ロット管理とは?目的・方法・シリアル管理との違いを徹底解説

「在庫の特定が難しく、不具合が出た際の影響範囲が分からない」

「製品の期限管理が追いつかず、廃棄ロスが出てしまっている」

「仕入値の変動が激しく、正確な原価が分からない」

 

在庫管理110番では、製造・物流現場の管理職の方々から、このような切実な声が届いています。

これらの課題を解決する鍵となるのが「ロット管理」です。

 

ロット管理を適切に行えば、万が一のトラブル時のリスクヘッジや原価管理ができる一方で、管理が複雑になるため効率が低下しやすいです。

そこでこの記事では、ロット管理の基本からメリット・デメリット、そして管理の手間を最小限に抑えつつ、企業の成長に合わせて柔軟に対応できる在庫管理システムについて詳しく解説します。

ロット管理とは?

ここからは、ロット管理について、下記の項目ごとに紹介していきます。

  • そもそもロット管理とは?
  • シリアル管理番号との違い
  • トレーサビリティ対応で大切

そもそもロットとは?

ロット管理とは、同じ条件(製造日・使用原材料・製造ラインなど)で生産された製品や仕掛品の最小単位を「ロット(Lot)」とし、その単位ごとに在庫や品質を管理する手法のことです。

通常、製品には「ロット番号」という識別番号が付与されます。

これにより、たとえ同一品の在庫から「いつ、どの工場で作られたものか」を瞬時に判別できるようになります。

シリアル管理番号との違い

「ロット管理」と混同されやすいのが「シリアル管理」です。この2つの大きな違いは、管理する「粒度」にあります。

項目ロット管理シリアル管理
管理単位同じ条件で作られた「群(グループ)」個体管理(製品1つ)
主な目的同一条件品の品質把握・在庫回転の効率化個体別の保証期間管理・盗難紛失の防止
適した製品食品・薬品・ネジなどの消耗品PC・スマートフォン・自動車・家電

例えば、100個のネジを同じ機械で一度に作った場合、その100個すべてに同じ「ロット番号」を振るのがロット管理です。

一方で、iPhoneのように1台ごとに異なる番号(シリアル番号)を割り振るのがシリアル管理です。

ロット番号はトレーサビリティ対応で必須

ロット管理を行う最大の目的の一つが、トレーサビリティの確保です。ロット番号があれば、トレース(追跡)できる

万が一、製品に不具合が発生した場合、ロット管理ができていれば「同じ材料を使った他の製品はどれか」「どの店舗に出荷されたか」を正確に特定できます。

ロット管理のメリット3つ

ロット管理のメリットは、主に下記の3つが挙げられます。

  • トレーサビリティが迅速にできる
  • 先入れ先出しができる
  • 生産を無駄にすることなくコスト削減が可能

下記で具体的に解説します。

トレーサビリティが迅速にできる

特に、食品・医薬品・精密機器など、高い安全性が求められる業界において不可欠な仕組みです。

万が一、市場に出た製品に不具合や異物混入が発覚した場合、ロット管理が機能していれば「どの原材料を使い、いつ、どのラインで製造されたか」を即座に特定できます。

さらに、不具合発生時に迅速に回収範囲を最小限に抑えられます。また、消費者への被害拡大を防ぐとともに、企業の信頼を守るためのリスクマネジメントとしても機能します。

トレーサビリティができることは、企業の信頼性を守る上で最大のメリットです。

先入れ先出しができる

ロット単位での管理は、在庫の「見える化」を促進し、作業効率が向上します。 とくに重要なのが、入出荷のコントロールです。

ロット番号に製造日や消費期限の情報を紐付けることで、古い在庫から優先的に出荷する「先入れ先出し」が容易になります。

これにより、倉庫の奥で製品が劣化したり、期限切れでデッドストック化したりするのを防ぐことができます。

②原価管理ができる

同一品であっても、ロット番号ごとに価格を管理できるため、正確な原価管理が可能です。

仕入れ値の変動が大きく、原価が大幅に変わってしまうようなときにお勧めです。

ロット管理のデメリット3つ

ロット管理はメリットもありますが、デメリットもあります。具体的には、下記のようなことが挙げられます。

  • 管理コストが増える
  • ロットごとの保管が必要
  • システムの導入が複雑

下記で詳しく解説します。

管理コストが増える

ロット管理を厳密に行うためには、それ相応の管理コストが発生します。

  • 同一品でもロットごとに管理しなければいけません
  • 使用や出荷の際、ロットの指定が必要

ロットごとの保管が必要

同一品であっても、ロットが判別できるように区別しなければいけません。

そのため、

  • ロット番号を発行し特定できるようにする(ラベルを貼付する手間も増える)
  • 倉庫内でもロットごとに場所を分けて保管する(保管スペースの確保が難しくなる場合もある)

システムの導入が複雑

管理に手間がかかるため、ロット管理をアナログで運用するのには限界なので在庫管理システムの導入が必要です。

しかし、自社の製造工程や物流フローに最適なシステムを選定し、既存の業務プロセスに組み込む作業は非常に難しいです。

 

まずは、「どの単位でロットを区切るか」「どのタイミングで番号を紐付けるか」といったルール作りから始める必要があります。

さらに、システムを導入すれば問題解決というわけにはいきません。

運用が定着するまでには現場の混乱を招く可能性もあります。

 

ロット管理の内容によっては、在庫の回転率や歩留まり(良品率)、さらには不具合発生時のトレース方法など、物流と製造の両面における専門的な知見が求められます。

現場スタッフへの教育も不可欠であり、属人化を防ぐためのマニュアル整備も重要です。適切なスキルを持った人材の確保や育成が追いつかない場合、かえって現場の負荷が増え、管理体制が整わないリスクがあります。

ロット管理を実施する方法

ロット管理を実施する3ステップ

ここからは、ロット管理を実施する方法について、具体的に解説します。

番号を振って同一ロットごとに保管する

ロット管理の基本は、製品の「まとまり」を識別し、物理的に整理することから始まります。

まず、製造日や製造ライン、原材料の仕入れ日などの条件に基づき、ルールに従って「ロット番号」を付与します。次に、その番号ごとに保管場所(棚やパレット)を明確に区分けします。

  • 採番体系:どのようなロット番号を付与するか?最も簡単なのは、年月日連番です。(例:yyyymmdd-xxx)
  • 識別ラベルの貼付 : 荷姿やパレットに大きくロット番号を表示し、一目で判別できるようにします。
  • 保管エリアの固定 : 同じ製品であっても、ロットが異なるものは混ぜずに並べて保管します。

このように物理的な管理を徹底することで、「古いロットから出荷する(先入れ先出し)」といった作業がミスなくスムーズに行えるようになります。

ロット管理が可能な在庫管理システムを利用する

小規模で管理する品番点数が少ない場合は、エクセルでロット管理できます。(参考:エクセルでロット管理する方法

紙の台帳やエクセルによる手書き管理では、ロット番号の入力ミスや情報の更新漏れが起きやすく、データ量も膨大になるためリアルタイムな状況把握が困難です。

そのため、正確さを保ちつつ、効率的に管理・運用するには「在庫管理システム」の活用が不可欠です。

 

システムを利用することで、以下のような高度な運用が可能になります。

ロット管理にシステムを導入するメリット

  • バーコード・QRコードとの連動: ハンディターミナル等でスキャンするだけで、入出荷とロット情報を自動で紐付け、ヒューマンエラーを防ぎます。
  • 期限管理の自動化: ロットごとに消費期限を登録しておけば、期限が近いものをシステムが警告し、廃棄ロスの削減に貢献します。
  • 即時のトレーサビリティ: 万が一の際、システム上で検索するだけで、該当ロットの仕入れから出荷先までの全ルートを数秒で特定できます。

アナログな「場所の管理」と、システムによる「情報の管理」を組み合わせることで、精度の高いロット管理体制を構築できます。

不具合品発生時に対象のロットを特定する方法

ロット番号があれば、トレース(追跡)できる

1. ロット番号から「製造時期」を特定する

まず、手元にある不具合品の現物に印字されたロット番号を確認します。

  • アクション: 製品ラベルや梱包材に記載されたシリアル番号やロット番号を、在庫管理システム(または管理台帳)に照合します。
  • 明確になること: その製品が「いつ」「どのラインで」「誰が」作ったものかという製造情報が確定します。

2. トレースバックで「原材料ロット」を特定する

製造ロットが判明したら、次にその製品に使用された「原材料」までさかのぼります。

  • アクション: 製造記録(配合表や材料投入ログ)を確認し、該当ロットに使用された原材料のロット番号を特定します。
  • 明確になること: 「特定の仕入れ先の、特定の日に納品された原材料」に問題がなかったかを切り分けます。もし原材料に不純物が混入していた場合、同じ原材料ロットを使用した他の製品もすべて不合格対象としてリストアップできます。

3. 工程記録から「異常値」を特定する

原材料に問題がない場合は、製造プロセス(工程)を調査します。

  • アクション: 該当ロットの製造時間帯における、機械の温度設定・圧力・速度などの稼働データをチェックします。
  • 明確になること: 「第2工程の加熱温度が一時的に下がっていた」などの異常が見つかれば、その異常時間内に通過した製品だけを不具合対象として特定できます。

4. トレースフォワード(追跡)で「出荷先」を特定する

対象となる製造ロット(および、同じ疑いのあるロット)がどこへ行ったかを追跡します。

  • アクション: 出荷台帳を確認し、特定されたロットが「どの倉庫にあるか」「どの取引先に納品済みか」をリスト化します。
  • 明確になること: 市場に出回っている製品を最小限の範囲で回収(リコール)したり、未出荷の在庫を出荷停止にしたりする迅速な対応が可能になります。

参考)トレースフォワードとトレースバックの違い

項目トレースフォワード(追跡)トレースバック(遡及)
方向上流から下流へ(原料 → 製品 → 顧客)下流から上流へ(顧客 → 製品 → 原料)
起点原材料の入荷、製造工程など消費者からの苦情、販売店での不具合発見など
主な目的被害の拡大防止(回収)原因の特定(究明)
活用シーン原材料に問題が見つかった際、その原料を使った製品がどこに出荷されたかを調べて回収する。製品に不具合があった際、どの原料が原因かどの工程でミスが起きたかを特定する。
イメージ「どこへ行ったか?」を追いかける「どこから来たか?」を遡る

まとめ

ロット管理の特徴と用途

ロット管理とは、製造日や原材料など「同じ条件」で生産された製品の最小単位(ロット)ごとに、識別番号(ロット番号)を付与して在庫や品質を管理する手法です。

製造ラインの特定や、期限管理、原価管理に役立ちます。

ロット管理とシリアル番号の違い

シリアル管理は、個体(1つ)ごとに管理する「シリアル管理(PCやスマホ等向け)」に対し、ロット管理は同じ条件の「群(グループ)」を単位とするため、食品、薬品、ネジなどの消耗品に適しています。

ロット管理の3つのメリット

  • 迅速なトレーサビリティ: 不具合発生時に「いつ・どの材料で・どのラインで作られ・どこへ出荷されたか」を即座に特定し、被害の拡大を最小限に抑えます。
  • 先入れ先出しができる: 製造日や期限の情報を紐付けることで、古い在庫から優先的に出荷し、製品の劣化や廃棄ロスを防げます。
  • 原価管理ができる: 仕入れ値の変動が激しい場合でも、ロットごとに正確な原価を把握できます。

ロット管理のデメリット

  • 管理コストが増える:同一品であっても入荷や生産の際にロット番号を付与し、ロットを指定して出荷しなければいけません。
  • ロットごとの保管が必要:同じ商品であっても、ロットを特定できるように区別して保管しなければいけません
  • システムの導入が複雑:ルール作りや自社の工程に合わせたシステム選定に加えて、現場に定着するまで混乱が生じる可能性があります。

ロット管理の実施方法と不具合時の特定手順

年月日連番などのルールで採番し、識別ラベルを貼り、同じ製品でもロットごとにエリアを分けて物理的・システム的に管理します。

不具合が発生したときは、次のステップで不具合を迅速に特定します。

  1. ロット番号から「製造時期」を特定する
  2. トレースバックで「原材料ロット」を特定する
  3. 工程記録から「異常値」を特定する
  4. トレースフォワード(追跡)で「出荷先」を特定する

ロット管理は、品質管理には不可欠です。

1つでも、ロットが追えないと「全て管理できていないのではないか?」という疑いをかけられます。

手作業などのアナログ運用は非効率でミスも多いので限界があるため、システムを利用したロット管理が必須です。

ロット管理は「成長する在庫管理システム」がおすすめ

成長する在庫管理システム

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さらに 、在庫管理の専門家が導入時にアドバイスしてくれます。

例えば、ロットを期限管理だけではなく、ロットを自動で先入先出する、ロットごとに価格を管理する等、あなたの会社がやりたい事に応じて支援して、システムに反映できます。

「成長する在庫管理システム」をおすすめする理由

「成長する在庫管理システム」 を提供する在庫管理110番は、 在庫管理の改善や仕組み作りを総合的に支援する専門会社でもあります。

ただ、要望を 在庫管理システム に反映するだけではなく、あなたの会社の課題・在庫管理の状況、用意できるデータ等、状況に合わせて実務的なシステムを提供できます。

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