目次
サイクル在庫とは?
サイクル在庫とは、一定期間内の需要数(販売数や使用数)を満たすための在庫数のことです。
言い換えると、発注リードタイム(発注してから納品されるまでの期間)に欠品しないように需要を満たす発注数(発注ロット数)のことです。
色々な記事でサイクル在庫が適正在庫であるというような記事がありますが、実は間違いです。
サイクル在庫が分かれば、自社の在庫が過剰なのか適正なのかの判断が可能です。
サイクル在庫というものが何かということを知れば、サイクル在庫を正しく適正在庫に活用することができます。
- サイクル在庫の計算方法
- サイクル在庫で会社の想定在庫金額が分かる
- サイクル在庫から適正在庫を判断する方法
- 【無料ダウンロード】サイクル在庫から想定在庫を計算できるエクセルフォーマット
サイクル在庫の計算方法
サイクル在庫は以下の方法で計算します。
パターン1:需要数からサイクル在庫を計算する
サイクル在庫=一定期間の需要数÷2
- 1日当たりの需要数:400個
- 需要期間が5日間
- この時に必要な在庫数は400×5=2000個
サイクル在庫は、2000÷2=1000
となります。
パターン2:発注数または発注ロット数からサイクル在庫を計算する
サイクル在庫=発注ロット数÷2
- 1回の発注ロット:1000個
サイクル在庫は、2000÷2=1000
となります。
【注意点】
この時の発注数(発注ロット)は、安全在庫を考慮しない使い切る在庫量(在庫がゼロになる発注数)のことです。
サイクル在庫はなぜ2で割るのか?
サイクル在庫を2で割る理由は、需要期間の平均在庫数を計算しているからです。
上記の期間の在庫数の平均値は、
(2000+1600+1200+800+400+0)÷6=6000÷6=1000
つまり、一定期間の平均在庫がサイクル在庫になります。
サイクル在庫から会社の想定在庫金額が予測できる
サイクル在庫は平均在庫なので、サイクル在庫が分かればある程度在庫金額が想定できるということが分かります。
自社の1回当たりの発注数(発注ロット)と仕入れ単価をかけた在庫金額在庫金額を計算すれば良いです。
計算式:サイクル在庫金額=発注数×仕入単価
上記場合、サンプル1~サンプル6のサイクル在庫が分かれば、この会社の想定在庫金額が計算できます。
サイクル在庫と適正在庫の関係
サイクル在庫は、一定期間内の需要数(販売数や使用数)を満たすための在庫数なので、需要の増加があると欠品してしまいます。
そこで、必要なのが安全在庫です。安全在庫の計算方法はこちら
つまり、会社の適正在庫の計算は、
適正在庫数=サイクル在庫数+安全在庫数
適正在庫金額の計算は、
適正在庫金額=サイクル在庫金額+安全在庫金額
と考えることもできます。
サイクル在庫+安全在庫は適正在庫ではない
『サイクル在庫+安全在庫=適正在庫』という考え方は、発注数と安全在庫が適切に設定されているということが前提です。
なぜなら、サイクル在庫も安全在庫も実務の都合から計算する数値だからです。
欠品を過度に恐れた過剰気味の発注数や安全在庫であれば、在庫金額が膨れ上がっており、
会社が望んでいない発注数や安全在庫かもしれません。
【無料ダウンロード】サイクル在庫を計算できるエクセルテンプレート
自社のサイクル在庫金額から、想定在庫金額が計算できる無料フォーマットをご用意しました。
【使い方】
2パターンの使い方があります。
パターン1:需要数からサイクル在庫金額を計算する
管理している在庫の1日当たりの出庫数(販売数、使用数)と発注リードタイム(需要期間)から、サイクル在庫計算します。
平均在庫回転日数の計算も計算していますので参考にしてください。
パターン2:発注数または発注ロット数からサイクル在庫を計算する
もし、在庫データが無く1日当たりの出庫数が分からなかったり、発注リードタイムが決まっていない場合は、こちらを使ってください。
管理している在庫の発注ロット数(発注数)から、サイクル在庫計算します。
※発注ロット数が決まっていない場合は、過去1年間分の発注数の平均値を入力すれば良いでしょう。
パターン3:1年間に1回も発注していないものがある場合
滞留在庫や不良在庫などで1年間に一回も発注していないモノの場合は、
- 発注数=0
- 安全在庫数=現在庫数
として計算すると良いです。
【結果の見方】
- 会社が目標(理想)としている在庫金額よりも、想定在庫金額が大きければ、発注ロット(発注数)や安全在庫数を見直す必要がある。
- 安全在庫率が高ければ、安全在庫の持ち方を見直す。(会社の戦略にもよりますが、安全在庫率は~20%が理想です。)※安全在庫率が高いということは、動きの少ない在庫の割合が多いということになります。
会社の想定在庫金額や適正在庫とかけ離れている場合
ここまで、会社の想定在庫金額や適正在庫が、サイクル在庫からある程度計算できると解説しました。
実際に計算をしてみると、かけ離れている場合があります。
実は、他の記事では解説されていませんが、一定期間の需要数が想定通りで安定している場合を前提条件としています。(サイクル在庫の計算式:一定期間の需要数÷2)
つまり、需要数が想定と違い滞留や不良在庫になっている場合や納入リードタイムが遅れている場合など、異なった条件になっているため、当初の見込みは当てはまりません。
このような状態の場合は、在庫の在庫回転率を計算して流動性を見て、滞留していないかどうかを調べます。
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