この記事では、システム開発を業者に発注する前に必要なRFP(提案依頼書)について解説します。
このガイドでは、システム導入を成功させるためのRFP作成の基本構成とポイントを詳しく解説します。
RPFが無いと、どんなことが起こるかを代表的な2例をご紹介します。
あなたの会社とシステム会社の認識がズレて、使えないシステムができあがる
ある会社では、RFPを作らずにシステム開発を「○○だろう」で進めた結果、全く業務に通用しないシステムが出来上がってしまった・・・
という事例があります。
具体的には、双方が以下のように思っていたからです。
- 依頼者:私たちのやり方を分かってくれているだろう(自社では常識)
- システム会社:特に何も言われないから良いだろう(一般的な解釈)
システム会社は開発のプロですが、あなたの会社の業務や考えは分かりません。
システムは業務のツールですので、あなたの会社の業務や考えを具体的に伝えなければ、あなたの会社が求める欲しいシステムが出来上がりません。
あなたの会社の要求に対応できない会社を選定してしまうリスク
他社の例では、1年半続けたシステム開発プロジェクトが、途中でストップしました。
その理由は、システム開発会社がうちではできません。といったからです。システム開発会社は、外注なども頼って裏で何とかしようと努力していたようですが、結果的にお手上げしたそうです。
そもそも、最初から要望を明確にしておけば、1年半のムダにせず、適切な技術を持つ業者を選定することができたでしょう。
目次
RFP(提案依頼書)とは何か?なぜ重要性なのか?
RFP(提案依頼書)は、システム導入や業務委託において、発注者が委託先企業に対して具体的な提案を依頼する文書です。
自社のやりたい事に対して、業者の持つサービスや開発のミスマッチを防ぐことができます。
RFPの作成は、プロジェクトの成功に直結する重要なステップであり、発注者と委託先の間での認識のずれを防ぎ、無駄なコストをかけずに適切な提案を受けるために不可欠です。
RPFの重要な役割は以下の通りです。
- 要件の明確化:RFPには、自社のシステムに必要な要件や期待する成果・達成したい目的が明確になります。
- 適切な業者選定:システム会社の持つベースシステムや技術力であなたの会社が求めるシステムを実現できるかが分かります。また、必要な技術を持つ複数の提案を比較することで、あなたの会社は最適なシステム会社をを選定できるます。
- リスクの低減: RFPを通じて詳細な要件と期待をシステム開発会社に明示できるので、開発プロジェクトにおける誤解やミスコミュニケーションのリスクを減らすことができます。
さらに、RFPを作成する過程で、現行のシステムや業務プロセスを必然的に見直せます。改善点や将来の方向性を明確にする機会ができるのも大きなメリットと言えるでしょう。
このように、RFPはあなたの会社の業務プロセスを見直しつつ、外部業者と同じ方向を向いて協力し、開発プロジェクトの成功に導くことができます。
複数の提案を比較検討することで、コストパフォーマンスの高い最適なパートナーを選定できます。特に初めてRFPを作成する場合、適切なガイドラインに従うことで、プロジェクトのスムーズな進行と高い成果を得ることが可能となります。
RFP作成の基本構成
RFP作成の基本構成は、プロジェクトの成功を左右する重要な要素です。
RPFの基本構成は以下の通りです。
- 目的
- 会社概要
- 現状の課題
- プロジェクトが異様
- システム化方針
それぞれについて解説します。
目的の明確化
まず、目的を明確にすることが必要です。
これには、システム導入の背景や期待される成果を記載します。
会社概要
会社概要を示し、発注者の業務内容や事業規模を説明します。
これは、提案企業が自社の状況を理解し、適切な提案を行うための基礎情報となります。
現状の課題
現状の課題も詳細に記載し、現在のシステムの問題点や業務上の課題を明確にします。
これにより、提案企業は具体的な解決策を提示しやすくなります。
プロジェクトが異様
プロジェクト概要では、プロジェクトのスコープや目標、主要なマイルストーンを示します。
これには、スケジュールや予算の概要も含めると良いでしょう。
システム化方針
最後に、システム化方針を記載し、システム設計や開発の基本方針、技術的要件、セキュリティ要件などを明示します。
この構成を守ることで、RFPの内容が整理され、提案企業が理解しやすくなります。
成功するRFP作成の3つのポイント
成功するRFP作成のポイントは、いくつかの重要な要素に集約されます。
- 明確な要件定義
- 適切なスケジュールと予算設定
- 評価基準の設定
明確な要件定義
まず、明確な要件定義が不可欠です。要件は具体的であり、かつ詳細に記載する必要があります。
これにより、提案企業は的確な提案を行うことができます。
適切なスケジュールと予算設定
また、適切なスケジュールと予算設定も重要です。
スケジュールは現実的であり、各フェーズにおける重要なマイルストーンを設定します。
予算については、初期開発費用と保守運用費用を明示し、提案企業が費用対効果を評価しやすくします。
また、自社のスケジュールや予算提示に対して、全くどの企業からも提案が無いという場合は、一般的なシステム開発から
ズレている可能性があるので、スケジュールを延ばす、予算を増やすといったことや、スケジュールと予算を厳守したい場合は、システム規模の見直しも考えましょう。
評価基準の設定
さらに、評価基準の設定もポイントです。提案を評価するための具体的な基準を設定し、提案企業が何を重視されるかを理解できるようにします。
これには、技術力、実績、コストパフォーマンス、サポート体制などが含まれます。
最後に、コミュニケーションの重要性を忘れずに、提案企業との継続的な対話を通じて、疑問点を解消し、提案内容をより充実させることが成功の鍵となります。
RFPのサンプル
今回は、在庫管理システムを例にRFPのサンプルを紹介します。
下記をまとめたワードファイルを用意しました。
1. 目的
当社は、在庫管理の効率化と精度向上を図るため、新しい在庫管理システムの導入を計画しています。これにより、在庫の過不足を防ぎ、コスト削減と業務効率化を実現します。
2. 会社概要
- 会社名: ABC株式会社
- 設立: 2005年
- 所在地: 東京都渋谷区
- 事業内容: eコマース
3. 現状の課題
- 手動操作の多さ: 現在のシステムでは在庫管理の多くが手動で行われており、ヒューマンエラーが発生しやすい。
- リアルタイム性の欠如: 在庫情報がリアルタイムで更新されず、最新の在庫状況を把握しにくい。
- 発注管理の非効率性: 発注管理が手動で行われているため、適切な発注タイミングを逃しやすい。
- 棚卸しの手間: 棚卸し作業が煩雑で、時間と労力がかかる。
- データの正確性の問題: システム間のデータ連携が不十分で、データの一貫性に問題がある。
4. プロジェクト概要
本プロジェクトは、リアルタイムで在庫を管理し、発注から出荷までの業務プロセスを最適化するシステムを構築することを目的とします。現行システムの手動操作によるデータ不整合や時間的コストを削減し、業務のスピードと正確性を向上させます。
5. システム化方針
- クラウドベースのアーキテクチャ: 高可用性とスケーラビリティを実現
- モジュール化: 必要な機能を柔軟に追加・変更できるように設計
- ユーザーフレンドリーなUI: 現場スタッフが直感的に操作できるインターフェース
- セキュリティ: データの暗号化とアクセス制御による情報保護
- 連携機能: 他の業務システム(ERP、WMSなど)とのスムーズなデータ連携
6. 要求仕様
6.1 機能要件
- 在庫追跡
- 商品の入出庫記録
- 在庫レベルのリアルタイム更新
- 発注管理
- 自動発注機能(設定した閾値に基づく)
- 発注履歴の管理
- 棚卸し
- 定期棚卸し機能
- モバイルデバイスを用いた棚卸しデータ入力
- 出荷処理
- 出荷指示の自動生成
- 出荷履歴の管理
6.2 非機能要件
- 高可用性
- サーバー稼働率99.9%以上
- 冗長構成のインフラ設計
- 拡張性
- 10万SKUに対応可能
- 多店舗対応機能
- セキュリティ
- データ暗号化(SSL/TLS)
- アクセス制御機能
- パフォーマンス
- レスポンスタイム2秒以内
- バッチ処理の高速化
7. スケジュール
- 2024年7月: プロジェクト開始
- 要件定義フェーズ
- 2024年9月: デザイン完了
- UI/UXデザイン承認
- 2024年12月: 開発完了
- コーディング、内部テスト
- 2025年3月: ベータ版リリース
- ユーザーテスト開始
- 2025年6月: 正式リリース
8. 予算
- 総予算: ¥15,000,000
- 初期開発費用: ¥10,000,000
- 保守運用費用: ¥5,000,000
9. 評価基準
- 提案内容の充実度: 提案の具体性と実現可能性
- 技術力と実績: 開発企業の過去の実績と技術的能力
- コストパフォーマンス: 提案内容と予算のバランス
- サポート体制: 保守・運用のサポート体制
10. 提出物
- プロジェクト計画書
- 詳細な要件定義書
- 見積書
- スケジュール表
サンプルでは箇条書きになっていますが、各項目について、詳細や具体的な内容を記載します。
例えば、機能要件の中で「出荷指示の自動生成」であれば、あなたの会社が求める「出荷指示の自動生成」とはどういうものかを記載します。
業務フローのような形で作ると分かりやすいでしょう。
RFP作成時の注意点
RFP作成時の注意点として、いくつかの重要なポイントがあります。
まず、コミュニケーションの重要性です。
提案企業との初期段階からの対話を重視し、双方の理解を深めることが重要です。
次に、ベンダー選定のポイントとして、技術力や実績、サポート体制を重視します。
提案内容だけでなく、企業の信頼性や対応力も評価基準に含めるべきです。
また、詳細な要件定義を行うことで、提案企業が具体的な提案を行いやすくなります。
要件が不明確だと、提案内容にばらつきが出てしまう可能性があります。
さらに、現実的なスケジュールと予算の設定も重要です。
無理のないスケジュールと、現実的な予算を設定することで、プロジェクトの成功率が高まります。
最後に、RFP提出後の追加要求の回避も注意が必要です。
RFP作成時に全ての要件を明確にし、後からの変更や追加要求を極力避けることで、プロジェクトの円滑な進行が可能となります。
まとめ
提案企業との継続的な対話を通じて、疑問点を解消し、提案内容をより充実させることが成功の鍵となります。
RFP作成時に全ての要件を明確にし、後からの変更や追加要求を極力避けることで、プロジェクトの円滑な進行が可能となります。
これらのポイントを踏まえてRFPを作成することで、システム導入プロジェクトの成功率を大幅に高めることができるでしょう。
効果的なRFPは、発注企業と提案企業の双方にとって、プロジェクトを成功に導くための重要なツールとなります。
自社で作成するのは難しいのでご支援することが可能です。
小規模なシステムではRFPが不要な場合もある
RFPは一般的に、規模の大きなシステムで求められるドキュメントです。
仮に社外にRFPの作成やコンサルティングを依頼するだけでも、数十万円~数百万円の金額がかかります。
システム規模が小さい(目安は、1000万円以内)場合は、RFPが無くてもシステム開発が可能な場合もあります。
ただし、RFPを作成しない場合は、あなたの開発してほしい業務分野をよく理解した業者を選定してください。
これは、システム開発の企業規模は関係ありません。
小規模な在庫管理システムなら成長する在庫管理システム
ERPシステムのような大規模なシステム開発ではない場合は、在庫管理110番の成長する在庫管理システムをぜひご検討ください。
なぜなら、在庫管理110番は、在庫管理のエキスパートで在庫管理のことをよく理解しています。そのため、あなたの会社の課題や在庫管理レベルに応じた機能の提案が可能です。
成長する在庫管理システムのコンセプトは使い切れるシステムです。
不要な機能を省き導入した機能を100%使える状態にすることで、シンプルで誰でも使える一方で低コストを実現しました。
実務を経験したものとして、そして在庫管理の専門家として、不満を解消するために作った在庫管理システムです。
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