バランススコアカード

バランススコアカード

バランス・スコアカード(Balanced Scorecard、BSC)とは、社外の視点から見た事業評価と社内の視点から見た事業評価を4つの軸から経営指標を設定する手法です。
バランス・スコアカードの優れた点は、過去の実績評価だけでなく、将来性に対する評価についてもカバーしていることです。

以下の4つの視点から経営指標を設定します。

  1. 財務の視点:投資家の立場
  2. 顧客の視点:バリューチェーンの視点
  3. 内部プロセスの視点:事業を推進する各オペレーション担当の視点
  4. 学習と成長の視点:事業活動の根幹ともいえる従業員や組織の立場

社内だけではなく、社外の視点から見た事業評価も入っていることがポイントです。

これら4つの視点はすべて連鎖し、最終目標達成のためのフィールドという位置づけです。

バランス・スコアカードの特徴

バランス・スコアカードの最大の特徴は、決算書を分析しながら表層的な結果を捉えるのではなく、それをもたらした事業戦略のパフォーマンスを多角的に評価するという明確な目的意識によって作られたという点です。

戦略のプロセスを把握し評価することが、経営管理に求められる本来の業績評価といえるでしょう。

バランススコアカードは、バリューチェーンの評価に最適

バリューチェーン
バリューチェーンとは、原材料の調達から製品・サービスが顧客に届くまでの企業活動を、一連の価値(Value)の連鎖(Chain)としてとらえる考え方です。

競争戦略の第一人者であるマイケル・E・ポーター氏が1985年の著書『競争優位の戦略』で提唱した理論です。

企業戦略の策定には欠かせないフレームワークとなっています。
このバリューチェーンの評価方法の一つに連結会計があります。

連結会計とは、グループ企業の業績を一元的に評価するものですが、結果を会計的に捉えているにすぎないため、バリューチェーンでいう価値連鎖を評価するために設計されておりません。

バランス・スコアカードの優れた点は、過去の実績評価だけでなく、将来性に対する評価についてもカバーしていることです。
したがってバリューチェーンの評価方法として適切です。

バランス・スコアカードの内容

経営課題を仮にキャッシュフロー経営とした場合、サプライチェーンの最適化が重要な要素になるため、以下のようなことが求められます。

  • スピード経営
  • 収益の向上
  • 遊休資産の売却
  • 資金効率の向上
  • 投資効率の向上等

これらを4つの視点で整理すると、以下が想定できます。

  1. 財務の視点: ROI、ROE、ROA、FCF
  2. 顧客の視点: 顧客対応時間、顧客満足度ランキング、顧客不満足度
  3. 内部プロセスの視点:キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)の向上、在庫回転率の改善、納期遵守率の改善、受注から納入までのSCMリードタイムの短縮
  4. 学習と成長の視点:販売情報、在庫情報の統合データベース化率、新製品開発の導入、サイクルタイムの短縮、データ分析力

これらは、目新しいものではありません。

多くの企業では個々のKPIとして取り組んでいます。

しかし、個別で独り歩きしていることが多く、バランスが悪い状態になっています。

バランス・スコアカードでは、4つの各視点のKPIと照らし合わせながら成熟度を測っていきます。
それにより部門や個人にまでブレイクダウンした組織的な活動に落していくことができます。

ただし、すべての視点を網羅することは難しいケースも多くみられます。
したがって掲げた大目標に到達するための重点領域にスコープを絞ります。
そして階層ごとの目標を作成していくことが重要です。

バランス・スコアカードを導入する手順

バランススコアカードはトップダウンの経営管理手法です

つまり、有効に活用するためには、まず経営計画に織り込むことが前提条件です。

結果とプロセスの進捗を全社的にフォローできる体制を確立します。
プロジェクトオーナーは、トップ及び経営管理部門になることが普通です。

業績評価指標として、結果のレビューはもちろんのこと、評価体系の見直しまで踏み込んで、導入する価値があるかどうかをじっくりと議論する必要があるでしょう。

バランス・スコアカードの基本的概念図

バランススコアカードの基本概念図

前述の通り、バランス・スコアカードは4つの視点(財務の視点、顧客の視点、内部プロセスの視点、学習と成長の視点)がすべて連鎖している点が最大の特徴です。

例えば、経営陣は総資本利益率の向上を掲げる場合、
顧客の視点で考えれば、顧客ロイヤリティの向上が必要になります。
そのためには納期を守ること。

納期遵守を実現するためには、業務プロセスの改善と差サイクルリードタイムの短縮化が求められます。
そのために従業員のスキルアップが求められます。

ひとつずつ、目的から逆算して、やるべき事が決まっていきます。

【導入事例】サウスウェスト航空会社

サウスウェスト航空会社では、目標利益率を確保する手段としてバランス・スコアカードを導入しました。

バランス・スコアカードによるナビゲーション経営|横浜国立大学

戦略目標と重要性好要因を定め、業績評価指標、数値目標、アクションプランを明確にします。

バランススコアカードを成功させるコツ

最後にバランス・スコアカード成功のカギと失敗要因について紹介します。

バランス・スコアカード成功のカギ

トップのリーダーシップに加え、組織全体のコミュニケーション力、透明性は極めて重要です。

バランス・スコアカードの失敗の原因と起こりやすい失敗

バランス・スコアカードは組織全体にまたがる活動であるため、リーダーの求心力、何としても達成するという強い思いが共有されないと失敗を招きます。

またうまくいかなかったとき、どう軌道修正するか、プロジェクトマネジメント力も求められます。

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