脱!属人化で多能工化を実現| 食品工場で「1日20回の呼び出し」を無くした方法

もし、あなたの会社でひとつでも当てはまっていたら、私の属人化を無くした実体験が役立つとはずです。

【食品工場】心当たりはありませんか?
  • 管理者の自分自身が一番走り回っている
  • 管理者なのに作業から全然抜けられない
  • 特定の人にしかできない作業がある
  • その人が休むと、現場が回らなくなる
  • トラブル対応ができるのが、責任者一人だけになっている

食品工場で多能工化が必要になる時

「食材が足りないから、車で持ってきて」
他の工場からそう言われた時、私は、とにかく届けるしかありませんでした。正直、意地でした。無事に届けはしたものの、その後、泣きそうになったのを覚えています。「この時ほど、俺が二人いればいいのにと思ったことはない」――今でもそう思います。

責任者という立場でありながら、私自身が作業者でもあったからです。自分の持ち場を離れて別工場まで走り、戻ってからまた自分の作業に追われる。そのしわ寄せを、結局は自分一人で背負うしかありませんでした。

機械が調子を崩したとき、人員が急に足りなくなったとき、電話が鳴るのはいつも私のところでした。そのたびに自分の作業を止めて対応する。誰かに任せたくても、任せられる人がいない。それが当たり前になっていました。

多能工化と教育定着が必要になるのは、「属人化」で一人欠けるだけで現場が回らない状態になった時です。

属人化が起きていた現場の実態

私が管理していたのは約30名の現場でしたが、トラブル対応ができるのは実質的に私一人という状態が長く続いていました。

一番手を焼いたのは、三角のおむすびを作る機械です。海苔の位置がずれる、シールの貼り位置がずれる、ご飯がうまく成形されない――ひどい時には1日に20回近く、私が呼ばれていました。

 

海苔の位置がずれるといった根本的な不具合は、正直なところ今も私がやるしかない部分です。

ただ、シールの貼り位置調整やご飯の成形不良の直し方といった「設定の変え方」であれば、教えられると気づきました。

ポイントはすべてを手放そうとせず、「ここまでは任せられる」という線引きをして、自分しかできないことを減らし、任せられる範囲を増やす教育定着の最初の一歩でした。

私が実践した教育定着の仕組み

いきなり「多能工化するぞ」と言っても現場は動きません。私が意識したのは公平さでした。

教える最初の段階で、「一人最低二つは覚えてもらう。それなら平等でしょ」と伝えました。

特定の誰かに負担を押しつけるのではなく、全員が少しずつ役割を増やす。この形にしたことが抵抗なく受け入れてもらえた要因です。

 

少しずつできることを増やしていって30人のうち20人が、何らかの機械対応を覚えてくれました。

 

「なぜこれを覚える必要があるのか」を伝えるとき、私はこんな話をしました。

誰だって病気になることもあれば、事故に遭うこともある。突発的に休むことだってある。

 

そのときに、今いる人数でできることが少ないままだと、工場は前に進まない。できない部分を増やしたところで、困るのは自分たちだ――と。

責任感やがんばりの話ではなく、「作業として埋められる人がいない状態そのものがおかしい」という、仕組みの話として伝えました。

多能工化で1日20回の呼び出しが2回になった理由

覚えるスピードは、部署によってまったく違いました。

機械の分解清掃であれば1週間ほどで覚えてもらえましたが、あのおむすび機の設定は、覚えるのに2か月かかった人もいます。

 

期待した効果がすぐに出るものではありません。それでも、少しずつできる人が増えていき、私が「呼ばれる回数」は減っていきました。
ひどい時には1日20回呼ばれていたのが、この取り組みのあとは1日2回程度まで減りました。

製造ラインが止まる回数も明らかに減り、以前のような「電話が鳴るたびに現場が止まる」状態はなくなりました。

あるとき「俺、いらないんじゃないか」と思うくらい、自分たちで回る理想の現場になりました。

多能工化が定着した3つのポイント

振り返ると、この取り組みが定着した理由は3つあると思っています。

多能工化が定着した3つのポイント
  1. 「任せられる部分」と「自分にしかできない部分」を最初に線引きしたこと
    すべてを一気に手放そうとせず、設定変更のように教えられる範囲から着手しました。
  2. 教える最初に「一人二つ」という公平なルールを決めたこと
    特定の人に負担が偏らない設計にしたことで、現場の反発を防げました。
  3. 「休んでも回らない現場はおかしい」という理由を現場と共有したこと
    責任感や根性論ではなく、仕組みの問題として伝えたことで、納得感を持って取り組んでもらえました。

食品工場で教育定着を成功させる考え方

私は、
「30人もいる現場で、一人休んだだけで回らなくなる方がおかしい」
と考えていました。

誰でも病気になります。
誰でも家庭の事情があります。
誰でも突然休む日はあります。

だから人に依存するのではなく、仕組みでまわる現場を作ること。それが私の考える多能工化であり、教育定着です。

多能工化や教育の定着は、「頑張って教える」というだけでは続きません。誰から始めるか、どこまで任せるか、どう公平に進めるか――ひとつひとつを設計する必要があります。

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