
在庫管理アドバイザーの岡本です。
「在庫回転率ってなに?」
「どうやって回転率を計算するの?自社にとっての適正値は?」
「在庫回転率を使って削減はできる?」
と疑問を持つ方に、在庫管理アドバイザーの立場から解説します。
在庫回転率は、在庫が出入りするサイクルの早さのことです。回転率を上げれば、在庫がお金に変わるスピードが加速します。
計算式は「売上原価 ÷ 平均在庫金額」ですが、これをもとに適正値や在庫削減の方法がわかわります。
在庫管理の最重要指標は、在庫回転率だと私は考えています。資金繰りや業務効率化のために、もっとも活かせる指標だからです。
今回は、在庫回転率の基本をまとめました。しかし、知識だけでは意味がありません。経営や実務での使いこなし方を、今までの経験からわかりやすく解説します。適正在庫・在庫削減をするための改善ポイントも、4ステップで紹介しています。
現場の担当者であれば、すぐに実践できます。使いこなせるようになって頂ければ幸いです。
以下のノウハウと合わせて実施することで、より結果が出やすくなります。
➽製造業で在庫削減するには|9つの方法を在庫管理のプロが解説
もくじ
在庫回転率の意味
在庫回転率とは、商品や部品などの在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
商品の場合は「商品回転率」とも言いますが同じ意味です。
また、財務諸表や管理会計では「棚卸資産回転率」と呼ばれます。
在庫回転率を計算することで、在庫や商品の動きを把握できるようになります。
無駄な在庫を抱えている企業の多くは、自社の在庫の動きが正確につかめていません。
まず理解しておきたいのは、在庫回転率は数字が高ければ高いほど良いということです。
- 在庫回転率(商品回転率)が高い=適正在庫が実現できている
- 在庫回転率(商品回転率)が低い=在庫が会社に滞留している
在庫回転率が低いと、倉庫や工場に在庫が眠っていることを意味します。
在庫が出入りするサイクルを改善して、在庫回転率を上げることで「在庫が早くお金に変わる」メリットを得られます。
キャッシュフローが改善されるので、「資金繰りが悪化している」という会社には効果的です。
また在庫量が減るので、管理面も効率的で楽になります。
では、どうすれば在庫回転率を、在庫管理に活かすことができるのでしょうか。
まずは在庫回転率を計算してください。次に、理想的な数値まで上げていくための施策を行います。
どのように改善ができるのか、具体的な計算方法と改善プランについて紹介していきます。
在庫管理の担当者は、ぜひ在庫回転率のコントロール方法を習得してください。
適正在庫の実現・在庫削減のために、以下の記事もお役立てください。
在庫回転率の計算方法
在庫回転率(商品回転率)では、どの在庫がどれだけの早さで回転しているのかを、1年単位で見ます。
1年間の在庫回転率が2という単位の場合、「1年間で2回在庫が回転した」ということです。
在庫回転率は次の計算式で求めることができます。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額
- 売上原価
売上原価の計算式は、
売上原価 = 期首在庫金額 + 仕入れ在庫金額 - 期末在庫金額
つまり、一定期間で使った在庫の金額(出庫金額)です。 - 平均在庫金額
平均在庫金額の計算式は、
平均在庫金額 =(期首在庫金額 + 期末在庫金額)÷ 2
在庫回転率の計算例
では、在庫回転率の具体的な計算例を見ていきましょう。
その前にまず、売上原価の計算方法を解説します。
売上原価は、期首在庫+仕入高-期末在庫
となります。
次のような場合、在庫回転率はどのようになるか見てみましょう。
- 期首在庫金額:1,500
- 仕入れ在庫金額:5,000
- 期末在庫金額:3,500
まず、売上原価と平均在庫金額をそれぞれ計算します。
- 売上原価= 1500 + 5000 – 3500 = 3000
- 平均在庫金額 = (1500 +3500 )÷ 2 = 2500
ここから在庫回転率は、次の通り求められます。
在庫回転率 =3000 ÷ 2500 = 1.2
1.2回転いう単位で使用されます。
先ほどの図に当てはめるとより分かりやすいです。
製造業における在庫回転率の平均値をまとめてみました。
中小企業のデータが業界ごとに見やすくなっていますので、自社の適正在庫の目安としてご利用ください。
自社の在庫回転率について相談したい、もっと詳しく知りたい方はお気軽にお問い合わせください。
1か月間の在庫回転率を計算したい
在庫回転率は、ある一定期間にどれくらい在庫が回転したかが分かる指標です。
つまり、1年である必要性は無く、期間は自由に設定できます。
その方法は、期首~期末の範囲を変えるだけです。月ごと、週ごとで在庫回転率を計算するなら、以下の通りになります。
- 1か月であれば、「期首=月初」、「期末=月末」
- 1週間であれば、「期首=週の初め」、「期末=週末」
- 売上原価の合計は、期間中の合計(例:1か月であれば、1か月間の売上原価)
インターネットで1年間の在庫回転率の求め方しか出てこない理由は、税理士や公認会計士が在庫回転率について解説しているからです。彼らは決算書を見ますので必然的に1年間が1つの単位になります。
実務的な改善活動では、1年間の結果を見てからアクションを起こすのは遅すぎます。
最低でも1か月間の在庫回転率を管理しましょう。
売上ではなく売上原価を使う理由
在庫回転率を調べてみると、次の2通りがあります。
- 売上高で計算している場合
- 売上原価で計算している場合
在庫回転率でつまづいている方は、ここで悩まれていることが多いようです。
結論から言えば、売上原価です。
売上高は販売価格であり、売上原価は仕入れ値(原価)です。
例えば、
仕入れ値:100円 販売価格:200円 仕入れ数:10個 (期首在庫数は0個) 販売数 : 5個 (期末在庫数は5個)
仕入れ値(売上原価)で計算すると、
在庫回転率は次のようになります。
売上原価= 0 + 100×10 - 100×5 = 500円 平均在庫= ( 0 + 500)÷2 =250
在庫回転率 = 500 ÷ 250 = 2
一方、売上金額で計算すると
売上金額 = 200 × 10 =2000 平均在庫= ( 0 + 500)÷2 =250
在庫回転率 = 2000 ÷ 250 = 8
売上で計算したほうが在庫回転率が高い数値になります。(良くなる)
在庫回転率が上がってしまいました。明らかにおかしいですよね。
販売金額とは、仕入れ値に利益を乗せた金額です。
売上金額を使ってしまうと、利益分だけ在庫回転率が良くなってしまいます。
利益率の高いもの(原価率の低いもの)は在庫回転率が良くなり、
利益率の低いもの(原価率の高いもの)は在庫回転率が悪くなる
というおかしなことが起こります。
つまり、分母(出庫)と分子(平均在庫)の金額単位を合わせなければいけないということです。
金額は原価、仕入れ値(売上原価)も原価ですが、販売価格を使うと「原価+利益」となってしまいます。
平均在庫金額に使われる在庫金額は、仕入値=原価です。
分母である在庫金額は常に仕入値=原価なので、分子も仕入値=原価にしなければおかしな計算結果になります。
なお在庫回転率は、エクセルで自動計算できます。手作業では時間がかかりますし、ミスが発生する可能性もあります。
『在庫管理110番』では、無料でテンプレートを配布しているので、ご活用ください。
在庫回転率を数量で求める方法
在庫回転率は金額ではなくて、数量で求めることもできます。
その場合の計算式は、
在庫回転率 = 出庫数 ÷ 平均在庫数
平均在庫数の計算式は、
平均在庫数 =(期首在庫数 + 期末在庫数)÷ 2
金額を数量に置き換えれば良いだけです。
在庫回転率の計算方法の最後に、在庫金額と在庫数量、それぞれの求め方を期間別(1年間、1か月、1週間)で解説します。
【無料】在庫回転率計算フォーマット
在庫管理110番では、在庫回転率を計算する無料フォーマットを作成しました。
決算書に対応したパターン(経営層向け)と個別品目の計算に対応したパターン(実務者向け)をそれぞれ作成しました。
簡単な登録で入手できます。ぜひご活用ください。
➽【無料ダウンロード】在庫回転率を計算できるエクセル・テンプレート
在庫回転率の計算を金額・数量で使い分ける
在庫回転率は、金額でも数量でも求められるということが分かりました。
なぜ2つの方法があるのか、そしてどのように使い分ければ良いのかを解説します。
■在庫金額を使って計算する場合
- 経営的な観点(主に財務改善)※決算書や後述する在庫金額(適正在庫金額)を決定する時など
- 優先順位の決定 ※在庫金額や単価の高い商品を優先すれば、会社に対する貢献度が大きい
■在庫数を使って計算する場合
実務的な観点で在庫回転率を計算する時に使います。
具体的には、個々の品目の在庫回転率のモニタリング等です。
価格は変動する
価格ではなく数量を使う具体例を解説します。
金額は仕入れ方法や仕入れる時期によって変わることがあります。
例えば、
- ボリュームディスカウント(大量仕入れによる値引き)
- 輸入品(為替レート)
数量が全く同じでも、金額は違うこともあります。
金額だと在庫回転率が変動するため、正しい評価ができません。
財務や投資の世界では、財務諸表上の数値を使うので、在庫金額をおすすめします。
決算などで在庫管理を評価する場合は、金額で良いです。
ただし、改善活動を評価する場合、金額は変動しますし、会社全体の値なので管理指標としては不適切です。
改善活動、在庫のコントロール、管理指標などで実務的に在庫回転率を使う場合は、数量での計算をお勧めします。
在庫の流動性を計る管理指標として、在庫回転率(在庫回転日数)を使います。
在庫で管理すべき指標には、「精度」と「流動性」があります。
「流動性」を計る管理指標として、在庫回転率(在庫回転日数)を使います。
在庫回転日数の計算方法
在庫回転率から「在庫回転日数」(商品回転日数)の計算もできます。
復習しておくと、在庫回転率(商品回転率)は、在庫がどれくらいの早さで使われたかを見る指標です。
例えば、「1年間の在庫回転率が2の場合、1年間で2回在庫が回転した」ということになります。
ただ、単位が「率」だと感覚的にわかりづらいので、「日数」に直します。
これを在庫回転日数(商品回転日数)といいます。
在庫回転日数=日数÷在庫回転率
例えば、期間が1年であれば、調査日数は365日です。
先ほどの例では、在庫回転率が1.2だったので、
これを在庫回転日数に直してみると次のようになります。
在庫回転日数 = 365 ÷ 1.2 ≒ 304.1
この場合では、在庫が1回転するのに約304日
掛かるということが分かります。
在庫回転日数について、こちらで解説しています。
在庫回転日数は数値が小さいほど、会社に
在庫が滞留している期間が短いです。
会社に在庫が滞留している期間が短いということは、
在庫が効率よくお金に変わっているということです。
つまり、在庫回転率は在庫の資金繰り(キャッシュフロー)
の良さを表す重要指標といえます。
在庫回転率が在庫管理の最重要指標である理由
私は、在庫回転率は在庫管理における最重要指標だと考えています。
その理由は大きく分けて2つあります。
- 経営と実務をつなぐ管理指標
- 経営の健全度を測る管理指標
在庫回転率は経営と実務をつなぐ共通言語
経営者などの上層部は在庫をお金としてみます。在庫金額がいくらあるのかが大切なのです。
一方で、現場などの実務層は、在庫をモノ(数量)で見ます。
「いくつある、いくつ生産、いくつ売る・使う」など、基本的に商品・部品を数量で見て管理しています。
経営層は、在庫金額は○○円にしないといけない!
現場は、A社様に商品を○○個お届けしないといけない!
といった悩みを、それぞれ抱えています。
これが経営と現場のギャップを生んでいる原因です。
この問題を解決してくれるのが在庫回転率(商品回転率)です。
先ほどご紹介したように、在庫回転率は金額でも数量でも、正確に計算できます。
つまり、経営層も、現場も同じ在庫回転率という指標を使うことができるということです。
経営層が在庫回転率(在庫回転日数)を○○にしろ!
という言葉は、現場の業務でも置き換え数量で置き換え可能です。
経営者が、在庫回転率と在庫金額を意思決定に利用するために、こちらを参考にしてください。
在庫回転率で経営の健全度が分かる
在庫回転率は、在庫が現金化するスピードを示します。
在庫は売るためのもので、早く売れば売る(在庫回転率大きい)がほど現金に早く変わり儲かります。逆に、売れるのが遅い(在庫回転率が小さい)ほど、現金に変わらず儲かりません。
下の表を見てください。
優良企業(利益を出している企業)と赤字企業の財務状況を比べたものです。
製造業、卸売業、小売業の業界別にまとめました。
売上高はあまり変わりませんが、優良企業の方が在庫回転日数の数値が小さい(在庫回転が良い)ということが分かります。
企業規模を問わず、健全な経営をしている会社は、在庫回転率が良い傾向にあります。
適切な在庫管理に成功しており、在庫が効率よくお金に変わっていることを示します。
先ほどの表で優良企業と赤字企業の売上高に対する在庫金額を比較しました。(表の比率)
例えば、製造業の優良企業は、売上高に対して在庫金額が8%以下に収まっているのに対して、赤字企業は8%を超えています。
業績が悪くなってくると、在庫金額が膨らんでくることが多くなるのが一般的です。在庫金額だけではなく、もろもろの管理コストも増大します。
つまり、優良企業ほど少ない在庫金額で売り上げを上げているということが分かります。
売上は優良企業と赤字企業でそんなに変わりません。対策として過剰な仕入をしておらず、
適正在庫を維持しているということが分かります。
在庫回転率を管理しなければいけない理由
在庫回転率の大きい企業には優良企業が多い理由は、在庫回転率を管理しないといけない理由に直結します。
在庫回転率が小さい(悪い)と、、
- 資金繰りが悪くなる:在庫がお金として会社に眠っている状態=在庫が売上に貢献できていない
- 効率が悪くなる:倉庫や作業場がモノであふれるため、作業効率が低下する
自社の適正な在庫回転率を見極めて、維持管理しなければいけません。
次に在庫回転率と適正在庫について解説します。
在庫回転率と適正在庫の関係
もう一度、在庫回転率の基本となる計算式を見てみます。
在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額
在庫回転率と在庫金額には関係があることが分かります。
裏を返せば、
- 在庫金額を決めれば、理想的な在庫回転率が計算できる
- 在庫回転率を決めれば、理想的な在庫金額が計算できる
ということになります。
それではまず、業界別の一般的な適正在庫日数をご紹介します。
適正在庫日数(業種別)
業種別の一般的な在庫日数は次の通りです。
- 製造業 30-50日
- 卸売業 20-30日
- 小売業 15-20日
会社の現状から適正在庫が計算できます。
適正在庫を目安に設定して在庫削減活動に取り組むこともできます。
キーになるのはやはり在庫回転率(商品回転率)です。
アパレル業界の事例として、ユニクロの在庫回転を分析したので、参考にしてください。
在庫回転日数とリードタイムの関係
在庫回転日数はリードタイムと密接な関係があります。
リードタイムは物流関係者なら馴染みのある用語でしょう。
製品(部品など)を発注してから納品されるまでの所要日数のことを言います。
詳しくはこちらの解説をご覧ください。
例えば、在庫回転日数が40日であれば、40日分の在庫を持っているということになります。
在庫として最低限持たなければいけない数量は、リードタイムの日数分です。
仮に、仕入れのリードタイムが10日だった場合、少なくとも10日以上分の在庫がないと欠品します。
先ほど、業種によって目安が出ているとお伝えしましたが、
これは扱うもののリードタイムによってもかなり変わります。
例えば、製造業でも部品が輸入品、しかも船便であればリードタイムはそれだけで30日です。
一方、国内からの調達であれば、そんなに時間は掛からないでしょう。
小売業といっても、例えばアパレルであれば、日本国内よりも中国や東南アジアからの輸入品が多いと思います。
すると、船で仕入れるだけのリードタイムが掛かっているということを忘れてはいけません。
仕入れ方によって自社の適正な在庫回転日数は大きく変わります。
逆に、仕入れのリードタイムが10日にも関わらず、在庫回転日数が30とか40日もあれば、それは過剰在庫・余剰在庫であるとみなすこともできます。
指標を目安として捉え、自社の適正な在庫回転日数をリードタイムから調査してみることをお勧めします。
在庫回転日数を使った在庫削減方法
自社の適正な在庫回転日数が分かれば、あとは回転率を上げるだけです。
在庫回転率を上げる=過剰在庫の削減です。
しかし、全ての在庫に対して在庫回転率を上げる業務改善を行うのは労力も時間もかかるので大変です。
そこで、効率よく効果的な削減活動をするために対象を絞り込みます。
重点部品の選び出しと改善対象の決定は次の手順で実施します。
- ABC分析で在庫金額を計算する
- A区分の在庫の在庫回転率を計算する
- 在庫回転率の悪い在庫を対象にする
- 在庫回転率の改善目標値を決め、回転率を管理し上げていく
具体的な分析方法は、以下で紹介しています。
在庫回転率を見る期間は、1年単位ではなく1か月や週単位とします。
期間を短くして、動きをモニタリングすることで、評価・改善をスピーディーに実施できます。
よく売れているのに在庫回転率が上がらない場合は、
よく動いている在庫(売れ筋)の陰に隠れた全く動かない在庫(死蔵在庫)を抱えているかもしれません。
もしくは、発注量が多すぎて在庫が減っていないのかもしれません。
在庫回転率を上げる代表的な方法は、
- 販売を増やす
- 仕入れロット(1回の発注量を減らす)
- 発注頻度を上げる
- 廃却する
個々に在庫回転率をチェック・分析したうえで、品目に合った施策をとりましょう。
在庫回転率を計算すれば、自社の今の状態がよくわかります。
会社に悪影響をもたらしている在庫、機能していない在庫の存在が自然とあぶりだされます。
先ほどご紹介した適正在庫日数は、これはあくまでも目安です。
扱っているものや仕入れ方、製造業であれば生産方法によって違います。
自社の適正在庫をまずはざっくりと知る必要があります。
難しい知識と特別な数値は不要です。
主には
- 売上高
- 売上原価
- 在庫高
たったこれだけの数値情報があれば、自社の適正在庫が計算できます。
最適な適正在庫を知ることで、次のようなことが分かります。
- 自社の現状の在庫金額が適正在庫との乖離度
- 適正在庫にするための、在庫金額や在庫回転日数
- 自社の改善余地
- 資金繰りを改善するために在庫回転率をいくらにすればよいのか
在庫管理110番では、在庫回転率を利用した適正在庫の計算方法、改善の進め方が
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在庫回転日数と資金繰り
製造業や卸売業、小売業の会社が、何に一番お金を使っているのは、仕入れ=在庫です。
これらの業種は在庫が無ければ、売上を上げることができません。
そのため在庫をむやみに減らすとかえって、売上が下がってしまいます。
一方で、仕入れた商品が売れないと、資金が在庫として会社に滞留するので、資金繰りがどんどん苦しくなります。
売上を拡大する際に、商品ラインナップをどんどん充実させて、増やしていくと思います。
しかし、むやみに増やすと売れないものが工場・倉庫にたまり、不良在庫となるリスクが発生します。
商品を充実させる際には、
売上とともに在庫回転日数を管理指標にしましょう。
在庫回転日数に影響を与える管理指標は、こちらで一覧表にしています。
ぜひご活用ください。
資金繰りの管理指標と改善する方法
キャッシュコンバージョンサイクル(CCC)は、その会社が必要とする運転資金日数を
計算する指標です。
簡単にいうと、投資したお金が何日かけて戻ってくるか。
ということを表した指標です。
例えば、CCCが60日の場合、
100円の仕入れ投資が、60日後に戻ってくるということが分かります。つまり、60日間100円を保有していないといけないということになります。60日先までお金が入ってこないので、60日×100円=6000円を借金して保有しなければいけません。
過剰・滞留・不良在庫が多い企業が資金繰りに困っている理由はここにあります。
CCCの計算式は、
CCC = 在庫回転日数+売掛債権回転日数-買掛債務回転日数
➽CCC(キャッシュコンバージョンサイクル)の詳しい求め方はこちら
CCCの算出には、在庫回転日数の把握が必須です。
逆に言うと、在庫回転日数さえわかれば、
運転資金が何日分必要かということが分かるのです。
運転資金の必要日数が分かれば、資金繰りのためにいくら必要なのか金額が予測できるようになります。
そして戦略的な借り入れや投資の判断が可能になり、会社経営の打ち手の幅が広がります。
欧米企業ではこの指標が普及しており、資金繰りに困らない経営を行っている企業が多いです。特に有名なのはアマゾンです。
アマゾンは極めて低い営業利益率で有名で損益計算書だけを見ると、儲かっていない会社に見えます。
しかし、実際はこの指標を利用しており、資金繰りに困らない経営方針を徹底しています。
日本ではまだなじみがないですが、日本電産など一部の企業が管理指標としていち早く取り入れています。新型コロナウイルスの影響で資金繰りの重要性が改めて明らかになりました。外部環境によってキャッシュフローが左右されない体制を構築するために、今後、日本の中小企業にも急速に取り入れられるでしょう。
自社の適正在庫回転日率を知る方法
在庫管理110番では、在庫回転率を活用した適正在庫を計算する方法、経営や実務の改善に活かす方法を在庫管理セミナーで詳しく解説します。
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在庫管理に関するご相談・お問い合わせ
在庫管理110番では、在庫管理に関するご相談・お問い合わせを受け付けています。
在庫のお悩みのほかにも在庫管理セミナーに関するご相談やご質問等、お気軽にご相談ください。
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