在庫管理アドバイザーの岡本です。
在庫回転日数は、在庫管理業務において重要な指標の1つです。
製造業・メーカー関係者であれば知っておきたい用語であり、現場の改善に役立たせることができます。
ここでは、在庫回転日数の基本的な知識を紹介します。今回のポイントは、以下の3つです。
■在庫回転日数とは:「在庫の量を評価する重要な指標」である
■在庫回転日数の計算式:「日数÷在庫回転率」で算出する
■適正な在庫回転日数:「製造リードタイム」を判断材料にする
在庫回転日数の定義・計算式について紹介します。
さらに自社の在庫回転日数の調べ方や、適正かどうかの判断をする方法を、在庫管理の専門家としてわかりやすく解説しています。
また、在庫回転日数を計算するエクセルシートを無料で配布しています。個別品目と決算書の2種類をご用意しました。用途に合わせて、こちらからダウンロードしてください。
目次
在庫回転日数とは
在庫回転日数とは、「対象の在庫が何日で入れ替わっているかを示す値」です。
よく似ている言葉に、在庫日数があります。
在庫日数とは、「既存の在庫総数が、何日分の売上額に相当するか」を求める指標です。
それぞれ以下のようにまとめることができます。
<在庫回転日数>
- 在庫の量を評価する重要な指標
<在庫日数>
- 適正在庫を知るための指標
在庫回転日数は調査期間に応じて、年や月、日、時間などで求めること可能です。
在庫回転日数は「在庫回転率」から算出できます。
在庫回転率の計算式は、次の通りです。
■在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額
金額ではなくて、数量で求めることもできます。
在庫回転率の詳しい求め方や、実務での適切な使い方は、以下でわかりやすく解説しています。
在庫回転日数の計算式
在庫回転日数の計算式は、
■在庫回転日数=日数÷在庫回転率
(日数は年、月、日、時間などになります。)
例えば、1年間の在庫回転率が2の場合、以下のようなかたちで計算できます。
- 在庫回転日数(年)=1÷2=0.5年
- 在庫回転日数(月)=12÷2=0.6か月
- 在庫回転日数(日)=365÷2=182.5日
表現は年・月・日と違いますが、書いてある結果は同じです。
実務上は、月数または日数で表すことが多いです。
おすすめは在庫回転日数
在庫回転日数を「月」で表している企業は多いようです。これは経理の月締めから来ているように思います。
改善の立場から言えば、在庫回転を「月」で表すのは、おすすめしません。
経理は1か月で締めることが慣例なので、「月」がなじみやすいかもしれませんが、改善は1日1日の積み重ねです。月締めするものではありません。改善をする場合は、必ず「日」で表すことをお勧めします。
私はコンサルティング先が在庫回転を「月」で見ている場合は、では必ず在庫回転は「日」で表すように変えています。その理由は、「月」よりも「日」の方が、より細かく改善を図れるからです。
在庫回転日数は1日を縮めるだけでも大きな効果を得られることもあります。在庫回転日数=1日を月で表すと在庫月数=約0.03となります。「在庫回転月数を0.03改善しよう!」という号令を出しても現場にいまいち響きません。在庫回転を「月」で表すと、どうしても改善が大雑把になりがちです。
在庫回転日数と調査期間
先ほどの例は1年間の在庫回転日数でした。
しかし、実務上では1年間の在庫回転期間が分かったところで、何の役にも立ちません。
例えば、6月1日から6月30日の在庫回転期間を調査したとします。
- 6月1日の在庫・・・500個
- 6月30日の在庫・・・700個
- 6月中(調査期間中)の出庫量・・・1200個
- 在庫回転率・・・2
この時の在庫回転期間(日)は、次のようになります。
30(日)÷2=15日
調査期間に応じて、日数が変わります。
1週間であれば、7日です。
場合によっては、稼働日だけで表す場合もあります。
(工場で使っている部品などの場合)
調査期間に応じて分母を変えるようにしましょう。
在庫回転日数をエクセルで計算する
在庫回転率と在庫回転日数を計算するエクセルシートをご用意しました。
在庫の調査期間に注意をして、ご利用ください。
在庫回転率計算書(個別品目)と在庫回転率計算書(決算書)の2種類をご用意しました。
どちらも無料でダウンロードして頂けます。
- 品目ごとに在庫回転率が計算できる
- 数量で求めるので在庫管理の実務向き
- 在庫数を一定に保つ管理に使用できる
- 在庫回転率の算出期間を調整できる
- 個別品目の入出庫管理が不要
- 決算書の項目から在庫回転率が計算できる
- 金額で計算するので経営者、銀行、税理士、投資家向け
在庫回転日数と製造リードタイム
在庫回転日数が適正かどうかを判断するひとつの材料として、「製造リードタイム」があります。
製造リードタイムを見れば、おおよそ在庫回転日数が適正かどうかの判断ができます。
製造リードタイムについて、詳しい求め方はこちらをご覧ください。
またSCM改革において会社経営のための管理指標体系を、一覧にしてまとめてみました。
自社にあった管理指標を設定する際は、お役立てください。
在庫を減らしたい経営者、在庫を減らせと言われた担当者へ
実践すれば90日以内に改善効果を実感できます。
在庫に悩んでいる方にお勧めです。
合わせて読みたい!関連記事はこちら
適正在庫を知る
在庫で管理すべき2つの指標(精度・流動性)を解説|在庫管理110番
在庫回転日数に関連する管理指標