原産地証明書による原産性の証明には2種類あります
証明方法は大きく2種類あり、VA基準(付加価値基準)とCTC基準(関税分類変更基準)です。
証明方法の選択によっては、原産地性を認められて、関税を削減することができます。
※大抵の品目はどちらか好きの方を選ぶことができるようになっていますが、どちらかを指定している場合もあります。(生鮮食料品に多い)のでお気をつけてください。
この記事では、VA基準とCTC基準の解説、さらにそれぞれの基準のメリットとデメリットを解説します。
VA基準(付加価値基準)
VA基準とは、輸出価格から外国製の材料価格を引いた価格を計算するものです。
ますは、VA基準です。
簡単に言いますと、VA基準は外国製かどうかを判断する時に、日本への輸出価格(FOB)の内、外国製の材料と外国製の材料とが混ざっている場合、
輸出価格から外国製の材料価格を引いた価格が、輸出価格の何%異常であればいいというものです。
条約にもよりますが、概ね40%超であれば、原産性を認められるケースが多く、当該国の原産地証明書を発行することができます。
VA基準の計算例
100ベトナムドンの輸出価格の製品のうち、例えば中国製の部品が30ベトナムドンだとします。
その場合、100から30を引いて70になります。70は100の70%なので、40%超となります。
70の中にはベトナムでの人件費や材料費や利益も含まれます。
VA基準のメリット
メリットとしては、すぐ計算出来るということです。
実際のFOB価格と、外国製の材料費は把握しやすいので、比較的簡単に原産性を証明できます。
VA基準のデメリット
VA基準のデメリットは価格は変動しやすいため、原産地性を認められる割合かどうかを毎回確認が必要ということです。
原則、あなたの会社が原産性を証明する必要があります。
今回の例のように差額が70で、 70%であれば、あまり気にする必要がありませんが、この数字が例えば50であった場合、為替の影響等でFOB価格や外国製の材料費が大きく変化した場合、この数字が40以下になってしまう可能性があります。
CTC基準(関税分類変更基準)
原材料のHSコードとそれによって出来た製品のHSコードが変わっているかどうかを見て。変わっていれば原産性を認めるというものです。
そのために、製品自体のHSコードに加えて、その製品を構成している材料のHSコードを全て調べます。
CTC基準の計算例
中国から輸入した部品や、ベトナム国内の部品を使用して、製品を作りますが、今回はどこから仕入れたかは気にする必要はありません。
単純に製品を構成する部品のHSコードと製品のHSコードを見比べて、そのHSコードが変更されれば、ベトナムの原産性が認められます。
ただし、少しの変化でも原産性を認めるケースもあれば、大きな変化しか原産性を認めないケースもあるため、条約とその品目毎の条件を注意して見る必要があります。
その認める・認めないの度合いは3つあって、6桁のHSコードの最初の2桁が変わるほど大きな変更を求める場合と、真ん中2桁の場合、下二桁だけ変わればいい場合となります。
CTC基準のメリット
一度HSコードを確認してしまえば、その後はその番号は変わることはありません。
したがって、1回CTC基準を満たしている事が確認できれば、製品に使われる部品が大きく変更されるなどの変化がない限り、VA基準に比べ格段に少ないものとなります。
CTC基準のデメリット
基準を満たしているかどうか、最初の判定に時間がかかります。
取引している製品のHSコードを調べるだけでも結構な手間なのに、それを部品構成含めて把握する必要があります。
VA基準とCTC基準の選択方法
以上、VA基準とCTC基準のメリットとデメリットをご紹介しました。
ほとんどの製品は、この2つの分類のどちらかを選択できるようになっています。
しかし条約によって、
- 片方のみの基準しか認めていない
- VA基準の割合が40%ではない
- CTC基準でもHSコードのどこの桁の部分の変化が必要
製品によって異なるケースもあります。そういった個別の条件を含めて考慮し、総合的に見てどちらが会社にとって有利か判断する必要があります。
面倒ですが、この作業をしっかりとやっておけば、取引の度に掛かる関税を削減できる可能性があるので、しっかりとやっておくことをお勧めします。
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