員数管理でよくあるミスは?課題と解決法を事例とあわせて解説

員数管理

製造業をはじめとするものづくりの現場において、員数管理は入荷数や製作数、出荷数などの数え間違いを防ぐために行われています。

しかし、実際には、因数管理が適切に行われず、人的ミスが発生してしまっているケースも珍しくありません。

この記事では、員数管理の目的や5つのやり方、よくある課題とその解決策を解説します

製造業における因数管理の事例もお伝えするので、ぜひ自社のやり方を一度見直してみてください。

因数管理とは製造現場で欠かせない工程管理方法

員数管理とは、製造業などものづくりの現場で欠かせない品質管理・工程管理の方法の一つです。決められた「数量」が合っているか現物を確認し、数え間違いを防ぐために行われます。

また、員数管理は生産性を向上させるほか、労働力を最大限に活用し、企業としての競争力を高めることにもつながります。

員数管理の目的とメリット

員数管理の主な目的は、数え間違いを防ぐことによる生産プロセスの効率化です。具体的には、以下のようなメリットがあります。

  • 生産性の向上
  • 品質管理の向上
  • 在庫管理の最適化
  • コストの削減
  • 競争力の向上

製造業の現場では、入荷時・製造中・出荷時にそれぞれ員数管理を徹底することで、数量の過不足や生産ミスをできる限り減らせますまた、紛失や人的ミスといったイレギュラーが起きたときでも、すぐに問題を表面化できるでしょう。

員数管理が役立つ場面

員数管理は、製造業のさまざまな場面で役立ちます。ここでは、実際に製造業の現場で起きうる具体的な場面をいくつか解説します。

1.入荷時の員数管理

製造業では、材料や部品がなどの入荷時にけ入れ検査を行実施するのが一般的です。この場合、入荷数量と品質をチェックする目的で数管理が行われます。入荷時の受け入れ検査を正確に行うことで不良品を排除し、品質の維持が可能です。

また、入荷した原材料や部品は倉庫に保管されます。倉庫内において、在庫の追跡と最適化のために員数管理を行っている現場も少なくありません。員数管理は、正確な在庫レベルを維持し、不庫の過不足を防ぐためにも重要だといえます。

2.製造工程の員数管理

製造業において、製品は複数の工程を経て製造されるのが一般的です。実際に、生産ラインでは、製品の組み立て・加工・検査などの工程が連続的に行われます。

たとえば、ナットを取り付ける工程を含む製品などでは、必要数のナットが正しく取り付けられているかを適切に管理することが重要です。この場合、使用するナットの数を確認したり、取り付け後の重量を測ったりするなどして、作業の漏れや不良品の出荷を防止できます。

製造工程における員数管理を徹底すれば、不良品の発生を防げるだけでなく、製造管理や品質管理のプロセスの効率化にもつながるでしょう。

3.出荷時の員数管理

出荷時の員数管理の主な目的は、出荷する製品の数を確認することです。納入数は、注文数に対して多くても少なくても、顧客からのクレームにつながりかねません。

出荷前に納品すべき数量がそろっているかをチェックすることで、納入時の間違いを防げます。

また、製品を出荷する前には、最終的な品質検査が行われます。員数管理によって、不良品のチェックとあわせて正確な数を把握することで、出荷作業をよりスムーズかつ正確に実施できるでしょう。

員数管理の5つのやり方

員数管理の5つのやり方

員数管理のやり方として、主に5つの異なるアプローチがあります。員数管理するときは、状況に適した方法を選ぶことが大切です。

ここでは、それぞれのやり方と特徴を解説します。

目視

員数管理の最も基本的なやり方として、「目視」が挙げられます。目視による員数管理は、現物をその場で確認し、必要な数を視覚的に判断する方法です。

目視による方法は、従業員一人ひとりの判断に依存するため、正確性には不安が残るかもしれません。そのため、目視による員数管理では、精度向上のためにトレーニングしたりほかのやり方と併用したりして工夫するとよいでしょう。

容器

専用容器を使った員数管理では、原材料や部品を指定された容器に配置します。使用数や出荷数にあわせて、専用のトレイやケースなどを使用することで、目視による抜け漏れが確認しやすくなります。

また、空になった容器に新しい原材料や部品を配置していけば、在庫管理の適正化にもつながるでしょう。

重さ

員数管理には、測定装置を用いて、重さで過不足を判断する方法もあります。

あらかじめ原材料や部品、取り付け前後の製品の重量を数値化しておけば、重量から個数を算出することが可能です。重量の過不足をチェックすることで、ミスが発生したときでも、原因を特定しやすいといえます。

高さ

高さに基づく員数管理は、スタッキングの状態や高さを基準にする方法です。

原材料や部品、製品単体の厚みと、重ねたときの高さを測れば、一つひとつを数える必要がありません。そのため、人的ミスを減らせるだけでなく、労働力を抑えられるメリットもあります。

しかし、員数管理するものよっては、高さに基づく方法では正確な数の把握ができないため、注意が必要です。

自動

自動計数機を使用すれば、カメラによる検出やセンサーによる感知などで、機械的に員数管理ができます。特に、量産の現場において、計数確認の自動化は作業の効率アップにかかせない機能の一つです。

また、員数管理を自動化することで、リアルタイムで作業状況をデータ化したり人的ミスを減らして正確性を向上させたりできます。

事例|因数管理における課題

員数管理には、数え間違いを防ぎ、生産性を高めるメリットがある一方で、課題も存在します。ここでは、製造業における実際に起きた事例を詳しく見てみましょう。

製造業|目視チェックによる納入数の不足

目視による員数管理では、製品の納入数が不足する問題が発生するケースも珍しくありません。

製造業のA社では、原材料を入荷後、自社で成形した製品を顧客に納品しています。成形時には調整用として原材料を多く使う場合もあり、出荷準備として、最終品の数量を確認しながら納入パレットに製品を詰めています。

納入パレットには製品を重ねて入れるため、ダブルチェックに時間がかかるうえ、実際に納入数のミスが何度も起きていました。

この場合、課題を解決するためには、重ねて見えにくいのであれば重量や高さで測定したり、できるだけ重ねずに済む専用ケースを用意したりするとよいでしょう。作業者の正確性を高めることも大切ですが、それより、誰がやってもミスが起きないやり方を検討する必要があります。

製造業|重さチェックで入れ忘れ部品の特定が困難

重さによる員数管理では、部品の特性やサイズによって、入れ忘れても重さに変化が少なく、不良の特定が難しいかもしれません。

製造業のB社の組み立て工程では、従来、必要な部品を1個取り付けて半完成品を次工程に回しています。その際、組み立て後の総重量をチェックして員数管理を実施しています。

しかし、製品がリニューアルされ、1個の部品が3個に分割され軽量化が図られました。その結果、部品が軽くなったことで重量測定に誤差が生じたり、過不足に気がついても不足している部品の特定に手間がかかったりするケースが発生しました。

この場合、課題を克服するために、組み付け前の部品を専用トレーで管理したり、自動化システムを導入して画像データで確認したりするなど、作業プロセスを見直すことが重要です。システムを活用して計数作業を自動化できれば、今後の新製品の開発や製品の改良にも同様のやり方で対応していけます。

員数管理の課題解決に必要な3つのこと

員数管理の課題解決に必要な3つのこと

ここでは、員数管理における課題解決に必要な、3つの基本ステップを解説します。

1.員数管理がうまくいかない原因を特定する

まず大切なのは、員数管理がうまくいかない原因を特定することです。そのためには、「どのような場面でミスが発生したのか」「どのくらいの頻度でミスが発生しているか」といったデータを収集しましょう。

原因を特定するためには、作業のフローチャートを作成して一つひとつの作業を視覚化するのもおすすめです。原因の特定は、員数管理の課題解決のために欠かせない基盤だといえます。

2.自社に合った管理方法を選ぶ

員数管理の課題解決のためには、自社に合った管理方法を選ぶことが大切です。員数管理には目視や重量、自動化システムの活用といったさまざまなやり方がありますが、どの方法が最適かは、業界や製品、および作業内容によって異なります。

員数管理がうまくいかない原因を特定できたら、あらためて「既存のやり方で問題がないか」を確認しましょう。必要に応じていくつかの員数管理方法を検討し、状況にあわせて自社のニーズに合った方法を選択しましょう。

3.作業手順を見直し周知徹底する

解決策として選択した員数管理を効率よく実行するためには、作業手順の見直しも必要です。その際は、正確性を高めるためにも、すべての従業員に周知徹底させる必要があります。

また、員数管理の最適化を図るためには、手順を見直して終わりではなく、定期的な監査を実施して改善サイクルを設けることも大切です。

員数管理の課題解決にはシステムの導入がおすすめ

員数管理の課題解決にはシステムの導入がおすすめ

より効率的に員数管理における課題解決するためには、システムの導入もおすすめです。員数管理をできる限り自動化することで、目視や専用容器を使用するやり方と比べて、人的ミスを減らせます。

自社の特定のニーズに合わせてシステムをカスタマイズしながら、よりよい員数管理のやり方を実現できるかもしれません。

実際に、カメラによる検出やセンサーによる感知とあわせてシステムを活用できれば、正確性を高められるだけでなく、即座に情報共有が可能です。収集したデータとリアルタイムの管理は、員数管理における問題の早期発見にも役立ちます。

専門家によるコンサルティングも活用できる

員数管理における課題解決のために、専門家のコンサルティングを利用することも検討してください。なぜなら、員数管理の課題を解決するうえで、できるだけコスト対効果の高い方法を選択する必要があるからです。

特に、システムの導入にあたって、専門家の知識と経験が役に立つでしょう。実際に、システムの導入でどれほどの効果が見込めるかは、製品や製造工程、作業内容によって異なります。

課題に直面しているときは、つい手軽な解決策を選びがちですが、生産性を高めるためには長期的な視点で考えることも大切です。専門家の視点は員数管理の最適化のために新たなアイデアをもたらしたり、解決策の失敗を防いだりするのに役立ちます。

まとめ:自社にとって適切な員数管理の方法を選ぼう

員数管理は、入荷数や製作数、出荷数などの数え間違いを防ぐためにあらゆる現場で行われています。しかし、実際には手作業での確認によるミスが発生しているケースも珍しくありません。

員数管理のミスを防ぐためには、作業手順を見直し、自社に合ったやり方を選択する必要があります。適切な員数管理は、製造現場の効率化と品質管理の向上に欠かせません。自社の競争力を高めるためにも、員数管理の最適化を図りましょう。

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