欠品率(品切れ率)|最適な管理方法と在庫の持ち方|在庫管理110番

ここでは欠品率の基本を紹介します。

欠品率は、企業や業界によって重視するかどうかが分かれます。

品切れは、悪いように思われがちですが、デメリットばかりではありません。売り切れ御免という姿勢を貫く企業があります。

そこで、欠品率を重視する企業としない企業の事例を見ていきましょう。

欠品率をどのように管理して、欠品に対してどのように対処したらよいのかも解説していきます。

欠品率(品切れ率)とは

まず、欠品率の定義についてご説明します。
欠品率とは需要(注文)に対し、商品を供給(納品)できなかった割合を
示す指標です。品切れ率ともいいます。以下の計算が一般的です。

  • 総顧客数に対し欠品で対応できなかった顧客数の比率
  • 総注文商品数に対する欠品を起こした商品数の比率
  • 総需要額に対する欠品で逃した売上高の比率
    (出所:日本大百科全書 ニッポニカ)

欠品率の重点管理のメリット・デメリット

次に欠品率を重視した場合、または重視しない場合はどのようなことが
起こるのかをご説明します。

特に小売業や流通業では、欠品率が重視されているようです。
欠品率その功罪について考えてみましょう。

  • 欠品率の上昇を重点管理しない場合
    欠品率が上昇すると、売上げ機会を逃す確率が高くなります。
    事業としての信用力や魅力を失う可能性が高く、競争力が低下につながるリスクがあります。一般に、欠品率は売れ筋商品ほど需給の変動が大きく、競合他社商品との関係もあり、高くなる傾向があります。
  • 欠品率をできるだけ下げようとする場合
    欠品率を完全に排除しようとすると、膨大な在庫をもたねばならず、保管等の管理コストがかさむうえ、売れ残りのリスクを抱えることにもなります。

このため、マーケティングでは欠品による売上げ機会の損失と在庫コストなどのバランスを考え、最適な「許容欠品率」を設定することが重要です。
しかし、現実問題として多くの企業では安全在庫として在庫を多めに持っています。

欠品の因果関係
月末の需要と供給から発生した比率を欠品率と想定したものを事例として、シックスシグマで因果関係を示したものです。今回は、現状20%の欠品率を10%にするためにはどのような要因があるかを示しています。

  • 販売起因:販売予測精度と安全在庫(販売側で抱える在庫)の要素が大きい
  • 調達/生産起因:リードタイムと安全在庫(本部や工場側で抱える在庫)の要素が大きい
  • 物流起因:配送コスト(費用対効果)頻繁に配送することによるコスト
  • 同業他社の在庫状況:他社の売れ筋商品の品薄の有無

ここから学べる点は、欠品率を改善するためには、販売、調達、生産、
物流の機能を強くすることです。これらをバランス・スコアカードの視点から評価する
ことが重要です。

  • 財務の視点: 収益性、キャッシュフロー等
  • 顧客の視点: 欠品率、顧客満足度、顧客不満足度等
  • 内部プロセスの視点: リードタイム短縮、販売予測精度、出荷遵守率等
  • 学習と成長の視点:データの可視化、要因分析と改善活動

欠品率の重要度(業界別)

欠品率を意識する業界は、多々ありますが、その運用状況は業界によって様々です。

  • 飲食料業界:賞味期限や消費期限があり、欠品率と鮮度を重視。
  • アパレル業界:競争が激しいこともあり、欠品率を重視。
  • 医薬品業界:厚労省のガイドライン(2か月の在庫保持)により特殊事情がない限り、欠品率はある程度 担保される。
  • B2B市場: 業界に関係なく、欠品率は重視される。

売り切れ御免

欠品率と相反する施策として、売り切れ御免があります。
売り切れ御免とは、(定番商品を除き)売り切れると追加発注しないことを原則とすることです。

  • しまむら:衣料品の販売小売業でファーストリテイリングに次いで業界2位。
  • 大創産業:ダイソー100円ショップを展開、商品点数は5万点を超える。

どちらも売り切れ御免(欠品を容認)していますが業績は堅調です。

次に日本のアパレル業界の在庫状況について触れてみましょう。
アパレルの半分は、売れ残り「収益より売上高」の悪循環
2019年6月12日の日経新聞によると

  • アパレル業界のセール頼みに歯止めがかからない。
  • 2018年に市場に投入された衣料品のうち、実際に売れたのは46.9%にとどまり、約30年前と比べて半減した。
    衣料品の販売率
  • 収益性よりも売上高を重視する慣行から抜けきれず、売れ残った商品を値引きする悪循環に陥っている。
  • アパレル大手は在庫管理の精度を高めることで、需要に見合った生産への転換を急ぐ。

しまむら
「同社のPB商品を定価販売した割合は19年2月期で77%と前の期より7ポイント低下。16年2月期と比べると10ポイントも下がった。19年2月期の連結決算は売上高が前の期比3%減の5459億円、営業利益は41%減の254億円に落ち込んだ。」

レナウン
「暖冬で冬物コートなどの販売が振るわなかった。19年2月期の定価販売率は65.4%と前の期より1.8ポイント下がり、営業利益は25億円の赤字(前の期は2億円の黒字)に沈んだ。」

この報道から一年後、レナウンは破産手続きに、しまむらは在庫管理
を徹底して業績を回復と、両者の明暗が鮮明になりました。
しまむらの直近の状況については、以下を参照ください。
コロナ禍における在庫と運転資本の関連性2(アパレル業界)

アパレル業界の廃棄ロスは環境問題

「半分以上が売れ残る」アパレル業界が直面する絶望的状況
(2020年6月22日 週刊エコノミストOnline)

ファッション・アパレル業界は、過剰生産・大量廃棄や温暖化物質の排出などにより、石油業界に次ぐ2番目に環境負荷が大きい業界だ。日本でも年間29億着が供給されるが、半分以上の15億着が売れ残り、約100万トンが廃棄されている。

欠品による機会損失

一般的にどの企業も営業関係者は、特に売れ筋商品または定番商品に関して欠品による販売機会ロスを極小化するために、安全在庫として在庫をやや多めに持つ傾向にあります。
欠品の流れについて、高崎商科大学商学部特任教授・梶田ひかる氏は
以下のように整理しています。
欠品の流れの分類

欠品が発生した際、機会損失を回避するため、営業努力が求められます。
詳細は、キャッシュ・コンバージョン・サイクルの事例(ファーストリテイリング)をご覧ください。

欠品率を重視する/重視しない会社の事例(ユニクロ対ZARA)

  • ユニクロ
    小売業の発想で「作ったものを売る」という考えを持っています。
    したがって、毎シーズンに需要期に店頭在庫を欠品させないため、欠品率を重要視します。
  • ZARA
    製造業の発想で「売れるものをつくる」という考えを持っています。
    常に最新のファッション商品を店頭に並べることに注力して、売れ筋商品を欠品させないように補充するという考えはありません。

欠品の対象方法(欠品率の管理)

では欠品率をどのように管理して、欠品に対してどのように対処したらよいのでしょうか?それは、欠品率は指標の一つとし他の指標と連動させることです。

1.目的は在庫回転日数をいかに改善するか?

在庫回転率改善の効果
欠品率は目的でなく、あくまでも手段として位置づけることが重要です。
顧客満足度を測定する一つの指標ですが、在庫に関連する下記の指標
を考慮する必要があります。
在庫回転日数が改善されると、二つの効果があります。

  1. 企業価値向上: 具体的には資産効率が改善されます。
  2. 現場力強化: 無駄な在庫を削減できます。

特に過剰在庫は要注意です。
「売れ筋商品だから多少、大目に持っていても特段、問題なし」?
この場合、欠品率という点では問題ないかもしれませんが、
企業として資金繰りに悪影響を及ぼさないか、確認が必要です。
欠品率の対象となる売れ筋商品こそ、在庫金額が大きいため、在庫回転日数
を意識することです。
また欠品率の対象とならない商品については、滞留在庫リスクを意識して、
在庫回転日数を改善することも肝要です。
すべての商品に対して、許容欠品率よりも在庫回転日数で
許容範囲を設定することをお勧めします。

2.商品ライフサイクルを意識した在庫管理

商品ライフサイクル
商品には、導入期、成長期、成熟期、飽和期、衰退期があります。
定番商品であれば、最後まで欠品率は重要な指標になります。
仮に欠品率が改善したら、在庫増のリスクを、逆に悪化したら、品切れリスクを
意識することです。ここでも在庫回転日数での評価が役立つでしょう。

3.販売予測精度の結果、要因と対策を常に意識する

小売業の場合、販売とは取引先(卸売業者や小売店)に販売した結果ですが、
在庫は店頭から最終顧客にわたるまで流通在庫として存在します。
したがって、販売予測精度の結果を分析する際には、計画や見込みと実績
との乖離要因として以下が挙げられます。

  1. 商品の市場での反応(特に新製品導入時)
  2. 流通在庫、販売実績の状況(含む競合他社の状況):売れているか?
  3. マーケティング要因:販売価格に問題なかったか?(含む競合他社の状況)
  4. 品質問題
  5. 販売見込み実務者のスキル
  6. 特殊要因:物流上の問題、天災(台風、地震、気候変動)、インバウンド特需等

プロセス別リードタイムと在庫との関係

下図は、プロセス別にリードタイムと在庫の関係を表したものです。
リードタイムと在庫の関係

受注から納品までこれだけの工程を経るわけですが、
通常は見込生産であらかじめ工場または販社在庫にある程度保管されます。
その場合、お客様の納入までのリードタイムは、

  • 配送(1)リードタイム
  • 配送(2)リードタイム
    を合計したリードタイムになります。

この場合は、安全在庫を多めに持つことで即納できる環境になります。
一方で、在庫を持つことによって抱える様々なリスクとして考えられるのは、

  • 商品陳腐化
  • 価格下落
  • 新商品への切り替えタイミング
  • 在庫起因コスト(保管にかかる費用など)

これらのリスクを冷静に考えると適切とはいえないでしょう。

本来のあるべき姿としては、各プロセス(行程)で発生するリードタイム
を確認し、各々の工程で短縮するための施策を検討することが求められます。

リードタイム短縮は、在庫保有日数とも密接に関係するため、
キャッシュフロー改善に寄与することになります。

欠品率は販売予測精度と安全在庫に密接に関係する

国内アパレル会社の在庫回転日数の推移
※在庫回転日数=四半期末在庫÷当該四半期の売上原価×90日

最後に、国内アパレル業界5社の過去14四半期の在庫回転日数を確認してみましょう。

欠品率を重視するファーストリテイリング(海外売上比率は約50%)と売り切れ御免を貫くしまむら(国内中心)は好対照であることがわかります。

欠品率は、販売予測精度と安全在庫に密接に関係するため、
総合的な評価が求められます。

  1. 販売予測精度の測定・分析と改善
  2. 安全在庫保有日数:許容範囲を決めることで資金繰りのインパクトがわかる。

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