- 入出庫管理の効率が悪い
- 在庫不一致が起きてしまう
- 現場に入出庫管理の考えが浸透しない
と悩まれる経営層、管理職は多いものです。
もしかすると、現場の知識不足や業務のやり方・使っているツールなどが原因かもしれません。
当社がこれまで見てきたお客様の中にも、入出庫管理の知識不足やツールでミスを発生させていました。
本記事では、入出庫管理を行う上で必要な知識やツールの紹介、改善方法について解説しています。
正しい入出庫管理をして、在庫を適正化させていきましょう。
目次
入出庫管理は「在庫管理において重要な業務の1つ」
入出庫管理とは、倉庫や工場に到着した製品・部品などの数量・品質チェックを行い、可視化できるように記録する業務です。
製品や部品の数量チェック、品質チェックをし、在庫の増減作業を行います。簡単に言えば、「どの商品・どの部品が、いつ、何個、出入りしたかを記録する」ということです。その他、入庫予定のものが期日通りに入庫したかを確認する作業もあり、在庫管理する上で入出庫管理は欠かせません。
入出庫管理の目的や重要性を解説
入出庫管理は商品や部品の出入りを記録する、会社にとって大切な業務です。ここでは入出庫管理の目的と重要性を解説します。
入出庫管理の目的は「安定供給の保持」と「在庫の適正化」
「安定供給」とは、商品を顧客へ安定的に届けることを指します。
製造会社は商品を売って利益を上げているため、万一、商品在庫を切らしてしまうと販売機会を失ってしまいます。入出庫管理はこうした在庫切れを防ぐ役目があり、安定供給を保ち続けるためには必要な作業なのです。
そして、必要なものを必要なだけ保有する「在庫の適正化」も入出庫管理の目的の1つです。欠品はもっての外ですが、過剰在庫は保管場所を占有するだけでなく、劣化や廃棄につながるリスクがあります。そのため「先入れ・先出し」を基本とし、常に新しい製品や部品を適正な数だけ保有する体制づくりのために入出庫管理を行う必要があるのです。
在庫の動きを管理する入出庫管理はビジネス成功に導く重要な業務
日々の入出庫管理は、年2回行われる棚卸にも密接に関係しています。棚卸とは、全在庫の物理的な点検を行う重要な業務で、企業の資産と負債を正確に把握するために必要です。日々の入出庫管理が正確に行われていると、棚卸の際に在庫数の不一致が発生しにくくなります。
一方、日々の入出庫管理が適切でない場合、棚卸の際に在庫数が合わないという問題が発生し、過剰在庫となった結果、企業は資本の無駄遣いとなりキャッシュフローを圧迫させることにつながります。
このように入出庫管理は会社経営に直接影響する業務であり、正確な業務遂行が求められるため重要性が高いと言えるのです。
入出庫管理を行う上で必要な5つの基本知識
入出庫管理を行うには下記5つの知識が必要です。1つでも欠けるとスムーズに業務が行えず、万一のトラブル発生時には対応しきれません。順に解説しますので、業務にあたる方や指導者は理解しておきましょう。
1.入出庫プロセスの知識 2.倉庫管理の知識 3.品質管理の知識 4.安全管理の知識 5.在庫管理帳簿や在庫管理システムの知識 |
1|入出庫プロセスの知識
製品の受け取りから保管、ピッキング、梱包、そして最終的な出荷までの一連の流れを理解する必要があります。各ステップの作業がどのように連携しているのか理解しておくことで、トラブル発生時の問題発見や課題解決に役立ちます。
2|倉庫管理の知識
製品や部品に合った保管方法、配置、在庫ロケーションといった倉庫管理に関わる知識は、入出庫管理に欠かせません。
特に、製品・部品に応じた適切な保管方法を選べるようになると、製品や部品を最適な状態に保てるため、劣化や期限切れによる廃棄の損失を防ぐことにつながります。
また、配置や在庫ロケーション知識は、スムーズなピッキング作業や出荷作業を行うために必要です。
3|品質管理の知識
入出庫管理には破損品や欠陥品の流出を防ぐ製品知識が求められます。製品や部品などの品質基準を理解し、現物を確認できる知識が必要です。これら品質管理に必要な知識は、結果的に顧客の信頼維持やブランドイメージの保護につながるため、在庫管理と同様に重要性が高いと言えます。
4|安全管理の知識
倉庫や工場では、社内の安全基準やルールを理解し、従うことが求められます。社内の安全基準やルールとは「機器の正しい取り扱い方法」「緊急事態対応のプロセス」「防災対策」などが含まれ、作業者の安全を保護し、事故や災害による生産の停止を防ぐ目的があります。
5|在庫管理帳簿や在庫管理システムの知識
精度の高い在庫管理を行うには帳簿付けや在庫管理システムへの入力などが有効です。しかし、「在庫管理の専門知識」と「帳簿ルールやシステムの使い方」を理解しなければならないがゆえ、業務が属人化しやすく改善活動が少ない傾向にあります。
手書きで在庫管理する際は注意が必要です。手書き帳簿の場合、目先の在庫増減は把握できますが、年間を通した在庫量、月々の適正在庫や安全在庫の算出が煩雑です。戦略的な在庫管理ができず、ただ在庫数を把握するだけの業務となってしまう可能性が高まります。
万一、在庫把握のためだけに帳簿付けを行っているのであれば、より精度の高い在庫管理をするためにエクセル、もしくは在庫管理システムへの移行を検討してみましょう。
入出庫管理の精度を上げる5つのポイント
入出庫管理の精度を上げる方法を5つ紹介します。できるところから着手し、入出庫管理の精度を上げていきましょう。
1.在庫管理システムを活用する 2.作業手順をマニュアル化する 3.誰もが分かる在庫管理表にする 4.トラブル発生時の原因を突き止める 5.図面と部品をそろえて管理する |
順に解説します。
1|在庫管理システムを活用する
在庫管理システムは日々の在庫データを蓄積するため、年単位・月単位・週単位の在庫データを分析でき、繁忙期・閑散期の適正在庫を出せるようになります。
不良在庫を減らしてキャッシュフローを改善するデータ作成にも活用できるため、過剰在庫が多く困っている場合には有効です。
棚卸差異が毎年のように発生している、欠品で顧客に迷惑をかけてしまったといった日常の入出庫管理・在庫管理などの悩みも在庫管理システムに蓄積したデータを活用すれば改善できます。
2|作業手順をマニュアル化する
入出庫管理の精度を上げるには、現場の作業手順を把握しましょう。現状を知ることで、課題や改善案が出てきます。課題を解決したのち作業手順をマニュアル化することで、属人化を防いだ入出庫管理が可能となります。
3|誰もが分かる在庫管理表にする
複雑な在庫管理表が原因でミスを発生させているのなら、在庫管理表の改善を試みます。担当者が変わってもミスを発生させない在庫管理表を目指しましょう。
エクセル在庫管理表の無料テンプレートは下記リンク先にあります。自社で作成する際のポイントもまとめていますので参考にしてください。
▶ エクセル在庫管理表の作り方と注意点【無料テンプレートダウンロード】
4|トラブル発生時の原因を突き止める
欠品や在庫数が合わない現象が起きたら、放置せず原因を突き止めます。原因究明方法は、担当者に状況をヒアリングし、作業とマニュアルの照らし合わせや使用するツールの作業手順確認を行います。その際、担当者のミスを指摘するのではなく仕組みがまずかったと伝え、改善活動に移りましょう。
また、欠品や在庫不一致だけでなく、過剰在庫が発覚した際も原因究明が必要です。多くなった在庫はいつに捌ける予定か、保管場所を圧迫させているのなら廃棄が賢明なのかなど、全体を考慮して対応します。
5|図面と部品表をそろえて現場管理する
在庫が合わない、不良在庫が多いといった課題を抱える製造会社に散見されたのが、図面と部品表がそろっていないことでした。品質の確認が必要な入出庫管理業務では、図面や部品表は必需品です。不適合品の流出を防ぐためにも、入出庫管理の現場には図面と部品表が確認できるように整備しておきましょう。
入出庫管理を効率化する3つのツールのメリットと注意点
入出庫管理業務を効率化する下記3つのツールを解説します。
1.エクセル 2.在庫管理システム 3.バーコード・ハンディターミナル |
それぞれのメリットと注意点を理解し、自社に合うツールを検討してください。
1|エクセル
製品や部品の入出庫数や入出庫の回数が多くなければ、エクセル管理で十分です。エクセルの在庫管理表は無料で作成できるのでコスト削減になるのもよいところです。
ただし、複雑な関数やマクロを組むと、担当者によっては使いきれない場合があります。業務の属人化を招くだけでなく、ミスを頻発させる原因にもなるため簡単操作で使えるエクセルにするのがポイントです。
多数の製造現場で在庫管理コンサルティングを行った当社では、属人化を招きにくいエクセルのテンプレート配布や、エクセル作成ポイントをまとめた記事を用意しています。ぜひ下記リンクよりお確かめください。
▶ エクセル在庫管理表の作り方と注意点【無料テンプレートダウンロード】
2|在庫管理システム
在庫管理システムのメリットは、計算ミスがないのはもちろんのこと、蓄積された在庫データを社内のオープンデータとして使用できるところです。
また、在庫管理システムは入出庫管理に必要な機能がそろっているため、それぞれのツールを用意する手間が省けます。受発注管理を一緒にできるシステムが多く、製品や部品が少なくなった際に発注状況を瞬時に確認できるのが在庫管理システムの利点です。部品表を登録すれば兼用部品の在庫と出荷が見れるため欠品に備えて発注できるなど、在庫管理システムを使用するメリットは多岐にわたります。
コストがかかりますが、メリットがたくさんあるため、在庫管理システムの導入をおすすめします。
3|バーコード・ハンディターミナル
バーコード・ハンディターミナルは、その場でスキャンをすれば製品の入出庫管理が簡単に履歴へ残せます。
ただしボルトやナットなどロットで入庫する部品、1製品に複数使用する部品の管理には適しません。なぜなら、ボルト・ナット1つひとつにバーコードがあるわけではなく、ケースに貼ったりバーコード一覧表を作ったりする必要があるためです。スキャンミス、数量の入力ミスが発生し、逆に在庫数が合わなくなる可能性が高まります。
もし部品をバーコード・ハンディターミナルで管理したい場合、入庫・発注処理、棚卸の数量確定はバーコード・ハンディターミナルを活用し、日々の出庫処理は部品表と生産管理システムを連携させて使用部品が自動引き落としされる仕組みを作るといった対策を取るのが効果的です。
バーコード・ハンディターミナルは他システムと連携して使うことで作業効率がアップします。現場での作業工数増加がないことを事前確認し、予算を考慮しながら導入するのをおすすめします。
部品から製品までの入出庫管理は『成長する在庫管理システム』におまかせを
当社の在庫管理システムは自社に必要な機能だけを選び、現場を第一に考えたシステム設計を行っています。入出庫管理はもちろん、受発注管理、棚卸の帳票出力、バーコード出力など製造現場に必要な機能をそろえています。
自社開発しているため、現場に合わせたシステム開発が可能です。在庫に関して困りごとがありましたら、ぜひ当社の『成長する在庫管理システム』をご検討ください。