナーとをBluetooth通信でつなぐ分離タイプ
  5. スマートフォンの内臓カメラをスキャナーの代用をさせるタイプ

1.ハンディターミナル

バーコード・スキャナ内臓タイプの専用モバイル端末です。
バーコードスキャン用の機器として昔から利用されています。
専用端末ですので操作性・読み取り性能ともに良く、堅牢であ
るため在庫管理の現場端末としては一押しです。

各社から様々なハンディターミナルが販売されています。
大きな違いは採用しているOSと開発言語です。

各メーカー独自のOSや開発言語を持つものとマイクロソフト
のWindows OSを搭載したメーカー共通のものとがあります。

メーカー独自OSの端末の場合、他のメーカーの端末に変える場合、
アプリは作り直す必要があります。

一方でWindows OSの端末は他のメーカーの端末に変えてもアプリ
はほぼそのまま使用できます。
難点として、端末の価格が高く、台数が多くなると導入コストがか
さんでしまうことです。

2.スマートフォンをジャケット型外部スキャナーで包む一体タイプ

スマートフォンにジャケット型外部スキャナーの費用が加わります。
外部スキャナーがスマートフォンと一体となり片手で操作でき、読
取速度も含めハンディターミナルに近い操作感が得られます。
機種が変わると外部スキャナーが使えなくなる恐れが難点です。

3.タブレットと外部スキャナーとをBluetooth通信でつなぐ分離タイプ

タブレットに外部スキャナーの費用が加わります。
外部スキャナーは専用なのでハンディターミナルと同等の読み取り
速度が得られます。

ジャケット型外部スキャナーの場合は、機種が変わると使えなくな
る恐れがありましたが、外部スキャナーはその心配が無く、タブレ
ットが変わっても利用できます。

タブレットはスマートフォンに比べて表示画面が大きいため、入出
庫指示を伴う検品業務や棚卸業務では紙を無くすことにも役立ちます。

小売の場合はモバイルPOS端末として利用できます。
(イベント会場などで利用されるケースが増えてきました)

難点としてはタブレットと外部スキャナーを持たなければいけないの
で、片手で操作できず、両手が塞がってしまうので操作性に問題があります。
また読み取り速度がジャケット型外部スキャナーに比べるとやや劣ります。

4.スマートフォンと外部スキャナーとをBluetooth通信でつなぐ分離タイプ

基本的には表示画面がタブレットに比べて小さいだけで機能、
性能面ともスマートフォンと外部スキャナーをつなぐ③の場合と同等です。

取扱品目の少ない場合や多人数で一斉作業する棚卸業務などに有効です。
両手がふさがってしまうということと、画面が小さいので見づらいとい
う難点があります。

5.スマートフォンの内臓カメラをスキャナーの代用をさせるタイプ

一番コストを掛けずにバーコードスキャンを導入する方法です。
必要なのはスマートフォンのみです。操作は写真撮影と同じようになります。

難点としては、写真撮影と同じなので、バーコードに焦点を当てる
のに時間がかかります。読み取り速度もハンディターミナルに比べ
かなり劣ります。

実際に現場で作業をすると分かりますが、バーコードの読み取りに
時間がかかるととてもイライラしますし、生産性も落ちます。

バーコードスキャンを利用する回数が少ない場合、例えば取扱品目
の少ない場合などに有効です。

バーコードスキャナを使い分ける

以上のご紹介したモバイル端末は開発費を節約するためにシステム
としてどれか一種類に統一して導入するのが一般的です。

しかし、拠点数や利用時期の集中度によっては同じアプリを複数種類
の端末に対応しておき、例えば、地方の営業所にはスマートフォン、
物流センターの棚卸にはハンディターミナルとタブレットというよ
うな導入方法によってトータルの端末コストを抑えることができます。

棚卸で情物の不一致を発見する

これまでご説明したITを活用し、モノの動きに同期化した在庫管理
システムが稼働しているとしても人が介在する限り、100%ミス
は防げません。
必ず何らかのミスによる情物の不一致が発生します。

その不一致の発見する手段として「棚卸」があります。
棚卸には2つの目的があります。

棚卸の目的とは何か?

  1. 決算の経営数値を固めるために現品を数えて棚卸資産が実際に存在しているかを確認すること
  2. 現品数とシステム上の在庫数の差異を調査・分析して在庫管理システムがうまく機能しているかどうかその有効性を確かめることです。
  3. ひとつひとつ、現品を数えるため商品の品質チェックが可能になる。
    棚卸をやりっぱなしではなく有効に活用する

一般に「棚卸」は1つ目の目的である会計決算上の
目的に主眼が置かれてきました。

年1回現品在庫が正確に把握できればそれで終わりという
「義務的な作業」としてとらえている企業が多々あります。

棚卸は在庫管理システムの監視機能を持っている

一方で、棚卸は在庫管理システム全体の観点から重要で、
システム監査機能と言えます。すなわち、
在庫管理の情物一致の仕組みを監査する
という大事な役目を持っています。

ITを活用すると、
現品の動きに情報が同期化した在庫管理システムになるので、
棚卸に付随する様々な作業やデータ処理をできるだけ省力化して
実行できる「棚卸サブシステム」が実現できます。

ITシステムを使った棚卸作業のメリット

「棚卸サブシステム」は以下のような手作業で行う
棚卸では実現できない機能を持っています。

  1. 棚卸の結果(品目コードや数量、場所などの棚卸し情報)を
    いちいち手書して、さらにパソコンに入力する必要が無く、商
    品のバーコードスキャンし、実棚数を入力するだけで効率よく入力できる。
  2. 棚卸の入力と同時に棚卸結果がリアルに集計できるので、
    コンピュータ上の帳簿在庫数と比較した差異が即座に確認できる。
  3. 保管場所の確認については、ある商品の棚卸数量を入力する時に
    その保管場所のバーコードもスキャン入力することで、所定場所単
    位ごとの差異把握や同一製品の複数保管場所把握などが可能である。
  4. 棚卸時に気付いた現品の品質情報が入力できる。
    例えばコメント欄を設け、「錆びあり」、「積み方危険」などの
    情報を選択または自由入力ができ、個々の商品の品質管理に役立つ
    リアルな情報が得られる。

棚卸差異の原因を追究できる

特に在庫管理にITシステムを導入した時に力を発揮するのが、
棚卸差異の原因を追究する場面です。
例えば、次のようなメリットが考えられます。

  1. 日常の入出庫情報にはデータ種や入力者名、入力日時
    などの追求しやすい情報を自動的に付加するようにして
    おくと、過去の入出庫情報をあらゆる角度から簡単に検索できる。
    その結果棚卸差異の原因を効率よく調査することが可能になる。
  2. 差異の原因をいくつかコード化しておくことで、差異発生の原因
    がわかった時に、在庫修正データの入力する時に原因コードも入力
    することができます。
    その集計結果がシステムの改善ポイントに結びつけられます。
    例えば、出庫の入力漏れがあり、その原因がサンプル出荷の入
    力漏れであり、同じ原因による差異が3件あったとするとサンプ
    ル出荷の出庫処理の手順に問題があるということが浮き彫りになります。
    棚卸差異の分析の結果から、「出庫の手順」の改善が必要ということが
    判明します。

棚卸は効率化すべき作業

これまで説明をしてきたいわゆる「一斉棚卸」は、
1日から数日間も一切の入出庫を停止して社員総動員で行う作業です。
もともと棚卸自体は利益を生みません。
バーコード活用などで棚卸作業が効率アップ出来たとしても、
「一斉棚卸」はコスト面や精神面で問題があるため、より効率的な
仕組みが求められます。
そこで、ITの力を最大限に活かして「棚卸」をより効率よく行える
手法として「循環棚卸」(サイクルカウント)があります。

循環棚卸とは

一斉棚卸が全品目を棚卸するのに対して、循環棚卸はあらかじめ年間
スケジュールを作成し、そのスケジュールに計画された品目のみ、カ
ウントする方式です。

つまり全品目ではなく、一部の品目に対してのみ棚卸を行う方法です。

循環棚卸のメリット

循環棚卸には以下のメリットがあります。

  1. カウント時に適宜、数量差異や保管場所差異が発見できる。
    そのため、原因追及と改善が一斉棚卸に比べて簡単になり、
    在庫管理システムの監査機能が強化できます。
  2. 入出庫停止時間帯を分散し負荷の最小化ができるので
    生産や販売のロスが防げます。
  3. 工夫をすればほぼ生産や販売活動を全く止めずに棚卸ができる。
  4. カウントする人を専任化できるため、カウントミスが起こりに
    くくなる。さらにエラーの原因追及が早くなります。
  5. 保管場所の即時修正ができる。
    帳簿上の在庫品目のロケーションに違いがある場合は
    その場で是正することができます。

循環棚卸の方法

では循環棚卸はどうやって行えば良いのでしょうか。
カウント対象を決める方法としては、ゾーン方式とABC区分方式があります。

ゾーン方式

ゾーン方式は保管場所を基準にしてカウント対象を決める方法です。
具体的には、保管場所の区画を指定して区画別のカウントスケジュール
を設定する方式です。
品目を決められたところに保管する固定ロケーションを採用している
場合や仕掛品、積送品などの荷動きの速い品目に有効です。
このゾーン方式が日本では循環棚卸の代名詞のようになっていますが、
単純に一斉棚卸を分割・分散しただけのスケジューリングをしている
ケースが多く、あまり合理的な方法とは言えません。

ABC区分方式

ABC区分によって棚卸の対象を決める方法です。
具体的には、使用金額ベースや入出庫頻度ベースでABC分析
決められたABC区分別にカウント頻度を決める方式です。
例えば、Aアイテムは月1回、Bアイテムは3か月に1回、Cアイテム
は12か月に1回(年1回)としてカウントスケジューリングをします。
これにより、合理的かつ品目の重要度によって管理に重みづけをすること
ができます。

カウントの頻度と時間をどうやって減らすか?

次にカウント時期については一定間隔で指定すること
もできますがカウント工数を削減するスケジューリングを
システムに組み込むことができます。
例えば以下のようなタイミングです。

  1. 注文を出すとき・・・在庫水準が少なく、かつ注文エラーを防止できる
  2. 注文受入直前・・・在庫水準が最も少ない
  3. 在庫がゼロになったとき・・・・帳簿在庫がゼロになった時に行う
  4. 入出庫件数が一定数を超えたとき・・・差異の発生度合いが多いはず
  5. 異常値が発生したとき・・・帳簿在庫がマイナス数値になったときや現品行方不明の時

以上から、「棚卸」が在庫管理システム情物一致の監査機能
として大事な役割をもっていること、そして「循環棚卸」その
役割に最も適していることがお分かりいただけたと思います。

これもITを活用し、モノの動きに同期化した在庫管理システム
稼働しているからこそできる仕組みです。
狭義の情物一致は、品目ごとの数量のデータと現物が合っていることを
指しますが、実際に求められる情物一致は、

  • ロケーション(置き場)
  • ロット
  • 賞味期限

などの在庫の物流や品質に関する情報が一致していることも
含みます。
これらの情報は通常では管理・監視が難しいですが、
在庫管理システムなら、かんたんに管理し、状況を監視することができます。

在庫管理システムロケーション管理

在庫管理システムの基本目的である「何が、いくつ、どこにあるか」
のうち、「どこにあるか」を明確にするためのロケーション管理
情物一致の重要な機能です。

また、現品管理の核となる5Sのうちの整頓のキモとなる3定の
実現にも不可欠な要素でもあります。

ロケーション管理の重要性

ロケーション管理とは「在庫の置き場」を管理することです。
在庫管理の現場では、在庫の置き場が分からない、あるはずの
在庫が見つからないということが非常によく起こります。

例えば、倉庫を3つ持っている会社に品目Aが100個あったとします。
3つの在庫数は以下の通りです。

  • 倉庫Aに20個
  • 倉庫Bに80個
  • 倉庫Cには0個

ロケーション管理をしていれば、倉庫Aもしくは、倉庫Bに
それぞれ、いくつ在庫があることが分かります。

しかし、ロケーション管理をしていなければ、倉庫Cにあると
思っていた担当者が「在庫が無い!」と困ることになります。

担当者は、倉庫Cの中を探し回るかもしれません。
在庫が狂っていると思いこむかもしれません。

このように勘違いや非効率な作業をあらかじめ予防するため
にもロケーション管理は、在庫管理においてとても重要です。

ロケーション管理を実現するための準備

まず、ロケーション管理を行うための準備が必要です。
品目コードと同じように、保管場所を示すロケーション番号(番地)を
決めなければいけません。

ロケーション番号の附番の方法は、作業効率の面からピッキングの
導線に沿って行うのが基本原則です。

また、ロケーション番号の粒度
(例えば、何ゾーンの何番の棚の何段目の何間口などの階層の深さ)
は入出庫担当者が専任の社員中心かアルバイト中心かなど担当者の
熟練度によって変わります。

ロケーション管理の階層

ロケーション管理の階層
ロケーション管理には階層があります。
大きく分けて

  1. 会社レベル・・・会社全体の在庫
  2. 支店レベル・・・各拠点(工場や営業所など)にある在庫が分かる
  3. 倉庫レベル・・・拠点内にある保管場所(建屋単位)で在庫が分かる
  4. ゾーンレベル・・・倉庫の中の区画(エリアやブロック)
  5. 列レベル・・・棚が並んだひとつのラインレベル
  6. 連レベル・・・列の中のひとつひとつの棚
  7. 段レベル・・・置き場の高さ方向の在庫が分かる
  8. 間口レベル・・・段の中の商品別の仕切り

中小企業の多くは良くて「会社レベル」の在庫管理止まり、
つまり会社内に在庫がいくつあるかが分かっているにすぎません。

例えば、支店レベルまでロケーション管理ができている会社では、
A支社に〇〇個、B支社に××個と言った具合に、各拠点谷の在
庫が分かります。

どこまで細かい管理を求めるか

あまり細かな粒度のロケーション番号の附番は、
現場のロケーション管理の手間を増すので逆効果を生む場合があります。

ある中小企業に在庫管理システムの導入時に、規模があまり
大きくない倉庫で正社員が入出庫作業を行う利用環境にも関
わらず、詳細なロケーション番号の附番を強いたことがあります。

その結果、現場の作業負担が増えてしまったため、ゾーン程度の
粗いものに設定し直したという苦い経験があります。

管理者としては細かくすればするほど、品目単位ごとのロケーション
が明確になりますが、一方で、上記のような現場の作業負担になったり、
ロケーション管理システムのメンテナンスに工数がかかってしまったりします。

企業規模や人員構成、取扱製品などの会社の状態を考慮してロケーション
管理の粒度を決めていく必要があります。

ロケーションの附番が終わったら、ロケーション番号をバーコード化し、
ラベル印刷して所定の場所に貼付します。
(バーコード管理を導入している場合に限る)

ロケーション管理には2種類ある

実際に商品とロケーションを紐づける保管ルールには
大きく分けて次の2つがあります。

  1. 固定ロケーション
  2. フリーロケーション

固定ロケーション

「固定ロケーション」は、アイテム毎に保管する場所を決めて運用します。

例えば、出庫頻度によるABC分析を行い、出庫頻度の高いAアイテムは
取り出しやすい場所に「固定ロケーション」として割り当てるなどの
重点管理が活かせます。

保管場所が固定化されるため、在庫の場所が常に確定できるので
分かり易いです。

しかし、在庫が無い場所に他の在庫を置くことはできないため、
空きスペースが生まれやすく、スペース効率が悪いため、
柔軟性に欠けることが弱点です。

フリーロケーション

「フリーロケーション」は、品目をロケーションに固定せず、
空いている場所に保管していきます。

フリーロケーションは手作業では難しいため実現するためには、
システム化されたロケーション管理が必須です。
空きスペースを次々と埋めることができるため、スペース効率が
良く、現場の運用はとても柔軟なのが特徴です。

特にフリーロケーションは、次のような動きの激しい
在庫品目に向いています。

  1. 雑貨やアパレルのような需要変動や製品の流行や入れ替わりが激しい商品
  2. 化学原料のような生産量の変動で在庫の増減が多いもの
  3. 食品・医療のような日付管理やロット管理が必要な商品な

ITシステムを利用した柔軟なロケーション管理

IT利用の同期化した在庫管理システムなら、固定ロケーション管理
フリーロケーション管理を併用した柔軟な運用も可能です。

例えば「同じアイテムは同じ所に置くのが原則だが、場所がなければ
空いた所に置く」や「Aゾーンの商品は固定ロケーション、Bゾーンの
商品はフリーロケーション」という運用ができます。

ロケーション管理を入出庫・棚卸に生かす

ロケーション管理の発展的な利用方法として、
入庫指示書、出庫指示書、棚卸表などになどにロケーション
を表示し、入庫、出庫、棚卸などの作業の際にロケーション順
に動いてロケーションと品目のバーコードを読み込むだけで
自動的な入力が可能となり、誰でも効率的な作業ができるようになります。

ロケーション管理のメリット

ロケーション管理は単に「どこにある」を知るだけでなく
「作業の効率化」や「スペースの有効活用」に大きな貢献をします。

従って、棚卸が品目と数量の監査だけでなくロケーションの監査
と調整を兼ねていることがご理解いただけたと思います。

ロット管理とは?

最近はトレーサビリティ、鮮度管理、品質管理に対する要求が
厳しくなってきています。

これらの要求に対して在庫管理システムはどう対処したらよいでしょう。

「何が、いくつ、どこにあるか」の「何が」は、
通常は品目のことを指します。
食品などの品目によっては、さらに賞味期限管理が必要です。

そのため、品目を作った製造日付単位での品目管理が要求されます。
その製造日付別の品目の集まりを一つの製造単位としてロットと言い、
ロット別に品目を管理することをロット管理と言います。

ロット管理の重要性

ロットはいつ、どこで、誰が作ったかでグループ化し、品目情報と
親子の紐づけをします。
主にロット管理は、客先でのトラブルが発生した時の
原因追跡を支援するトレーサビリティに威力を発揮します。

さらにロット情報を利用して鮮度管理や品質管理を行うこと
ができます。
商品マスタに品目別の期間情報を登録しておくことで、製造
日付から賞味期限や使用期限などの期限情報が算出できます。

それらの期限を利用して鮮度管理や品質管理を行うことが可能です。

ロット管理は負担が大きい

ロット管理は同じ品目に異なる製造日付がつきます。
つまり同じ品目でも別々に管理をしなければいけないということになります。

例えば、同じ品目でもロットが3種類あると、管理する
品目-ロットのひも付ごとに管理しなければいけないため、
管理対象が3倍に増えます。

それと同時に、入出庫や棚卸の情報量も3倍になります。
そのためロット管理は在庫管理担当者の入力負担がとても重くなります。

しかも物を動かす時には必ず賞味期限などの期限チェックや
先入先出のチェックをしなければいけないため、処理自体も
複雑になりがちです。

そのため、ロット管理は処理を人手だけに頼るのは人員的にも
時間的にも無理があります。負担を軽減し、ミスを減らすため
には在庫管理システム等の有効活用がより重要になります。

ロット管理とバーコード

バーコードにはロット情報としてロット番号、製造日、
製造番号(製造ライン)、製造担当者など多くの情報を
含める必要があります。

そのため、1次元のバーコードでは容量が足りず、一般に
2次元のバーコード(QRコード)が採用されます。

2次元のバーコード化のもとになるロット情報が得られるタイミングは、
自社製造品の場合は製造完了入庫時、仕入商品の場合は納品入庫時に
得られます。

その時点で2次元バーコ―ドラベルを作成・印刷し、現品に貼付し、
ロット管理をすることになります。

ロット管理とロケーション管理

また、ロット管理を行うとロケーション管理にも工夫が必要です。
品目単位がロット情報を含むことにより、激しく変わります。

品目に対する固定ロケーション方式は不向きです。
ロケーション登録するフリーロケーション方式が必然になります。

ロット管理と在庫管理システム

以上のようにロット管理によるトレーサビリティ・鮮度管理・品質管理は、
在庫管理システムの機能と密接に関係しています。

まさに物と情報を一致させるには2次元バーコードやハンディターミナル
などのモバイル端末の活用とリアルタイムな処理環境を備えた在庫管理
システムの構築が規模の大小を問わず求められます。

これまで在庫管理システムの基盤となる情物一致の見える化の
仕組み作りを述べてきましたが、次回からは情物一致した在庫
情報を活用した「在庫マネジメント」の仕組み作りに話を進め
たいと思います。

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