関税を削減する方法|FTA・EPAを活用する

関税は、商品の取引都度にかかる税金です。

しかし、中小企業の多くは、専門的な知識が無いことが多く、業者に丸投げしているケースも多いようです。

しかし、適切な方法を使えば、関税を大幅に削減できる可能性があります。

この記事では、FTA・EPAを活用した関税の削減方法について解説します。

FTA・EPAとは?

FTA(自由貿易協定)とは、国や地域の間で関税や貿易障壁を撤廃・削減し、自由な貿易を促進するための協定です。

一方、EPA(経済連携協定)とは、FTAの内容に加えて、サービス貿易・投資・知的財産・人的移動など、より幅広い経済関係の強化を目的とする協定です。

EPA・FTA締結国から輸入しても自動的に関税は安くならない

外務省のホームページによると、日本は24か国・地域と21のEPA・FTAなどが発効・署名済みです。(令和7年1月現在)

締結国との取引があれば、関税を減らせる可能性が高まります。

多くの企業様は、EPA・FTA締結国から輸入すれば自動的に関税は安くなるんだと思いがちです。
実際はEPA・FTA締結国から単純に通常通り日本へ輸入しているだけでは関税は下がりません。

原産地証明書が必要

関税率を下げるためには、輸出国の原産地証明書を付す必要があります。

原産地証明書とは、輸入したい商品が、本当にその国で作られたものなのか?ということを証明する書類です。

このEPAやFTAは、TPPのような特別なものを除いて2国間での条約になりますので、基本的にはそれぞれの条約に書いてある手続きに、個別に従う事になります。
ただ、個々の条約ですが、手続きはほぼ同じで、基本的には下記に説明する手続きが必要になります。

原産地証明書を輸出国が作成して、輸出時にその物品の原産地証明書を付すことで原産性が証明されれば、輸入時に2国間で取り決めた特恵関税率(条約内で取り決められています)が適用されます。

※特恵関税率は通常の関税率より安いケースがほとんどです。

 

(例)日本とEPA・FTAを締結しているベトナムから輸入する場合

今まで他の国から日本に直接輸送していて高い関税を支払っていた製品を、一旦中国からベトナムに輸送し、そしてベトナムから日本に輸送するだけで関税が下がるとなってしまうと、ベトナムが期待している自国での労働機会拡大や日本からの工場の誘致等の実体経済に影響を及ぼさない形となり、条約で日本とベトナムが目指した効果が期待できません。

本当にこの製品はベトナム製と言えるのか、ベトナムが原産地といえるのかを証明する必要があります。その証明書が「原産地証明書」です。

この原産地証明書をベトナムから輸出する際に付すことでベトナムから日本へ輸送された製品がベトナムの原産性であると認められ、日本で通関する際に、両国間で取り決められた通常より低い関税率(特恵関税)が認められる事となります。

それでは次回は、原産地証明書でどのように製品の原産性を証明するのか、その証明方法について説明します。

 

原産地性を証明するための方法は、VA基準とCTC基準の2つがあります。

大抵の品目はどちらか好きの方を選ぶことができるようになっており、原産地性が認められれば関税を削減できます。

輸入品の関税を削減する方法|原産性の証明方法(VA基準とCTC基準の選び方)

輸入品の関税削減のご相談

大手企業のように貿易部門や通関士資格を持った担当者がいれば、その業務に時間を割くことは可能です。しかし、中小企業の場合はそういった部門や担当者がいないことが多く、余計な関税を支払っている可能性が非常に高いです。

下記のようなお悩みがありましたら、お気軽にご相談ください。

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