多品種少量時代の在庫管理
昔からこのやり方でやっている。
このやり方でうまくいってきた。
個別相談やセミナー、コンサルティング先でよく聞くことばです。
特に、高度経済成長を経験している創業者やベテラン社員は、
昔の成功体験を忘れられず、今も昔のやり方を曲げず、そのまま貫こ
うとすることが多いです。
さらに、品揃えが良い事=競争力=お客様への貢献
考えている経営者、従業員も多いようです。
この考え方が在庫増を招きます。
目次
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売上に対して在庫金額は増加傾向
※資本金1000-5000万円未満、製造業・卸売業・小売業・サービス業のデータ
売上に対する棚卸資産の金額は増加です。
在庫比率とは、売上高/棚卸資産で計算しました。
※棚卸資産=製品+仕掛品+原材料
上記のグラフを見ていただくと分かるように、全体の売上高
は横ばいまたは下降傾向ですが、在庫比率は年々増加しています。
これは、取扱品種を増やしたにも関わらず、売れずに在庫として
残っていることを客観的に示しています。
品揃えとお客様への貢献は同じではない
品揃え、低価格を売りだと思っていませんか?
品揃えが良い事、何でも揃うことを良いサービスだと思っている方も多いようですが、一律でこの考え方を
するのは危険です。
特に中小企業の場合、このような考え方をしているようでしたら非常に危険です。
品揃え=購買力=資本力
大企業がその気になれば敵いません。
商店街の近くに大型スーパーができると、商店街がさびれてしまうのは、品揃えと価格力です。
大手が本気になれば、強大な購買力と膨大な資金を使って、一時的に品揃えを増やし、低価格にすれば、中小企業は太刀打ちできなくなり、あっという間に倒産してしまいます。
多品種少量と在庫の関係とは?
昔と今は在庫を取り巻く環境が圧倒的に変わっています。
ポイントは、8つあります。
- モノが無い時代からモノ余りの時代へ
- 需要と供給のバランスの変化
- 商品を買う場所が増えた
- インターネット通販の台頭
- 競合他社の変化
- 消費者の持つ情報量
- 商品の選択肢
- 製品の寿命
モノが無い時代からモノ余りの時代へ
昔はとにかくモノがありませんでした。仕入れれば売れる、作れば売れるという状況でした。
戦後の闇市などはモノが無いから個人からでも買いたい!というこの時代を良く表しています。
需要と供給のバランスの変化
昔は、「需要 > 供給」というように需要の方が供給よりも多かったので、店頭に並べるだけであっという間になくなりました。
しかし、今は「需要 < 供給」です。
仕入れても売れません、店頭に並べても売れません。
商品を買う場所が増えた
昔は近所の個人商店しか買う場所がありませんでした。
例えば、昔包丁は金物屋で買う物でしたが、今ではホームセンター、スーパーマーケット、100円ショップでも包丁が買えます。
また自動車があるので、消費者の行動範囲も広がり欲しいものが買える場所が増えました。
インターネット通販の台頭
今、さらに店舗を構える店の脅威となっているのが、インターネット通販です。
出典:電子商取引に関する市場調査(経済産業省)
インターネット通販の市場規模は、年々増加傾向で市場規模は、13.8兆円(前年比7.6%増)まで拡大しています。
これは、全国の百貨店の売上高が約6兆円(2015年:日本百貨店協会)ですから、その市場規模の大きさが分かります。
実店舗の他にも自宅から出ずに商品が買えるという手段を消費者が得たため、ますます買う場所の選択の幅がひろがりました。
最近はインターネットにうといと思われていた高齢者もインターネット通販を利用するようになっています。
(高齢者の方がネット通販の恩恵を受けていることが多い)
競合他社の変化
これまで競合他社と言えば、国内企業だけでした。
今は海外の企業も多数日本の市場に参入してきています。
たとえば、家電製品。
ほんの10年前まではほとんど無かった、ハイアール(中国)、サムソン(韓国)等のメーカーの商品が並んでいます。価格は圧倒的に安く、そこそこ売れています。今、国内企業が競合だと思っていてもいつ海外の競合が現れるかもわかりません。
部品メーカーや企業に卸している中小企業も要注意です。
購入する側は常に同等の品質でコストの安い企業を探しています。
消費者の持つ情報量
インターネットの普及で、消費者が企業が持っている情報に匹敵する情報を簡単に入手できるようになりました。
あなたの製品もすぐに検索され、他社と比較されます。
商品の選択肢
情報も豊富で、買う場所も豊富。
昔は情報が無かったので、近くの商店に並んでいる商品を買わざるを得ませんでした。しかし、今は消費者が自由に選べます。
製品の寿命
昔と比べ、流行が過ぎ去るスピードが早くなり、商品が売れる期間が短くになりました。
在庫を多く持ちすぎているとアッと言う間に陳腐化して売れなくなってしまいます。
多品種少量の時代は科学的・客観的な在庫管理を!
昔は勘と経験による在庫管理で十分でしたが、多品種で流行のスピードが早い現代は、昔のようにのんびりと対応していては、在庫は増加する一方です。
残念なことに中小企業は昔の習慣と成功体験から抜け出せず徐々に在庫を積み上げています。
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