棚卸をしないとどうなる?棚卸しの必要性や問題点を解説

棚卸しないとどうなる

 

棚卸をしなかったり、面倒だからといって適当に済ませているとどうなるか、考えたことはありますか?脱税を疑われたり、経営判断を誤り倒産リスクの可能性もあります。

そのため、棚卸は絶対に正しく実施する必要があります。ただ、棚卸は労力のかかる作業なので手間を減らしたいというお気持ちも分かります。

そこで、この記事では、棚卸をしない場合のリスクや問題点、面倒な棚卸を効率的に実施する方法などをわかりやすく解説しています。

棚卸をしないと起こりうる2つの致命的な経営的リスク

棚卸をしないと、脱税行為や倒産リスクの恐れといった、致命的な経営的リスクがあるので詳しく解説します。

  1. 脱税リスク
  2. 倒産リスク

棚卸をしないと脱税行為につながる恐れあり

棚卸は法人税法で、事業年度終了時には実地棚卸をしなければならいと定められています。そして、棚卸をしないと脱税行為と判断されることがあり、法令に違反すると以下の罰則が科せられます。

(法人税法 第5章 第4節 棚卸しの手続き)
棚卸資産については各事業年度終了の時において実地棚卸しをしなければならない
(引用:国税庁 基本通達・法人税法 第5章 棚卸資産の評価 第4節 棚卸しの手続

(法人税法 第5章 第5編 罰則 第159条)
偽りその他不正の行為により、その違反行為をした者は、10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(引用:e-GOV法令検索 法人税法

また、納税を免れようとした経営者や実行した従業員は、以下の罰則に課せられます。

(法人税法 第5章 第5編 罰則 第159条 第3項)
法人税を免れた場合には、法人の代表者、代理人、使用人その他の従業員でその違反行為をした者は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
(引用:e-GOV法令検索 法人税法

提出された棚卸資産が売上や倉庫の状態などを考慮して「おかしい・・・」と思われてしまうと税務署が不正を疑い、税務調査を行う可能性があります。

もし、税務調査が行われた場合、正確な在庫を計上させられた上に追徴課税を科せられます。

棚卸をしないと倒産リスクが高まる

棚卸をしないと以下のような理由で倒産するリスクが高まります。

  • 在庫数が把握できなければ正確な損益計算ができないので、正確な利益がわからない
  • 正確な利益がわからなければ、経営判断を失敗する可能性がある
  • 在庫が売れて利益が出る前に仕入れた費用を支払うが、資金がなくて黒字倒産する可能性がある

棚卸をしないと正確な棚卸資産がわかりません。もし、棚卸資産が増えていると、実際には仕入れコストや保管・管理コストも増えており、資金繰りが悪化するリスクが高まります。

また、棚卸資産は販売して現金をもらうか、売掛金を現金化しなければ手元に現金はありません。そのため、売掛金の場合は現金化できるまでに一定期間が必要です。よって、現金が手元にないと、仕入費用の支払いができない可能性があります。

正しい棚卸が絶対に必要な3つの理由

棚卸を実施する理由は、脱税行為を回避するためだけではありません。在庫数の把握や品質確認など、さまざまな理由があるので必要性について解説します。

正しい棚卸が絶対に必要と言い切れる3つの理由は次の通りです。

  1. 利益を正確に把握するため
  2. 帳簿上の在庫数と実際の在庫数に差異がないか確認するため
  3. 適正在庫を維持するため

棚卸をすれば帳簿の記入ミスや記入漏れ、故障や不良品などがわかります。さらに実在庫と帳簿の差異も確認できます。

正確な在庫の把握は、過剰な発注や欠品を防ぐため、適正在庫を維持するためにも欠かせません。

棚卸をしないと起こる2つの問題点

棚卸をしないと起こる主な問題点を3つご紹介します。

在庫の状態が把握できない

棚卸は在庫数を把握するだけでなく、在庫の状態もチェックします。不良品・故障・腐敗などの早期発見につながり、在庫から除去できます。

過剰在庫・欠品の可能性がある

実在庫が少ないことに気づかず、販売機会を逃す可能性があります。また多すぎると、保管費用がかかるし、長期滞留在庫にもなりやすく、品質低下の原因にもなります。

棚卸が面倒だと感じる3つの理由

とはいえ、棚卸作業のことを面倒に感じている人は多いと思います。では、なぜ面倒と感じるのか主に3つの理由をご紹介します。

作業員は棚卸の重要性を知らない

作業員は管理者に指示された業務を行うだけで、棚卸の重要性を知らない可能性があります。そのため、棚卸は面倒だと感じると、早く終わらせようと適当な作業になりがちです。

棚卸の重要性は、会社として重要な業務であるということを必ず伝えて、キチンとやってもらうようにしましょう。

人手が足りない

棚卸作業には適正な人員が必要です。しかし、人員が不足していると、一人にかかる負担が多くなるので面倒に感じます。

棚卸作業に適正な人員が確保されているかを確認しましょう。

棚卸作業が大変

棚卸する場所がもので溢れていると、棚卸作業が大変です。

さらに小さな物、薄い紙、ナイロン袋など、数えにくい物をカウントする場合は作業が大変なので面倒に感じます。

事前に2S(整理・整頓)を行い、棚卸作業しやすい環境を作ったうえで、ハカリ(重量計)やRFIDを使うなど、数えやすくなるツールの利用も検討しましょう。

効率的に棚卸しできるようになる3つの方法

棚卸において、スムーズに作業を行ったり、正確な数量を把握したりするための方法を3つご紹介します。

作業員に棚卸の重要性を教育する

単なる作業ではなく、重要な作業であることを認識させ、さらに正しく数えてもらうためにも、棚卸の重要性を作業員に教育することが大切です。

  1. 適当に棚卸をすると脱税を疑われる
  2. 正確な数量を把握しないと、正しい利益が計算できない
  3. 帳簿と実在庫の差異を確認し、欠品や過剰在庫を防ぐ
  4. 実在庫の状態を確認し、不良品を見つけ排除する

など、自社に与える影響を経営面だけではなく、自部たちの業務にも面倒な悪影響が起こることを説明して棚卸の重要性を教育しましょう。

棚卸がスムーズに行えるような環境を作る

棚卸作業がスムーズに進まない理由のひとつに、棚卸をする場所の環境や棚卸の準備に問題があることが多いです。

  1. 2S(整理・整頓)の実施
  2. タグを使用する
  3. 棚卸の記入表を記入しやすいフォーマットに変更する
  4. 棚卸原票を活用する
  5. 棚卸カウント済みがわかるように目印を活用する

以上を実施すれば棚卸しやすい環境は整えられるのでスムーズに作業できます。

棚卸原票のフォーマットの作り方、使い方についてはこちらの記事で詳しく解説をしています。
棚卸原票の目的や使い方・記入例を分かりやすく解説!

在庫管理システムを導入する

棚卸作業の効率化を図るためには、在庫管理システムを導入すると効果的です。在庫管理ステムを導入すれば、棚卸だけではなく、毎日の在庫管理の効率化も実現します。

ただし、自社に適した在庫管理システムを導入しないと、導入費用がかかるだけで使いものならない可能性があるので注意しましょう。

在庫管理110番にも、

  • システムを導入したが思ったように運用できずに困っている
  • システム導入プロジェクトが全然進まない
  • システム導入費用が当初の見積もりの3倍以上のコストになってしまった

といったようなシステム導入のお悩みをとてもたくさん寄せられています。

システム導入時に起こるよくある失敗と、成功のポイントはこちらの記事で詳しく解説しています。
システム導入でよくある失敗の原因と成功のポイント

まとめ

棚卸をしないときの問題点やリスク、棚卸の重要性について解説しました。

正しい棚卸をしないと確定申告時に脱税行為と判断される可能性があります。

それだけではなく、正しい在庫が分からないと経営判断を誤る可能性があり、倒産や資金繰りに困るリスクも高まります。棚卸は必ず正しく実施してください。

 

また、棚卸を面倒に感じる理由や棚卸の実施方法などもご紹介しました。あなたの会社でも作業員が面倒に感じていると、時間ばかりかかって思うように作業は進みません。

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