下請法の運用改正!2024年11月以降、サイトが60日を超える手形等による支払いが行政指導の対象に!

2024年4月30日に、経済産業省(中小企業庁)と公正取引委員会から発表されました。

下請法の運用改正によって、サイトが60日を超える手形等が行政指導の対象になります。

(下請法)サイトが60日を超える手形等による支払いは、行政指導の対象

発表内容は以下の通りです。

中小企業庁では、中小企業の取引適正化の重点課題の1つに「支払条件の改善」を位置づけ、業種別の下請ガイドラインや自主行動計画などを通じ、約束手形、電子記録債権、一括決済方式による下請代金支払のサイト(交付から満期日までの期間※1)の短縮を推進してきました。2024年11月以降、下請法上の運用が変更され、サイトが60日を超える約束手形や電子記録債権の交付、一括決済方式による支払は、行政指導の対象となります。
サイトの短縮は、下請法の適用対象とならない取引も含め、サプライチェーン全体で取り組むことが重要です。中小企業庁では、公正取引委員会と連名で、各事業者団体等に対する要請文を発出しました。

引用:経済産業省ニュースリリース

下請法について簡単に解説します。

 

下請法とは?

下請法は、資本金1000万円を超える企業に適用される法律です。

つまり、中小企業であっても資本金が1000万円を1円でも超えていれば親事業者に該当するケースがあるため適用されます。(大企業だけが受ける法律ではありません)
下請法は、法律ですから知らなかったでは、済まされません。
実際に下請法違反摘発件数は、2022年で8671件と過去最多で大企業だけの話ではありません。
下請けにおける親事業者と下請け事業者の定義

 

下請法の適用範囲

下請法が適用される範囲は、

  • 製造委託
  • 修理委託
  • 情報成果物作成委託
  • 役務提供委託(建設業が請け負う建設工事は除く)

 

 

下請法違反になるケース

買いたたきなどのいわゆる「下請けいじめ」と見なされる行為が下請法違反になる可能性があります。

  • 低い代金:不当に低い代金や減額
  • 短納期:週末発注、週明け納品等
  • 不良品の返品:納品後に不良品を返品した
  • 支払い期日:受領日・提供日から60日を超えている。
  • 書面が無い:電話など口約束などで受発注している

取引業者の了承を得ていてもNG!

下請法は、取引先の合意を得ていても、昔からの慣習としてやっているいつものやり取りでも、違反になります。

 

締め日を設定しているケース

ほとんどの会社で、締め日を設定しているのではないでしょうか?

下請法では、受領日から60日以内の支払いを義務付けています。
実は、下請法では締め日は一切考慮されません。

したがって、受領日(納品日)と締め日のパターンによっては、下請法違反になるケースがあります。

実際に違反になるケースは下記のようなパターンです。
下請法違反になるケース
支払いの減額を求めるケース
原材料の高騰などで、経営状況が厳しいということで、取引会社の了解を得て、一時的に支払い金額の減額と繰り延べ払いを行った場合、
これも下請法違反になります。
合意を得ているかどうかは下請法には関係ありません。

下請法に違反するとどうなるか?

下請法に違反したと

  • 遅延損害金の支払い
  • 罰金の支払い
  • 公表

遅延損害金の支払い

遅延日数に応じて、支払わなければいけません。
損害遅延利息は年14.6%ととても高利です。
罰金
50万円以下の罰金に処されます。
これは、会社だけではなく、やり取りをしている個人にも適用されます。
会社から言われていることをやっていただけなのに・・・・といっても聞いてもらえない可能性もあります。
また、虚偽報告や立ち入り検査を拒んだ場合も同様に罰金に処されます。
インターネット等に公表される
実際には、社会的制裁としてこれが一番キツイかもしれません。
公正取引委員会のホームページに公表されます。
コンプライアンスがしっかりとした企業であれば、下請法違反の会社との取引を打ち切ることも考えられます。
またネットやSNSなどの非難・中傷に晒されることもあり得る事です。
一度、インターネット上に挙がってしまった情報は消えません。
意図せずブラック企業認定され、人材採用や今後の取引にも影響を与える可能性があります。

あなたの会社は下請法守れていますか?

今回の運用見直しだけではなく、昔からの慣習、普段のやり取りが下請法違反に抵触している可能性があります。
例えば、
納期の前倒し、不良品の返品等、減額、支払い日の延期等・・・
特に、電話や口頭だけのやり取りは要注意です。(書面化・書類保存は下請法が重視する義務とされています)
最近ニュースになったケースは、日産の下請法違反です。
大手企業の多くは、購買担当者等に対して新人時代に下請法研修を受けさせており、下請け業者の対応方法も心得ているにもかかわらず、
このようなケースが発生してしまうことがあるのも事実です。
資本金が1000万円を超えている中小企業であれば、下請法は適用されます。
会社だけではなく従業員も摘発の対象ですので、従業員を守るためにも下請法の知識は大切です。

中小企業こそ知っておきたい下請法

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