部品表(BOM・構成表)の作り方と活用方法

部品表は、製品を作るために必要な部品(原材料)とその数量を現すものです。

BOM(Bill of Materials)や構成表とも呼ばれます。料理に例えるとレシピのようなものです。

※製品の生産とセット品を例にしてご紹介します。(部品表は役割によって、作り方が違います)

※どんな業界・業種の方でも想像しやすいようにカレーを例にして、部品表を説明します。

部品表の作り方の手順

部品表を作る手順は次の通りです。

  1. 部品表を作る対象品を決める
  2. 部品表を構成する品とその数量を決める
  3. 部品表を作成する
  4. 部品表で在庫の計上・出庫を連携させる
  5. 生産予定(実績)表と連動させる

部品表を作る対象を決め、構成する品を列挙して部品表を作成する(手順1~3)

カレーを作ると決めます。カレー1人前のレシピは、次のようになります。

部品表を作るために最低限必要な情報は、次の2点のみです。

  1. 品名(品番)
  2. 数量

それ以外の情報を付け加えることもありますが付加的な情報です。

(製品と材料を分かりやすくするために「区分」を追加してますが実際は無くても良いです)

カレーライスの部品表

部品表は製品を作るための基礎的な情報で、システム上ではマスターという扱いになります。

部品表を使って製品在庫の計上、部品在庫の出庫を行う(手順4~5)

作成した部品表とカレーライスの生産予定表を組み合わせると、生産によって、部品(原材料)の出庫が連動します。

カレーライスの生産予定に応じてカレールーの在庫数を連動させると次のようになります。

生産予定と部品在庫の連動(BOMの活用)

材料がいつ・いくつ無くなるのかが分かるようになるため、生産に必要な材料を予め仕入れることができるようになります。

(上記の場合は、6/9で在庫が切れ、6/10から欠品することが分かります)

その他の材料も同じように製品の生産と在庫の動きが連動します。

製品の種類が少ない構成する部品の種類が少ない場合は手計算でも十分間に合いますが、管理する者が増えると、手計算は

とても大変になります。

そして、部品表を管理できていない企業はほぼ間違いなく過剰在庫の状態に陥ります。

部品表の種類

部品表は大きく分けて2種類あります。

  1. サマリー型:表形式で必要なものとその数量を現した部品表
  2. ストラクチャ型:ツリー形式で必要なものとその数量を現した部品表

現す情報は同じですが、表現方法が異なります。

今回は皆さんにとって身近なカレーで、サマリー型とストラクチャ型の部品表の作り方をそれぞれご紹介します。

サマリー型部品表

サマリー型部品表は、対象の製品(仕掛品)を作るために必要なものとその数量を一覧で表したものです。

カレーですと、以下のようになります。(数量についてはあくまでも仮定ですのでご了承ください)

カレーライスの部品表

サマリー型の部品表は、製品に対して何がいくつ必要かということが一目でわかるのが特徴です。

製品に必要な部品の調達や、製品間の構成部品の比較などに向いています。

設計・技術部門が作る部品表はサマリー型であることが多いです。

※ちなみに設計・技術部門が作る部品表はE-BOM(Engineering-BOM)と言います。

 

ストラクチャ型部品表

カレーライスをストラクチャ型の部品表で表すと次のようになります。

ストラクチャ型部品表

 

ストラクチャ型の部品表の特徴は、製品の製造工程に合わせて階層化されていることです。

ストラクチャ型の部品表を見れば、どうやってつくられていくかが分かります。

例えば、上記のストラクチャ型のカレーライスの部品表を見ると3つの工程があることが分かります。

    1. カレールーを水に溶かして煮込む工程
  1. 具材(肉や野菜)を炒めて混ぜ合わす工程
  2. 2を1に入れて、煮込む工程

 

ストラクチャ型部品表と仕掛品

ストラクチャ型の部品表には、サマリー型の部品表には無いものがあります。

それは仕掛品です。先ほどのカレーライスの例では、

  • カレー
  • 具材一式

が仕掛品に当たります。

ストラクチャ型の部品表は工程を持った製造部門で作られることが多いです。

※製造部門が作るBOMをM-BOM(Manufacturing-BOM)と言います。

部品表の活用方法

部品表は、製品が何から作られているかを示すのが大きな目的ですが、ストラクチャ型の部品表は、

そのほかにも様々な活用方法があります。

例えば、

  1. 部品調達(MRP)
  2. 指示(生産や払い出し・配膳)
  3. 外注品(部品を無償支給して、外注で加工してもらい仕入れる)
  4. 仕掛品の管理・材料の引き落とし
  5. 原価管理
  6. 棚卸(資産計上)
  7. 設計変更

 

指示(生産や払い出し・配膳)

ストラクチャ型部品表は、指示に使われます。

例えば、先ほどのカレーライスの場合、

  1. カレールーを水に溶かして煮込む工程
  2. 具材(肉や野菜)を炒めて混ぜ合わす工程

という工程がありました。

1の工程では、

カレールーと水を使ってカレーをつくれという指示が出せるとともに、

カレーを作るためのカレールー(20g)と水(140ml)を用意せよという材料の払い出しの指示が可能です。

外注品管理・材料の引き落とし

同じように、外注先への発注と原材料の支給指示、材料の引き落としも同時に可能です。

仮に、「具材を炒めてまざ合わせる工程」を自社ではなく、外注でやってもらうとします。

その際、カレーライスを5皿作るとすれば、外注先への指示は「具材一式を5式」作ってもらう事です。

「具材一式を5式」を納品してもらったら、支給先の在庫から5式分の原材料

  • 牛肉 150g
  • にんじん 1.25個
  • たまねぎ 1.25個
  • じゃがいも 1.25個
  • サラダ油 10ml

を在庫から引き落とします。

仕掛品の管理

ストラクチャ型部品表は仕掛品が管理できます。

毎回カレーライスを一気に作り切るのであれば仕掛品は不要ですが、

「カレールー水に溶かして煮込む工程」の方が「具材を炒めてまざ合わせる工程」よりも

時間がかかる場合は、多めに作っておくかもしれません。(作り貯め・見込み生産)

仕掛品を設定しておけば、

  • 作り貯めが後どれくらい残っているか
  • 作り貯めをいつ追加で生産しなければいけないか

という事が分かります。

 

原価管理

製造業は、製品の原価を知ることが利益管理をするうえでとても重要です。

製造業の原価管理システムには、「部品表」が必ず必要です。

製造品の原価を構成するものは大きく分けて3つあります。

  1. 材料費:製品を作るために必要な部品や原材料
  2. 作業費:製品を作る作業員の人件費
  3. 経費:光熱費等

このうち、原価管理上、部品表が必要なのは、材料費と作業費です。

サマリー型部品表は「材料費」はわかりますが「作業費」はわかりません。

そこで、登場するのがストラクチャ型部品表です。ストラクチャ型の部品表は、「時間」の概念をマスター自体に持つことが可能です。

仕掛品を設定し、作業の開始・完了(仕掛品・製品を作るのにどれだけ時間がかかったのか)を記録することで、

作業費を集計します。

部品調達(MRP)

ストラクチャ型の部品表を使えば、より緻密な部品調達が可能になります。

サマリー型部品の部品表では、各部品のリードタイム(調達にかかる日数)はわかりますが、

複数の工程があり、さらにその工程が後工程の場合は、すぐに仕入れる必要はありません。

ストラクチャ型の部品表は原価管理でご説明したように、「時間」を持つことができます。

仕掛品を作る予定時間が分かっていれば、部品をいくつだけではなく、いつのタイミングで必要になるかもわかります。

この理論を応用して大規模な部品調達を行えるのがMRPです。

 

MRPとは、在庫・発注残・リードタイムを使って、生産計画に基づき必要な時に必要な部品を調達するための仕組みです。

MRPについて詳しく見る

 

棚卸・資産計上

ストラクチャ型の部品表は仕掛品を設定できるので、「仕掛品の棚卸」ができます。

仕掛品の棚卸ができないと、

  • 資産の過大評価:製品として棚卸計上し、見た目上の利益を小さくする
  • 資産の過小評価:原材料として棚卸計上し、見た目上の利益を大きくする

ということになります。

仕掛品の棚卸ができれば正しく資産計上ができるようになり会社の利益を明確に把握できます。

設計変更

新旧部品の切り替え時の悩みは、旧部品(使わなくなる部品)がたくさん余ってしまうことです。

ストラクチャ型の部品表を利用することで、新旧部品の切り替えを緻密に行えます。

特に力を発揮するのが共通部品の変更です。

今回、使用するじゃがいもの品種を変更しなければいけなくなったとします。

設計変更じゃがいも対象のじゃがいもがどの製品と紐づいているのか・・・

を調べるときにストラクチャ型の部品表が役立ちます。

逆展開(部品から製品にさかのぼること)を行えば、どの製品にいくつじゃがいもが使われているかが分かります。

これを活用することで、

  • あといくつじゃがいもを仕入れればよいのか?
  • 残りの部品で、どの製品をいくつ作ればよいのか?

というシュミレーションができるので、旧品をできるだけ使い切り、在庫を無駄にしません。

なぜ部品表を整備できないのか(部品表を作る前提条件)

原価管理を目的として、部品表を扱うことができるシステムを導入する会社が多いです。

しかし、残念ながら部品表を使いこなせている会社はとても少ない・・・というのが私の印象です。

部品表を使いこなせていない主な原因は、以下のようなものです。

  1. 品番の整備と統一・単位(特に仕掛品)
  2. 階層のルール(工程・仕掛品の考え方が曖昧)
  3. 製品・仕掛品をシステム上で計上するタイミング(開始・完了処理)
  4. 部品表のメンテナンス(設計変更)

部品表の整備と維持は適正在庫・原価管理の第一歩

部品表を使いこなすことができれば、経営にも実務にも大きなメリットがあります。

システム会社は「設定すればできる、設定していないからできない」と簡単に言いますが、部品表を正しく

運用するのは、とても難しいのは身をもって経験しています。

  • システムを導入したものの部品表がうまく運用できていない
  • 部品表の運用を途中で諦めた
  • これから部品表を導入して運用したい

部品表を設定して維持するためには、システムよりももっと大切なことがあります。

という場合は、お気軽にご相談ください。

部品表は原価管理・適正在庫の第一歩
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