在庫管理ができない会社が多い理由はこれ!

在庫管理ができない理由とは

過剰在庫や欠品、業務の属人化に悩む会社が多いですが、あなたの会社はいかがでしょうか?

先日、酒造会社から在庫管理の相談を受けて、ヒアリングすると面白いことに気づきました。

それは、在庫数の精度(データ上の在庫数量と実際の在庫数量の差異率)が高いものとそうでないものがはっきりと分かれていたからです。

何だか分かりますか?

  • 在庫精度が高くきちんと管理されていたもの:お酒
  • 在庫精度が低く管理されていなかったもの:ビン、キャップ、箱類(梱包箱、化粧箱)

でした。

お酒の管理ができているのであれば、ビン類や箱などもその気になればきちんと管理

できるはずです。ただ何年経ってもなぜかできない・・・

その理由は、管理に対する強制力です。

お酒は酒税法という法律で厳しく管理されています。

例えば廃棄については、次のような手続きが必要だそうです。

酒類製造者は、酒類が腐敗その他の事由により飲用に供し難くなったときには、直ちに「酒類・酒母・もろみ 亡失・腐敗 届出書」により税務署長に届け出なければなりません。
この場合、検査が必要と認める場合には、検査を行うために必要な期間を指定して、廃棄等の処分を禁止することがあります。

根拠法令等:
酒税法第50条の2第2項、第3項、同法施行令第56条の2第2項

となっており、届け出が必要です。

お酒以外の在庫は、管理に対する強制力が無いので、管理が疎かになってしまっています。

お酒同様、ビンや箱なども大切なお金ですから、同様の緊張感をもって管理をするという気持ちをまず持てば必ず可能です。

在庫管理に強制力を持たせる方法

日本経済新聞に面白い記事がありました。

「アパレルの脱炭素へ「在庫税」を」(2022.02.15付)

この記事は、河合拓コンサルティング代表の河合拓氏の提言ですが、本当に在庫税を課せば、

過剰在庫の削減は日本全体で強制力を持って進んでいくでしょう。

法律制定となると話が大きくなりますが、会社の中でも同じような仕組みをつくることも可能です。

その方法とは、「従業員の評価」に組み込むことです。

在庫を従業員の評価指標に取り入れる

在庫を評価指標として取り入れると、頭を使うようになります。

ここで、過剰在庫を適正化した例をご紹介します。

通常、メーカーや卸売業の購買部(バイヤー)の評価は、原価低減(より安く仕入れる)ことが求められます。この評価だとバイヤーの行動はこうなります。

  • 大量に買ってボリュームディスカウント
  • 人件費の安い海外仕入れ等で、単価を下げる(船便仕入なので、リードタイムも1回の購入量も増える)

過剰在庫がどんどん積みあがります。

ある会社では、購買部に「在庫回転日数」という評価指標を持たせたそうです。

在庫回転日数の計算式は次の通りです。

在庫回転率の計算式

在庫回転日数=日数÷在庫回転率

(在庫回転率 = 売上原価 ÷ 平均在庫金額)

在庫回転率について詳しく見る

この指標を購買部に持たせると、「大量に買う」という単純な手法でななく、「安く、そして少なく買うにはどうすれば良いか?」と頭を働かせるようになります。

別の会社には、営業に在庫の評価を持たせたという例もあります。

営業は売上や受注が評価指標になっていることが多く、商品に対しては、

  • 売る機会を逃さないため
  • とにかくあらゆるあらゆるニーズにこたえる

といった考えになるため、在庫の数も種類も多く求めがちです。

種類も量も多ければ、売れる可能性が高くなるのは当たり前ですが、売れないものも

大量に出ることも簡単に想像できます。

しかし、営業はそのような責任を負わないため、お客様を盾に取って「在庫を持つこと」を求めます。

(発注や生産管理の担当者の間では、「あるある」だと思います)

在庫に関する評価を取り入れると、こういったことが無くなり、

「いかに商品を絞り、そして効率よく売っていくか?」

という事を考えるようになります。

この管理には、PSI管理(売上・仕入・在庫の連動管理)の導入が向いています。

PSI管理はとてもシンプルな管理手法ですが、売上・仕入・在庫の管理がとても効率よくできるおすすめの方法です。

PSI管理についてはこちらをご覧ください。

過剰・滞留在庫を持たない、脱炭素を推進する会社が求められている

現在、これまでにない気候変動で社会課題となっている温暖化対策として、脱炭素が急速に進んでいます。

SDGsで掲げられた17の目標のうち、12番目に「つくる責任、つかう責任」というものがあります。

例えば、先ほどご紹介したアパレルの廃棄は昔から問題視されています。

ちなみに、アパレルの廃棄量は日本だけで1年間約100万トン、枚数に換算すると、33億着!だそうです。

流通しなかった新品衣類は市場として成り立っているほどです。

他の業種にもこの動きは徐々に広がっていくと考えられ、在庫管理に取り組まざるを得なくなるでしょう。

その時、在庫管理の素地ができている会社は、売上を伸ばしながら在庫削減を勧められます。

しかし、素地の無い会社は、欠品・管理の混乱が多発し、売上にも大打撃を受けるでしょう。

在庫管理の改善が成功している会社の特徴

在庫管理の改善に成功している会社には3つの共通点があることがわかりました。

  • 知識や経験が無くてもやる気と覚悟がある。
  • 言い訳をしない(忙しい、人がいないといわない、やれることを少しずつやる)
  • 基本ができている(システム導入だけでは解決できないとわかっている)

在庫管理は難しくありません。どんな会社でもできますし、成功します。

会社の規模も関係ありません。10人の会社でもきちんとできている会社がある一方で、1000人いてもきちんとできていない会社もあります。

在庫管理ができている会社で業績の悪い会社は聞いたことがありません。

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