在庫回転率を計算する

在庫回転率は、在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
在庫回転率が低いということは、在庫が工場に長いこと滞留
しているということを意味しています。

在庫はお金、つまり事業の資金が部品や製品にかたちを変え
たものです。在庫は顧客に販売するまでは、お金になりません。

会社経営の観点からみると、どれだけ早く在庫をキャッシュに
変えるかが事業の継続と成長のバロメーターになります。

在庫回転率の計算式

在庫回転率は以下の式で求めることができます。
在庫回転率は金額または数量で求めることができます。

ふつう、月ごとに商品の出荷や売上記録があると思いますので、
金額のほうが計算しやすいかもしれません。

しかし、お客様からの商品を預かっていたり、工程で使って
いる部品のひとつを調査したいときは、金額の把握は難しい
ので、数量で在庫回転率が計算します。

在庫回転率を金額で求める

金額で求める場合の式は次の通りです。

在庫回転率=期間中の出庫金額/期間中の平均在庫金額

平均在庫金額とは、在庫回転率を調べる期間の平均のことです。
決算書から1年間の在庫回転率を調べる場合は、期首の棚卸資産の金額と
期末の棚卸資産の金額を使います。

例えば、2015年の在庫金額を計算する場合は次のようになります。

2015年の平均在庫金額=
(2014年の棚卸資産金額+2015年の棚卸し資産金額)÷2

在庫回転率を金額で計算する

実際に在庫回転率を金額で計算してみます。

用意したデータは、平成25年度の資本金1000万円未満の製造業者
全体の決算データ(法人企業統計調査 (財務総合政策研究))です。
以下のデータを使います。

在庫回転率を計算する
※金額は百万円です。

データの見方と使い方です。

期間中の出庫金額は売上原価の金額を使います。
ここでは、7,634,235になります。

次に期間中の平均在庫金額を計算します。
決算書には棚卸資産の他に製品、仕掛品、原材料・貯蔵品が
あります。これら3つの合計が棚卸資産になるので、棚卸資産金額
を使います。

期首棚卸金額=平成24年度の棚卸資産 = 891,361
期末棚卸金額=平成25年度の棚卸資産 = 752,380

平均在庫=(891,361 + 752,380)÷2
    = 821,871

在庫回転率 = 7,634,235 ÷ 821,871 =39.29

売上高ではなく、売上原価を使う理由

在庫回転率を調べてみると、次の2通りがあります。

  • 売上高で計算
  • 売上原価で計算

在庫回転率でつまづいている方は、ここで悩まれている
ことが多いようです。

売上高は販売価格であり、売上原価は仕入れ値です。

例えば、100円のものを10個仕入れて、200円で10個売ったとします。
普通に考えれば、在庫回転率は1になりますが、
金額で計算すると、2000 ÷ 1000 =2になります。

在庫回転率が上がってしまいました。
明らかにおかしいですよね。

つまり、分母(出庫)と分子(平均在庫)の金額を
合わせなければいけません。

平均在庫金額に使われる在庫金額は、仕入値です。

分子は常に仕入値なので分母も仕入値にしなければ
先ほどのようにおかしなことになってしまいます。

売上原価= 期首商品棚卸高 + 当期商品仕入高 - 期末商品棚卸高

売上原価で計算した在庫回転率のほうが実態に
近いです。

売上原価よりも売上高のほうが大きいのが普通です。
(そうでないと、売上総利益が赤字になります)
売上高を使って計算している在庫回転率は実態を
表していないので注意が必要です。

在庫回転率を数量で求めるのが一番現実的

金額で求める方法が一般的なようですが、
これは実務的ではありません。

決算書のデータを使って計算しているのは、
財務担当者や税理士など経営に近いところに
いる人たちです。

金額には様々なノイズや操作が入ります。
しかも結果が見れるのは1年単位なので、改善には
まったく役立ちません。

目の前にある在庫を数えて、数量で在庫回転率
計算するのが最も現実的な数字がでます。

在庫回転率を数量で求める方法

手順は次の通りです。

  1. 調査期間の決定
  2. 調査開始時の数量確認
  3. 日々の出庫数量の記録
  4. 調査終了時の数量確認

在庫回転率を数量で計算するデータサンプル

まず、調査期間を決めます。
計算例では1か月(30日)とします。

次に調査開始時の在庫数量を確認します。
計算例では、120個としました。

調査期間中は毎日出庫した数量を記録します。

最後に調査完了時の在庫数量を確認して、
全てのデータを集計します。

数量で求める場合の式は以下の通りです。
在庫回転率=期間中の出庫数/期間中の平均在庫数

集計結果からこのデータの在庫回転率を計算すると、

180÷((120+110)÷2)≒1.57

在庫回転期間を求める

在庫回転率は調査期間中で何回在庫が入れ替わったかを
示す値です。

在庫回転期間=調査日数÷在庫回転率

例えば、調査期間が1年であれば、調査日数は365日です。
在庫回転率が25とすると、在庫回転日数は、

365 ÷ 25 =14.6

つまり、在庫は14.6日で入れ替わっているという計算に
なります。

在庫回転日数が小さいほど、在庫を工場に持っている
期間が短いことを示します。

在庫の資金繰り(キャッシュフロー)の良さを
表します。

在庫回転率は現場に近いデータを使って計算しなければいけない

在庫回転率を計算する時、財務や投資の世界では、財務諸表上の
売上高や売上原価を使って計算しています。

財務諸表上は会社全体の数値なので、個々の在庫の状態は見えません。
見えません。先ほどの事例の部品Cのように、会社に長く滞留して
いるかどうかは財務諸表からは読み取れません。

問題解決には、財務諸表の数字はあまりにも対象が広すぎて曖昧なので
使いづらいデータです。

財務諸表は1年に1回しか作成しないので、計算するチャンスは
1度しかありません。市場のスピードや変化は1年の中でも何度
も変わってしまうので、1年に1回では、とても変化のスピード
についていけません。

在庫管理では、必ず数量で在庫回転率を管理する

在庫管理では、個々の在庫の動きが重要になります。
部品や仕掛品単位に分けて細かく分析が必要です。

ただし、全ての在庫に対して行うのは手間もかかるので
大変です。対象を絞り込んで重点管理部品の在庫回転率
管理しましょう。
重点部品の選び出しは次のような方法があります。

  1. ABC分析で在庫金額を計算する
  2. A区分の在庫の在庫回転率を計算する
  3. 在庫回転率の悪い在庫を対象にする
  4. 在庫回転率の改善目標値を決め、回転率を管理する

年単位ではなく月や週単位で在庫回転率を計算して
モニタリングします。

よく売れているのに在庫金額がなぜか減らない場合は、よく動いている在庫
の陰に隠れた全く動かない在庫(死蔵在庫)があるかもしれません。
もしくは、発注量が在庫が多すぎて在庫が減っていないのかもしれません。

在庫回転率を計算すれば、工場に悪影響をもたらしている在庫の存在をあぶり
だしてくれます。

在庫回転率計算書

在庫回転率を計算できる書式を作成しました。
決算書から求める場合と、出庫数で求める場合の2つのパターン
をご用意しました。

  • 在庫回転率計算書(決算書)
    毎年作成する決算書のデータから算出できます。
  • 在庫回転率計算書(個別品目)
    より実務的なのが、出庫数で求める在庫回転率です。
    リアルな在庫管理にはこちらを利用するのがお勧めです。

在庫回転率計算書のダウンロードはこちらから。
※その他にも役立つ書式がダウンロードできます。
在庫管理書式ダウンロード

製造業の在庫回転率

製造業の在庫回転率は売上原価ベースで、
資本金1000~5000万円未満の製造業で約7.32、
資本金1000万円未満の製造業で、約9.29となっています。
(H25年度 中小企業事態基本調査(中小企業庁)より算出)

取扱う製造品目によっても大きく異なります。
一覧でまとめましたので詳しくはこちらをご覧ください。
製造業の在庫回転率




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