在庫管理の現場では、長年培われたアナログな手法が残っていることが少なくありません。
「在庫の数が合わない」「発注ミスで欠品させてしまった」……そんな悩みを抱えつつも、長年慣れ親しんだ「紙のノート」や「手書き伝票」から抜け出せずにいませんか?
アナログ管理は、商品点数が50点程度までなら目が届くため、問題ないかもしれません。
しかし、商品点数が100点を超え、SKU(カラーやサイズ違い)のバリエーション増えてくると、人の記憶力や手書きのスピードでは限界が訪れます。
一方、システムを利用したデジタルな在庫管理を行えば、現場の負担を減らしつつ正確かつ迅速にデータを管理できます。
この記事では、アナログな在庫管理の方法から、そのメリット・デメリット、さらに効率的なデジタル管理、システム導入へと移行するためのステップまで詳しく解説します。
- アナログな在庫管理の方法
- アナログな在庫管理のメリット・デメリット
- デジタルな在庫管理の方法
ぜひ最後まで読み、在庫管理のプロフェッショナルを目指しましょう。
目次
アナログな在庫管理で在庫の見える化する方法
アナログな方法で在庫状況を把握するには、現場でのルール作りや情報の正確な共有が重要です。
ここでは、その方法を紹介します。
棚でのラベル表示

在庫の保管場所である棚にラベルを貼りましょう。
商品名、型番、定数(在庫として置いておくべき数)などを明記したラベルを貼ることで、誰が見てもすぐ「ここに何があるか」「補充が必要か」が一目でわかります。
棚カードを使った在庫管理の方法は、以下のページで詳しく解説しています。
在庫管理表・在庫管理ノートの作成
日付・数量・残数を手書きで記録する表やノートを作成しましょう。

「入出庫ごとに記録」「毎日17:00に記録」などルールを決めて運用します。
これを作ることで、担当者が変わっても問題なく対応できます。
紙ではなくホワイトボードなどを用いて入出庫ごとに記録すれば、スタッフがよりリアルタイムの状況を把握しやすくなります。
手書き在庫管理表を作るコツを以下のページで詳しく解説しています。
さらに、在庫管理110番では在庫管理表を無料で配布しています。
現物発注
棚にある在庫を計数し、必要な分を発注しましょう。
例えば、並べた在庫の間に「発注カード」を挟んでおき、カードが露出したタイミングで発注を行うというルールを決めれば、過不足なく在庫を維持できます。
アナログな在庫管理のメリット
アナログな在庫管理は、扱う商品が少ない(~100点以下)場合やスタッフがITに不慣れな場合におすすめです。
低コスト
アナログな在庫管理は、初期投資がほとんどかかりません。
ノート、ペン、ラベルシールなどの安価な備品だけで運用をスタートできるため、コストを抑えたい小規模な現場に適しています。
即座に導入可能
システムの選定や操作トレーニングが不要なため、始めたいと思ったときにいつでも始められます。
ITに不慣れなスタッフが多い現場でも、教育コストをかけずに運用できます。
アナログな在庫管理のデメリット
アナログな在庫管理では、取り扱う商品数や取引量が増えてくると、以下のような問題が起こりはじめ、トラブル対応などに時間を取られます。
ヒューマンエラー
アナログな在庫管理で最も多いのは、手作業ゆえのミスです。
書き間違い、読み間違い、記入漏れなどのミスだけでなく、忙しい時間帯に記入を後回しにしたり、担当者ごとに発注のタイミングがずれたりと、ルールが正しく運用されない可能性もあります。
これにより、在庫管理の基本である情物一致が崩れ、現場に行かないと在庫数が分からないことが常態化して正しい管理ができなくなります。
属人化
アナログな在庫管理は、担当者の経験に依存しやすく、属人化を引き起こします。
実際、筆者の働いていた職場でも、「発注状況を担当者しか知らない」ことが原因で、その人が休みの日に作業が進まなかったことがあります。
発注記録を残すというルールは定まっていたものの、その人が独自にメモを取っていて、状況が全体に共有されていませんでした。
このように、ルールがあったとしても、独自の判断で個々がルールを変えてしまっていたり、その通りに運用されていなかったりすることで属人化は起こります。
担当者が退職するタイミングで引継ごうと思ったら、自分がやりやすいように感覚で業務を行っているため、もう手がつけられなかったという事態はよくあることです。
データの紛失
紙のノートや表は、紛失や破損(汚損)のリスクがあります。
また、過去のデータを分析しようとしても、大量の書類から必要な情報を探しだし、まとめ直すのは現実的ではありません。
膨大な作業時間
商品数が増えるほど、記入や計数にかかる時間は指数関数的に増えていきます。
例えば、100点の在庫を毎日手書きでチェックする場合、1件30秒としても毎日50分、月に25時間以上を「書くだけ」の作業に費やすことになります。
これは、本来行うべき「売れる仕組みづくり」や「仕入れ交渉」といった生産的な業務を圧迫する大きな損失です。
アナログな在庫管理をやめ、効率の良い見える化を実現するには?
アナログな在庫管理から抜け出すには、エクセルやシステムを使用しましょう。
ここでは、そんなデジタルを使った在庫管理の方法を紹介します。
エクセル、マクロの使用
「いきなりのシステム導入は不安、そんなにコストをかけられない」という場合、紙やノートへの記録をエクセルへの記入に置き換えることから始めても良いでしょう。
これにより、データ紛失のリスクは抑えられます。
さらに関数やマクロを使用すれば、計算が自動化され、ヒューマンエラーの防止や作業時間の短縮につながります。
エクセルの在庫管理表による管理方法を詳しく知りたい場合はこちら
在庫管理110番オリジナルのエクセルテンプレートを無料でダウンロードできます。
エクセル、マクロの問題点
エクセルやマクロは手軽に始められますが、次のような問題点があります。
- リアルタイムで同時編集が不可能:マクロはローカル環境でしか動きません。一人ずつしか作業ができないので待たないといけません。
- コピーが簡単に作れる:フォーマットをコピーして担当者オリジナル仕様による属人化のリスクがあります。
- 動作が遅くなる:そもそもエクセルは、大量のデータ処理に向きません。データ量が増えてくると動作が遅くなります。
一人ずつしか作業できなかったり、データの量が増えて動作が遅くなったりすると、効率の良い在庫管理はできません。
筆者もエクセルで在庫を管理していたことがありますが、商品数が一気に増えたタイミングで動作が遅くなり、入力したはずの数字が見えなかったり、途中で落ちてしまったりというトラブルに見舞われました。
また、関数やマクロを入れている場合、それを理解できる人が限られるため、その人がいない時にトラブルが起こると誰も対処できません。
在庫管理システムの利用
アナログやエクセルでの在庫管理で生じる問題点を一気に解決できるのが、在庫管理システムです。
バーコードを使った検品やリアルタイムな在庫共有、情報の一元化により、現場の負担を劇的に減らしつつ、精度の高い在庫管理を実現できます。
在庫管理システムを利用する具体的なメリットは以下の通りです。
在庫管理システムを利用する具体的なメリット
- リアルタイムの在庫状況がわかり、トラブル発生時に担当者が不在でも即座に対応が可能
- 複数人で共有・操作が可能
- バーコードや二次元コードの使用により、読み間違いや転記ミスが発生しない
- 膨大なデータの蓄積が可能で、動作もスムーズ
- 過去のデータを即座に確認でき、精度の高い分析が可能
在庫管理システムを導入するステップ
これまで手書きやエクセルなどで在庫管理をしていて、初めて在庫管理システムを導入する場合は、在庫管理の基本を重視してシンプルなシステムを選ぶと良いでしょう。
ステップ1:在庫管理の基本をできるようにする
在庫管理システムは多機能なものを選ばず、在庫管理で一番重要な「何が、いくつ、どこにあるか」が把握できるようにします。
在庫管理をシステム化する際に必ずやっておくべきこと
- 在庫管理するもの全てに品番(商品コードや部品番号)を付ける(参考:品番の採番方法とコード体系の組み立て方、管理方法)
- 在庫の保管場所(棚番や倉庫コード)を決める
- 入庫(入荷)と出荷(販売や使用)のルールを決める(参考:在庫管理のやり方|入庫・出庫管理と処理の基本を解説)
ステップ2:システムと自社の業務を合わせる
在庫管理110番では、これまでシステムの入れ替えや構築の相談も多数いただいています。
失敗している会社は次のような共通点があります。
- 担当者の要望を聞きすぎて欲張りすぎてシステムが複雑化している
- 自社の業務フローと全く合っていない
- システムを導入したが属人的業務が残っている
- 業者の選び方が安易
システムのカスタマイズと業務の標準化
上記のような失敗を防ぐためには、自社の業務にシステムを合わせるカスタマイズを実装しつつ、自社の業務の標準化してスリム化も行います。
場合によっては、システム化せずにアナログな管理を残すというのも選択肢のひとつです。
ある会社では、発注業務が属人化が課題で、「発注を自動化したい」という要望がありました。
しかし、発注数の決め方をヒアリングしても感覚に依ることが多かったため、条件や制約を整理して発注を自動化するためのロジックを組み立てることができません。
そこで、在庫管理アドバイザーはまずは各担当者がエクセルでバラバラで管理していた発注情報を一元化することを提案しました。
初めは抵抗にあいましたが、発注情報を一元化したことで、納期管理をパートに振ることができるようになり、結果的に担当者に余裕が生まれ、発注数の精度が向上しました。
実は、担当者はアナログな在庫管理をしていた時に以下のような発注業務を行っていました。
- 在庫を現場に見に行く
- 発注数を考えて発注する
- 現場から「いつ入ってくるの?」の対応を行う
- 納期遅れ対応を行う
在庫管理システムを入れ、発注管理機能を導入することで、「2」以外は全てやる必要が無くなり余裕ができました。
いきなり全てをシステム化する必要はありません。
適切な業者を選定する
実績が多いから、提供している会社が大手だからという理由で選定してはいけません。
「導入実績が多い=その会社のシステム運用がうまくいっている」とは限りません。
以下のような業者は要注意です。
- 多機能を売りにする
- 課題を聞かず、自社のシステムの特徴や実績を熱心にPRする
上記のような会社を避けるべき理由は、開発会社のシステムの機能が、あなたの会社の業務に合っていなければ意味が無いですし、あなたの会社の課題を解決するシステムでなければ意味が無いからです。
【参考】在庫管理システムの導入、業者選定に役立つ
システム構築や選び方、さらには業者の選定方法まで、詳しく解説しています。
- 「在庫管理システム構築」の進め方ガイド|5つのステップで成功させる
- 【提供方法別】在庫管理システムの選び方と導入のコツ
- 業務システム開発会社の見極め方の7つポイント
- システム導入でよくある失敗の原因と成功のポイント
【まとめ】アナログな在庫管理からデジタルな在庫管理へ
本記事は、小規模な「アナログな在庫管理」の方法から、アナログ管理に限界が見えた際のデジタル移行へのステップを解説しました。
アナログな在庫管理は、管理するSKU数が100点以内まで、それ以上は強くデジタル化をお勧めします。
1. アナログ在庫管理の主な手法
現場での「見える化」を図るための、代表的な3つのアナログ手法を紹介しました。
- 棚ラベル(棚カード)の表示: 保管場所に商品名や定数を明記し、一目で補充の要否を判断する。
- 在庫管理表・ノートの作成: 入出庫のたびに手書きで記録を残し、情報の属人化を防ぐルールを作る。
- 現物発注: 在庫の間に「発注カード」を挟むなど、現物の減り具合を見て発注を行う。
2. アナログ在庫管理のメリットとデメリット
アナログ手法には手軽さがある反面、規模の拡大に伴う明確な限界が存在します。
- メリット:
- 低コスト: 文房具のみで運用でき、初期投資がほぼ不要。
- 導入の早さ: ITスキルを問わず、誰でもすぐに運用を開始できる。
- デメリット:
- ヒューマンエラー: 書き間違いや漏れにより、帳簿と現物が一致しない(情物一致の崩壊)。
- 属人化: 担当者独自のメモや記憶に頼ることで、不在時に業務が停滞する。
- データの紛失・破損: 紙媒体ゆえの消失リスクや、過去データの分析が困難。
- 膨大な作業時間: 品目数が増えるほど記入や確認に時間が取られ、生産的な業務を圧迫する。
3. 効率化・デジタル化へのステップ
アナログな在庫管理から脱却してエクセルやシステムによる効率化を解説しました。
紙からの第一歩としてエクセルやマクロの活用は有効です。
紙のようにデータの紛失や計算ミスは無くせますが、エクセルの弱点は
- リアルタイムの管理が難しい
- コピーファイルが簡単に作れるので属人化しやすい
- データ量によっては動作が重くなる
エクセルは、本格的なシステムを導入するつなぎと考えたほうが良いでしょう。
在庫管理システムを導入するコツは、「多機能=良いシステム」と考えず、在庫管理の基本(何が、どこに、いくつあるか)を押さえた最小限のシンプルなシステムがお勧めです。
在庫管理システムの導入: リアルタイムでのデータ共有、バーコード活用による精度向上など、根本的な効率化を実現する。
- システム導入のポイント: 初めての導入か、既存システムの入れ替えかによってステップが異なる。現場の課題を明確にすることが成功の鍵となる。
アナログな在庫管理は誰でも簡単に始められますが、より正確に・より効率よく管理を行うにはデジタルな在庫管理が必要不可欠です。
自社にあったシステムを導入し、完璧な在庫管理を目指しましょう。
アナログな在庫管理は「手軽さ」という大きなメリットがありますが、ビジネスが成長し、扱う商品数や取引頻度が増えるにつれ、必ず限界がやってきます。
ヒューマンエラーや属人化、膨大な作業時間に悩まされる日々から抜け出すため、ぜひ在庫管理システムの導入をご検討ください。
デジタルな在庫管理で、効率良く現場をまわしていきましょう。
在庫管理システムの導入
在庫管理システムにはさまざまなサービスがあります。
「多機能」「安い」といった言葉だけで判断したり、評判が良いという理由だけで選んだりすると、「思っていたのと違う」「結局導入前に戻ってしまった」という事態に陥りかねません。
とはいえ、「自社に合った在庫管理システム」を探すのはとても難しいのが現実です。

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成長する在庫管理はカスタマイズをすることを前提として設計しています。
小さく導入して、徐々に機能を追加して大きくできるので、重要な部分から効率良くシステム化できます。
さらに、実務に精通した在庫管理アドバイザーが、提供先に必要な機能だけを選び抜いて提案します。
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