私は大手システム開発会社で、業務システム(主に販売管理、購買管理、在庫管理システム)のシステムエンジニアをしていました。
その経験から本当にお客さんのためになるシステム開発会社の選び方・探し方を解説します。
まず、最初にお伝えしておくべきことは、大手システム会社=いいシステムを作る会社ではないということです。
大手企業=導入数が多いのは当たり前です。
もっといえば、導入数と導入したシステムをユーザーが使いこなし理想通り運用できていることはイコールでは無いということです。
これを踏まえて、システム会社にいたからこそ分かる業務システム会社の選び方をお伝えします。
昔のシステム開発は、業務に必要な機能を追加するだけでした。
これはどういうことかというと、現在の業務のみが必要とする機能を画面に置いていくだけだといいうことです。
つまり、システムの柔軟性がなく、多少の業務内容の変更に耐えることができません。
あなたは、システム開発に失敗する会社が多いことをご存知でしょうか?(システム開発会社はそんなことは伝えてくれません。。)
失敗する原因は、システム会社にいれたい機能だけを伝え、丸投げしているからです。
システム開発会社の開発方法は、お客さんから言われた通りにそのまま機能を追加するだけだからです。
お客さんが本当にやりたい業務を見据えて開発することは難しいのが事実です。
つまり、あなたの業務を理解したうえで、業務の改善や効率につながるようなシステム開発はされていないということになります。
システム開発会社は、あくまでもシステムの専門家であり、実務経験はありません。
あなたの会社がシステムを導入する目的は、実務の効率化だったり、誰にでもできるようにすることが目的なはずです。
単に技術的な要件を満たすことを超えて、ビジネスの目標、業務プロセスを理解し、あなたの期待に応えて、それらを支援し強化するシステムを提供してくれるシステム開発会社を探すことが重要です。
業務環境の移り変わりの早い現代では、ただ言われた通りに作っただけのシステムでは他社に置いていかれてしまいます。
目次
【事例】1年半続いたシステム開発プロジェクトが白紙に!
ある会社から、自社の在庫管理システム導入プロジェクトが全然進まない。とご相談を頂きました。
その会社は、大手システム会社の採用を決めてプロジェクト開始したそうですが、1年半以上進展がないということした。
実際に弊社の在庫管理アドバイザーがヒアリングをして分かった問題は、
その会社の商品特性・管理特性に合わない在庫管理の方法を勧めていた
システム会社は最新技術で楽になるからという理由だけでRFID(ICタグ)の導入を進めていました。
しかし、相談した会社の品物・管理方法は全くRFIDに合わないものであり、話が平行線だったそうです。
- システム会社の言い分は、「楽になるんだからユーザーは運用を変えてもらえば良い」の一点張り
- 相談した会社は、自社の運用を変えるイメージがどうしてもできない
結果、話が全然進まないという状況でした。
システム会社は下請けに丸投げ
さらに、」大手システム会社にありがちなのが次の2件です。
- 下請けに丸投げ
- 開発の要件を理解していない
IT土建と揶揄されるくらい、建設会社のように「下請け」が多重構造になっています。
今回、相談を受けた会社でも、
大手システム会社は下請けに無理な金額や開発期間で、内容をよく理解せず「何とかしろ」と丸投げ、
下請け会社は、何とか頑張ろうとするものの、限界に達したときに「できない」と告白する。といった状態です。
結局、
当初の下請け業者はプロジェクトを辞退、元請けの大手システム会社は、別の会社を探す(=プロジェクトが降り出しに戻る)
ということになったため、相談者はプロジェクトを一旦中止して、そもそもこの開発プロジェクト自体が妥当だったのか?を考えることになりました。
使えないシステムを導入するという最悪の事態は免れたものの、プロジェクトに費やした1年半という膨大な時間は取り戻せません。
時給換算にすると大損害です。
そんなことにならないように、ぜひこの記事を読んで、最適なシステム会社を選定していただけると嬉しいです。
顧客が使う事を考えるシステム開発をする会社を選ぶ
システム会社は、あなたの会社の業務を理解し、そこから深いニーズと期待に応える必要があります。
長期的に使えるシステムを目指し構築します。
システム開発現場では、しばしばシステム開発プロジェクトが技術中心で開発が進められがちです。
しかし、技術的な成果が必ずしも真のニーズに対応しているわけではありません。
顧客が使うことを考えて開発されなければいけません。
真の顧客中心の開発を実現するためには、以下の点に注意を払ってシステム開発会社を選定する必要があります。
業務を理解しているかどうか
システム開発を契約し実際に開発する前に、営業担当者やフロント技術者と何度か打ち合わせを行うことになるかと思います。
優秀な営業担当者やフロント技術者は、お客さんのビジネスモデル、業務フローの他、現在システムを使用している場合は現状のシステムフローも確認するでしょう。
さらに、市場規模、市場動向、競合分析等細かく調査し、ビジネスの根本的な課題を特定します。
お客さんとの対話を熱心に行い、良い関係性を構築しようとしているかをしっかりと見てください。
良いシステムを構築するには、業務の理解が欠かせません。つまり、開発プロセスの初期段階からお客さんと密接に連携することが必要になります。
企業のニーズと期待を理解することが重要です。
これには、定期的な打ち合わせやフィードバックの実施が必要です。
表面的な会話だけで「できます!できます!」と軽い言葉の営業担当は要注意です。
アジャイル開発プロセスを採用しているかどうか?
結論から言えば、業務システムにはアジャイル型開発がおすすめです。
かみ砕いて言えば、小さく最小限で始めることができるシステム開発です。
アジャイル型開発に対応できるシステム会社かどうかを確認しましょう。
システム開発には、ウォーターフォール型開発とアジャイル型開発があります。
- ウォーターフォール型開発:最初に設計をしっかりと行い最初に決めたことが100%正しい(完璧)であることを前提として開発する
- アジャイル型開発:変化や修正があることを前提として小規模な単位で開発をする。
ウォーターフォール型開発は問題が起こりやすい
通常、業務システム開発の一般的なプロセスは、ウォーターフォール型です。
開発工程の明確さと構造化されたアプローチがメリットなため長年使われいます。
しかし、実際のシステム開発現場では、
- 後から必要な機能が判明する
- 最初に決めたことが、現代の移り変わりの激しいビジネスにおいて正解とは限りません。
しかし、ウォーターフォール型開発では、開発プロセスの柔軟性が欠如しているため、計画変更を使用とすると、
開発スケジュールの大幅な延長や、見直しによるコストの大幅増といった問題が発生しやすいです。
その結果、多くの会社ではスケジュールと予算を優先して「そのまま開発を進める」という選択するので、
結果的にお金と時間をかけたにもかかわらず「使えないシステム」が出来上がります。
また、ウォーターフォール型開発では、システムが完成するまでシステムを触れないため、お客さんにとってはブラックボックスになりがちで、
「完成したものが思っていたものと違っていた」ということが起こりがちです。
アジャイル型開発ができる
一方、アジャイル開発方法論は、最初にガチっと決めず、柔軟性と顧客のフィードバックを重視します。
小規模ながら頻繁にリリースを行って開発を進めるため、仮に修正が違っていたとしても方向転換が容易です。
小さく開発したシステムをお客さんに触ってもらい、反応を基にシステムを継続的に改善することで、お客さんのニーズに迅速に対応することができます。
変化に対応できる柔軟な体制作りができるかどうかが重要です。
注意点として、アジャイル型開発は小規模な開発を繰り返すため、システム開発の方向性があらぬ方向に行ってしまいがちです。
冒頭に言ったような「お客さんから言われた通りにそのまま機能を追加する」システム開発会社は、アジャイル型開発は不可能です。
システムの導入目的と、全体像を想像しつつ、お客様の要望をそのままうのみにしたら、将来的に業務でどのようなことが起こるのか?
を想像しながら、状況によってはあなたに提案できるシステム開発会社であるかどうかを見極めましょう。
ユーザーエクスペリエンスの重視
たしかに、システムの機能性は重要ですが、それと同じくらい使用感やインターフェイス(画面)の使いやすさにも注目することが重要です。
業務システムにおいて、使用感については後回しにする傾向があります。
しかし、業務ソフトは、
- 業務システムは毎日使うものである
- CADやイラストソフトのように専門の知識や技術を持った人だけではなく、事務員やアルバイトも使用する可能性がある
従って、使いやすさ、覚えやすさはとても重要な要素です。
たくさんの機能があるシステムは大量のボタンやタブがごちゃごちゃしており、覚えるのが大変です。
複雑で使いづらいシステムは、使える人が限られてしまうため結果的に業務が集中して効率化が進みません。
優れたユーザーエクスペリエンスはシステム導入の成功に直結します。
開発に入る前段階でイメージの共有と認識合わせができるか
システムの方向性を正しく定め、ユーザーの要望に合ったシステムを開発することが重要です。
冒頭でお伝えした通り、システム会社は「技術中心で開発が進められがち」だからです。
初期段階からプロトタイプを作成し、実際のユーザーと認識を合わせられることが大切です。
大事なことは、実際に要求した機能がどのように動くのか想像できるのかどうかです。
手段は問いません。
方法は様々あり、パワーポイント等のスライドショーツールで動作イメージを作成する場合もあります。
開発に入る前段階でイメージの共有と認識合わせができるか確認しましょう。
主なツールは以下です。
- デザインツールを利用
- Adobe XD、Sketch、Figma、Canva
- スライドショーツールを利用
- パワーポイント、Googleスライド
- スプレッドシートを利用
- Excel、Googleスプレッドシート
画面イメージの修正のしやすさが重要です。
契約前に簡単でも良いのでイメージを作成して資料ベースで共有してくれる開発会社を選びましょう。
下請けに丸投げしていないかどうか?
大手システム会社の場合、「下請け」に出していることが多く、受注した大手システム会社は何も知らない・・・ということも普通です。
もっと酷い場合は、2次請け、3次請けとまるで建設会社のように多重構想になっている場合があります。
下請け構造になっている場合、システム会社間でも認識がずれていることもあります。
下請けに任せるシステム会社ではなく、受注した仕事を自社でやり切れるシステム会社を選択しましょう。
サポート体制の本当の意味での充実度
システムは作って終わりではありません。
導入した後に、システムが期待通りに動作しているのか確認する必要があります。
不具合や想定した通りに業務が回らない場合もあります。
問題が起こった時に、相談に乗ってくれるかどうかが大切です。
両者間で課題の存在を認識し、解決に向けて定期的な打ち合わせも必要になります。
日々の業務でイレギュラーな対応が発生することもあります。
システムと業務でどのように解決すれば良いのか、相談できる体制があることが望ましいです。
長期的に安定してシステムを運用するためには、ワンストップで適切なサポートとメンテナンスができる会社を選定しましょう。
規模の大きな会社は、サポート体制の充実しているとは限りません。
まとめ
せっかくお金と時間をかけて導入したシステムが「使えない、役に立たない」のは絶対に避けたいことです。
改めて、本当に使える・役立つ業務システムを開発できる会社の選び方は、
- 業務を理解しているかどうか
一般的なシステム会社は言われたことを開発するだけ。言われたことが本当にあなたの会社の役に立つかとは限りません。 - アジャイル型開発ができる
小さく開発してテスト・修正ができる会社を選びましょう。設計段階で100%完璧は絶対に不可能であり得ません。 - 使いやすさ
ボタンやタブが多くてごちゃごちゃしていないか?一目見て、ボタンが多い・・・と思うシステムは、使いづらい可能性が高いです。 - 開発に入る前段階でイメージの共有と認識合わせができるか
契約前に資料ベースで十分なので共有してくれる会社を選びましょう。 - 下請けに開発を丸投げしない
開発を下請けに出す会社は、開発内容を理解できていない可能性が高く要注意。自社でワンストップでできる会社を選びましょう。 - サポート体制の充実
問題が起こった時に、相談に乗ってくれるかどうかが大切です。下請け丸投げしている会社はサポート体制があったとしても対応にとても時間がかかることが多いです。
成長する在庫管理システム
成長する在庫管理システムは、在庫管理の専門家である弊社が開発した在庫管理システムです。
コンセプトは「使い切れるシステム」
使い切れるシステムとは、システムに搭載された機能を100%使える状態ということです。
つまり、自社に必要な機能だけを備えたシステムです。
これが実現できるのは、在庫管理110番が在庫管理専門の会社だからです。
- 専門家が御社の「やりたい事、在庫管理の習熟度、実務」の3つの観点から、本当に必要な機能や運用をご提案
- シンプルなので誰でも使えて、覚えやすい。
- ユーザー数が増えても月額使用料が増えない(仮に100人が使っても、月額使用料は増えません)
低コストで自社に必要な機能を持ったシステムが導入できる
在庫管理のことはなんでもご相談ください
在庫管理システムの導入、入れ替えなら在庫管理110番にお任せください。
冒頭でご紹介した事例の「1年半のシステム開発プロジェクトが白紙になった会社」の最大の問題点は、
そもそもシステム会社の提案した提案が完全にズレていたにも関わらず、相談会社も一旦了承してしまった点です。
システム会社の多くは、システム開発のプロであり、業務のプロではありません。
もちろん、業務のプロではなくても上手にプロジェクトを進める会社もありますが、うまくいっていない事例の方が多いように思います。
在庫管理110番は、在庫管理のエキスパートです。
在庫管理システムの導入や入れ替えをお考えの場合は、まずご相談ください。
今回ご紹介した事例の場合も、「その会社に最適なシステムとそのために必要な業務改善」をアドバイスしました。
「なんだ、そんなことだけで良かったのか・・・、一体1年半という時間はなんだったのか・・・」
ともっと早く相談すれば良かったと後悔していました。
些細なことでも遠慮なくご相談ください!