在庫管理の3定
3定とは、5S(整理・整頓・清掃・清潔・躾)のうちの
整頓のやり方です。
5Sのうちの2S(整理・整頓)は、基本中の基本です。
整理で必要なものと不要なものをわけて、すっきりさせ
ます。
↓↓↓ 3定について詳しく学びたい方は! ↓↓↓
目次
3定は置き場作りの基礎
3定とは、
- 定品
決まったものを置くこと - 定位
置き場を決めること - 定量
決まった量だけを置くこと
3定ができると、在庫が決まったものが、決まった場所に
決まった量だけ置く
事ができます。
これをすることによって、在庫の置き場が明確になります。
3定の目的
3定が目指すことは、
誰が見ても一目で分かることです。
つまり、
3定を実施すると、「ものを探すムダ」、「紛失
によるロス」が無くなります。
キーワードは、
- パッと見て状態が分かる
- 誰でもすぐに取り出せる
- 誰でもすぐに元通りにできる
それぞれ詳しく見ていきましょう。
在庫管理の専門家が書いた実務的なノウハウ満載の【教材】在庫管理の教科書について知りたい方はこちらから
定位
まずは、置き場を決めます。
「第1工場の左から3本目の柱のすぐ右にある棚の下段ね!」
という表現だと、場所を特定しづらく、
知っている人しか分からず意味がありません。
置き場に名前を付けます。
手順は次の通りです。
- エリアマップを作る
- 棚に名前を付ける
- 在庫の置く位置を特定する
在庫を保管する倉庫が1か所しかないような小規模の場合は
エリアまで決めず、棚番と在庫の表示のみ作りましょう。
完成図は次のようになります。
エリアマップを作る
道路地図のように工場のレイアウト図を
メッシュ状に区切って、番地を振っていきます。
エリアマップは、工場を東西南北の碁盤目のエリア
に分けたものです。
例えば、★のところは、エリアマップの番地に従うと、
B2ということになります。
これで、工場の中の場所の位置が明確になります。
工場が小規模の場合は、エリアマップまで作成する
必要はないでしょう。
棚に名前を付ける
先ほど作ったエリアマップにおいて、各エリアに
棚が必ず1つなら問題ないですが、2つ以上ある
と、どの棚かわかりません。
そこで、次に棚に名前を付けます。
部品棚A、部品棚Bのような要領です。
こうすると、ひとつのエリアに複数の棚が
あっても、棚を特定することができます。
1と2を組み合わせたものを棚番マップと言います。
在庫の置く位置を特定する
1つの棚に1つの在庫だけを置くのなら問題
ありませんが、やはり1つの棚にいくつかの
在庫を置くでしょう。さらに棚は1段ではなく、
2段以上あることが普通です。
そこで、棚に置いた時のルールを決めておきます。
例えば、2段の棚があるとすれば、
下段を1とし上段を2とします。
そして、在庫は向かって左端から置くことを
ルールとして、それぞれ左から1、2、3・・・と
します。
例えば、在庫を部品棚A(2段の棚)の下段、左から
2番目に置いたとします。
すると、その在庫の置き場は、部品棚Aの1-2という
ように表現することができます。
棚に名前を付けることと置く位置を特定すること
を棚番を決めると言います。
この3ステップで在庫の場所が特定できます。
棚番マップを作る
エリア、棚番をまとめて、工場の棚番マップを作ります。
この棚番マップはいわば工場の地図です。
これを手に持って歩けば、工場で迷いません。
棚番を振ると誰でも置き場が分かるようになる
最初に戻って、曖昧な表現をエリアと棚番を使って
明確にしてみます。
「第1工場の左から3本目の柱のすぐ右にある棚の下段ね!」
まずエリアマップを決めたことで、
あの柱という表現が、1-B2という番地に変わます。
次に棚番を決めたことで、
すぐ右の棚の下段ね!という表現が、A-1-2に変わります。
まとめると、
「1-B2の場所にある、棚A-1-2」になり、
置き場が場所が明確に指定されます。
上手く設定できたかどうかを知る良い方法があります。
それは、入社1日目の新入社員に在庫を取に行ってもらう
ことです。
棚番マップがしっかりと整備されていて、
棚番マップがきちんと更新されていれば、
マップさえ渡せば、すぐに指定の場所に
迷わずにたどり着くことができます。
迷ってしまったり、違ったものを持ってきた場合は
棚番マップの作り方や棚番自体が間違っている、
在庫の変更を反映していないなどのなんらかの問題があります。
定品
場所が決まったら、次に置くものを決めます。
置くものは常に定まる場合と定まらない場合があります。
特にフリーロケーションの場合は、''何を入庫したか、何を出庫したか'
'を記録しておかないと、どこに置いたか分からなくなるので、定品が
崩れてしまいます。
置き場を決めるときのポイント
やみくもに棚番を決めると、かえって
工場の生産性を下げてしまう可能性があります。
置き場を決めるときは、在庫の特性を
考慮します。
- 作業場所
その在庫を良く使う作業場のすぐ近くに置きます。
在庫を取りに行く時間を減らすことができます。
仮に1日1000個作る部品があり、材料を取りに行くのに
1時間で1分使っていたとすると、1日で8分になり、
1か月で160分、1年で1920分(32時間)になります。
- 工程と物流
工程の流れに合ったところに置き、在庫の
流れと工程の流れをできるだけ一致させましょう。
最終工程の付近に最初の工程の在庫を置くと、
工程の流れを在庫の物流が逆行するので非効率的です。
- 種類
扱う在庫の種類が多い場合は、品種別に在庫を
集めておくと、迷いにくくなります。
作業場所や工程の流れと反してしまうので、倉庫などに
限定したほうがいいかもしれません。
- 大きさや重量
手で持ち上げることができない大きなものや重量物
などは、構内クレーンのそばなどに置かざるを得ません。 - 使用頻度
使用頻度が高い在庫は、取り出しやすい場所と取り出しやすい
高さにしておき、在庫運搬者や使用者の負担を軽減します。
定量
置き場と置くものが決まったら、置く量を定めます。
置く量を決める理由は、安全と品質を保つためです。
棚に耐荷重を記載して、耐荷重を超える量を置かないように
します。耐荷重を超えてしまうと、棚が壊れて保管している
在庫が落ちてくる可能性があるのでとても危険です。
奥にあるものが見えなくなり、劣化してしまう可能性が
あるので、置く量の規制はとても大切です。
規制は、白線などを引いたり、収納する保管品しか入らない
ように入れ物を工夫するなどして、心理的にも物理的にも
それ以上入れられないようにします。
山積みは厳禁
安全と品質の観点から山積みは厳禁です。
荷崩れの原因にもなりますし、上にあるモノばかりを
移動して先入れ先出しが守られなくなります。下にある
ものがつぶれてしまう可能性もあります。
棚の設置を工夫して、山積みは避けます。
買いすぎを防止する
置く量を決めると、買いすぎや作りすぎを防止することが
できます。余剰在庫の防止や生産計画の見直しにも
定量は役立ちます。
棚の表示が大切
3定「定位・定品・定量」を実施するとき、
大切なのは棚の表示です。
3定の要素をきちんと盛り込みます。
見やすい高さに、大きな字で分かりやすく、遠く
からでも読みやすいようにします。
配色も重要なポイントで、色によって意味合いを
分けたりすると、遠くからでもだいたいパッと見て
分かるようになります。
3定を維持する
3定の維持には2つあります。
- 元に戻す
- 情報の更新
一生懸命3定に取り組んでも維持が
できなければ、取り組んだ時間は全てムダになります。
在庫を元の位置に戻す
置き場を決めてもその場所に置かれないと
意味がありません。
ちょっと材料が余ってしまった。
明日すぐに使うから、機械の近くに置いておこう。
こういった「小さな気の緩み」も許してはいけません。
必ず、元に戻す習慣を作ります。
情報の更新
ずっと同じ製品を生産しているわけではないので、
3定を更新・見直しすることが重要です。
これがやれない工場が多いのです。
置く在庫が変わっていても、表示がそのまま
だったり、工場のレイアウトを変えたにも関わらず、
棚番マップが古いままだったり、
表示が剥がれてなくなっていたり、
と、情報の追加、削除、更新ができません。
特に、情報がそのままになりがちなのが、改善
プロジェクトなどで一気に行った場合です。
1度工場を綺麗にしてもその後継続ができない
ケースです。
更新を促すアイデアの一つは、
表示の作成日や次回更新日を一緒に記入して
おくことです。
これをするだけで「情報の鮮度」が見える化
できるので、更新を忘れることが少なくなります。
ぜひ、試してみて下さい。
新規製品の開発ルールなどにも、3定の見直しを
盛り込み、ルール化すると良いでしょう。
在庫管理セミナーに参加する
在庫管理110番では、定期的に在庫管理セミナーを開催しています。
1000万円を削減した成功事例を紹介しつつ、適正在庫の計算方法と
誰でもできる在庫管理の仕組みづくりのポイントを解説します。
在庫管理セミナー参加者特典
在庫管理セミナーに参加いただいた方には、2つの特典があります。
- 経費15%削減在庫管理術【基礎知識編】(書籍)をご進呈
- 在庫管理アドバイザーによる直接個別相談
在庫管理アドバイザーに直接相談したい
在庫管理アドバイザーに直接相談ができます。
これでスムーズに改善を進めた人もたくさんいます。
ただし、人気のサービスなので1か月の人数に制限があります。
些細なことでも構いませんので、お気軽にご連絡をください。
在庫管理についてどんなことでもお答えします