部品表の維持方法|運用に失敗する原因と維持するための注意点

部品表の作り方
  • 部品表(BOM)の管理が煩雑で、いつも最新情報の維持に苦労している
  • 品番変更や設計変更のたびに、関連部署への連絡や修正作業に追われている
  • 部品表の精度が悪く、手配ミスや生産遅延が度々発生してしまう

部品表を導入して、原価管理や発注業務の自動化・効率化が簡単にできると思ったが、実際に導入をしてみると、初期設定はできたものの維持ができないと諦めてしまう企業がとても多いです。

多くの場合、今回解説するような情報の更新ルールの曖昧さが原因です。その結果、誤った情報に基づいた発注や生産が行われ、大きな損失に繋がってしまうケースも少なくありません。

 

私は、在庫管理の仕組み作りに20年以上携っています。現場経験もあるので日常業務を行いながら改善活動や仕組み作りを進めるのは、実務ならではの妥協が重要なことも理解しています。

そこでこの記事では、部品表の運用で多くの企業が陥りやすい問題と、その具体的な解決策と注意点を解説します。

この記事を読めば、運用のポイントが理解できるので導入した部品表を常に最新の状態に維持できるようになり、原価の把握や発注業務の効率化など、生産効率の向上やコスト削減に役立つでしょう。

 

まず、部品表の作成方法や活用方法を知りたい場合は、こちらの記事をご覧ください。
部品表の詳しい作り方はこちらの記事をご覧ください

部品表がうまく運用できない原因とは?

部品表をうまく運用できていない原因は、似通っていることが多いです。

自社の原因で思い当たる原因に対して、深掘りして対策を打つ必要があります。

まずは、よくある部品表の活用がうまくいかない原因を紹介します。

原因1:品番が整備されていない

部品表には、最小単位の部品よりも大きな単位として製品や仕掛品に対して、品番を割り当てる必要があります。

決められた製品を製作・生産・納入するために割り振られた品番は、それぞれの会社やプロジェクトで決められたルールに従って付けます。

 

そもそも部品表の割り当て方のルールが統一されていなかったり曖昧だったりすると、別のプロジェクトで同じ品番を適用したときに品番がバラバラになってしまいます。

その結果、管理する人が認識しにくくなってしまい、部品表に入力する際や部品表で在庫確認する際に、どの部品が何に使われるのか調べるのに時間がかかってしまい、非効率な作業になってしまいます。

 

生産や開発の日程に追われていると「品番なんてなんでもいいや」となりがちです。

しかし、品番は後々の効率のため非常に重要なものなので、「後にルールが変わらないように」慎重に整備しましょう。

原因2:ステータスが表現されていない

部品表を使って在庫管理をする際、部品表の中に「ステータス」を表示する項目がないと部品表を活用しにくくなってしまいます。

部品表を作成する部門や担当者のみの意向で必要な項目が決まってしまうと、活用する人が使う項目が抜けてしまうことはよくあることです。

 

例えば、部品調達を担当する部門が部品表を作成した場合、「見積もり済み」「購入済み」「検収済み」「支払済み」などの項目で十分役割を果たしてしまいます。

しかし、同じ部品表を設計部門や営業部門など、他の部門が活用しようと思った場合には、必要な項目が不足していることに気がつくと思います。

こういった場合には、部門ごとに部品表を最適化して使うか、部門を跨いでも使えるように関連部門の代表者で意見を持ち寄って部品表を作成する必要があります。

原因3:メンテナンスできていない

部品表は使われる年代やプロジェクトによって必要な項目や、使いやすさが異なってしまいます。

また、設計変更(製品に使用する部品の変更や、マイナーチェンジ)によっても部品表の内容が変わります。

 

そのため、基本的な部品表の作成は済ませてしまい、業務を進める上で不都合や業務改善になるアイデアが出てきたら、メンテナンスを加えることで運用しやすくなることがあります。

ただし、頻繁にメンテナンスを入れてしまうと、操作に慣れていた人にとっては使いにくいものになってしまうため、あくまで必要に応じて最低限のメンテナンスに抑えるように注意しましょう。やはり変更に関してもルールを決めて、一元管理を徹底して属人化を防ぐことが重要です。

 

特に、世代交代して部品表を使う部署や人が変わったタイミングには大規模な変更をすることで使い勝手が向上します。

部品表の作り方、3つのポイント

部品表をうまく作成して運用することは、長期的な無駄を省き、業務効率の向上につながります。

 

ここからは、部品表を作成する上で、必要なポイントについて解説します。

部品表の作成やメンテナンスを担当する場合には、これらのポイントを抑えておきましょう。

作り方1:目的に合わせて細かさ(階層の深さ)を適切にする

部品表に記載する部品の細かさは、プロジェクトの性質や部品表を活用する目的によって異なります。

 

部品表をあまりに細かくしすぎてしまうと、管理するのに手間がかかってしまうため、活用することで無駄が生じてしまいます。

 

逆に、部品表が大まかになりすぎてしまうと、細かな部品の管理ができなくなってしまい、設計変更など対応の際に部品管理ができなくなってしまいます。そのプロジェクトで必要な最低限の細かさと管理工数の折り合いを付けて細かさをよく考えるようにしましょう。

作り方2:テンプレートを活用してプロジェクトごとにメンテナンスする

部品表を活用する上でトラブルになりやすいのは「部品表の使い方が分からず、正しく使われていなかった」ということです。

 

使い方が分からないと、使い方を理解するための工数が無駄になってしまい、本末転倒です。

シンプルに作成することで、使い方の難しさを抑えることはできますが、さらに重要なのは、「一度作った部品表を大幅に変更しない」ということです。

将来的に多くの人がその部品表を使うということを考え、可能な限り変更が不要なようにテンプレート化します。

必要に応じてカスタムできるような作り方にしておくことで、操作に慣れやすくし、部品表を活用してもらいやすくすることができます。

作り方3:システムを導入する

部品表は、Excelで管理することもできます。しかし、手作業によるデータ管理なので、メンテナンスや一元管理が難しいです。セル数の上限やソフトのバージョンやOSなどのバージョンアップによって使えない機能が出てくることがあるなど、運用上で無駄な工数が発生することもあります。

 

そういった場合でも使いやすい「部品表(BOM)管理システム」を導入することで、部品表を作成する工数や運用する工数を最適化できます。

 

また、専用のシステムは使いやすいUIで作られていたり、様々なツールとの連携もサポートされていたりするため、部品表を効率的に作成・運用するのに特化しています。より使いやすい部品表を作成したい場合は、システムの導入を検討しましょう。

 

在庫管理110番が提供する成長する在庫管理システムでは、部品表の作成や管理が可能です。

実際のカスタマイズ事例もご覧いただけます

 

作り方4:プロにサポートを依頼する

部品表は、部品表を活用する部門から担当者をアサインしてプロジェクト内で作り込見ますが、その担当者は普段は別の業務を行う従業員のため、部品表に関して専門的な知見を有していることはほとんどありません。

 

自力で勉強して部品表を作成することもできますが、部品表の作成を専門としているプロにサポートしてもらうことができます。プロに支援をお願いすることで、将来的に効率よく活用できる部品表を作成できるため、総合的に考えると費用的にもメリットが出てきます。

部品表の運用でお困りの方はぜひご相談を!

部品表を作成する際には、様々なポイントがありますが、うまく作成することで効率よく運用ができ、部品の購入から払い出しまでの多くの業務が効率化できます。

 

ただし、専門的な知識がなければ質の高い部品表は作成できません。

専用の部品表システムを導入したり、部品表の作成支援コンサルティングを活用することで、慣れていない人にも効率よく部品表の作成・運用ができるため、部品表の運用に困った場合はそれらの導入を検討しましょう。

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