適正在庫管理

適正在庫とは、会社にとって必要な在庫量であり過剰在庫や欠品の無い状態です。
適正在庫は、在庫を扱う会社にとって永遠の課題といえます。
ここでは、適正在庫を実現するために必要な事をお伝えいたします。

適正在庫を知るうえで最も大切なこととは?

私がお客様の在庫管理のレベルを知る時に、
真っ先に質問することがあります。

それは「在庫日数」です。

在庫日数が分かれば、その会社が目指すべき適正在庫
ある程度分かります。今回は適正在庫の求め方から、
どうやって在庫削減を進めていけばいいのかをご紹介します。

↓↓↓ 適正在庫について詳しく学びたい方は! ↓↓↓


適正在庫金額とは?

適正在庫はどれくらいの在庫金額に相当するのかを求めましょう。
適正在庫金額は在庫回転率(在庫日数)から算出できます。

在庫回転率の式をおさらいすると、
在庫回転率=売上原価 ÷ 平均在庫
在庫日数= 期間 ÷ 在庫回転率

つまり、適正在庫を求めるに当たって必要な数値は、次の3つだけです。

  1. 在庫回転率
  2. 売上原価
  3. 平均在庫

今回は年商1億円、原価率40%、在庫金額2500万円の会社を事例にして計算します。

売上原価を求める

在庫で売上を作っている会社は、在庫が無ければ売り物がありません。
売上原価は、「在庫を販売した原価」です。
この会社が売上1億円を達成しようとした場合、原価率40%ですので、
売上原価は少なくとも4000万円必要という事になります。

在庫金額は2500万円なので、この会社の現状の在庫回転率は、

4000万円÷2500万円=1.6
365 ÷ 1.6 =228.1

この会社は約228日分の在庫を持っていることになります。

会社のリードタイムを調べる

次に会社のリードタイムを調べます。
会社のリードタイムは、次の3つから成り立ちます

  1. 調達リードタイム:材料や商品を仕入れるために掛かる時間
  2. 生産リードタイム:商品を生産するために掛かる時間(製造業のみ)
  3. 納品リードタイム:商品がお客様に届くまでの時間

仮にこの会社の3つのリードタイムが、

  1. 調達リードタイム:18日
  2. 生産リードタイム:20日
  3. 納品リードタイム: 2日

とすると、トータルリードタイムは、40日という事になります。
これがこの会社の最短リードタイムになりますので、

228日(在庫日数)-40日(会社のリードタイム)=188日
つまり、188日が過剰在庫という事になります。

トータルリードタイムが不明確な会社の場合は、まずざっくりと
したリードタイムでいいので、数字を当てはめてみましょう。

在庫削減金額を計算する

もう一度、在庫回転率の式に戻ります。

在庫日数が40日ですから在庫回転率は、
365÷在庫日数=9.1

この在庫回転率と、売上原価4000万円を3つの数値に当てはめると、
必要な在庫金額を求められます。

  1. 在庫回転率 :9.1
  2. 売上原価 :4000万円
  3. 平均在庫

平均在庫=売上原価 ÷ 在庫回転率
平均在庫=4000万円 ÷ 9.1
    =439万円

この会社が目指す在庫金額は約440万円
在庫削減目標金額は、約2000万円という結果が求められます。

目標が決まったら、次に具体的な改善に移ります。

↓↓↓ 適正在庫を実現するためのノウハウ満載! ↓↓↓

現品管理からデータ管理、棚卸までを網羅しています

現状在庫管理による土台作り

まず、現品の現状在庫管理をしっかりと行います。
在庫を正しく扱う土台作りと在庫の動きや流れが分かります。
現状在庫管理は全て適正在庫管理を進めるための土台になります。

現状在庫管理とは、在庫レベルや業務の基準やルールを決めて、
それらに基づいて行動し、維持改善していく在庫管理の事です。
現状在庫管理を実現することで情物一致の状態になります。

在庫がデータでしっかりと見えるようになるので、
在庫の数が合っているかどうかの不安が無くなり、結果的に
欠品を恐れ過剰な在庫を持つ必要が無くなります。

在庫管理の基準を決める

適正在庫管理の第一歩である現状在庫管理では
基準作りを最も大切な工程です。

管理状態の悪い会社は基準がありません。
基準があっても、最新の状態に更新されておらず昔のままです。

基準が無いということは、「何が良くて、何が悪いのか」が
誰も分からないという状態です。
管理の最大の目的は良い状態の維持です。
基準がなければ、何が良い状態なのか?は誰もわかりません。

基準を作れば、

  • 良いか悪いか
  • 多いか少ないか
  • やって良いのか悪いのか

といった判断が誰でもできるようになります。

基準を作るためには、「根拠」が必要です。
そのためには現状の把握が必要です。
第一ステップの現状在庫管理があります。
現状在庫管理について詳しく見る

基準の決め方

最終的な目標は全在庫の基準作りです。
しかし、一度に全ての在庫について取り組むのはできません。
中途半端な成果で失敗するのが目に見えています。
在庫削減活動が失敗する大きな原因です)

まずは対象の絞り込みを行います。

適正在庫管理を始める対象を決める

会社の在庫品目は多岐にわたります。
一度にすべての品目の改善を進めるのは通常業務に支障をきたし
かえって逆効果になります。

取り組みの費用対効果の高い対象から優先順位を付けて
的を絞って取り組む必要があります。

最初に目標とする在庫金額と在庫削減金額を
求めました。

これは会社全体の目標値なので、どれが削減できる在庫なのか、
どの品目の在庫削減を優先的に進めるのかを決めます。

優先度の高い品目の絞り込みに使う手法がABC分析です。

ABC分析で在庫を絞り込む

ABC分析は、金額、時間、数量など対象を問わず
様々なものに使用できます。

ABC分析の方法は、こちらをご覧ください。
ABC分析

判断の統一

基準を決めたら、次の取り組むのが判断の統一です。
会社の中でよく起こっている問題の一つが属人化です。
つまり「判断できる人が一人しかいない」ということです。

その人が休みだったり、不在の場合は判断ができずに作業や
生産などがストップすることさえあります。

一番最悪な状況は、担当者の退職です。
その瞬間から判断ができなくなります。
今まで積み上げてきたものは崩れ、会社は大混乱します。

最初からまた試行錯誤して作っていかなければいけません。

基準作り、判断の統一はそのようなリスクの回避にもなります。
基準があれば、それに従って行動するのみです。

くどいようですが、基準を決めた理由や根拠を
明確にしておかなければいけません。

理由や根拠が明確でないと、基準の見直しや改善が
できません。

基準の見直し

在庫の動きは市場の状況により日々変化します。
それに応じて基準を見直さなければいけません。

理由や根拠を明確にすると、基準が現状に合っているかどうか
が分かるようになります。それを基に各人が判断をし、提案や
改善ができるようになります。

基準は見直すためにあるものです。

適正在庫基準の維持

会社でよく行われるプロジェクトがいつも失敗する
理由は、「決めた基準を使わないこと、改善しないこと」です。

改善プロジェクトの発表会で、成果を発表すると
だいたいいつも全てそこで終わってしまいます。

徐々に効果が薄れ、いつの間にか元通りになります。
最悪の場合は、無理やり成果を出し、工場の生産が混乱
してしまうこともあります。

こういうことが起こる理由は2つあります。

  1. 改善で決まったことを途中で止めてしまう。
  2. 上司や幹部が無関心になってしまう。

どちらも悪いのですが、やはり上層部が無関心
になるのが一番の問題です。

コンサルティング期間中は、決まったことを
やっているかどうかを必ずチェックし定着を
図ります。

維持することにはもう一つの狙いがあります。
改善には終わりがありません。
基準を維持をしていと、
「いつもと違うな」
「おかしいな」
と思うことが必ず出てきます。

ここがポイントです。
維持を続けていると基準を常に気にするように
なります。そうすれば、ちょっとした違いにも
気づくようになります。

基準を作り、維持・改善を進める
定着し、「それが当たり前」の企業文化にまで
育て上げるのが在庫管理110番が目指す真の
適正在庫管理です。

↓↓↓ 適正在庫を実現するためのノウハウ満載! ↓↓↓

現品管理からデータ管理、棚卸までを網羅しています

適正在庫の仕組みづくり

適正在庫を決めて、基準ができると
やって良いか悪いかという判断が明確に
なります。
そうすれば、業務の手順を作ることができます。

今まで長年の勘や経験に頼ってきた部分が
数値化されるため、新入社員やパート・アルバイト
も即戦力になります。

熟練の社員は、今まで手を取られていた雑務から解放
されて、より高度で付加価値の高い作業に集中できる
ようになります。

会社の時間当たりの労働生産性が向上します。

難しいITシステムの導入は必要ありません。
まずは、業務内容を理解し、自分たちの手で
仕組みを構築することの方が大切です。

シンプルで誰でも簡単にできる仕組み作りを
実現するためにコンサルティング期間中にお
手伝いします。

適正在庫管理のキモは製造リードタイム

特に製造業の場合は、製造リードタイムの改善がキモになります。
適正在庫は、工場が納期を守るために必要な最低限の在庫量です。
製造業には「生産」という他の業種には無い工程があります。
つまり、リードタイム適正在庫を知る大きなカギになります。

工場のリードタイムは次のようになっています。

工場の適正在庫

工場の在庫には材料・仕掛品・製品があります。
そのうち、取り組むと効果が大きいのは仕掛品です。
また、材料や製品は、仕入先や販売先などとの協力や交渉が
不可欠ですが、仕掛品は工場の中だけにある在庫なので、
社内だけで改善を完結することができます。

仕掛品が関係するリードタイムは、製造リードタイムです。
製造リードタイムは工程が増えれば増えるほど
生産工程は複雑にリードタイムは長くなり、難しくなります。

仕掛品の管理が難しいのは、状態が一定ではなく
常に刻々と変化していることです。

他のリードタイムに比べて把握が難しいのが事実ですが、
在庫削減の効果が大きいのも事実です。

その理由は仕掛品の特性にあります。

過剰在庫と欠品が同時に発生

仕掛品は、材料と製品の中間にある在庫です。
作り過ぎは、材料の不足と製品の余剰在庫を引き起こします。

生産バランスが悪ければ、材料の余剰と欠品、仕掛品の余剰と欠品
がすべて同時に起こります。

製造リードタイムさえきちんと管理できれば、全体の在庫レベルの
コントロールがかなりうまくできることが分かります。
製造リードタイムをコントロールする

製造リードタイムを短縮する場合

仮に製品の製造リードタイム短縮を目標として
掲げた時、どの製品を対象として、どこの工程を
優先的に改善する工程を決めたい場合は、次のよ
うに分析を進めます。ここでもABC分析が役立ちます。

全製品の製造リードタイムの算出

ABC分析

対象の製品決定

製品の各工程の製造リードタイムの調査

ABC分析

対象工程の決定

対象工程の仕掛品製造リードタイムの算出

対象の仕掛品決定

といった手順になります。

上記のように、ひとつずつ細かく分解をしていきます。
分析のためにはデータ収集は欠かせません。
対象が細かくなればなるほど、データが必要になります
が、対象が絞られていくため取り組みやすくなります。

改善の途中でやりにくいな・・・
と感じたら、再びABC分析で対象を分解していくのも
ひとつの方法です。

発注の手間を減らす方法

適正在庫を妨げ在庫が増える理由として、
発注頻度が長いという問題があります。

  • 1か月に1回の発注であれば、必要な在庫数は、最低1か月分。
  • 1週間に1回の発注であれば、必要な在庫数は、最低1週間分。

発注頻度が多ければ多いほど、在庫が減るのは明らかです。
しかし、発注の手間がかかるという問題があります。

発注の手間を減らす方法