在庫鮮度管理-事例カルビーポテトチップス
カルビーは、効率経営を意識したサプライチェーン体制がとられています。
在庫の保管期間は、5~6日と業界でも断トツです。
また、9つの管理指標を定めて週次によってモニタリングをしています。
目次
カルビーのキャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)
過去3年半(12四半期)のキャッシュ加速度で、16年3Qと17年2Qはいずれも売掛金の上昇に伴いDSO(売掛債権回転日数)が悪化し、CCCの悪化要因です。一方、棚卸資産、買掛債権は金額、回転日数ともほぼ一定。また17年度の売上は前年比△0.3%に対し、四半期平均の運転資本は17年度で前年度比約30%増。その主な要因は売掛金増によるものです。売掛金の中身(期ズレはないか、回収面で問題ないか等)を確認し、要因分析が必要になるでしょう。
在庫鮮度管理とカルビー
ポテトチップスの賞味期限は、3~4か月と言われています。
しかし、カルビーの調査では生産後45日を経過すると、味と香りが劣化するということで店頭在庫鮮度を保つための施策に取り組んできました。
松本前会長兼社長の前任者の時は、経営指標は品質と鮮度に集中するくらい、鮮度にこだわっていました。
松本氏は、「たくさん売れば、店頭鮮度は維持される」との判断で、人海戦術で続けてきた鮮度調査を止めましたが、今でも鮮度管理へのこだわりはカルビー社内でしっかり定着しています。
商品鮮度を高める工夫
1975年に後発メーカーとしてポテトチップ製造販売に参入。
当時は価格を安くし購買を誘うもののあまり売れなかったようです。
売れないゆえ店頭に陳列された商品は品質が落ち、さらに売れなくなるという悪循環でした。
カルビーがブレイクしたきっかけは、従来の売り方から転換し、
店頭での商品鮮度を高める売り方を推し進めたのです。
具体的には、
- TVCMと店内プロモーションを組み合わせた販売促進を行い、鮮度が良いうちに売り切る。
- 一括大量配送から多頻度小口配送への転換
- 安売り乱売の防止 ―の3点でした。
サプライチェーン10のプロセス
馬鈴薯は年1回の収穫に対して、消費は365日。
馬鈴薯を栽培する国内の農家と契約を結び、”時間と量”をキーワードにSCM活動を展開しています。
生産プロセス、さらには品質改良まで踏み込んで、年1回の収穫時期(5月~9月)に合わせて原料の調達から、製品加工、販売までを10のプロセスで分類。
各プロセスは後工程に対して100%の品質を保証することで、安定供給、品切れを起こさない、鮮度保証、品質管理とトレーサビリティを実現しています。
生産現場の強み
ポテトチップス製造工場は協力工場あわせて7ヶ所です。
24時間稼動または2交替制を導入。日曜日を除き、毎日稼動し、需要が上振れの際、3交替で対応しています。
製品在庫は取材当時で5~6日と他社に比べ圧倒的に短く、業界でも
需要変化への対応力は断トツです。
物流部門の強み
物流拠点は全国に15ヶ所あり、24時間稼動しています(一部2交替制あり)。
物流拠点は、3つに分類できます。
- DC(Distribution Center)
工場隣接の在庫型の物流センターでは5~6日分の在庫を保管。 - SS(Service Station)
消費地隣接の在庫型の配送センター - TC(Transfer Center)
消費地隣接の、在庫を持たずに仕分けに特化したスルー型の配送センター
サプライチェーンのオペレーションの強み
オペレーションの最大の特徴は、物流部門(グループ会社含む)が資材調達に加え、受注から生産指示、保管、配車から納品まで9つの物流プロセスをすべて一気通貫で行っている点です。
9つの物流プロセス
9つの物流プロセスとは次のプロセスをさします。
- 受注
- 在庫引当
- 生産計画
- 出荷指示
- 配車計画
- 車両入庫
- 出荷作業
- 車両出庫
- 納品
それぞれの業務での管理項目をしっかりと決めて目標を数値化し、週次・月次で
モニタリングしています。
オペレーション計画
販売計画に基づき、ライン毎に需給年間計画、月毎、週毎、1年を
52週に分けて作成されます。
四半期毎に見直され、単品毎に年間、四半期、月次、週次、日次に
落とし込まれます。全体会議は毎月20日に前月の総括(売上、調達、生産、在庫の実績対計画比と鮮度、在庫回転等)と3ヶ月先見込みが共有されます。
カルビーのサプライチェーンマネジメントから学ぶ点
カルビーから学ぶべき点は、オペレーションすべてを物流部門に任せ、迅速な意思決定および効率的なオペレーションによるローコストオペレーションを実現している点です。
(出所: 2016年5月 取材に基づく)
在庫鮮度管理事例
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ソニーにて多数のご経験を積まれ、実績を残されています。
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