
「棚卸で毎回差異が発生している」「棚卸差異の対策方法がわからない」そんな悩みをお持ちの方は多いのではないでしょうか。
棚卸差異は、在庫管理に携わる人にとって常に付きまとう問題です。
本記事では、そんな棚卸差異に関して
- 棚卸差異が発生する8つの理由
- 棚卸差異の理由を取り除く6つの方法
- いち早く棚卸差異の理由を取り除く方法
をまとめています。
在庫管理の基本は、帳簿などの情報と実際の物がしっかりと合っている「情物一致」です。
ぜひ本記事を最後まで読んで、在庫管理のプロを目指しましょう。
目次
棚卸差異が発生する8つの理由
棚卸差異は、日々の業務や棚卸当日の作業におけるさまざまなミスにより発生します。
ここでは、棚卸差異が発生する原因を、商品の入荷〜棚卸の時系列に沿って9つ紹介します。
1.納品ミス
納品ミスは、自社ではなく仕入れ先で発生するミスです。
仕入れ先が、伝票に記載の数と実際の中身の数が異なったまま出荷していた場合、商品入荷時から棚卸差異が発生してしまいます。
2.検品ミス、ピッキングミス
検品ミス、ピッキングミスは、出入庫時に発生するミスです。
到着した商品をカウントしないまま入庫したり、出庫時にピッキングを間違えたりと、確認不足で差異が発生します。
3.伝票入力ミス
伝票入力ミスは、出入庫時に発生するミスです。
計数が正しくても、記録や転記を間違えることで発生します。
4.在庫計上のタイムラグ
在庫計上のタイムラグは、出入庫時に発生します。
商品の出入庫よりも、伝票(納品書)の発行、到着が遅れることは珍しくありません。
伝票に合わせて在庫を管理していた場合、棚卸のタイミングで「現物はあるのに在庫として計上されていない」といったことが起こる可能性があります。
5.みなし在庫の把握漏れ
みなし在庫の把握漏れは、出入庫時に発生します。
実際の在庫移動はまだでも、伝票に基づき在庫が入庫した、出庫したと「みなす」ことで、実際の在庫数とのずれが生じます。
6.棚卸計数ミス
棚卸計数ミスは、棚卸当日に発生するミスです。
カウントが一度だけだったり、外装や外箱に記載の数量を信じて計数したりすることでミスが起こります。
7.棚卸入力ミス
棚卸入力ミスは、棚卸当日に発生するミスです。
カウントは合っていても記録を間違えることで発生します。
8.管理不足
管理不足は、日々の業務や棚卸当日におけるさまざまなミスの要因です。
ルール不足や教育不足、システムの不具合など、従業員、機械ともに管理体制が整っていないと、原因不明の差異を生んでしまうこともあります。
棚卸差異の理由を取り除くための棚卸差異率計算方法
棚卸差異をなくすためには、まず現状の棚卸差異率の把握が必要です。
棚卸差異率とは「帳簿上の在庫数」と「実際の在庫数」にどの程度差異があるのかを示します。
ここでは、棚卸差異率の計算方法と、意外な落とし穴を紹介します。
棚卸差異率の計算式
棚卸差異率は以下の式で求められます。
| 棚卸差異率 = (実際の在庫数 - 帳簿上の在庫数) ÷ 帳簿上の在庫数 × 100(%) |
例えば、
・実際の在庫数が1000
・帳簿上の在庫数が900
だった場合、棚卸差異率は【(1000 - 900) ÷ 1000 × 100 = 10】で10%です。
棚卸差異には損と益がある
一言で「棚卸差異」と言っても、実は2種類の差異が存在します。
一つは、帳簿上の在庫数より実際の在庫数が少ない「棚卸差損」、もう一つは、帳簿上の在庫数より実際の在庫数が多い「棚卸差益」です。
この両方を別々に計算しないと、意外な落とし穴にはまることがあります。
棚卸差異率0%でも要注意
複数商品の棚卸を同時に行い、棚卸差異率を計算したとします。
計算の結果、0%だったとしても安心してはいけません。
例えば、棚卸の結果が
・棚A:帳簿上の在庫100/実際の在庫90
・棚B:帳簿上の在庫100/実際の在庫110
だった場合、棚ごとには差異が生じているのに、合計数で計算すると棚卸差異率は0%です。
棚ごとに差異がある場合、在庫の計数や移動など、どこかでミスが発生しているということです。
それにも関わらず、0%という数字だけを信じて安心していると、実は発生していたミスに気付かず対策が遅れ、結果的に大きな差異につながります。
棚卸差異率を計算する時は、必ず「棚卸差損」と「棚卸差益」の2つにわけましょう。
棚卸差異率の許容範囲
棚卸差異率の許容範囲は、一般的に±5%までと言われています。
5%はあくまで許容範囲であり、目標値は±2%程度としている企業が多いため、現状がこの値を超えている場合は対策を講じるようにしましょう。
棚卸差異の理由を取り除く6つの方法
棚卸差異は、作業の工夫やシステムの改革によって確実に減らせます。
ここでは、棚卸差異を減らすための6つの方法を紹介します。
1.棚の整理整頓
棚が煩雑になっていると、ピッキングミスや計数ミスにつながります。
商品種類や品番順に棚を並び替え、棚ごとに何が入っているか掲示をすると、誰でも一目で棚の中身がわかります。
また、棚ごとの注意事項や計数時の注意を掲示するのもおすすめです。
どんな掲示物でも、文字だけではわかりづらいので、できるだけパッと理解できるようにイラストを使うようにしましょう。
2.ルール制定、スタッフの教育
ルールが定まっていなかったり、ルールがあってもそれをスタッフが認識していなかったりすると、さまざまなミスや原因不明のミスにつながります。
「どのタイミングで在庫数を更新するのか」「どのように計数するのか」など、ミスが起こる原因ごとにルールを決め、マニュアル化するようにしましょう。
しかし、ルールの制定と教育にはかなりの時間と労力を要します。
「まずは単純なミスだけでも減らしたい」という方には、指差し呼称と声出しがおすすめです。
電車やバスに乗った際、運転士が右や左を指差したり、「〇〇よし!」と言っているのを見たことはないでしょうか?
あのように自分の確認したものを指し、声に出すことで、単純な計数ミスや確認漏れを防げます。
3.こまめな在庫管理
在庫の更新をまとめて行ったり、計数を棚卸の時のみにしたりすると、気付かぬうちに大きな差異が生まれていることがあります。
また、どのタイミングでずれたかがわからず、原因の究明もできません。
日ごとや週ごとに計数したり、検品を必ず実施したりすると、すぐにミスに気付き作業を見直せます。
「毎回は手間…」という場合は、よく起こるミスや納品ミスがある業者からの入庫に限定して実践してみましょう。
歩留り率(完成品に対する良品の割合)がわかっている場合は、あらかじめ出庫に算入するのも一つの手です。
4.みなし出庫の導入
みなし出庫とは、伝票の処理を行わずにする出庫です。
伝票処理をしないことで、計数ミスや転記ミスなど、単純なヒューマンエラーを減らせます。
1つの製品に対して複数の部品を何千個と使用する工場などでは、都度のカウントが困難なため、特におすすめの方法です。
しかし、伝票が残らない分、出荷先や数量の記録を残す仕組みが必要な点や、リアルタイムでの数量が追えない点がデメリットです。
基本的には、部品や材料の払い出しから製品完成までのリードタイムが短い場合にのみ活用するようにしましょう。
5.システムの導入
在庫管理や棚卸をアナログで行っていると、作業に時間がかかったりヒューマンエラーが起きたりすることが多いです。
棚卸にシステムを導入すれば、棚卸差異の原因となるミスの削減や作業の効率化に大いに役立ちます。
また、システムを使えば記録も残るため、問題の分析と改善にも役立ちます。
6. アウトソーシング
在庫管理や棚卸の問題点を分析し、改善まで行うのは時間と労力がかかります。
自社でリソースが足りない場合には、外部に委託するのもおすすめです。
第三者目線から的確な分析をしてもらうことで、自社で試行錯誤するより早く、棚卸差異を減らせる可能性があります。
いち早く棚卸差異の理由を取り除くためには?
棚卸差異を減らすには、現状の把握・分析・改善策の検討・実践と、必要な工程が多いです。
ここでは、時間や労力を可能な限りかけず、いち早く棚卸差異を減らす方法を紹介します。
棚卸改善セミナー
在庫管理110番では、定期的に「棚卸改善セミナー」を開催しています。
セミナーでは、効果を実証済みの棚卸差異率方法・棚卸時間短縮方法が学べるため、自社で検証を重ねるよりも早く、改善が見込めます。
また、受講特典として、実際に使えるスケジューリングシートや事後サポートなどがついているのもポイントです。
在庫管理の教科書
「セミナーに参加する時間がない」「ハードルが高い」という方には、手軽に学べる教科書がおすすめです。
棚卸の実務についてまとめた「在庫管理の教科書04「棚卸」」を読めば、好きな時間に棚卸差異を減らす方法を学べます。
また、棚卸ですぐに使える14種類のテンプレートも付属しています。
成長する在庫管理システム
「成長する在庫管理システム」は、低コスト・短期間・低負担で導入でき、棚卸差異をいち早く改善できます。
在庫管理アドバイザーが、現場の業務実態や運用レベルに合わせてベストな機能を提案するため、従業員が無理なく使いこなせる点がおすすめです。
30日間の無料トライアルで、システムが棚卸作業に役立つか確認できるため、安心して導入できます。
棚卸差異の理由と改善策を学んで在庫管理のプロを目指す
棚卸差異には必ず理由があり、その理由に対しては必ず改善策があります。
棚卸差異を減らすには、本記事で紹介した内容に沿って自社の問題を分析・改善していきましょう。
少しでも早く改善したい場合には、セミナーやシステム導入などで、専門家の力を借りるのがおすすめです。
ぜひあなたも在庫管理のプロを目指してみてください。