サイクル在庫の計算方法と適正在庫に活用する方法

 

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    筆者:岡本茂靖(在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事)

    在庫管理110番代表。在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。

    在庫管理に関して200社以上の個別相談、コンサルティング・システム導入を行っている。
    大阪府工業協会講師、日本物流学会所属
    著書:経費15%削減在庫管理術【基礎知識編】、寄稿:在庫最適化のためのIoT活用(日刊工業新聞社)、発表:物流における在庫管理の成功事例研究(日本物流学会)他多数。


    サイクル在庫とは?

    サイクル在庫

    サイクル在庫とは、一定期間内の需要数(販売数や使用数)を満たすための在庫数のことです。

    言い換えると、発注リードタイム(発注してから納品されるまでの期間)に欠品しないように需要を満たす発注数(発注ロット数)のことです。

     

    色々な記事でサイクル在庫が適正在庫であるというような記事がありますが、実は間違いです。

    サイクル在庫が分かれば、自社の在庫が過剰なのか適正なのかの判断が可能です。

     

    サイクル在庫というものが何かということを知れば、サイクル在庫を正しく適正在庫に活用することができます。

    この記事で解説すること
    1. サイクル在庫の計算方法
    2. サイクル在庫で会社の想定在庫金額が分かる
    3. サイクル在庫から適正在庫を判断する方法
    4. 【無料ダウンロード】サイクル在庫から想定在庫を計算できるエクセルフォーマット

     

    サイクル在庫の計算方法

    サイクル在庫は以下の方法で計算します。

    パターン1:需要数からサイクル在庫を計算する

    サイクル在庫=一定期間の需要数÷2

    • 1日当たりの需要数:400個
    • 需要期間が5日間
    • この時に必要な在庫数は400×5=2000個

    サイクル在庫は、2000÷2=1000

    となります。

     

    パターン2:発注数または発注ロット数からサイクル在庫を計算する

    サイクル在庫=発注ロット数÷2

    • 1回の発注ロット:1000個

    サイクル在庫は、2000÷2=1000

    となります。

     

    【注意点】

    この時の発注数(発注ロット)は、安全在庫を考慮しない使い切る在庫量(在庫がゼロになる発注数)のことです。

    サイクル在庫はなぜ2で割るのか?

    サイクル在庫を2で割る理由は、需要期間の平均在庫数を計算しているからです。

    サイクル在庫の計算

    上記の期間の在庫数の平均値は、

    (2000+1600+1200+800+400+0)÷6=6000÷6=1000

    つまり、一定期間の平均在庫がサイクル在庫になります。

    サイクル在庫と在庫金額の関係

    サイクル在庫は平均在庫なので、サイクル在庫が分かればある程度在庫金額が想定できるということが分かります。

    自社の1回当たりの発注数(発注ロット)と仕入れ単価をかけた在庫金額在庫金額を計算すれば良いです。

    計算式:サイクル在庫金額=発注数×仕入単価

    サイクル在庫から在庫金額を計算する

    上記場合、サンプル1~サンプル6のサイクル在庫が分かれば、この会社の想定在庫金額が計算できます。

    サイクル在庫と適正在庫の関係

    サイクル在庫は、一定期間内の需要数(販売数や使用数)を満たすための在庫数なので、需要の増加があると欠品してしまいます。

    そこで、必要なのが安全在庫です。安全在庫の計算方法はこちら

    つまり、会社の適正在庫の計算は、

    適正在庫数=サイクル在庫数+安全在庫数

    適正在庫金額の計算は、

    適正在庫金額=サイクル在庫金額+安全在庫金額

    と考えることもできます。

     

    サイクル在庫+安全在庫は適正在庫ではない

    『サイクル在庫+安全在庫=適正在庫』という考え方は、発注数と安全在庫が適切に設定されているということが前提です。

    なぜなら、サイクル在庫も安全在庫も実務の都合から計算する数値だからです。

     

    欠品を過度に恐れた過剰気味の発注数や安全在庫であれば、在庫金額が膨れ上がっており、

    会社が望んでいない発注数や安全在庫かもしれません。

    【無料ダウンロード】サイクル在庫を計算できるエクセルテンプレート

    自社のサイクル在庫金額から、想定在庫金額が計算できる無料フォーマットをご用意しました。

    サイクル在庫から在庫金額を計算でkるエクセルフォーマット

    【使い方】

    2パターンの使い方があります。

    パターン1:需要数からサイクル在庫金額を計算する

    サイクル在庫から在庫金額を計算するエクセルフォーマット

    管理している在庫の1日当たりの出庫数(販売数、使用数)と発注リードタイム(需要期間)から、サイクル在庫計算します。

    平均在庫回転日数の計算も計算していますので参考にしてください。

     

    パターン2:発注数または発注ロット数からサイクル在庫を計算する

    もし、在庫データが無く1日当たりの出庫数が分からなかったり、発注リードタイムが決まっていない場合は、こちらを使ってください。

     

    サイクル在庫から在庫金額を計算するエクセルフォーマット

    管理している在庫の発注ロット数(発注数)から、サイクル在庫計算します。

    ※発注ロット数が決まっていない場合は、過去1年間分の発注数の平均値を入力すれば良いでしょう。

     

    パターン3:1年間に1回も発注していないものがある場合

    滞留在庫や不良在庫などで1年間に一回も発注していないモノの場合は、

    • 発注数=0
    • 安全在庫数=現在庫数

    として計算すると良いです。

     

    【結果の見方】

    • 会社が目標(理想)としている在庫金額よりも、想定在庫金額が大きければ、発注ロット(発注数)や安全在庫数を見直す必要がある。
    • 安全在庫率が高ければ、安全在庫の持ち方を見直す。(会社の戦略にもよりますが、安全在庫率は~20%が理想です。)※安全在庫率が高いということは、動きの少ない在庫の割合が多いということになります。

     

    サイクル在庫と安全在庫を見直して適正在庫

    適正在庫は、会社目標から立てるべきです。

    そのうえで、「サイクル在庫+安全在庫」が適正かどうかをチェックして、適正値でなければサイクル在庫と安全在庫を見直すことをお勧めします。

    サイクル在庫と適正在庫の関係

    繰り返しになりますが、『サイクル在庫+安全在庫=適正在庫』ではありません。計算した値をうのみにしないように注意しましょう。

     

     

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