ABC分析のやり方と活用方法|誰でも簡単エクセル在庫分析

ABC分析のやり方と活用方法

    在庫管理アドバイザー岡本茂靖

    筆者:岡本茂靖(在庫管理アドバイザー、日本物流学会理事)

    在庫管理110番代表。在庫管理、生産管理の実務経験を経て、瀬戸内scm株式会社を創業。

    在庫管理に関して200社以上の個別相談、コンサルティング・システム導入を行っている。
    大阪府工業協会講師、日本物流学会所属
    著書:経費15%削減在庫管理術【基礎知識編】、寄稿:在庫最適化のためのIoT活用(日刊工業新聞社)、発表:物流における在庫管理の成功事例研究(日本物流学会)他多数。

    在庫削減をしたいけど、対象が多すぎて手を付けられない。発注対象が多すぎてほかの業務に充てる時間が無い・・・ といったお悩み、ありますよね。

     

    こんな時に役立つのがABC分析です。

    例えば、

    • 重点管理すべき部品を絞り込みたい
    • 在庫削減をする部品の優先順位を決めたい
    • 発注に手間をかけるもの、そうでないものを分けて発注を効率化したい

    つまりABC分析は、優先度を決めて最小限の労力で最大限の成果をあげるための方法です。

    在庫管理だけではなく、経営資源をどこに集中させるか?といったような経営戦略にも使える分析方法なので覚えておいて損はないでしょう。

     

    この記事で解説すること
    1. ABC分析の結果の見方
    2. ABC分析を行う手順(ピボットテーブルを使用)※動画
    3. ABC分析を行う手順(通常のエクセル機能)
    4. 在庫管理にABC分析を役立てる

     

     

    ここではエクセルでABC分析を行う方法ピボットテーブルを使って行う方法と使わずに行う方法をお伝えします。

    ABC分析で優先順位がわかる

    まず、ABC分析の結果の見方を解説します。

    ABC分析の結果は、棒グラフと折れ線グラフから成り立ちます。

    下記の例では、全体の在庫金額に占める各部品の在庫金額の割合を示したものです。

    ABC分析

    ABC分析はその名の通り、分析結果を3つのグループに分けます。

    • Aグループ(重要度・優先度:大):全体の80%くらいを占めるもの
    • Bグループ(重要度・優先度:中):全体の20~80%くらいを占めるもの
    • Cグループ(重要度・優先度:小):全体の20%以下を占めるもの

    このように分類することで、まず最優先で管理しなければいけないものを簡単に見つけることができます。

    Aグループに属する5部品に集中すれば、総在庫金額の80%に対して改善を行うことになり、最小限の労力で最大の改善効果を得ることが可能です。

    パレートの法則(80:20の法則)

    ABC分析をすることで、在庫削減や手間をかけなければいけない発注品の選定ができます。

    その理由は、ABC分析がパレートの法則に基づくからです。

    パレートの法則とは、イタリアの経済学者ヴィルフレド・パレート氏が見つけた「できごとの80%は、20%の要素によりもたらされる」という統計学的法則です。

    例えば、

    • 売上の80%は、全社員の20%しかいない優秀な社員が生み出されている
    • 全商品のうち20%を占める主力商品が、売上の80%を稼いでいる

    といったようなものです。

     

    ABC分析を行う方法(ピボットテーブルを使って作る)

    個人的には、ピボットテーブルを使う方法がおすすめです。 私はこちらの方法がお勧めです。

    通常の方法では毎回最初から作成しなければいけないので手間がかかりますが、ピボットテーブルを使えばデータを用意すれば簡単に最新版に更新可能です。

     
     
    ピボットテーブルを使った場合、データを用意するだけでいつでも作成できるので手間も省けます。
    手間がかからないので、定期的にABC分析ができます。
     

    ABC分析をする方法(エクセルの通常機能だけで作る)

    ABC分析をエクセルでやる方法

     

    ピボットテーブルを使わずに、エクセルの通常機能を使ってABC分析表を作る方法を解説します。

    ABC分析表を作る手順

    まずは、ABC分析に使用するデータの準備と加工を行います。今回は、在庫削減活動に取り組みたいオカモト工業の部品A-Lについて調べてみます。

    最初に、各部品の在庫金額データを用意します。 ABC分析をエクセルでやる方法

    次に各部品の合計在庫金額を計算します。 ※計算式は、「在庫金額=単価×在庫数」 ABC分析をエクセルでやる方法

    在庫金額の高い順番に並び替える

    合計在庫金額を高い順に並び替えます。 並び替えタブを選び、在庫金額を選択し、降順(値が大きいもの順)を選択してOKを押してください。 ABC分析をエクセルでやる方法

    並び替えが終わったら、累積在庫金額を計算します。 累積在庫金額とは、 前の在庫金額を足し合わせた在庫金額です。

     

    累積在庫金額の計算

    次に、累積在庫金額と累積比率の2つのデータを追加します。

    累積在庫金額とは、1つ前の部品までの全部品の在庫金額の合計自分自身の合計を足したものです。 例えば、部品Fまでの累積在庫金額は、

    部品Lの在庫金額(\120,000)+部品Fの在庫金額(\72,000)=\192,000

    ABC分析をエクセルでやる方法

    同じように最後の部品Jまでの累積在庫金額を計算します。

    ※部品Jまでの累積在庫金額は全部品の在庫金額の合計と同じになります。

     

    累積比率の計算

    次に累積比率を計算します。 累積比率の計算式は、「各部品の累積在庫金額 ÷ 全部品の在庫金額の合計」です。 ※ちなみに、部品Jの累積在庫金額は、全部品の在庫金額の合計同じなので、1(100%)になります。

    ABC分析をエクセルでやる方法

    実はABC分析はこれで完了です。

    しかし、表だとわかりづらいので、一目でわかりやすいようにグラフを作ることが普通です。

    次に、グラフの作り方を解説します。

     

    ABC分析グラフを作る手順

    ABC分析のグラフは、棒グラフと折れ線グラフを組み合わせた2軸グラフになります。

    先ほど作成した表を選択して、図のように「挿入」から棒グラフを選択してください。 ABC分析をエクセルでやる方法 ABC分析に必要なデータは、在庫金額と累積比率のみです。それ以外のデータ項目を全て削除します。 2軸グラフにする 在庫金額と累積比率のグラフを2軸グラフにします。

    • 棒グラフ:在庫金額
    • 累積比率:折れ線グラフ

    2軸グラフにするために「データ系列の書式設定」から、「第2軸」を選びます。 ABC分析をエクセルでやる方法

    次に、累積比率を選択して、今度は「系列グラフの種類の変更」をクリックして、グラフの中から「折れ線」を選びます。 ABC分析をエクセルでやる方法

    これでほぼ完成です。 最後に、第2軸の表示を調整します。

    1. 第2軸の「軸の書式設定」を選択します。
    2. 第2軸の最大値を1に、表示形式をパーセンテージに変更します。

    ABC分析をエクセルでやる方法

     

    ABC分析のグラフの完成です!

    ABC分析をエクセルでやる方法

    今回のABC分析結果で、オカモト工業が在庫削減を行う場合、

    全在庫金額の80%を占めている部品L、F、K、D、Gに対して集中的に在庫削減策を取れば良いということが分かりました。

     

    たった4部品(全部品の約30%)に着目するだけで、全体の80%に対して改善を行えるので費用対効果は、約2.5倍です。

     

     

    このように、ABC分析を実施すれば、優先すべき対象が見つかり、最小の労力で最大の改善効果を得る事ができます。

    効率よく費用対効果の高く、優先順位を付けることができるので、在庫管理の改善活動や問題解決の時によく使われます。

     

    在庫管理に役立つABC分析

    在庫管理では、次のような時にABC分析が使われます。

    • 重点管理品の選定:手間をかけて発注するものと手間をかけないものを仕分ける(売上金額と出荷頻度でABC分析を行う)
    • 在庫削減:在庫削減すべき対象の優先順位を決める。(在庫金額でABC分析を行う)
    • 滞留在庫削減:滞留在庫を見つけて対策する(在庫回転率でABC分析を行う)
    • 作業時間の短縮:作業時間の改善を行う工程を特定する(仕掛在庫削減)(各工程の所要時間でABC分析を行う)

    過剰在庫の削減、欠品の回避を、最小限の労力で最大限の成果を出すためには、ABC分析が不可欠です。

     

    ABC分析を活用する時の共通する考え方

    ABC分析は様々なことに使えますが、共通する考え方は、

    1. ABCといったようにグループに分類する
    2. 分類したグループにごとに何をするかを決める(グループの定義)

    上記2点を絶対に忘れないようにしてください。

     

    重点管理部品・廃却品を決める(作成手順付き)

    数多くある部品をすべてきめ細やかに管理するのは不可能です。

    かといって、全て自動発注や発注点などで、発注を効率化すると、欠品や過剰在庫のリスクがあります。

    限られた人員で、効率の良い発注をしたい、しかも適正在庫を維持したい・・・こんな悩みもABC分析で解決できます。

     

    まず、ABC分析を使って、部品を下記のように4つに分類します。

    • A:重点的に管理する部品(手間をかけて、発注数を決めたり、計画を立てる部品の候補):よく流れていて、かつ単価の高いもの(過剰在庫になると在庫金額過多のリスクが高い)
    • B:購入継続検討部品(このまま取り扱いを続けるか、廃番にするかを選別する部品の候補):あまり流れていない、単価の高いもの(滞留気味で、在庫金額を圧迫している)
    • C:効率的に管理する部品(手間をかけず、自動発注や発注点などで管理する部品の候補):よく流れているが、単価の安い部品(欠品しないように切らさない、手間をかけず発注コストも下げる)
    • D:廃却品(取り扱いをやめて廃番にする部品の候補):あまり流れていない、単価の安い部品(滞留していて、在庫金額リスクも小さい。管理面のリスクが大きい)

    在庫分類マトリクス

    A:重点管理品(手間をかけて管理する)

    Aカテゴリーは、最も時間を割いて注意を払って在庫管理しなければいけないものです。

    欠品にも過剰在庫にもならないようにきめ細かく管理して、適正在庫を維持するものです。

     

    Aに属するものは、次のような管理が望ましいです。

    • 販売・仕入計画を立てて、計画に従って発注数を決める
    • ある程度経験のある人が発注を担当する

     

    重点管理品には、定期不定量発注を採用する

    高価で過剰在庫リスクのある重要な在庫に関しては、定期定量発注が最適です。

    定期不定量発注によって、販売予定に応じた発注が可能になります。

     

    販売予定は、仕入れと販売の間で密にコミュニケーションをとって、市場に合わせた仕入れを実施します。

    全ての部品を定期定量発注できるのが理想ですが、手間がかなりかかるため、現実的ではありません。

    そこで、ABC分析で本当に重要なものだけに対象を絞り込み、リソースを集中します。

     

    とくにコロナ禍のような変化が激しいタイミングは迅速な対応が求められます。需給の変化が激しいときに、成功した事例を学ぶことで、在庫改善のヒントになります。

    B:購入継続検討部品

    高価にもかかわらず、売れ行きが悪いため、会社のキャッシュフローに一番悪影響を与えているものです。

    処分をするか、取り扱いを継続するかを早急に決めなければいけません。

     

    • 取り扱いを継続するもの:元々売れ行きが悪いため、滞留在庫にならないように監視対象
    • 処分するもの:廃却や買取などを決めて、早く処分する

    なお、Bグループに関しては「仕入れた経緯」を入念に調査します。

     

    何も対策を講じないと、また同じようなものが発生してしまうからです。

    調査結果をもとに、対策を講じて同じことを繰り返さないようにします。

    C:効率的に管理するもの

    単価が安いので、ある程度在庫を持っていても問題の無いものです。

    これらは、過剰在庫よりは欠品リスクに重点を置いて、在庫が切れないように、かつ発注の手間を省き効率化します。

    Bに属するものは、次のような管理が望ましいです。

    • 在庫がある一定の数になったら、決まった数を発注
    • パート・アルバイト、新入社員など商品知識が無かったり、経験の浅い人が発注を担当する。

     

    効率的な管理をするものには、不定期定量発注(発注点発注)採用する

     

    この発注方法を採用することで、経験が無くも浅くても誰でも発注できるようになります。

    決まった数を割ったら、決まった数を発注というシンプルな発注方法を採用します。

    運用が軌道に乗れば、自動発注も可能になり、発注担当者すら不要になります。

     

    在庫管理がうまくいっている会社ほど、不定期定量発注(発注点発注)をうまく活用しています。

    この発注方法を利用すれば、発注の仕事は、パートやアルバイトの仕事(つまり、ベテランでなくても誰でもできる仕事)に落とし込めます。

     

    分析をしてみると、発注しなければいけないもののうち、60~80%はCグループに当てはまることに気づくでしょう。

     

    発注方法に関する詳しい解説はこちらをご覧ください。

    定期発注と定量発注

     

    D:廃却(処分)品

    あまり流れていない、単価の安い部品です。

     

    在庫金額は小さいので財務リスクは小さいです。

    むしろ、保管場所を圧迫していて、「置きたいものが置けない」という現場のオペレーション負担のほうが大きいです。

    在庫削減

    ABC分析で、在庫削減する商品(部品)の優先度を決める時は、在庫金額でABC分析を実施しましょう。

    ABC分析をエクセルでやる方法

    在庫削減をする時には、在庫金額の大きなものに着目して、削減活動をするのが費用対効果が高いです。

    上記の場合だと、部品Lと部品Kに着目すれば、会社の在庫総額の40%に対して削減活動ができます。

    滞留在庫削減

    過剰在庫、滞留在庫、不良在庫に悩んでいる場合は、在庫回転日数でABC分析をしましょう。

    在庫回転日数が大きい=在庫が滞留している

    ということになります。

    作業時間の短縮

    製造業特有の悩みとして、仕掛品在庫の削減があります。

    仕掛品在庫を削減するためのABC分析は、2つの方法があります。

    • 仕掛品在庫の在庫金額
    • 工程ごとにABC分析を行う

    仕掛品在庫の在庫金額でABC分析をやる場合は、在庫削減と同じような方法で良いです。

     

    工程の作業時間でABC分析

    工程ごとにABC分析をやる場合は、各工程の作業時間でABC分析をします。

    手順は以下の通りです。

    1. 工程ごとの作業時間を計測します
    2. 作業時間の長い工程順にデータを並び替えて、割合と累積割合を計算します。
    3. 2をグラフ化します。

    このグラフを見ると分かるように、工程2、6、5の着目すれば工程全体(全10工程)の作業時間の約50%の改善が可能です。

    つまり、全体の30%に着目するだけで、全体の50%に対して改善を行っているのと同じ効果が得られます。

     

     

    ABC分析にはデータが必要

    今回ご紹介したABC分析は、

    • 適正在庫の維持(適正な在庫金額の維持)
    • 売上の機会損失を防ぐ
    • 業務の効率化
    • 現場の整理・整頓

    に大きな力を発揮します。

     

    ABC分析をやるためには、データの蓄積が可能です。

    データを貯めず、行き当たりばったりの在庫管理では、適正在庫も業務の効率化も実現できません。

    在庫管理において、データの蓄積は必須です。

    在庫管理システムを導入してデータを蓄積する

    在庫管理にエクセルをメインで使っている場合もあると思います。

    しかし、エクセルはデータの保存数に上限があるので、長期間大量のデータを貯めるのは苦手です。

    売上の機会損失を防ぎつつ、効率の良い在庫管理を行うためには、在庫管理システムを導入しましょう。

     

    在庫管理システムは自社にあったものを選ぶ

    「在庫管理システム」と検索すると、様々なシステムがヒットします。

    自社の業務や、在庫管理の習熟度に合わないシステムは、返って効率を低下させます。

    営業トークや、見た目に騙されず、本当に自社に合った在庫管理システムを検討し、導入しましょう。

    (特に騙されやすいのは、グラフが作れます!バーコードを発行できます!帳票が印刷できます。といった「見た目」に強く訴求することです)

     

    選択のポイントは、

    • たくさんの機能を搭載していないこと(たくさん機能があっても、自社で使えないものは邪魔なだけなので)
    • 業務のことを理解しているか?(基本的な実務に理解があり、提案をしてくれるかどうか)

    「自社の業務に合っているかどうか」を重視されると思いますが、表面的な紹介だけで、自社に合っているかどうかは分かりません。(自社のやり方を知っているのは、自社だけなので・・)

     

    システムを導入すれば、在庫状況をリアルタイムに把握でき、発注のタイミングや優先順位を分析できるようになるので、欠品や過剰在庫が減り、常に適正在庫を保てます。
    さらに、システムに自動計算させ、自動発注まで構築すれば、人的ミスを防止し、業務効率だけではなく、キャッシュフローも改善できます。

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