大企業が業務システムの入れ替えに失敗することが多い理由

大企業がシステムの導入入替に失敗しやすい理由

大企業はシステムの導入や入れ替えに失敗しやすい傾向があります。

なぜなら、大企業のシステムは、規模も大きくまた様々なサブシステムが同時に動いているケースも多いため、一度にシステム刷新をするのはリスクが高いです。

 

有名な例では2024年4月に江崎グリコの大規模なシステム障害が発生しました。これはサポートの切れたERPシステムをSAP S/4HANAに刷新するリプレースでした。

この影響で、ほぼ全ての冷凍食品が出荷停止になり、全面復旧まで7カ月近くを要しました。純利益が36・8%も減少するという損害も被りました。

 

今回の問題は、身近な商品だったためにニュースで大きく取り上げられましたが、入れ替え失敗は様々な企業で日常的に起こっており、他人事ではありません。

そこで、大企業が業務システムを導入する際に失敗するケースが多い理由とその対策方法について、システム入れ替えの注意点を詳しく解説します。

大企業が使用しているシステムの多くはレガシーシステム

長年にわたって使用してきた古いシステム、いわゆるレガシーシステムが多く存在しています。

これらのシステムは、企業の成長とともに拡張や改修を重ねてきたため、複雑化し、全体像を把握することが困難になっていることがよくあります。

レガシーシステムの問題点として、以下が挙げられます。

  • 技術的な陳腐化
  • 保守コストの増大
  • 新しい業務要件への対応の難しさ
  • セキュリティリスクの増大

これらの問題により、多くの企業がレガシーシステムの刷新を検討しています。

しかし、長年使用してきたシステムを新しいものに置き換えることは、想像以上に困難な作業となります。

システム会社が保守を止めたいと思っている5つの理由

実は、開発保守を担っているシステム会社も保守を止めたいと思っているケースもあります。

レガシーシステムの保守を続けることは、人的・技術的・資金的にも負担が大きいため、システム会社にとって負債です。

実際に次のような対応をされたことがあるという報告もあります。

  • サポートが切れたシステムを使い続けていたが、保守をしていた会社から数年後に保守を打ち切ると一方的な申し出があった
  • 保守費の大幅な増額の打診があった(断ると、保守を終了するという申し出も同時に)

 

システム会社が保守をやめたい理由は、主に以下の要因に起因します。

コストの削減

システム保守には継続的なコストがかかります。

特に古いシステムの場合、保守に必要なリソースが多く、経済的負担が大きくなります。これにより、システム会社は保守契約を見直し、コスト削減を図りたいと考えることが一般的です。

サポート終了によるリスク

システム自体のサポート切れもありますが、OSへの対応ができなくなるケースもあります。

サポートが終了したシステムを運用することには多くのリスクが伴います。

脆弱性やセキュリティ上の問題が増えるため、システム会社としてもリスク管理の観点から旧システムの保守を継続することは避けたいと考えます。

市場競争

競争が激化する中で、システム会社は新しいビジネスモデルやサービスを提供する必要があります。

古いシステムの保守に時間とリソースを割くよりも、新たな市場ニーズに応えるための開発に集中したいという思惑があります。

旧システムの資料がない

大企業のレガシーシステムを新しいシステムにリプレースする際、最も大きな障壁の一つが、旧システムの資料が不足していることです。

長年の運用の中で、システムの仕様書や設計書が紛失したり、更新されないまま放置されたりしているケースが多々あります。

資料が無いと、下記のような問題によって、新システムの導入プロジェクトが遅延したり、予算超過に陥ったりするリスクが高まります。

  • 現行システムの機能や処理の全容が把握できない
  • 新システムの要件定義が不十分になる
  • 移行作業の難易度が上がり、コストと時間が増大する

技術の進化

技術の進化に伴い、古いシステムの保守は難しくなります。

新しい技術やプラットフォームへの移行が進む中で、旧システムの保守は非効率的であり、システム会社は新しい技術を利用したサービス提供に注力したいと考えます。

旧システム導入時の担当者が退職してしまっている

大企業のシステム導入プロジェクトは長期にわたることが多く、その間に人事異動や退職により、旧システムの導入時のことを熟知しているエンジニアや担当者がいなくなってしまうことがあります。

これにより、システム導入時に関する重要な知識やノウハウが失われてしまう可能性があります。

担当者がいないと次のような問題が起こります。

  • システムの詳細な仕様や運用ノウハウが失われる
  • 過去の意思決定の背景が不明確になる
  • 新旧システムの橋渡しをする人材がいなくなる

このような状況下では、新システムの要件定義や設計において、重要な情報が欠落してしまう可能性が高くなります。

システム導入プロジェクトをコンサルタントに丸投げしてしまう

大企業では、システム導入プロジェクトの規模が大きくなりがちなため、外部のコンサルタントや専門家をプロジェクトメンバーとして迎え入れますが、依存し丸投げしてしまう傾向があります。

しかし、プロジェクトを完全に外部に任せきりにしてしまうと、様々な問題が発生することがよくあります。

丸投げによる弊害

コンサルタントへの丸投げによって、次のような弊害が起こりやすくなります。

  • 企業固有の業務知識や要件が十分に反映されない
  • 社内のステークホルダーの意見が適切に取り入れられない
  • プロジェクトの進捗や問題点を適切に把握できない

業務システムではその会社独特の業務のやり方が存在していることが多く、実際に業務を行う担当者の知見も必須です。

関わる企業側も主体的にプロジェクトに関与し、適切なコミュニケーションを取ることが成功の鍵となります。

各業務ごとに縦割りのため他責思考でシステム打合せをしてしまう

大企業では、組織が細分化され、各部門が独立して業務を行っていることが多くあります。

このような縦割り組織では、システム導入時に部門間の連携が不十分になり、全体最適化が困難になることがあります。

縦割り組織の問題点

  • 部門間の利害対立が生じやすい
  • 全社的な視点での最適化が難しい
  • 責任の所在が不明確になりやすい

これらの問題により、システム導入プロジェクトが遅延したり、導入後のシステムが効果的に機能しなかったりする可能性が高まります。

さらに、部門ごとで独自に自部門の業務を補完するようなシステムを導入していることも多く、部門間で折り合いをつけたり調整することは必須です。

今の時代、スマホなどでモダンなシステムを手軽に利用できるサービスもあります。

スマホで使える在庫管理アプリMonoC

このようなプチシステムから始め、現代のトレンドを掴むこともできます。

大企業がシステム導入の失敗を回避するための対策

大企業がシステム導入を成功させるためには、以下のような対策が有効です。

  • 現行システムの徹底的な分析と文書化
  • 組織横断なプロジェクトチームの編成
  • 経営層の積極的な関与とサポート
  • 段階的なアプローチによるリスク軽減
  • ユーザー部門の早期巻き込みと継続的なフィードバック
  • 適切なベンダー選定と協力関係の構築

これらの対策を適切に実施することで、大企業でも業務システムの導入を成功に導くことができます。

システム導入は単なる技術的な問題ではなく、組織全体の変革を伴う大きなチャレンジです。

失敗の原因を十分に理解し、適切な対策を講じることで、大企業でも成功裏にシステム導入を実現することができるのです。

一度にシステム刷新を進めないのがお勧め

ある会社は、AS400で作られた基幹システムを使っていますが、全て現在のシステムに置き換えようとすると少なくとも20億円以上かかると提示されました。

このように、カスタマイズを繰り返して長く使ってきたシステムは、複雑さが極まった状態になっており、一度に入れ替えをするのは、人的な負担だけではなく、資金負担も大きいためお勧めしません。

 

そこで、在庫管理110番がお勧めしたいのは、現行の基幹システムの使える部分を使いつつ、一部分だけ入れ替えていくという方法です。

基幹システムから少しずつ機能を切り離しつつ、システムの移行を進めていけば良いでしょう。

システム連携をうまく活かす

最近のシステムの多くは、ある業務機能に特化したものが多く出ており、システム間でデータを連携する機能を持っていることが多いです。

機能特化型のシステムを使って業務機能ごとに移行していきましょう。

その際に、属人化していたり部署間で独自に発展してしまった業務をシンプルにすることをお勧めします。(機能単位なので検討も進みやすいのが良い点です)

 

在庫管理だと入出庫業務や棚卸業務をシンプルにすることを視野に入れます。

その際に、高価なハンディターミナルではなく、身近なスマートフォンで使えるサブスクアプリだと導入コストを大幅に下げられます。

スマホで使える在庫管理アプリMonoC

 

自社独自のやり方もシステムに反映させたいという場合は、カスタマイズができるシステムがお勧めです。

ただ、フルオーダーのように一から作るとコストが高くなり、一般的な在庫管理システムだと多機能なので返って覚えるのが大変で使いづらくなることが多いです。

その点、在庫管理110番が開発した成長する在庫管理システムは、パッケージシステムでありながらパーツオーダーという独自の機能を持っており、低コストでカスタマイズが可能です。

 

成長する在庫管理システム

500社以上の相談やコンサルティング実績のある在庫管理の専門家が導入を支援しますので、あなたの会社のお悩みと業務レベルに合った機能のご提案も可能です。

在庫管理110番はメーカー様から、現行の基幹システムではやりきれない在庫管理・生産管理の部分を切り出したいということでご相談をいただきました。その会社様の業務実態と運用レベルに合わせて、基幹システムとどのようにデータと業務を連携させるのがベストかを知見と過去の経験から検討中です。自社だけで考えるのは難しい・・・という場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

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