売れ筋や最新機能を備えた在庫管理システムが、日々の在庫管理業務で使いやすいとは限りません。
じつは、製造現場の作業員にとって、使いやすい在庫管理システムには特徴があります。
以下、3つのポイントです。
- シンプルなボタンで直観的に使える
- 1日あれば簡単に覚えられる
- 適正在庫など成果を出しやすい
3つの条件を満たすには、【最低限の機能を搭載した在庫管理システム】である必要があります。
しかし、実際は使いにくい在庫管理システムを導入してしまう企業は少なくありません。
その場合・・・
「不良在庫などの在庫問題が解決しない」
「作業員による操作ミスが発生する」
「現場から、実務で使いづらいと不満の声が上がる」
というトラブルが発生しやすくなります。現場の担当者に負担を与えないため、本来の導入目的を果たすには、使いやすい在庫管理システム選びが重要です。
ここでは、使いやすさの3つのポイントを解説しながら、貴社に適切な在庫管理システムを選ぶ基準を紹介します。
目次
使いやすい在庫管理システムの3つの特徴
ここでは製造業の工場・倉庫で業務をする現場作業員にとって、使いやすい在庫管理システムの特徴は以下の3つです。
- シンプルなボタンで直観的に使える
- 1日あれば簡単に覚えられる
- 適正在庫など成果を出しやすい
具体的に紹介をしていきます。
①シンプルなボタンで直観的に使える
現場作業員が、操作画面を見ながら、感覚的に使いやすいかどうかがポイントです。
とくに
- はじめて在庫管理システムを使用する作業員
- 新任の現場担当者
- パート・アルバイト、新入社員
が、使いやすいと感じるかが判断基準です。
ベテラン作業員や熟練の担当者だけが使いやすい在庫管理システムにしてしまうと、属人化リスクが高くなります。
ボタンが多かったり、操作画面に機能がたくさん表示されていたりすると、在庫管理の初心者が使用する際、混乱を招きます。
私たちが今まで使い慣れてきた「エクセル」や「紙」の在庫管理表に近い操作画面であれば、手作業に近い感覚でシステムを操作できるでしょう。
はじめて使用する機能でも、わかりやすい場所にボタンが設置されていることで、在庫管理システムの利用者への負担を軽減できます。
②1日あれば簡単に覚えられる
1日もあれば、在庫管理システムの使い方を習得できる簡便さが求められます。
覚えるのに何日も何週間もかかり、特定の人しか使えないような在庫管理システムは、現場でフル活用できません。
また、製造現場の作業員が在庫管理業務にストレスを感じるようになります。
在庫管理を操作するハードルを下げるためには、すぐに誰でも覚えられるものでなければなりません。
そのためには「必要最低限の機能」であることが鉄則です。
具体的には、
- 入出庫管理
- ロケーション管理
- 棚卸し
- 検索
- 在庫分析
などが挙げられます。
あまりに機能が多くなると、使いこなせる担当者が限られてしまうほか、教育にも時間がかかり、効率的ではありません。
一方で、「入出庫管理」のみなど、少なすぎるのも適していません。
在庫管理システムの目的は、現在の在庫情報を過不足なく把握して、最適に管理することです。それを実現するために必要最低限の機能が必要です。
③適正在庫など成果を出しやすい
在庫管理システムの成果は、「在庫回転率」や「棚卸差異率」「リードタイム」の改善などに数字として現れてきます。
成果を出すためには、現場の運用ルールがカギを握ります。在庫管理システムは、各企業のやり方に合わせてくれるわけではありません。
また、データは更新できても、現品を扱うことはできません。
在庫の流れ(業務フロー)にあったルールづくりをして、企業のやり方を軸にした運用をしていく必要があります。
そのために、現場とシステムを任せられる担当者を置くか、専門家のサポートを借りて、導入・運用していくことをおすすめします。
なぜ使いにくい在庫管理システムを経営者は選んでしまうのか?
在庫管理システムを導入しても、「在庫管理の実務に役立つ機能がない」「在庫問題がまったく解決しない」など不満の声を少なくありません。
在庫管理システムを導入する決裁権は、経営トップ・マネジメント層にあります。
なぜ、経営陣は製造現場の作業員にとって、使いにくい在庫管理システムを選んでしまうのでしょうか。
それは「現場で使いにくい」在庫管理システムほど、優れている機能を充実させている傾向にあるからです。
多機能や最新機能のサービスは、とても魅力的です。近年は、ハンディ端末や基幹システムとの連携機能など、使いたくなるような機能が次々と開発されています。
もちろん、貴社に必要な機能であれば、活用する価値は大いにあるでしょう。
しかし、成長中の企業や中小企業にとっては、優先すべき内容ではありません。
「結局は現場で使わない」「業務に必要な機能ではない」ことがほとんどです。
たとえば、「需要予測」機能が挙げられます。最近はAIによる高精度な需要予測ができるシステムもあり、まく活用すれば生産や調達に役立てることが可能です。
需要予測は当たる・当たらないという議論がありますが、むしろ在庫管理システムが果たすべき、おもな役割ではない、ということを理解すべきでしょう。
また、すべての作業員が需要予測を担当するわけではなく、毎日の業務にはなくても支障はありません。
このように魅力的な機能でも、製造現場では必要がない、もしくは多すぎることで、使いづらさが増してしまうのです。
使いやすい在庫管理システムの選び方
使いやすさは、ユーザビリティと呼ばれています。
ユーザビリティ研究の第一人者である、アメリカの工学博士ヤコブ・ニールセン氏によれば、ユーザビリティは5つの特性からなると論じています。
- 学習のしやすさ
ユーザーがそれを使って作業をすぐ始められるよう、簡単に学習できること。
- 効率性
一度ユーザーがそれについて学習すれば、後は高い生産性を上げられるよう、効率的な使用を可能にすること。
- 記憶のしやすさ
ユーザーがしばらく使わなくても、また使うときにすぐ使えるよう覚えやすくすること。
- エラー
エラー発生率を低くし、ユーザーがシステム使用中にエラーを起こしにくく、もしエラーが発生しても簡単に回復できること。
- 主観的満足度
ユーザーが個人的に満足できるよう、また楽しく利用できること。
5つの特性は、使いやすい在庫管理システムを選ぶポイントとして適用することができます。
在庫管理業務でのユーザビリティの高さを考慮して、貴社にふさわしい在庫管理システムを選別してください。
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