あなたが、システムの新規導入や入れ替えを考えているのであれば、ぜひこの記事をご一読ください。
システム会社選びは、導入コスト・満足度を左右する最も重要な要素です。
システム会社の中には、案件を獲得するために、言葉巧みにシステムを導入することによる素晴らしい業務効率化を語ります。
あれもこれも「できます!」という業者は要注意です。
私は大手システム開発会社で、業務管理(販売管理・購買管理・在庫管理)のシステムエンジニアをしていました。
システム開発会社にいたからこそわかる、業務管理システムを導入・入替する際の開発会社の選び方を解説します。
システムを導入する理由は、
- 業務の効率化
- 生産性の向上
- 事業の成長や方向性の転換
といったように、経営に直結するため、システム開発業者の選定は、プロジェクトの成功に直結する重要な決定要素です。
私は、数多くの開発プロジェクトに参画しましたし、業界内の横つながりもありました。
成功するプロジェクトとこじれて大変なことになってしまうプロジェクト、要望通り開発したのにお客様が描いた理想を実現できなかったプロジェクト等を様々なケースがありました。
内部にいて思ったのは、やはりシステム開発プロジェクトを成功に導くためには、システム開発会社選びが一番重要だという事です。
適切なシステム開発業者を選ぶことで、プロジェクトはスムーズに進行し、期待通りの結果が得られます。
一方で、不適切な業者を選んでしまうと、プロジェクトが遅延し、コストが増加してしまう可能性があります。
最悪の場合、プロジェクトが失敗してしまい、かけてきた膨大な時間ととコストが全て無駄になってしまいます。
開発現場を生で見て経験してきた観点から、システム開発業者の選び方について掘り下げていきます。
あなたの会社が、システムを導入しようとしていたり、システム導入プロジェクトの担当者(責任者)となった時の参考にぜひしてください。
目次
システム開発業者選定の7つの基準
システム開発の現場にいたからこそ分かるシステム開発業者選定の5つの基準を解説します。
- 実績と経験
- 業務に精通しているか
- 過度な期待をしてはだめ(何でもできます!は絶対にNG)
- 技術力と専門知識
- コミュニケーション能力
- コストと価格設定
- アフターサポートと保守
実績と経験
システム開発業者がもつ業界経験を確認します。
過去のプロジェクトや実績を見て、技術力を評価します。
ホームページに実績が載っていない場合は、気軽に問い合わせてましょう。
様々な理由(顧客情報の漏えいなどを防ぐためなど)で公に公開していない場合があります。
ただし、気を付けないといけないのは、次の3点です。
- 大手=良い会社ではない
- 導入実績が全てでは無い=導入数が多くても、運用が正しく回っているとは限らない
- 導入実績が多いシステムが自社に最適とは限らない。
業務に精通しているか?
業務システムの開発会社に重要な要素は、「その業務を理解しているか?」という点です。
中には、業務の事を全く理解しておらず本を読んだ知識だけで、お客様に提案や「こうすべき」という開発会社もいます。
私の経験した中には、お客様の業務から考えると、「あり得ない提案」をしていた開発会社がありました。
もちろん、そのプロジェクトは中止になりましたが、1年半かけた時間をコストはもう返ってきません。
知識として知っているだけではなく、出来る限り業務の事を理解している会社を選定しましょう。
過度な期待をしてはだめ(何でもできます!は絶対にNG)
システム開発会社が、何でも要望は叶えるというスタンスには注意です。
システムは万能薬ではありません。
システムは様々な制約がある中で開発していきます。
蓋を開けてみると思っていたシステムと違う、理想と現実のギャップが大きくなります。
機能が増えれば増えるほど、理想に近くづように思いますが、実は逆です。
昨日が多ければ多いほど、思った通りの機能をそのまま実現することが難しくなります。
あれもこれも「できます!」というよりも、プロジェクトの目的をしっかりと理解して、むしろブレーキをかけてくれるシステム開発会社の方が
良いことが多いです。
技術力と専門知識
システム開発業者がもつ技術スタックや使用しているツールを確認します。
レガシーなシステム開発現場で起きている問題
業務系のシステム開発の現場では様々な問題が起きています。
ここでいうレガシーなシステムとは、時代遅れの古いシステムのことを言います。
具体的には、メインフレームやオフコンと呼ばれるコンピューターを使ったシステムを主にレガシーシステムと呼びます。
1980年代以前に多くの企業が導入しています。
技術的負債の問題
レガシーシステムは古い設計思想、プログラミング言語で構築されていることが多いです。
そしてこれらの技術に精通している開発者が少なくなっています。
不具合が起こった際に、対応できる人材が少なく、今後さらにどんどん減っていきます。
また、システムの構造が複雑であるため、新しい機能の追加や既存のバグの修正が困難になることがあります。
比較的新しい技術で開発をする場合、コードの記述が少なくなる傾向にあります。
データ統合・連携の問題
レガシーシステムは、現代のシステムやアプリケーションとの統合が難しい場合があります。
APIが不足しているか、全くないため、他のシステムとのデータ連携が困難になります。
データ統合・連携が難しいと、手作業やエクセルなどの業務が増えてしまい、業務プロセスの遅延や生産性の低下につながります。
運用コストの問題
古いシステムを稼働させ続けるためには、特殊なハードウェアや専門的なサポートが必要となることがあります。
これらは、対応できる会社や技術者が限定されることが多く、コストがかさむことがあります。
古い技術を持っている人材のコストは高くなる傾向にあります。人材が減るため益々コストは上がっていくでしょう。
長い目で見れば、システムを入れ替えるよりもコスト増です。
セキュリティリスク
古い技術は新しいセキュリティ脅威に対して脆弱であることが多く、定期的なセキュリティ更新やパッチが提供されないことがあります。
これにより、データ漏洩やシステム侵害のリスクが高まります。
コミュニケーション能力
システムは依頼すれば完璧にできるわけではありません。
システム会社と、あなたの会社の対話がとても重要です。
どれだけ技術的に良い業者でも、システムの仕様を決める際に円滑なコミュニケーションがとれないと良いシステムはできません。
プロジェクト管理や進捗方法を確認しましょう。
コストと価格設定
予算に合った見積もりを提供しているか確認します。
初期費用+ランニングコストを加味して、自社の予算に合うのか確認しましょう。
ただし、価格が安いことを全面に売り出している業者には要注意です。
システムの品質が悪かったり、内包しているサービスが少ない場合があります。
見積もり段階では安くても、開発途中で追加費用が発生したりと隠れたコストが存在する場合があります。
提示された価格内でどれだけの対応をしてもらえるのか確認しましょう。
ただし、価格を最優先条件に持ってくると、間違いなくほぼ失敗します。
理由は、自社に合わないシステムを無理やり使わざるを得ないことが多いからです。
低コストシステムの導入で成功している会社は、
- 自社の業務を全てシステムに合わせることができる
- システムでやる業務とそうでない業務をきちんと切り分けることができる
そうではない会社は、価格を最優先条件に持ってくることは絶対に避けましょう。
アフターサポートと保守
システム導入後のサポートについて確認します。
自社の営業時間内にサポートしてもらえるのか、サポート方法は何か確認しましょう。
サポート方法は、電話、メール、訪問、オンラインミーティングがあります。
特に導入直後のサポートが手厚いところが安心できます。
大手企業の場合は、実際に開発している会社が下請け(孫請け)企業という場合も多く、対応が遅い場合もありますので注意しましょう。
次に絶対に選んではいけない開発会社の特徴をお知らせします。
軽快な営業トークの開発会社はNG
システム会社は案件を獲得するために、言葉巧みにシステムを導入することによる素晴らしい業務効率化を語ります。
言葉の上澄み(軽快な営業トーク)に騙されないこと、あれもこれもやりたい!に対して時にはブレーキをかけてくれるくらいがちょうど良いです。
危ないキーワードとしては、
- なんでもできます。(完全なフルスクラッチでない限り、必ずシステムには制約がある)
- ビジュアルに傾斜したプレゼン(視覚的に分かりやすいグラフが作れる、バーコードやQRが発行できるなど)
- 最新技術を乱発(AI,ICタグなど、見た目上、凄そうな技術を全面に押し出してくる)
内部にいたからこそ、身に染みて感じます。
あなたの会社が分からないことを逆手にとって、『何となく良さそう、何となく凄そう!』という心理を上手に突きます。
自社の技術をゴリ押ししてくる会社はNG
会社によっては、特定の技術や業務に特化した会社が存在します。
その会社が持つ技術が明らかに、あなたの会社に不適合であったとしても、システム会社によっては、自社に技術をゴリ押ししてくることがあります。タイプとしては2パターンです。
営業力の強い会社
前述した軽快なトークの会社は、このパターンに該当します。
あなたの会社が、技術に明るくないことを逆手にとってきます。
自社の技術の向き・不向きを理解していない会社
自社の持っている技術の向き・不向きを理解していなかったり、業務を理解していない場合に起こりやすいパターンです。
在庫管理110番に寄せられた相談の事例をご紹介します。
ある大手のシステム会社は、RFID(ICタグ)を使った在庫管理の仕組みを提案された。
しかし、プロジェクトが1年半たっても全く進展が無い。(この時点で、不信感を持ち、在庫管理110番に相談)
実際に弊社がヒアリングをしてみると、在庫管理の対象がRFIDには全く不向きという事判明しました。
(むしろ、IoT重量計のほうが向いていた。※IoT重量計が向いている在庫管理はRFIDの全く逆になる)
見積が一式(不明瞭)の会社はNG
ヒアリングを丁寧に行わずにシステム開発一式などと、価格提示をするような会社は要注意です。
このような場合、システム会社の担当営業は、あなたの予算かそれに近い価格をとりあえず提示します。
しかし、このような見積もりの場合、実際の開発金額と大きなかい離があることの方が普通です。
ヒアリングを丁寧に行ってくれた上に、何に、いくらかかるのかを明示する開発業者が安心です。
まとめ
勤めていたからこそわかる、システム開発業者の選び方をまとめると、
- 実績と経験
- 技術力と専門知識
- コミュニケーション能力
- コストと価格設定
- アフターサポートと保守
繰り返しになりますが、適切なシステム開発業者を選ぶことは、プロジェクトの成功に不可欠です。
業務システムは、使い始めると中々変えることはできないので、長期的に付き合いができそうな業者を見定めましょう。
システム開発業者を選ぶ際には、技術力だけでなく、コミュニケーション能力やアフターサポートも重要な要素です。
長期的な視点で業者との関係を築き、予期せぬ問題が発生した場合にも迅速に対応できる体制を整えることが大切です。
また、コストと価格設定を慎重に検討し、予算内で最適なサービスを受けられるようにしましょう。
適切なシステム開発業者を選ぶことで、ビジネスの成長を加速させ、競争力を高めることができます。
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