デカップリングポイント

この言葉を知らなくても、デルコンピューターやマウスで「BTO」という言葉をきいたことが

あるんじゃないかなと思います。

デカップリングポイントとは、見込み生産と受注生産の分岐点のことで、

在庫管理の観点で言えば、「どういう状態で主に在庫を持つか」ということになります。

見込み生産と受注生産

生産方式

生産方式は、大きく分けて次の2種類があります。

  • 見込み生産:顧客からの注文を待たずに、あらかじめ生産を開始する
  • 受注生産:顧客からの注文があってから、生産を開始する。

在庫的にみると、

  • 見込み生産は在庫を持つ(売れない可能性もある、売れるまで待つ)
  • 受注生産は在庫を持たない(お客様がすでにいるので必ず売れる)

ということになります。

通常、受注生産というと注文を受けてから部品の発注や生産を開始する

と思いがちですが、そうではありません。

部品をあらかじめ持つ、仕掛品をあらかじめ持つなど、どんな状態で在庫を持つかを

コントロールするのがデカップリングポイントポイントです。

6つのデカップリングポイント

デカップリングポイントと生産方式

6つのデカップリングポイントは大きく分類すると6つあります。

それぞれについて解説します。

  • STS(Sale to Stock)在庫販売
    製品在庫を持つ。製品在庫はすでに販売店にあって、ほぼその場ですぐ顧客に手渡すことができる。(小売店にある製品全般)
  • MTS(Make to Stock)見込み生産
    製品在庫を持つ。製品在庫は、工場または物流会社、卸売業者の倉庫の中にある。
    小売店の要求に応じて製品在庫を出荷する。
    食品やボールペンなどの一般の消費財がこの生産方式が多い。
  • ATO(Assemble to Order)受注組立
    中間品が在庫。顧客から注文があったら、仕掛品を集めて製品を組み立てて出荷する。
    パソコンメーカーのデル(デル・モデル)
  • BTO(Build to Order)受注加工組立
    部品や材料が在庫。顧客からの注文があったら、在庫の部品や材料を集めて生産を開始します。製造リードタイムの短い製品や一部の受注生産
  • MTO(Make to Order)受注生産
    在庫は持たない。顧客からの注文をもらった後に、部品や材料を調達します。
    図面は用意しているため、生産できる商品をカタログや仕様書で選んでもらう。
  • ETO(Engineering to Order)受注設計生産
    在庫は持たない。顧客からの注文をもらった後に、設計を始める。部品や材料は設計終了後に調達を始める。大型の船舶や注文住宅、顧客に応じて採寸をするオーダーメイドの服などに適用されている。

また、図に書いているように、

デカップリングポイントが部品に近い上流工程に行けばいくほど、

  • 在庫が減る
  • 生産量が減る

というメリットはありますが、

  • お客様に届ける時間が長くなる
  • 販売機会を逃す可能性が増える

というデメリットもあります。

逆にデカップリングポイントが製品に近い下流工程に行けばいくほど、

  • お客様にすぐに売れる(販売機会を逃さない)

というメリットがありますが、売れるかどうかわからないものを

あらかじめ用意するため、

  • 生産量が増える
  • 在庫量が増える

という投資したお金がなかなか回収できないデメリットがあります。

デカップリングポイントをどの段階に設定によって会社の在庫量と顧客に届ける納品リードタイムのバランスが変わります。

トヨタ自動車が生産リードタイムを縮める理由

トヨタ自動車は生産リードタイムを極限まで縮めます。

これは原価低減のためですが、一方で顧客満足も高くなります。

なぜなら、トヨタはMTO(受注生産)を実践しているため在庫を持ちません。

生産リードタイムを短くしなければ、顧客は長く待たされることになります。

そこで生産リードタイムを縮めることによって、顧客のもとに早く商品を届けます。

トヨタ自動車が1台の車を作るのにかかる時間は、17~18時間くらいだそうです。(約2~2.5日)

昔は60日近くかかっていたそうなので、このスピードは脅威的ですね。

デルはBTOで成功

デカップリングポイントを説明するうえで、デルは外せない存在です。

デルはパソコン本体のメーカーで、昔は店頭に出来上がった製品を並べて売っていたそうです。

しかし、収益の悪化からビジネスモデルの転換を迫られ、とった戦略がBTO(受注加工組立)でした。

この方法は、部品をあらかじめ持っておき、注文がきたら組み立てる方法です。

DELLモデル

製品在庫から部品在庫にすることによって、在庫量を圧倒的に減らすことができます。

倉庫費用、廃却予定費用(売れない金額をあらかじめ製品の折り込んでいる)などを大幅に減らし、経費が少なくなりました。

その分を、お客様に還元(価格を安くする)しました。これが受けて、デルは業績を回復させました。

会社の都合と顧客満足

工場の都合だけ考えると、上流工程に在庫を持って、在庫量を少なくすることが理想的で、顧客満足を考えると機会損失を少なく
して、他社に勝つために下流工程に在庫を持つことが多くなります。

デカップリングポイントはトヨタ自動車やデルのように会社の戦略とセットで考えるのが良いです。

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