MRPとは、Materials Requirements Planningの略語で、日本語では「資材所要量計画」
と呼ばれていて、生産計画を基に部品を発注する方法です。
4つの発注方法のうち、考案された定期・不定量発注方法の代表的な方法です。
目次
MRPは発注業務を劇的に効率化できる方法
例えば、
10/1 に車種Aを10台、車種Bを5台それぞれ完成させる
10/2に車種Bを3台、車種Cを15台それぞれ完成させる
このための部品を過不足なく発注をしたい。
といったとき、手計算で発注する(どの部品を、いくつ、いつ(納期))ことはできると思いますか?
1台の車を構成する部品は、3~4万点あり、複数の工程があります。
過不足なく、必要なタイミングで、必要な数だけを発注しようとするのは、恐らく無理でしょう。
しかし、MRPを使えば、この複雑な発注が可能になります。
つまり、MRPはいつどの部品(原材料)をどれくらい発注すればよいのかを簡単に計算する方法です。
生産計画を立てて、見込みで部品を発注するときにうまく運用ができれば大きな効果を発揮します。
MRPを使いこなしている企業は少ない
しかし、「うまく運用ができれば」と書いているように、導入していても使いこなせていない企業が大半です。
その理由は、
- MRPの原理
- MRPを運用するために必要な情報の整備
- MRPを維持するための情報のメンテナンス
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MRPの原理
MRPは、製品の完成に必要な日付からリードタイムを逆算して、「必要なものが、必要な日に、必要な数量だけ納入されるように」発注に必要な数量を計算します。
手順としては、
- 製品の生産計画を立てる
- 製品をBOM(部品表)を基に部品別に展開する
- 部品の総所要量(生産計画に必要な全部品の数量)を計算する
- 3で計算した部品の必要日を計算する
- 部品の必要日にの予定在庫数と総所要量を引き算
- 不足する場合は、発注する。
といった流れです。
MRPの実施に必要なもの
上記の手順からも分かるように、思った以上に複雑な計算をしています。
MRPに最低限必要なのは、次の4つです。
- 現在庫数
- 生産計画
- 部品表(BOM)
- 部品の発注条件(発注リードタイムと発注ロット)
上記の情報が整備されていれば、あとはパソコンが複雑な計算を実施してくれます。
MRPの実施例
MRP実施時に、発注を出すかどうかの判断を表しています。
部品Aの発注条件は次の通りです。
- 発注リードタイムは、7日
- 発注ロットは、3個
MRP(1)での発注の判断
7日目の在庫は14個、12日目の在庫(MRP(2)で
発注予定)も8個と、手持ちの在庫で不足しない
ので、MRP(1)でのは見送り(発注無し)。
MRP(2)での発注の判断
12日目の在庫は8個だが、17日目の在庫(MRP(3)で発注予定)
の在庫は、-10個になってしまう。
次回のMRP(3)で発注をすると、使用数に対して在庫が
マイナスになります。MRP(2)では、発注が必要です。
発注数は、ロットまとめをして12個発注します。
MRPは情報の精度が運用のカギ
上記でご覧いただいたように、MRPはとても便利です。ただ1点、運用をするうえで守るのがとても大変なことがあります。
それは情報の精度です。
それはMRPが正しく機能するためには次の3点が絶対条件になります。
- 計画通りであること
- 整備された情報が正しいこと
- 在庫の精度が高いこと
計画通りであること
MRPは、「何が、いつ、いくつ必要か」という事を計算します。
つまり、次のようなことは許されません。
- 生産計画と実際の生産が違う。
- 計画よりも実際の生産が遅れている
- 計画よりも実際の生産が早い
- 部品が納期通りに入ってこない
MRPで計画したことはきちんと守らないといけません。もし仮に変更するのであれば、MRP自体を変更しなければいけません。
整備された情報が正しいこと
ここでいう整備された情報とは、発注条件(発注ロットとリードタイム)と、BOMです。
計算の元となるデータなので、この情報が狂っていると、正しく発注が出ません。
ちなみに、MRPが崩れることが多いのは、設計変更などでマスターの情報が変更になる時です。
在庫の精度
最も大切なのは在庫精度です。在庫精度が95%以上無いと、どんなに生産計画が正しくても、発注条件やBOMが正しくても、が棚卸の精度が95%を下回る(=在庫差異率が5%以上)だと役立たないといわれています。
以上の理由からMRPを実施する以前にある程度運用の仕組みが整っていないと、MRPを導入しても過剰在庫や欠品が発生して、返って会社に悪影響を与えます。
とはいえ、MRPを導入し運用ができれば、発注業務の効率化と適正在庫を一度に実現できます。
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