在庫回転率を計算する

在庫回転率とは、在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
例えば、1年間の在庫回転率が2の場合、1年間で2回在庫が回転した
ということになります。

在庫回転率は数字が高ければ高いほうが良いです。
在庫回転率が低いということは、在庫が会社に滞留(滞留在庫)
しているということです。

ここでは次の3つについて解説します。

  1. 在庫回転率(在庫回転日数)の計算方法
  2. 在庫回転率が重要な理由
  3. 在庫回転率と適正在庫の関係

在庫回転率は、在庫管理にとって最重要指標といっても良いです。
適正在庫や在庫削減などにも活用できるのでぜひ覚えてください。

在庫回転率の計算方法

在庫回転率は次の式で求めることができます。

在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額

売上原価
売上原価の計算式は、
売上原価 = 期首在庫金額 + 仕入れ在庫金額 - 期末在庫金額
つまり、一定期間で使った在庫の金額(出庫金額)です。

平均在庫金額
平均在庫金額の計算式は、
平均在庫金額 =(期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2

在庫回転率の計算例です。
次のような場合、在庫回転率はどうなるでしょうか?

仕入れ在庫金額:5,000
期首在庫金額:1,500
期末在庫金額:3,500

まず、売上原価と平均在庫金額をそれぞれ計算します。

  1. 売上原価= 1500 + 5000 - 3500 = 3000
  2. 平均在庫金額 = (1500 +3500 )÷ 2 = 2500

ここから、在庫回転率は、
在庫回転率 =3000 ÷ 2500 = 1.2

売上原価を使う理由

在庫回転率を調べてみると、次の2通りがあります。

  • 売上高で計算している場合
  • 売上原価で計算している場合

在庫回転率でつまづいている方は、ここで悩まれている
ことが多いようです。どちらが良いのでしょうか?

売上高は販売価格であり、売上原価は仕入れ値です。

例えば、

仕入れ値:100円
販売価格:200円
仕入れ数:10個 (期首在庫数は0個)
販売数 : 5個 (期末在庫数は5個)

仕入れ値で計算すると、
在庫回転率は次のようになります。

売上原価= 0 + 100×10 - 100×5 = 500円
平均在庫= ( 0 + 500)÷2 =250

在庫回転率 = 500 ÷ 250 = 2

一方、売上金額で計算すると

売上金額 = 200 × 10 =2000
平均在庫= ( 0 + 500)÷2 =250

在庫回転率 = 2000 ÷ 250 = 8

売上で計算したほうが在庫回転率が高い数値になります。(良くなる)
在庫回転率が上がってしまいました。
明らかにおかしいですよね。

販売金額とは、仕入れ値に利益を乗せた金額になります。
売上金額を使ってしまうと、利益分だけ在庫回転率が良くなってしまいます。

つまり、分母(出庫)と分子(平均在庫)の金額を
合わせなければいけないということです。

平均在庫金額に使われる在庫金額は、仕入値=原価です。

分母である在庫金額は常に仕入値=原価なので、
分子も仕入値=原価にしなければおかしな計算結果になります。

在庫回転率を数量で求める方法

在庫回転率は金額ではなくて、数量で求めることもできます。
その場合の計算式は、

在庫回転率 = 出庫数 ÷ 平均在庫数

平均在庫金額
平均在庫数の計算式は、
平均在庫数 =(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2

金額を数量に置き換えれば良いだけです。
簡単ですね。

在庫回転率の計算は、金額が良いか、数量が良いか?

在庫回転率は、金額でも数量でも求められるということが分かりました。
では、どうやって使い分ければ良いのでしょうか?

在庫金額を使って計算する場合
在庫金額を使う場合は、経営的な観点で在庫回転率を計算する
時に使います。
例えば、決算書や後述する在庫金額(適正在庫金額)を決定する時などに使います。

在庫数を使って計算する場合
在庫数を使う場合は、実務的な観点で在庫回転率を計算する
時に使います。
金額は仕入れ方によって変わってしまう場合はあります。
例えば、

  • ボリュームディスカウント(大量仕入れによる値引き)
  • 輸入品(為替レート)

数量が全く同じでも、金額は違うこともあります。
金額だと在庫回転率が変動するため、正しい評価ができません。

財務や投資の世界では、財務諸表上の数値を使うので、
在庫金額でよいでしょう。
しかし、変動しますし、会社全体の値なので管理指標としては
不適切です。

在庫のコントロールや管理指標などで
実務的に在庫回転率を使う場合は、数量での計算をお勧めします。

在庫回転日数の計算方法

在庫回転率は、在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
例えば、1年間の在庫回転率が2の場合、1年間で2回在庫が回転した
ということになります。
ただ、率だと感覚的にわかりづらいので、日数に直します。
これを在庫回転日数といいます。

在庫回転日数=日数÷在庫回転率

例えば、期間が1年であれば、調査日数は365日です。
先ほどの例では、在庫回転率が1.2だったので、
これを在庫回転日数に直してみると次のようになります。

在庫回転日数 = 365 ÷ 1.2 ≒ 304.1

この場合では、在庫が1回転するのに約304日
掛かるということが分かります。

在庫回転日数は数値が小さいほど、会社に
在庫が滞留している期間が短いです。

会社に在庫が滞留している期間が短いということは、
在庫が効率よくお金に変わっているということです。

つまり、在回転率は在庫の資金繰り(キャッシュフロー)
の良さを表す重要指標といえます。

適正在庫で自社の適切な在庫数を把握

在庫回転率はなぜ重要なのか?

在庫回転率が管理指標として大切な理由は大きく分けて2つあります。

  1. 経営と実務をつなぐ管理指標
  2. 経営の健全度を測る管理指標

在庫回転率は経営と実務をつなぐ

経営者などの上層部は在庫をお金としてみます。
一方で、現場などの実務層は、在庫をモノ(数量)で見ます。

経営層は、在庫を金額で管理していますが、
現場など実務者は、在庫を、いくつ仕入れるか、いくつ生産するかなどの
数量で管理しています。

経営層は、在庫金額は○○円にしないといけない!
現場は、A社様に商品を○○個お届けしないといけない!

といった具合です。
これが経営と現場のギャップを生んでいる原因です。
このギャップを埋めてくれるのが在庫回転率です。

先ほどご紹介したように、在庫回転率は金額でも数量でも計算できます。
つまり、経営層も現場も同じ在庫回転率という指標を使うことができるということです。

経営層が在庫回転率(在庫回転日数)を○○にしろ!
という言葉は、現場も置き換え数量で置き換え可能です。

在庫回転率で経営の健全度が分かる?

まず、下の表を見てください。
優良企業(利益を出している企業)と赤字企業の財務状況を比べたものです。
在庫回転率の比較

売上高はあまり変わりませんが、優良企業の方が在庫回転日数の数値が小さい(在庫回転が良い)ということが分かります。
企業規模を問わず、健全な経営をしている会社は、在庫回転率が良い傾向にあります。
在庫が効率よくお金に変わっていることを示します。

先ほどの表で優良企業と赤字企業の売上高に対する在庫金額を
比較しました。(表の比率)

例えば、製造業の優良企業は、売上高に対して在庫金額が8%以下に収まっている
のに対して、赤字企業は8%を超えています。
業績が悪くなってくると、在庫金額が膨らんでくることが多くなるのが一般的です。

つまり、優良企業ほど少ない在庫金額で売り上げを上げているということが分かります。
売上は優良企業と赤字企業でそんなに変わらないですから、過剰な仕入れをしておらず、
適正在庫を維持しているということが分かります。

在庫回転率と適正在庫の関係

もう一度、在庫回転率の計算式を見てみます。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額

在庫回転率と在庫金額には関係があることが分かります。
裏を返せば、

  • 在庫金額を決めれば、理想的な在庫回転率が計算できる
  • 在庫回転率を決めれば、理想的な在庫金額が計算できる

ということになります。

適正在庫日数(業種別)

業種別の一般的な在庫日数は次の通りです。

  • 製造業 30-50日
  • 卸売業 20-30日
  • 小売業 15-20日

会社の現状から適正在庫が計算できます。
適正在庫を設定して在庫削減活動に取り組むこともできます。
キーになるのはやはり在庫回転率です。

在庫回転日数とリードタイムの関係

在庫回転日数はリードタイムと密接な関係があります。
例えば、在庫回転日数が40日であれば、40日分の在庫を持っている
ということになります。

在庫として最低限持たなければいけない数量は、リードタイムの日数分です。
仮に、仕入れのリードタイムが10日だった場合、少なくとも10日分の在庫がないと
欠品します。

先ほど、業種によって目安が出ているとお伝えしましたが、
これは扱うもののリードタイムによってもかなり変わります。

例えば、製造業でも部品が輸入品、しかも船便であればリードタイムは
それだけで30日です。一方、国内からの調達であれば、そんなに時間は
掛からないでしょう。

小売業といっても、例えばアパレルであれば、日本国内よりも中国や
東南アジアからの輸入品が多いと思います。

すると、船で仕入れるだけのリードタイムが掛かっているということ
を忘れてはいけません。仕入れ方によって自社の適正な在庫回転日数は
大きく変わります。

逆に、仕入れのリードタイムが10日にも関わらず、在庫回転日数が30とか
40日もあれば、それは過剰在庫であるとみなすこともできます。

指標としては目安として捉え、自社の適正な在庫回転日数を
リードタイムから調査してみることをお勧めします。

在庫回転日数を使った在庫削減方法

自社の適正な在庫回転日数が分かれば、あとは回転率を
あげるだけです。

回転率を上げる=過剰在庫の削減です。

しかし、全ての在庫に対して在庫回転率を上げる改善を行うのは
労力も時間もかかるので大変です。

そこで、効率よく効果的な削減活動をするために対象を絞り込みます。
重点部品の選び出しは次のような方法があります。

  1. ABC分析で在庫金額を計算する
  2. A区分の在庫の在庫回転率を計算する
  3. 在庫回転率の悪い在庫を対象にする
  4. 在庫回転率の改善目標値を決め、回転率を管理し上げていく

管理単位(評価・見直し期間)1年単位ではなく1か月や週単位
として、在庫回転率を計算してモニタリングします。

よく売れているのに在庫回転率が上がらない場合は、よく動いている在庫
の陰に隠れた全く動かない在庫(死蔵在庫)があるかもしれません。
もしくは、発注量が在庫が多すぎて在庫が減っていないのかもしれません。

回転率を上げる代表的な方法は、

  • 販売を増やす
  • 仕入れロット(1回の発注量を減らす)
  • 発注頻度を上げる
  • 廃却する

個々に在庫回転率を分析して、品目に合った施策をとりましょう。

在庫回転率を計算すれば、会社に悪影響をもたらしている在庫の存在が
自然とあぶりだされます。

先ほどご紹介した適正在庫日数は、これはあくまでも目安です。
扱っているものや仕入れ方、製造業であれば生産方法によって
違います。自社の適正在庫をまずはざっくりと知る必要があります。

難しい知識と特別な数値は不要です。
売上高、売上原価、在庫高
たったこれだけの数値があれば、自社の適正在庫が計算できます。

自社の適正在庫を知ることで、次のようなことが分かります。

  1. 自社の現状の在庫金額が適正在庫とどれくらいかい離しているか?
  2. 適正在庫にするための、在庫金額や在庫回転日数は?
  3. 自社にどれくらいの改善余地があるのか?
  4. 資金繰りを改善するために在庫回転率をいくらにすればよいのか?

在庫管理110番では、在庫管理セミナーで在庫回転率を活用して
適正在庫を計算する方法をお伝えします。