総枠管理と単品管理を実践する

資産管理としての在庫管理をここで紹介します。
これは私が海外の販売会社で実際に企画、推進したものです。
20年以上前のものですが、まだ十分に通用する方法です。

資産の管理状況について

あなたは会社の資産が適切に管理されているかどうか、
どのように確認できますか?

  1. 建物:破損があれば、あなたの従業員が教えてくれます。
  2. オフィス機器や設備:現場を管轄するスタッフが教えてくれます。
  3. 車両:メンテナンススタッフが教えてくれます。
  4. その他の資産: 弁護士が教えてくれます。
  5. 在庫:誰も教えてくれません。

棚卸資産を適切に管理するために必要なこととは?

  1. 意識改革
    先ず、在庫を金額として認識することです。
    時間軸を設けて、失敗を認めることです。
    (楽観的な強気な買付、販売戦略の失敗、事業計画など)
  2. 問題在庫の特定
    死に筋商品を特定してください。(コスト分析を含め)
    在庫評価損等の処理を進め、一掃するアクションプランを立ててください。
  3. 毎月、結果をフォローしてください。
  4. それはデータだけではなく、実際に現物で確認してください。
    在庫管理は、ネットワークとフットワークです。
    三現主義:現物、現場、現実

総枠管理と単品管理
簡易版 総枠管理と単品管理は、在庫÷翌月売上見込/実績
いずれも金額がベースであるため、売れ筋、滞留在庫の中身がわかる。

  1. ポイント1.総枠管理は月末の総在庫÷翌月売上原価で算出
  2. ポイント2.単品管理は機種ごとの回転をABCDランク付け

簡易版 総枠管理と単品管理

  • ランクA:回転日数30日未満
  • ランクB:回転日数40-74日
  • ランクC:回転日数75-119日
  • ランクD:回転日数120日以上

在庫スコアカード (-12から+12まで)

在庫スコアカード
ランクAB比率、ランクD比率、在庫回転日数、売上の4項目
単品管理(質的管理)は、前月との改善度合いを評価
在庫回転日数は計画に対して達成度合いを評価
売上に関しては、市場動向に合わせて達成度合を評価

管理による改善結果(5か月)

在庫スコアカード結果の推移
カテゴリー別売上構成比

  • 売上構成比の高いカテゴリーの改善が顕著にみられました。
    (全体で9カテゴリー 売上構成は5カテゴリーで8割)
  • カテゴリー間で競争意識が生まれ、ゲーム感覚で進めた
  • 特に滞留在庫の機種は、月次棚卸後、1週間 倉庫内に開示
    オフィスが倉庫内にあったため、全従業員に開示。
  • 意識が変わる→習慣が変わる→結果につながる

月次実地棚卸の進め方 (ご参考)

  • マネジメント層全員参加(社長以下、全部署の責任者)
  • 所要時間 1時間
  1. 前月の議事録の確認と進捗結果報告(上記のチャートと詳細版)
  2. リスト配布 ※(全機種の在庫回転状況一覧 ランクABCD別)
  3. 現物確認
    課題在庫については、担当者より説明、
  4. 製品だけでなく、販売促進用展示在庫、販促物(カタログ、展示台等)も確認
  5. 数量のカウントはこの場ではしない。

在庫の見える化、在庫の質を示すのに、在庫回転は有効です。
※ 在庫回転は、リスト上、2種類を提示して、リストを配布

  1. 月末在庫を過去3か月の販売で割って算出した回転日数
  2. 月末在庫を先行1か月の販売見込みで割って算出

販売見込みは、営業/マーケティングが策定したものを使用
実績が確定したら置き換えて、在庫回転確定版とする。

結果は、できれば全社員が揃う全体会議で紹介してください。
そして優秀な業績をあげたカテゴリー責任者を表彰して
成功に秘訣を聞いてください。そしてささやかな褒章。
在庫管理は全社で取り組むべき活動です。

管理の見える化と自律の見える化

管理の見える化と自律の見える化
管理の見える化と自律の見える化2
ローランド・ベルガー日本法人会長の遠藤功氏のメッセージを紹介します。

在庫管理は、正に管理の見える化と自律の見える化が一体となって取り組む
ことが肝要です。

高井先生の記事一覧

この記事の執筆した高井先生はCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)
やPSI管理などに関する経験と深い知見を有しており、当サイトに数多くご寄稿いただいてます。

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高井先生は実務的な管理会計のスペシャリストです。
ソニーにて多数のご経験を積まれ、実績を残されています。
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