製品開発プロセスの改善
製品企画から量産製造までの流れ
製品企画から量産製造までの流れについて各セクションでの
ポイントを紹介します。
ゼロから製品を造り上げるためには様々なステップを踏まないとなりません。
各セクションでの考え方や外してはならないポイントについて記述します。
製品企画
自分たちが作りたいものを企画すれば良いというわけではなく、「売れる商品」を企画する必要があります。
では、「売れる商品」をどのように企画していけばいいのでしょう。
最も基本的な考え方として、「誰に」、「何を」、「どのように」を考えることです。
また、「売れる商品」を企画する方法として、事業戦略などでよく用いられる「3C分析」というものがあります。
開発日程策定
「誰に」、「何を」、「どのように」によって「売れる商品」が決まったら、次はその製品をいつまでに作るかを決めます。
そして、その日までに、各開発工程をいつまでにするかを逆算していきます。
日程の見積もりを正確に行うためには、
・必要な作業には何があるか
・それぞれの作業にどれだけの人、時間が必要か
手法としては、ガントチャートを用います。
仕様の決定
どのような商品を製造するかが決まったら、詳細な設計仕様を決めていきます。
その仕様をまとめたものが仕様書です。
1.製品の概要
2.サイズ
3.形状
4.コスト
5.機械的性能
6.電気的性能
7.生産方式、製造方式
それぞれの性能に対して、設計規格値と規格を決めます。
を決めていきます。
詳細設計
策定した設計仕様書に基づき、具体的に形になるように設計していきます。
詳細設計には、設計品質の向上と同時にプロセスの効率化を図るために、さまざまな手法を用いて、より洗練された設計開発のプロセスに進化することが求められます。
≪ポイント≫
・品質設計
・信頼性設計
・安全性設計
≪手法≫
・設計品質の作りこみ
・デザインレビュー
・FMEA・FTA
・シミュレーション解析
試作設備着工
・金型設計
⇒③で設計した製品図面をもとに、次に金型を設計していきます。
・金型加工
⇒金型の設計図を元に、金型を加工していきます。
・製品加工・組立て
⇒金型が完成したら、製品を加工し、組み立てていきます。
試作評価
製品が完成したら、機械的性能、電気的性能が設計規格値を満足しているか実際に評価を行っていきます。
試作評価を行う目的としては、次の4つが挙げられます。
1.性能面での課題・問題を明らかにする
2.コスト面での課題・問題を明らかにする
3.生産方式や製造方式の最適条件を明らかにする
4.新しい製品構造の検討が可能となる
しかし、「後工程で発生すると予測される課題を、試作の段階で発見して、後工程を効率的にする」のが試作の役割にも関わらず、なかなか実現ができていません。
その理由としては、
・試作を行うための技術力・評価力の低さ、
・追加試作などで発生する試作回数の多さ、
・コストの見積もり・作り込みが出来ない
などが考えられます。
試作評価を行った結果、性能面やコスト面での課題や問題が浮き彫りになった場合は、課題や問題の原因を明らかにしなければなりません。
・設計通りに試作品は仕上がっているか?
・設計通りに仕上がっていない場合には、仕上がらなかった工程の原因を探ります。
⇒金型設計は正確で適切であったか?
⇒金型の加工は、金型設計通りに加工されているか?
⇒製品加工や組立は、正確で適切であったか?
・設計通りに仕上がっているにも関わらず、性能面やコスト面での課題や問題が生じた場合には、設計段階から見直さなければなりません。
⇒品質、信頼性、安全性設計は適切であったか?
⇒シミュレーション解析は正確であったか?実物と何かことなるのか?
⇒既存製品のノウハウを流用した場合には、既存製品と何か異なるのか?
この場合に用いられる手法としては、「なぜ~なぜ~なぜ~」分析です。
「なぜ~なぜ~なぜ~」を繰り返して、課題や問題の原因を明らかにしていきます。
このようにして、課題や問題を明らかにして、仕様書の規格を満足するまで、③、④を繰り返して行います。
また、生産方式や製造方式の最適条件が明らかになり条件の変更を行う場合には、再度新たな生産方式、製造方式での試作評価が必要となります。
最適な条件が明らかになったとしても、実際にその条件で試作を行って評価をしてみると、前の試作評価とは異なる課題・問題が発生することがあるからです。
同様に、試作を行った結果、さらに性能面やコスト面でのメリットがある新しい製品構造を発見した場合にも、実際にその構造で試作評価を行う必要があります。
新しい構造になった場合に、新たな課題・問題が発生することがあるからです。
量産設備着工
試作で性能面、コスト面での課題や問題を洗い出し解決し、さらに生産方式や製造方式の最適条件や新しい構造でも仕様の規格を満足できたら、実際に量産を行う設備の着工に移ります。
試作設備は、コストを抑えて設備を製作するため、耐久性に問題があります。また、最適条件や新しい構造にした場合には、設備自体、いわゆる継ぎ接ぎのような設備となっているため、最終的な構造で設備を作り直す必要があるためです。
量産設備加工製品の評価
量産設備が完成しましたら、量産設備で製作した最終的な製品で評価を行います。
条件や構造は、試作設備の最終形と同じだとしても、設備が異なれば、製品も異なります。
量産設備で製作した製品で、性能評価、品質が合格であれば、量産に向けてスタートとなります。
量産ラインの構築
量産設備で製作した製品で合格であれば、いよいよ量産に向けて量産ラインを立ち上げていきます。
まずは、設備の配置(レイアウト)を決めます。
生産の要求によってレイアウトも様々であり、代表的なものに次の4つがあります。
(1)ジョブショップ型
(2)ライン型
(3)据え置き型
(4)セル型
量産ラインは、注文の時期、生産数量と品種・製品の流し方によって決まります。
1.注文の時期による分類
受注生産
見込み生産
2.品種と生産量による分類
① 多品種少量生産
② 中品種中量生産
③ 少品種多量生産
3.製品の流し方による分類
① 個別生産
② ロット生産
③ 連続生産
また、材料や仕掛在庫の保管場所、検査工程、完成品の保管場所、出荷までの流れが重要となってきます。