ライン生産方式とは?セル生産方式との違いやメリット・デメリットを解説

こんなお悩みありませんか?
ひとつでも当てはまれば、この記事はあなたの役にたつでしょう。

  • 繁忙期になるといつも現場がパンクする
  • 自分が動いたほうが早い/自分が頑張ればなんとかなる
  • 特定の人に仕事が集中している
  • ○○さんがいないと仕事が回らない
  • 忙しいのにやり方が分からないから手伝えない
  • 業務の分担に悩んでいる
  • 人手不足で求人を出しているが、求める業務に見合う人材が採用できない

これは、業務の「属人化」が引き起こす典型的な問題です。
そこで、属人化を解消して生産性を上げるために役立つ方法がライン生産方式の導入です。

 

ライン生産方式は、製造業の生産管理手法で生産方式の一つです。

しかしその考え方を応用すれば、製造業以外のあらゆる業種で導入可能です。

実際にこの方法を取り入れた税理士法人Bricks&UKは、ライン方式の考え方を取り入れ「Bricks&UK式生産管理システム」を呼ばれる仕組みを構築して生産性を高めています。

この記事では、500社以上にコンサルティング・個別相談を行ってきた在庫管理アドバイザーが、具体的な導入方法と注意点、導入後さらに生産性を高める方法まで解説します。

 

セル生産方式とは?

セル生産方式の特徴

セル生産方式とは、ひとつの仕事を最初から最後まで1人の担当者が実施する業務です。
伝統工芸士のような職人型の業務の進め方で、担当者の能力に依存するため属人化しやすいです。
さらに、担当業務が多岐・広範囲にわたるため、業務を覚え習熟までに時間がかかります。

セル生産方式のメリット

セル生産方式には、以下3つのメリットがあります。

  1. 工程間の仕掛品在庫が発生しにくく、リードタイムを短縮しやすい
  2. セルごとに独立しているため、品目の変更や生産量の増減に柔軟に対応できる
  3. 担当者が複数工程を担うため、多能工化が進みやすい

多品種少量生産への対応が求められる企業や、仕掛品在庫の削減を目指している企業におすすめです。

セル生産方式のデメリット

セル生産方式には、以下3つのデメリットがあります。

  1. 広範囲のスキルが求められるため、育成に時間とコストがかかる
  2. 担当者の習熟度によって生産スピードや品質にばらつきが出やすい
  3. 担当者の不在・退職時の影響が大きく、属人化リスクへの対策が必要

担当者の育成リソースが十分に確保できない企業や、大量生産が主体の企業は導入を慎重に検討したほうがよいでしょう。

ライン生産方式とは?

ライン生産方式の特徴

ライン生産方式とは、狭い範囲の作業を1人の担当者が実施する業務です。
工程や作業単位に仕事を割り振るため、短期間で業務習得が可能です。
さらに、マニュアル化もしやすいため、標準化して誰にでもできるようになります。

在庫管理に関するお悩みに、在庫管理アドバイザーがお答えします!お気軽にご相談ください。

ライン生産方式のメリット

ライン生産方式には、以下3つのメリットがあります。

  1. 作業範囲が狭く標準化されているため、短期間で戦力化できる
  2. マニュアル化が容易で、担当者が変わっても一定の品質と生産量を維持しやすい
  3. 大量生産時の生産効率が高く、1個あたりのコストを抑えやすい

同一製品を大量に安定して生産したい企業におすすめです。

ライン生産方式のデメリット

ライン生産方式には、以下3つのデメリットがあります。

  1. 工程間に仕掛品在庫が滞留しやすく、在庫管理上のリスクになりやすい
  2. 品目変更の際にライン全体を止める必要があり、多品種少量生産への対応が苦手
  3. 担当作業が単調になりやすく、作業者のモチベーション維持が課題になりやすい

担当作業が単調になりやすく、作業者のスキルアップを重視する企業には向かない場合があります。

生産品目の変更が頻繁に発生する現場では、セル生産方式との併用も検討するとよいでしょう。

セル生産方式とライン生産方式の違い

最大の違いは、1人の担当者が担う作業範囲です。

セル生産方式は担当範囲が広く属人化しやすい反面、習熟した担当者が生産の最初から最後まで責任を持つため、品質のばらつきが少ない傾向があります。

一方、ライン生産方式は担当範囲が広く習熟に時間がかかりますが、多品種少量生産への柔軟な対応が可能です。

どちらが優れているではなく、生産品目や人材状況に応じて使い分けることが重要です。

採用・定着に有利なライン生産方式がおすすめな企業

ライン生産方式は、業務範囲が狭く標準化しやすいため、採用・育成のハードルを大幅に下げられます。

ライン生産方式は、人材不足や属人化に悩む企業ほど導入効果が出やすい生産方式です。自社が以下のいずれかに当てはまる場合は、導入を前向きに検討してみてください。

1. 人材の採用・定着に課題がある企業

人材面で次のような問題を抱えている企業は多いです。

  • 業務水準が高すぎて、そもそも人が集まらない
  • 教育に時間が取れず、定着する前に辞めてしまう

これらの問題の根本には、「1人に求めるスキルの範囲が広すぎる」ことがあります。

ライン生産方式を採用すると担当する業務範囲が狭くなるため、求人に必要なスキルの水準を下げられ、採用のハードルが下がります。

また、覚える業務量が少ないため教育期間も短縮でき、定着率の改善にもつながります。

2. 繁閑差があり、人員調整に悩んでいる企業

季節や月ごとに繁忙期・閑散期がある企業では、正社員だけでは繁忙期に対応しきれず、かといって採用しすぎると閑散期に余剰が出てしまうというジレンマが生じがちです。

業務をライン方式化しておくことで、繁忙期にタイミーなどのスポットバイトを短期間で戦力化しやすくなり、人件費を最適化しながら安定した生産体制を維持できます。

3. 「自分にしかできない」が多い、属人化している企業

「自分にしかできない」「うちの仕事は簡単ではない」と感じている企業こそ、ライン生産方式の導入を検討してください。

経験上、「自分にしかできない」は思い込みであるケースがほとんどです。長い間特定の担当者に任せっぱなしで、他の人にやらせたことがないだけというケースが多いからです。

業務の属人化が定着している会社ほど「他の人には任せられない」と回答する傾向がありますが、ライン方式化によって業務を分解・標準化することで、属人化を解消できます。

在庫管理に関するお悩みに、在庫管理アドバイザーがお答えします!お気軽にご相談ください。

業務をライン生産方式に移行する方法

ライン方式に業務を移行するためには以下のステップで行います。
1. 業務の工程化(分解)
2. 業務の分類
3. マニュアル作り

業務の工程化(分解)

まず、ライン化したい業務を作業単位に分解します。

業務の分解は、現在の担当者にヒアリングします。

業務の分解

 

作業1つとっても「ケースバイケースで」、「時と場合による」が必ず出てくるはずです。
この時は面倒がらずに「ケースバイケースで」を全て聞き出します。

この時の「ケース」では次の3点を聞き出すのがポイントです。

  1. 判断基準:どのようなケースで?
  2. 分ける理由:なぜそのケースで分ける必要があるのか?
  3. 実施内容:そのケースの場合、何をする?

属人化が進んでいるほど、担当者は「言語化が困難」になっています。

例えばどんなケース?他には?
といった形で引き出していきましょう。

業務のスリム化

この時、「不要」と判断した作業やケースはこの際廃止や標準化して業務をスリム化しましょう。
特に廃止・標準化できる可能性が高い業務には次のような特徴があります。

  • 引継ぎや昔からの習慣で何となくやっている(やっている理由がよくわかっていない)
  • 何かあった時のためにと過剰にやりすぎている(やめ時が決まっていない、二重でやっている)
  • 特定の顧客や状況をひいきにしている

業務の分類

次に業務を3つに分類します。

  • 特化型:業務を実施するにあたってスキルや能力が必要な業務
    • 体力が必要:重たいものを持たないといけない
    • 免許が必要:免許が無いと仕事に従事できない
    • 能力が必要:絵がうまい等、習熟ではなかなか身につかないセンスに近いこと
  • 経験型:ある程度、業務が分かっていないと無理な業務
  • 単純型:マニュアルがあれば(整備すれば)できる業務

 

注意点

注意しなければいけないのは、「単純型」の仕事を「経験型」と見誤らないようにしなければいけません。

典型例が「在庫の置き場」です。

 

「この商品のどこに何が置いてあるのかは、○○さんしか分からない。」

これは、単に整頓ができていないだけで、単純型の業務です。

 

社内の習慣・当たり前・独自ルールにどっぷりつかって慣れすぎていて気づかないケースも多いため、外部の目から見てもらうのも良いでしょう。

【無料】在庫管理・業務改善の相談(在庫管理110番では、在庫管理アドバイザーによる無料相談を実施中です。)

 

 

業務のマッピング

業務を3種類に分類

もし、商品や得意先などによって、同じ作業工程でもやり方が違う場合は、分類した業務をマッピングします。

上記のマッピングを製品単位で見ると、次のような特徴があります。

  • 製品B:経験を要する作業が多いため、他の人に任せづらい
  • 製品E:単純作業が多いため、誰でもできるようできる可能性が高い

また、作業単位で見ると以下のような特徴があります。

  • 作業1:特化型の業務が多いため、作業1に見合った人材を採用する必要がある
  • 作業2:単純作業が多いため、任せやすい
  • 作業3:単純化

これらのポイントを確認するだけで、どの製品が任せやすい/任せにくいが一目で分かります。

マニュアル化

「単純型」に分類した作業のマニュアルを作成します。
ただし、説明書のようなマニュアルを作る必要はなく、スマホで撮った動画でも構いません。

マニュアル作成のポイント

マニュアル化する際のポイントは以下の通りです。

  • スタートの明確化 ※準備が必要であればマニュアルに加える
  • ゴールの明確化 ※どのような状態になったら完了なのか?
  • 注意すべきポイント:ミスしやすい点、ケガや事故などが起こりやすい点を解説

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ライン方式業務の導入を成功させ維持するコツ

全体の流れをつかむ

ラインは、業務全体が流れるため全体の把握が必要です。
ライン方式化したい業務の最初から最後までの流れを把握するようにしましょう。
業務の分解・洗い出したケースバイケースを使って業務フローを作ると良いでしょう。

工数(作業時間)を把握する

ライン方式化した業務全体の生産性を高めるには、工数の管理がきわめて重要です。

ここでは、ライン生産方式の運用するための基本を解説します。

平準化

ライン方式では、各作業の能力バランス=平準化をとても重要です。
例えば、作業1から4の完成能力が以下のような場合、

ボトルネック工程

完成数は、100個ではなく60個になります。
その理由は、作業3の能力が60しかないからです。

作業3がボトルネック工程になっています。
つまり、業務全体の能力=ボトルネック工程の作業能力になります。

上図の場合、作業3の前には、作業2が終ったものが山積みになり、作業4の担当者は暇を持て余します。
この時は、「作業3」の能力を上げなければいけませんが、すぐに上げられない場合は余剰な能力を持っている他の作業から応援が必要です。
※上記の場合は、作業2と作業4から応援を出すのが良いでしょう。

作りだめ(在庫を積む)

平準化は、そんなに簡単にできるものではありません。
また、休暇などで担当者が休んで一時的に能力が落ちたり、特需などで特定の作業負担が増える場合もあるでしょう。

この場合は、予め作りだめ等をして在庫を積んでおき能力調整をします。

ただし、作り貯めは現場の作業者の感覚や気分に任せず、次の2点に注意します。

作りすぎない
作りすぎは7つのムダの中で最悪のムダです。
「在庫が3個になったら、10個までなら作ってよい」といったように、作り忘れない・作りすぎない工夫をしましょう。

計画的に行う
直前で「人が足りない、間に合わない」とならないように、スケジューリング・計画が重要です。遅くとも前日までには翌日の予定を確定できるようにしましょう。

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ライン方式業務の適用範囲を拡大して生産性を高める5つの方法

ここまで解説したことを実践するだけでも生産性の向上は実感していただけるはずです。
ここからは、ライン方式の業務を拡大してさらに会社の生産性を高める方法を解説します。

1. 作業の共通化

作業の標準化・共通化
同じような作業が複数ある場合、共通化(標準化)を検討しましょう。
共通化する作業の選定は、まず単純型作業からはじめていくと良いでしょう。

2. 単純型業務の自働化、省力化

標準化した業務は、システム化しやすいためシステムを導入することで自動化・省力化します。

単純型の作業を増やす

特化型と経験型に当たる作業を単純型にできないかを検討します。

  • 設備の導入:経験や勘、体力が必要などを補う
  • 業務の分解:特化型と経験型の業務をさらに細かく分解して、単純型の業務にできないかどうかを検討します。
  • コツの標準化:経験型の仕事は「言語化」されていないだけで、実は標準化できることも多々あります。(参考:寿司職人の修行期間 “飯炊き3年握り8年”は時代遅れ?

昨今の技術進化はとても著しいです。

たとえば、「感覚」であればセンサーなどを使ってデータ化してシステムによる自働化も可能です。

あなたの会社で「職人技」「○○さんしかできない」とされている多くの業務は、機械化・標準化できる可能性を秘めています。

3. 多能工化

休暇や退職による担当者の増減を補うため、担当者が複数の単純型作業をできるようにします。

この時、スキルマップを準備することをお勧めします。

スキルマップ

スキルマップを作成すれば、一目で以下のようなことが分かります。

  • 誰が、何を、どのレベルでできるのか?
  • どの作業の担当者が不足しているのか?

業務のマッピングと併用するとさらに効果的です。

在庫管理に関するお悩みに、在庫管理アドバイザーがお答えします!お気軽にご相談ください。

4. ライン生産方式のリードタイムを短縮する

ライン方式業務が完成しても、リードタイムという壁にぶち当たります。

リードタイムの短縮は、3段階に分けて行います。

  1. ムダの削除
  2. 余裕の低減
  3. 標準の短縮

ムダ・余裕・標準を区別するために、業務を価値業務と無価値業務に分類します。

価値業務とは、直接付加価値を生み出す業務のことです。

製造業であれば生産する作業であり、小売りや卸売業の場合は、流通加工(セット組み)などが該当します。

無価値業務は、上記以外の全てです。

無価値業務はさらに2つに分けます。

  • 無価値業務①:価値を生むために無くてはならない業務(発注する、運搬する等)
  • 無価値業務②:本当に不要な業務

無価値業務①はムダを無くし余裕の最小化を目指し、無価値業務②はムダのカタマリなので完全に無くすようにします。

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5. 計画的に「経験型」の業務ができる人材を育てる

さらに、どんなに「単純型」作業を増やそうと標準化を頑張っても、「経験型」は残る可能性が高いです。
実は、ここが会社の強みであり継承すべき独自技術です。

一度失われてしまうと、二度と取り戻せない場合もあります。

例えば、私が関わった会社では、緊急時に社内に何でも作れる「特装部隊」と呼ばれる部門がありました。
部品が足りない時に板金から自作したり、基盤の配線をしたり・・・と何でもできるベテランのプロフェッショナル集団です。

しかし、この会社では後任を育てようとせず、社内で緊急対応できる人は、どんどんいなくなり、技術も失われ仕入先に頼らざるを得ない状態になってしまいました。
(俺たちがいなくなったら大変になると思うよ、、、という言葉通りになりました)

ベテランの退職を見据えると、長期的な目線を持った計画的な教育が必要です。

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まとめ

最後に、本記事の要点をまとめます。

繁忙期の混乱や特定の人への業務集中・依存といった「属人化」の課題を解決する手法として、業務を細かく分解・分担する「ライン方式」の導入を解説しました。

ライン方式は、1人で全工程を担う「セル方式」とは異なり、業務範囲が狭いため、作業の習熟が簡単で、採用ハードルの低下や教育時間の短縮にも繋がります。

ライン生産方式を業務に導入する具体的な3ステップは次の通りです。

  1. 業務の工程化(分解):担当者へのヒアリングを通じて作業を細かく分け、隠れた「ケースバイケース」もすべて洗い出します。
  2. 業務の分類(特化型・経験型・単純型):分解した作業を、スキルや経験の要否で仕分け、「誰でもできる作業(単純型)」を特定します。
  3. マニュアル作成:「単純型」に分類された作業から、動画なども活用して手順を明確にし、標準化を進めます。

さらに、導入を成功させ、生産性を高め続けるコツとして、

  • 平準化:工程間の能力バランスを取る
  • 多能工化:複数作業をこなせるようにする
  • 経験型業務:計画的に企業の強みである「経験型」業務の人材を育成する

 

ライン方式業務の導入は生産性向上に有効な手段です。

しかし、いざ自社で実践しようとすると、「どの業務から分解すべきか?」「自社の複雑な業務も分類できるのか?」と、新たな壁に直面するかもしれません。

もし、この記事の冒頭で挙げたような「属人化」 や「繁忙期の混乱」 、「特定の人への業務集中」 から脱却し、効率的な業務オペレーションの「仕組み」を構築したいとお考えなら、専門家に相談してみませんか?

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製造業、卸売業など500社以上の豊富なコンサルティング・相談実績を持ち、システム導入から研修まで総合的な支援を提供しています。

 

在庫管理110番では、経験豊富な在庫管理アドバイザーによる無料個別相談を実施中です。

  • うちの会社でもライン方式業務を導入できるのか?
  • どこから手を付ければ良いのか?
  • とにかく興味がある

といったようなざっくりとしたご相談で構いません。

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