棚カード(棚札)を使った在庫管理方法

棚カードを使った在庫管理の方法

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    筆者:岡本茂靖(在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事)
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    在庫管理110番代表。在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。500社以上の相談、コンサルティング実績を持つ。

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    棚カード(棚札)とは、倉庫や店舗で在庫管理をするために昔から使われている、商品の入出庫を記録するための紙のカードでのことです。

    この記事では、棚カードを使って在庫管理を行う時の運用方法と注意点を解説します。

    棚カードに必要な情報

    棚カードのテンプレートは、以下のような情報を含めることが重要です。

    • 商品名:商品を一目で識別できるように記載します。
    • 入出庫記録:日付と共に、入出庫の数量を詳細に記録します。
    • 在庫数量:入出庫後の在庫数を記入します。
    • 担当者名:誰が入出庫の記録を行ったかを記入します。
    • 備考欄:特記事項や注意事項を記入するスペースを設けます。

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    在庫管理110番では棚カードの無料のエクセルテンプレートをご用意しました。

    そのまま使ったり、自社に必要な情報を盛り込んでご利用ください。

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    商品ごとに設置されます。棚カードには商品名、在庫数、入出庫の記録、担当者の署名などが記載されており、在庫管理の透明性と追跡性を高める役割を果たします。

    棚カード(棚札)で在庫管理するメリット

    棚カードを使った在庫管理には次のようなメリットがあります。

    1. コストがかからない:棚カードは、エクセルを使えば誰でも作れて、すぐに運用開始できるので、初期投資が非常に低いです。(システムのような導入コストやランニングコストがかからない)
    2. 誰でも一目で分かる:商品の箱や入れ物に棚カードを貼り付けることで、置いてあるものが何か、そして今いくつあるのかが分かります。
    3. カスタマイズが簡単:エクセルで手作りできるので、棚カードのカスタマイズはいつでも簡単にできます。
    4. システムトラブルが無い:システムの場合は、停電やサーバーのダウンなどが発生すると在庫数が分からなくなりますが、棚カードはそういったリスクはありません。

    棚カードの運用方法

    棚カードの運用は、「人」に依存します。また、いつも同じ人が実施するとは限らないので、運用方法をルール化してしっかりと守らなければ、棚カードの運用は破綻します。棚カードの運用方法の基本をまとめましたので、解説した方法をたたき台にして、自社ルールを確立してください。

    棚カードを使った在庫管理の基本手順は次の通りです。

    1. 棚カードの準備
    2. 入出庫数、在庫数の記録
    3. 転記(エクセルなどの在庫管理台帳へ)
    4. 発注
    5. 取り換え

     

    1.棚カードの準備

    1. 棚カードを印刷して準備します。(商品名や発注点は、手書きではなく印刷することをお勧めします)
    2. 棚カードを決められた指定位置にセットする。(直接商品ではなく、箱などの入れ物に貼り付けます。簡単にはがれないようにしっかりと貼り付けます)

    2.入庫数・出庫数・在庫数を記録する

    在庫数の増減を確実に記録します。

    1行1データを書くことを徹底します。

     

    同じものでも1日の間に何度も入出庫が発生する可能性があります。

    この場合、データをまとめずに1回の作業単位で記入します。

    棚カードの運用方法

    なお、在庫管理110番が用意したテンプレートは、入庫数と出庫数を別々に書くようになっています。

    別々にすることで、入庫と出庫を明確に分けられるようにしています。

     

    また、破損やサンプルなどによる持ち出し、返品などによる戻入などのイレギュラーな入出庫をした時は、「備考」に記録します。「備考」に記載しておくことで、イレギュラーな入出庫であることが明確に分かります。

    3.転記

    エクセルなどの在庫管理台帳を用意している場合は、転記します。

    転記をすることで、在庫管理データの蓄積ができ、安全在庫数や発注点をコントロールできるため、適正在庫を維持できます。

     

    在庫管理110番が用意したテンプレートには、転記をやったかどうかが分かるように「転」という

    項目を追加しています。転記をした担当者は、チェックを入れて転記が終わったことを見える化します。

    これによって、転記漏れや二重転記を防ぎます。

    在庫管理110番では、在庫の推移が一目でわかる在庫管理表を用意しています。

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    この記事で紹介している棚カードと一緒に使っていただければ効果的です。

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    4.発注

    在庫管理で忘れてはいけないのが発注です。

    棚カードに発注点を明記しておくことで、在庫数が発注点の数量になった時に、発注できるようにしておきます。

    この表記が無いと、発注を忘れてしまい欠品してしまう危険性があります。

     

    5.取り換え

    棚カードの情報がいっぱいになったら取り換えるのが基本ですが、いっぱいになってから取り換えるのではなく、定期的に取り換えるようにしましょう。

    定期的に取り換えることで、在庫チェックが可能です。

    たとえば、あまり動かないものは、棚カードを取り換える頻度が低く、在庫が動いていないことを見逃しがちになり不良在庫化します。

     

    できれば、1か月に1回、少なくとも6か月に1回は取り換えるようにしましょう。

     

     

    棚カードを使った在庫管理の問題点と対処方法

    棚カードは、私が見させていただいた現場でも広く使われていますが、いまいちうまく運用できていません。

    棚カードを使った時には次のような問題が起こりやすいです。

    書き間違い

    人が記入する以上、書き間違いは避けて通れません。

    下記のように数字を書き間違うこともあります。

    棚カードの運用方法

     

    書き間違った場合は、同じところに修正値を書いているケースが多いですが、どの値が正しいかわからなくなることが多いようです。

    修正値を書く場合は、同じマスに書かずに新しい行を使用しましょう。

     

    なんて書いてあるか、数字が読めない、読み間違える

    棚カードへの記入は、いつも同じ人だとは限りません。他人が読める字で丁寧に書きましょう。

    私もそうですが、字が汚いと読み取れなかったり、読み取り間違いがが起こります。

     

    急いでいるかもしれませんが、丁寧な字で書いて誰が見ても読める字で書くように心がけましょう。

     

    計算ミスが発生する

    手書きでの記録は、計算ミスが起こりやすいです。

    特に入出庫数を書いた後の在庫数の計算が間違えやすいようです。

     

    在庫の計算は、必ず見返すことを徹底して、在庫数の計算間違いがないかどうかを確認します。

    またエクセルなどへに転記する時に、在庫数の間違いが無いかをダブルチェックすることをお勧めします。

    発注漏れによる欠品

    在庫が少なくなったときに、発注依頼を出し忘れると欠品する危険性があります。

    棚カードに発注点を書くことで、発注が必要な在庫数を明記して、発注漏れを予防します。

     

    さらに、転記の際にも確認すると効果的です。

    転記の頻度を1日に1回実施すれば、確認頻度が増えるため、発注漏れが無くなります。

     

    書き方のルールが守られない

    棚カードの記入方法に一貫性がないと、棚カードの運用が破綻します。

    放置すれば、部署ごと、担当者ごとが好きなように運用することになってしまうので、属人的な運用になってしまい在庫データの一元管理ができなくなります。

    従業員に対して記入方法のトレーニングを行い、記入ルールを徹底して、絶対に例外を認めないようにします。

    適正在庫を維持できない

    棚カードだけでは、在庫の変動に迅速に対応するのが難しく、適切な在庫レベルの維持が困難になります。これにより、欠品や過剰在庫のリスクが高まります。

    これを防ぐために、以下の2点を実施すると良いでしょう。

    • 棚カードへの発注点の記入の徹底
    • エクセルなどへの管理台帳への高頻度の転記(1日に1回の転記)
    • 棚カードの定期的な取り替え

     

    現場に行かないと在庫が分からない

    棚カードは、在庫の保管場所にあるため、事務所や遠隔地からの在庫確認ができません。

    棚カードの最大の問題点は、最新在庫数が現場に行かないと分からないことです。

     

    在庫確認の頻度が多いと、作業効率が低下します。

    特に複数のロケーションを管理する場合に、総在庫が分かりづらいことも不便です。

    棚カードの運用が向いているのは小規模な在庫管理

    棚カードによる在庫管理が向いているのは、小規模な会社です。

    具体的には次のような条件が整っている会社です。

    1. 従業員数が5人以下
    2. 管理する在庫の点数が100点以下であること
    3. 全ての在庫が1か所(1部屋)で保管されていて狭いこと(一目で見渡せるくらいの広さの場所)

    保管場所が広かったり、離れた場所に2か所(2部屋)以上で保管していたり、従業員数が多い場合は、棚カードによる在庫管理はお勧めできません。

    在庫管理システムを導入しましょう。

    在庫管理システムの導入がおすすめ

    在庫管理システムを導入することで、棚カードでは実現できない(しにくい)ことができるようになります。

    1. リアルタイムで最新在庫が分かる:在庫確認をしにいく手間が無くなります。現場やお客様を待たせる必要が無くなります。生産性向上とともに顧客満足の向上が期待できます。
    2. 欠品・過剰在庫を防ぎ適正在庫を維持できる:全商品の在庫数が一元管理できるので、欠品しそうなものや過剰在庫に気づけます。
    3. 人為的なミスを防ぐことができる:手書き記録のような人為的ミスを大幅に削減し、在庫に関連するリスクを低減します。
    4. 転記が無くなる:転記は意外と面倒な作業です。転記ミスも発生しやすい問題です。

    まとめ

    棚カードによる在庫管理は、そのシンプルさと低コストから、特に小規模な会社には有効な在庫管理方法です。しかし、ビジネスの成長によって規模や保管場所を拡大すると、在庫管理が複雑になります。棚カードによる運用が難しくなり、返って業務効率の低下によってコストアップになりかねません。さらに記入ミスなどによる「あるはずなのに無い」や「発注漏れ」によって欠品が発生して、売上機会の損失、顧客満足の低下を引き起こします。

    在庫管理システムを導入することで、リアルタイムで在庫数を一元管理し、作業効率のアップ、顧客満足の向上を実現できます。

     

    成長する在庫管理システム

    在庫管理システムは、高価なものである必要はありません。自社に必要最小限の機能を持った在庫管理システムを選びましょう。

    成長する在庫管理システム

    成長する在庫管理システムは、中小企業(従業員数10~60人程度)にお勧めの在庫管理システムです。

    • 必要最小限の機能なので、シンプルで覚えやすい
    • 自社の独自業務にも対応できるカスタマイズ性
    • 導入しやすい価格帯
    • IT導入補助金対応で補助金が使える
    • 在庫管理アドバイザーが導入をサポート

    エクセルを止めて在庫管理システムの新規導入、他社システムからの乗り換えにお勧めです。

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    在庫管理110番では、在庫管理に役立つ在庫管理セミナーを開催しています。

    適正在庫、DX、棚卸改善、下請け法等、在庫管理に必要なノウハウや知識が学べます。

    全てのセミナーが、在庫管理に特化したプロのアドバイザーが講師を務めています。

     

    ためになる情報が満載で、製造業や小売業など受講された多くの方々から、「業務改善ができた」「耳寄りな情報が聞けた」など大きな反響を得ています。

    これまで、大阪府工業協会や中小企業大学校、東京、福島など全国規模で講演やオンラインセミナーの活動をしています。

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