在庫管理システムの導入を検討していても開発費や毎月かかる保守費が気になる・・・とお考えの場合で、特に1~3人規模の会社であれば、まずエクセルによる在庫管理を試してみることをお勧めします。
そして、本当に必要になった時は在庫管理システムを導入するのが良いです。
在庫管理110番では在庫管理表を無料で配布しています。
多種類の在庫管理表を配布しています
この記事では、在庫管理をエクセルでおこなう場合の実例も交えて、エクセル在庫管理のメリットやデメリットをご紹介します。
その上でシステムを検討いただければと思います。
目次
難しい関数、テクニック不要の在庫管理表の作り方
今回紹介する在庫管理表は現場で実際に使用しているものです。
簡易的につくったものです。
この在庫管理表は、1つの品物の日々の出入り数を管理することに特化した単票です。
一度に複数の品物を管理することには向いていません。
これに、複数の品物の状態を見れる一覧表を追加します。
こちらの表を追加することで製品全体の現在庫と入出庫数を把握できます。
最初にご紹介した、単票を各品ごとに作成して上記の一覧表に合計データを飛ばすだけで作れます。
難しい関数は使っていません。
品物ごとの単票を1か月単位で作成して月末に実地棚卸、一覧表の「残数」を修正して翌月の繰越在庫に反映すればよいでしょう。
安全在庫を設定して発注漏れを防ぐためには、残数のセルに条件付き書式を設定して、在庫が一定数より下がると色が変わるようにすればいいですね。
例えば、下記のように在庫が200個以下になると文字を赤くするといったようなことができるので、見落とし防止に役立ちます。
エクセルで在庫管理をする時の4つの注意点
ここでエクセルで在庫管理をする時の注意点をご紹介します。
履歴を残す
エクセルの在庫管理は、間違って入力して保存してしまうと履歴が残らず、誰がいつやったのかもわからないので、
リカバリーができなくなります。
この問題を解決する方法は、ファイルを上書き保存せずに以下のように
20220101エクセル在庫管理表
といったように「日付+ファイル名」で名前をつけて保存することで履歴を残します。
最新バージョンがどのファイルか一目でわかるようになります。
運用ルールを決める
エクセル在庫管理表を使う運用ルールを決めないと、データが正確に入力されないおそれがあります。
特に大切な運用ルールは、
- どのタイミングで
- どこで
- 誰が
入力するかを決めておくことです。運用ルールが無いと、抜け漏れが起こります。
入力漏れのトラブルとして多いのは、
- あの人が入力すると思っていた
- 聞いていなかった
このようなヒューマンエラーの防止は、朝礼などで何度も伝えることも大切ですが、私はチェックシートをおすすめします。
下記のようなチェックシートを運用すればヒューマンエラーのリスクは軽減されます。
誰でも入力して良いとするのではなく、入力担当者を決めておくとより効果的です。
誰でもエクセル在庫管理表を更新できるようにする
エクセルで在庫管理でよく起こるトラブルは、属人化です。
複雑な関数を使っていると、その人しか在庫管理表を触ることができる担当が変わったときにトラブルの原因になることがよくあります。また、知らない人が悪気なくやったことが、エクセル在庫管理表が壊れてしまうこともあります。
例えば、列を挿入して参照先が崩れてエラーになってしまうようなことです。
エクセル在庫管理表のフォーマットを作った際には、
- 何の関数を使っているのか
- どのセルを参照しているのか
など説明書を作成しておくことをおすすめします。
担当者が休むと業務が回らなくなる事もなくなり、担当者の承継ができてリスクヘッジになるからです。
クラウド管理
入力するパソコンと在庫が置かれている現場が離れている場合、一度メモ書きなどをする必要があります。
エクセルはオンライン上で編集できます。(オフィスオンライン)
現場にタブレットやスマホを持ち込み、その場で入力できるので大変便利です。
エクセル在庫管理のメリットはハードルの低さ
在庫管理をエクセルで行うメリットは導入するハードルが圧倒的に低いということです。
windowsのパソコンを使用している場合は、ほぼ100%、エクセルはインストールされているでしょう。業務でも毎日のように使っていて使い慣れているはずです。
また、エクセルであれば、導入コストを抑えて在庫管理できるので、余計な経費を払わなくて済みます。
エクセルなら教育コストや保守管理の必要もありません。
エクセル管理表のデメリットは機能の限界があること
エクセルで在庫管理をする最大のデメリットは、表計算ソフトという点です。
在庫管理110番にもエクセル在庫管理に行き詰まりを感じて、ご相談いただくケースは多いです。
エクセルは使い勝手の良いソフトですが、在庫管理用のソフトではなく、あくまでも表計算ソフトなので限界があります。
在庫管理をするうえで、特に弱いと感じているのは次の点です。
- 大量のデータを保存しづらい
- 大量の処理に時間がかかる
- 共同作業に向かない
大量のデータを保存・処理で動作が遅くなる
エクセルは、あくまでも表計算ソフトなので大量のデータを保存するのには向いていません。
パソコンのスペックや1ファイルで使っている関数の量にもよりますが、だいたい1~2万行を超えてくるとファイルを開くだけで時間がかかったり、1つ1つの処理が遅くなったりするので、待ち時間が多く発生して日常業務に支障をきたします。また最悪の場合は、フリーズしてそれまでの処理が全て保存されなくなることもあります。
取り扱っている商品が多かったり、入出庫の頻度が高い場合は、1万行はあっという間です。
ファイルを分けることで解決できますが、在庫データを数か月、数年単位で分析をしたくてもうまくできない、時間が余計にかかるといったことが起こります。
同時編集でどのデータが最新か分からなくなる
オフィスオンラインを使えば、同時編集も可能です。
しかしながら、エクセルのオンライン版は機能が限られていること、そしてまだまだ使い勝手が良いとは言えないので、日常業務にはちょっと不向きです。
同時編集が出来なかったり最新データがどのデータか分からなくなることも。
複数拠点の場合はデータが分散してしまい、集計しづらいのが難点です。
まとめ
エクセルで在庫管理を行う際は、最初は必ず小さくスタートしましょう。
今回、解説したような関数を極力使わない在庫管理表を作成し、後でブラッシュアップしていく方法をおすすめします。
導入したては、慣れないエクセル在庫管理の運用と既存の業務との同時並行の作業になるので、一時的に仕事が増えます。
ダラダラと進めると、いつまで経っても運用がスタートできません。成功のコツはテスト期間を決めて集中して切り替えすることです。
また、属人化を避けるために、継続的な教育も必要です。上手に周りを巻き込むことが必要です。
在庫管理システムの導入を早いうちに検討するのもおすすめ
今回はエクセルから始める在庫管理をご紹介しました。
今後も長く事業を行うのであれば、在庫管理システムを最初から導入するのもおすすめの方法です。
というのは事業が拡大すると、あらゆる作業が増えます。
- 取り扱い商品が増える
- 仕入や販売の頻度が増える
- 販売先が増える
- 販売方法が増える(卸売だけではなく、ネットでの販売等)
- 保管場所が増える
エクセルでできなくもないですが、それ以上に手間がかかることでミスも増え、販売機会を逃したり、お客様からのクレームが増えます。
在庫管理に時間を取られ、お客様の対応に時間を取られ、
問題があらゆるところで起こり、社内が大変になっている会社様からご相談をお寄せいただくことがあります。
大変な状況の時に、システムの導入にも時間を取られるので、さらに大変です。
そのような問題を見越して、早いうちに在庫管理システムを導入するのも戦略として良いでしょう。
在庫管理システムはスマートフォンでできる手軽なアプリから、多機能な本格的システム、あるいは販売管理システムの一部の機能として
在庫管理機能が提供されていたりと、選択肢はたくさんあります。
安いから良いというわけでもなく、多機能だから良いというわけでもありません。
自社の業務と状況に合わせた価格と機能のバランスによってシステムを選択することが大切です。
在庫管理110番では、在庫管理の専門家があなたの会社の状況を聞いて、最適なシステムと仕組みづくりを無料でアドバイスします。
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在庫管理の専門家に直接相談できる!