実地棚卸(じっちたなおろし)とは、棚卸資産(棚卸の対象品)を特定して、正しく素早く数えることです。

いつ実地棚卸をするのか、おもなタイミングは「決算期末」ですが、適切な在庫管理のために定期的に行うことが重要です。

実地棚卸を成功させるために””数え方のコツ”は3つあります。以下の図をご覧ください。

実地棚卸を成功させる!

「正しく」「漏れなく」「ダブりなく」という実地棚卸のカウント方法によって、棚卸差異や棚卸減耗などの問題が浮き彫りになります。

こういった問題は、経営を圧迫させる要因となるので、早めの発見・対処が必要です。

しかし、在庫をただ数えるだけにもかかわらず、実地棚卸ではよくミスが起こり、スムーズに進みません。

今回は、実地棚卸の方法でも、注意したい6大ミス(現場・事務所で発生するミス)と対策について、在庫管理の専門家がわかりやすく解説します。また正しく、漏れなく、ダブりなく棚卸しを成功させる、実践的なやり方をお伝えします。

実地棚卸で知っておくべき内容を「在庫管理110番」では発信しています。こちらもご覧ください。

棚卸差異とは|在庫数が合わない理由と改善ポイント、正しい計算方法

棚卸減耗とは|原因・対策を徹底解説!経営危機を脱する在庫管理の知恵

 

在庫管理についてどんなことでもお答えします

実地棚卸の目的

実地棚卸は、会社の持っている資産の総量(金額・数量など)を把握するために必要な作業です。

実地棚卸は法定作業ではありません。つまり会計として義務ではないのですが、売上原価を決めるうえでは、必須といっても過言ではありません。とても大切な作業です。詳しくは国税庁のホームページをご覧ください。

実務レベルでのやり方はこちらをお役立てください。

在庫(棚卸資産)の6つの評価方法

仕掛品を適切に管理するには?棚卸での仕訳・売上原価の求め方を解説

実地棚卸のやり方

実地棚卸のやり方には、「一斉棚卸」と「循環棚卸」があります。

  • 一斉棚卸
    工場だけではなく会社が保有する在庫を全て一度に棚卸をする
    方法です。この場合は、操業を止めて在庫の動きを完全にストップ
    させて行います。
  • 循環棚卸
    ある特定の在庫の場所・種類を決めて、作業する日を分けて棚卸する方法です。サイクルカウンティングとも呼ばれます。在庫の状態を順番に調べていきます。

実地棚卸で起こりやすい6大ミス

実地棚卸は「在庫を数えるだけ」というとても単純な作業です。しかし、必ずミスが起こります。

「情物不一致」という問題もその1つです。

在庫の精度を上げるためには、データとモノの流れや状態が一致している=情物一致を実現する必要があります。

情物一致とは

現場で現品を数えて、それらを事務所でパソコンなどで集計するという流れが一般的です。
それぞれの場所で起こりやすいミスを挙げます。

現場で数えるときに起こりやすいミス

  1. カウント漏れ
    在庫の数え忘れです。棚卸しでは棚の奥に在庫が隠れていたり、
    普段置かない場所に在庫を置いた時に起こります。
  2. カウントミス
    数量の数え間違いです。数量が多くて分かりづらい、
    箱や袋などで梱包されているものを取り出さずに、表記されている
    数を転記する、単純作業が続くので集中力が切れたりするときに
    起こります。
  3. 転記ミス
    在庫の品目番号や場所の記載を現場の表示等から写すときに
    起こります。
  4. 誤品カウント
    似ている品番で起こります。例えば、金具などで左右が
    ある場合、小さな切欠きがあるものと無いもの、素材違いなど
    の紛らわしい品番同士で起こります。
    表示が間違っている場合も起こります。

事務所で起こりやすいミス

  1. 入力漏れ
    現場のデータを入力し忘れた時に起こります。
  2. 読み取りミス
    現場の数字を読み間違えた時に起こります。
    間違えやすいのは、0と6や3と8などです。
    その人それぞれの数字の書き方の癖が原因に
    なることが多いです。

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実地棚卸で大切なことは3つだけ

ミスを無くすために、実地棚卸で必要なことはたった3つです。

  1. 正しく
  2. 漏れなく
  3. ダブりなく

実地棚卸を「正しく」行う

正しくとは、「ルールを作り、考え方を統一し、手順を守ること」です。

  • 在庫の数え方
    在庫をどうやって数えるかを決めます。
    棚にあるものは全て棚から下して数えます。
    これが一番大切です。
    文字通り、「棚卸」とは棚から下すことを指しています。
    棚の上にあるものを遠くから数えるだけでは、数え間違いや
    見落としの原因になります。
    数字の書き方にも注意を払います。
    良く間違えるのが、「0」と「6」や「3」と「8」などです。
    他人が読んでも確実に読みとれるようにしなければいけません。
  • 報告用の書式の統一
    在庫をカウントする書式を全て統一します。
    棚卸で使うのは、事務所に報告をあげるための書式と
    棚卸をした現品に貼り付ける書式があります。
    書式に必要な項目に決まりはありませんが、最低限必要は
    次の4項目です。
  1. 品目番号
  2. 数量
  3. 棚卸場所(エリアや棚番)
  4. 棚卸実施者
  • 事前段取り
    棚卸の成功のカギは、事前準備にかかっています。
    棚卸をする場所の在庫の入出庫の動きは完全に止めます。
    もし、納入業者が出入りするような場合は事前に連絡を
    しておきます。
    預かり品やすでに帳簿から在庫が落ちているもの(落成済み)
    は、棚卸し除外品になります。分かっていても間違えるので、
    必ず「棚卸除外」と大きな貼り紙をしておきます。
    棚番や品目の表示間違い、表示漏れも棚卸ミスに繋がります。
    棚卸までに必ず、正しく整頓をしておきましょう。
    実査に必要な道具も人員分だけ揃えておきます。

棚卸は1人でやるのではなく、複数でやることが普通です。


考え方を統一し、手順を必ず守ります。ルールとして「棚卸実施要領」などのマニュアルを作成しておくのも1つの手です。また担当の場所を決めて、エリアを勝手に離れないようにしなければいけません。

マニュアルの作成方法は、以下でまとめているので、ご活用ください。

エクセルでマニュアルを作成する方法

実地棚卸を「漏れなく」行う

実地棚卸で多いのは、数え忘れや数え間違いです。
これが起こる最大の原因は「見えないこと」「横着」です。

奥にある在庫は、棚から下さないと見えません。
必ず棚から下して数えます。
段ボール箱やビニール袋に入っている在庫は原則として全て取り出します。

ただし、梱包された製品は取り出すことが難しい場合が多いので、箱に記載してある数量を在庫の量として
書き込みます。箱に入数が書いていない場合は、何らかの方法で分かるようにしておかなければいけません。

数え終わったら、必ず「棚卸済」の棚卸現品票を貼り付けます。

色んな場所を飛び飛びで数えるのではなく、実地棚卸が任されたエリアや棚を順番にやっていくのがコツです。例えば、「棚の最上段の左から右へ、最後は最下段の右が終着」といった要領です。

実地棚卸を「ダブりなく」行う

複数でやっていると、同じ在庫をまた数えてしまう「ダブり」が発生します。これを防ぐためには、棚卸しをやったことが分かるような仕組みが必要です。
その一つが、棚卸を終えた在庫に貼り付ける「棚卸現品票」です。
隣り合って2名以上が棚卸をしている場合は、お互いに声掛けをして棚卸の進捗を確認し合います。
棚卸の管理者を決めて、棚卸しが終わったら必ず報告することも有効です。

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実地棚卸のチェックポイント

キーワードを挙げておくので参考にしてみてください。

  • 統一する
  • 揃える
  • やりきる(途中で持ち場を離れない)
  • 見えるようにする
  • 横着しない
  • 止める(在庫の動き等)
  • 取り出して数える(梱包から出す)
  • 担当を決める
  • ひとまとめにする

棚卸について自分で学ぶ

「在庫管理110番」では、あなたご自身で在庫管理の基本を学べるように、在庫管理の教科書というオリジナル教材をご用意しています。

在庫管理の教科書は全4巻です。
中でも棚卸に悩んでいるあなたには、

在庫管理の教科書04「棚卸」がぴったりです。

公認会計士が書いた棚卸の本はありますが、現場目線の本がなかったので実務家向けに執筆しました。

なお、在庫管理の教科書04「棚卸」には棚卸ですぐに使える14個のテンプレートが付属しています。

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「在庫管理110番」では、定期的にセミナーを開催しています。
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棚卸しにシステムを導入する

棚卸しにかかる手間を、大幅に削減したい方は、在庫管理システムを導入するのも1つの手段です。

棚卸しに時間をかけるということは、生産性を低下させる要因にもなります。

在庫管理システムを使えば、過剰在庫・滞留在庫が自動で察知できるので、ムダな作業をする必要がなくなります。

と言っても、わざわざ機能性が充実した高価な在庫管理システムは必要ありません。

最低限の機能があれば、棚卸はできます。機能性よりも「現場での使いやすさ、操作性の良さが重要」です。

弊社では在庫管理のプロが手がけた「成長する在庫管理システム」を提供しています。

  • 一斉棚卸
  • 循環棚卸(必要な部分だけ棚卸をする)

どちらにも対応しています。1品目だけ、一か所だけなど部分的な棚卸も気軽にできます。

具体的には、ロケーション別、品目別、ロット別などで棚卸が可能です。

棚卸の履歴データを全て保管しているので、棚卸差異の原因調査にも役立ちます。

30日間無料でお試しできるので、実地棚卸に活かせるのかトライアル期間でご確認ください。

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また近年では、最新のIoT技術を使って在庫管理ができます。

正確な在庫管理ができるようになり、かつ棚卸しの作業そのものが不要になります。

「在庫管理110番」では、在庫管理システムの導入実績もあるので、ご興味がある方は一度、ご相談ください。

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