手順書で業務を標準化する方法 | 属人化の解消と技術の継承を実現

手順書で業務を標準化する方法

 

特定の社員だけが仕事の仕方を知っている、ベテランが退職した後、引き継ぎをどうしよう・・・といったようなお悩みはありませんか?

飲食チェーン店は全国どこに行っても、同じ価格で同じ味、同じ提供時間を維持できているのは、まさに業務手順が標準化されているからです。

 

作業の標準化とは、人の経験や技術による差の影響を無くして、製品の品質や作業時間を高いレベルで安定させる事です。

技術や知識のレベルに差のある作業者が複数人いる場合、それぞれの品質や作業時間にバラツキが出ます。

 

中小企業の業務には、個々の考えややり方、経験や技術に依存した属人化がはびこっています。

その人がいないと仕事が回らない・・・、ベテランが止めた瞬間に業務品質がガタ落ちした。。。というのは会社にとって致命的です。

 

人手不足、生産性向上が今後の企業成長になる時代ですので、誰でも仕事ができ、そして一定の業務品質を保たなければいけません。

その時に役立つのが手順書による標準化です。

 

作業の標準化は企業の競争力になる

企業における生産活動では、業務に携わる人全員が正しい判断で決められたルールや手順を順守することで、高品質の製品が早く出来上がるのです。

ルールや手順をみんなが順守する状態が「当たり前」になっていて、誰がやっても同じという環境を標準化といいます。

 

生産や出荷などにおいて、下記のような状態は会社にとって致命的です。

  • Aさんがやると早いけど、Bさんは遅い。
  • Aさんは、3つの工程を担当できるけど、Bさんは1つしかできない。

 

作業方法や作業工程順、品質規格、作業時間などを、ある一定以上のレベルで安定させる事が必要です。またその内容を作業者全員が理解して実施できている事が一番のポイントとなります。

標準化されている生産現場では、別々の作業者が同じ製品を作った時に、標準化で定められた品質、標準化で定められた時間での生産が実現できるのです。

反対に複数の作業者で同じ作業をした時に、一定時間内にできる量に大きな差が出来たり、品質的に不良の発生量が違ったりするという状態は、標準化されていないと言えます。

 

誰がやっても同じ品質と納期が保てる企業は、顧客からの安定した評価が得られ、他社と比較したときの競争力になります。

 

手順書で個人ノウハウを会社の資産にできる

作業手順書は、職人の「勘」や「経験」といった感覚や暗黙知を、誰もが確認できるように、写真でまとめたり、数値化して詰め込んだノウハウの塊です。

 

その人が、会社の業務をする中で、長年培ってきた「勘」や「経験」は、その人が会社を退職すると失われます。

長年給与を払って、その人が積んできた経験や技術は、会社にとって財産のはずです。

 

手順書を作成すれば、その人の「勘」や「経験」が残り、会社の次の人材に引き継いでいけます。

 

新人教育に手順書を使用する

手順書は、作業の標準化だけではなく、新人教育に使えます。

手順書を整備しておくと、教育時間の短縮で、教育コストを減らし即戦力として活躍できるまでの時間を短くして、売上に貢献できます。

熟練作業者のノウハウを手順書化して経験の浅い人でもできるようになれば、当然生産性は上がります。

 

新人教育に手順書が使えるかチェックを確認する方法は、手順書を見て何も知らない人がどこまで理解できるのか、手順書で求める結果が得られたかを見れば良いです。

 

手順書の作成ステップ

手順書の作成を始める時に何から始めたらよいのか、何をどのように表記したらよいのかなどわからないことが多いです。またむやみに様々なフォーマットで作成してしまうと、手順書ごとの見方の違いや使い難さが発生してしまいます。同じフォーマットで同じ言葉を使うなどの定義づけが必要です。

主な手順書の作成順は以下のようになります。

  1. 作業目的(結果)を明確にして、定義する。
  2. 作業方法、作業順、規定事項の矛盾をなくし統一化する
  3. 使用する材料、治具、計器類などをそろえる
  4. 書き記すフォーマットを作る
  5. 注意点や標準作業時間などを明確にする
  6. 使用する単語、単位などを統一する
  7. 必要に応じて、サンプル写真などを用意する

こうして出来た手順書を関係部署で内容を確認し、手順に間違いが無いか、誰でも分かる表現になっているかを確認してもらう必要があります。

手順書は全員で使用する

手順書が作りっぱなしになって使われていない・・・というのが運用のよくある問題です。

 

手順書は、経験の浅い人だけが従うものではなく、経験の豊富な作業者も経験の浅い人も、全員が絶対に従わなくてはいけません。

全員が手順書通りの作業をすることで、安定した品質や作業効率が高いレベルが担保できます。

 

手順書の内容が「やりづらい、良くない、もっと直したほうが良い」と思ったときは、手順書の内容を更新しましょう。

手順書を更新して常に最新にする

一度作成した手順書は、ずっとそのままではだめで、定期的な更新が必要になります。

例えば、

  • 使っている材料が変わった
  • 新しい治具や計器類を導入した
  • ミスや不良が発生した
  • もっと良い方法を思いついた

上記のようなときに、手順書を更新してその対策と注意喚起の表記を追加する必要があるためです。

なんの変化がなくても3年に1度程度、手順書通りに業務をしているか、見直す点は無いかを定期的な見直しましょう。

在庫管理業務における手順書の重要性

在庫管理業務は、個人の経験や勘に左右されず、誰でもできるようにしておきたい業務です。

材料や製品の在庫管理は、顧客へのサービス・信頼と自社の利益のバランスを保つうえでとても重要です。
季節やイベント、トレンドにより需要の波が発生することを考慮したうえで、適切な量の在庫をもっておく必要があります。しかし在庫を持ち過ぎた場合は保管場所の確保が必要になり、需要予測が外れてしまった場合は余剰在庫となって利益になりません。

 

在庫管理の方法による問題点は?

在庫管理の方法によってはミスが発生することもあります。このミスによる出荷遅延や商品の間違いなどは、顧客に対して致命的な問題です。

起こり得るミスの例として、そもそもの商品が違う、類似品が混入しているといった事があります。在庫の管理方法として、帳簿を付けている、エクセルで管理していると聞くと適切な管理が出来ているように受け取れますが、実はここに問題点が隠れているのです。

主な問題点は以下のようなものがあります。

  • 手書きの文字の書き間違い、読み間違い
  • Excelの入力間違い、見間違い
  • 商品の名称や数量の表示間違い
  • 各担当者によるチェック箇所や確認方法の違い
  • 各担当者に重要度の捉え方の差

このような問題点が起こる主な原因は、作業の意味や方法が統一されていないことです。

そのため複数人が引き続いて作業をすると、それぞれの作業方法やルールの違いが原因となって、間違いを引き起こします。また属人化により、その人独自の作業方法が確立されるのも原因です。その担当者が欠勤などで不在の時に、代行する者が注意点や確認方法を知らずに間違いを起こすのです。

 

この問題に対して、「誰にでも読める字で書く」、「Excelファイルのデータはコピペを使う」などの簡単なルールを作ることも大切ですが、それだけではまだ不十分です。

このルールを順番も含めて手順書として作成し、誰もが同じ作業方法、同じ確認方法をする必要があります。

標準化によるメリット

標準化が定着することで得られるメリットは次の3つです。

  • 安定した高品質
  • 生産性の向上
  • 属人化からの脱却

作業に携わる者全員が同じ手順で作業をして、同じ品質レベルで良否判定するので、出来上がる製品の差が少なくなります。手順や品質の管理は定期的なPDCAのサイクルによって改善する必要がありますが、その結果、品質が向上して高いレベルで安定した供給が実現できるのです。

同じように作業手順の中の3M(ムリ・ムダ・ムラ)を改善活動の中で徐々に排除することで、生産性が上がります。生産性が上がったうえで安定すれば、生産時間を計算しやすくなり、顧客に安心できる納期回答ができるのは営業部門にはとても有益です。
また標準化が進めば、反対に属人化はなくなっていきます。

属人化については、事項で詳しく説明します。

業務における属人化の問題点

属人化とは特定の作業者しか作業手順を知らないなど、作業手順や情報が共有されていない状況の事を指します。また複数の作業者がいても、それぞれが独自の作業方法を行ってしまっているのも属人化の一つです。

属人化のメリット

属人化はあまり良いイメージの言葉ではないですが、メリットはあります。

  • 担当者の専門性が高くなる
  • 業務効率が高くなる
  • 担当者のモチベーションが上がる

同じ人が同じ仕事を長年行うので、知識と技術が向上します。そのため作業に慣れる事で作業スピードも向上するでしょう。実績を残した担当者はモチベーションも上がり、周囲からの信頼度も上がるのです。

属人化のデメリット

メリットがある反面、デメリットもあります。このデメリットこそが標準化の妨げになっている要因と考えてもいいでしょう。

  • 担当者が欠勤した時に業務が止まってしまう
  • 社員の作業の負担量に偏りが発生する
  • 担当者以外の人にノウハウが残らない
  • 担当者が退職した時に一定期間、生産性や品質の低下が起きる

属人化のデメリットとして、他の作業者にとって作業手順や注意点などの情報が乏しくなる点が挙げられます。
専門知識が専属の担当者の頭の中だけにあり、他者に共有されないのが理由です。
そのため他の作業者が手伝う事で、結果として逆に作業効率や品質が低下してしまいます。

このようなデメリットを抑える対策として有効なのが、手順書の運用です。

 

まとめ

属人化を無くす最善の解決法は、手順書の作成であり、それを全員が共有して運用することが必要です。

熟練者のノウハウを手順として残すことで、技術継承や新人教育も可能です。

 

手順書は作りっぱなしにせず、定期的に更新して常に最新版にアップデートしましょう。

手順書はあるけど、使われていない・・・という形骸化を防ぐ手にもなります。

 

矛盾やムリ・ムダ・ムラのない手順書の運用は、誰が行っても一定の高いレベルでの安定が可能です。その手順書は整合性が取れている物である必要があり、一定期間で見直しなどの更新が行われなければなりません。

特に一から作成するとなると、かなりの労力や時間、知識、エビデンスが必要になります。

 

また手順書だけでなく在庫管理などの場合は、アナログな管理方法では間違いに気付くのが遅くなるほか、在庫不足、余剰在庫などの問題を起こす可能性も高いです。
これらをデジタル化することで間違いを減らし、作業時間を短縮できることで、品質と生産性の向上が見込めます。

それらを早く確実に実践できる環境を作ることで、生産性の高い、良品質の企業を作りましょう!

 

しかし、手順書やシステム化するのはノウハウがない、時間がないといった問題は付き物です。

手順書を早く作りたい、間違ったものを作って時間を無駄にしたくないという場合は、専門家やコンサルタントなどを利用しましょう。

 

手順書作成、標準化に専門家の支援を受ける

自社に合った作業・品質の標準化や手順書作成は、初めて作成する場合は迷うことが多くあります。

作業手順や時間、品質の標準化のためのデータ集積や検証が必要になるほか、手順書自体も見やすい方が効果的です。中途半端な手順書になったり、作業フローや手順書のフォーマットが統一されていなかったりすることで、手順書を運用しなくなっては元も子もありません。
そういった場合は専門家やコンサルを利用するのも一つの手段です。
はじめの基本的なフォーマットや初版だけでも専門家に作ってもらい、その後の更新は自分達で行う事で自社の成長にもなります。

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在庫管理システムの導入

在庫管理では、作業の属人化だけではなく、データ管理をエクセル管理することによっておこる属人化問題です。

 

エクセルの自由度は、最大の利点ですが、最大の欠点でもあります。

自作のExcelファイルなどによる在庫管理では、どんな良い数式を使っていても入力間違いによって致命的な間違いの始まりになることが多いです。また自分だけのルールで管理や作業を行った結果、代行者がExcelの入力ルールを知らずに誤った入力の仕方をしてしまうこともあります。

 

システムを導入することで、エクセルによる属人化を解消することができます。
ただ、エクセル業務をシステム化していくのは、とても難しいです。
エクセルでやっていた業務をそのままシステムに置き換えしようとすると、開発コストはかさみ、大体失敗しています。

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