在庫鮮度管理-事例アサヒスーパードライ

在庫鮮度管理-事例アサヒスーパードライ

通常、ビールの賞味期限は9か月と言われていますが、アサヒスーパードライは工場直送3日以内を実現しています。そのこだわりは相当なものです。

アサヒビールは、日本を代表するビール会社でもあり、そのなかでもアサヒスーパードライは国内だけでなく海外でも最も有名な日本のビールといっていいでしょう。
鮮度について紹介しましょう。

アサヒビールはアサヒスーパードライを1987年に市場投入し、日本のビール市場にドライビールというジャンルを切り開きました。

特筆すべき点は、トップ自らが経営方針として鮮度管理を掲げ、
調達、製造、販売、物流が一体となって活動し、同社の企業文化として
従業員に受け継がれている点です。

同社によると、アサヒスーパードライは今まで2度大きな変遷を経ています。

フレッシュローテーション
導入時(樋口廣太郎社長)1986年

  1. 工場出荷を20日以内にする
  2. 店頭で3ケ月以上を経過した在庫を自主回収する。

こうした全社活動により、奇跡的復活を遂げます。

フレッシュマネジメント
導入時(瀬戸雄三社長)1992年

全社員に呈示されたKPI(重要経営指標)として、
アサヒスーパードライの在庫日数10日以内の実現が目標に掲げられました。
(工場から特約店までの配送日数、毎日の製品在庫を累積加重平均で算出)

以降も全社一丸となって在庫日数の短縮を進め、1993年は6.5日、
2004年~2005年にはなんと夢の3日台という目標を達成しました。

鮮度のための4つの施策

  1. 精度の高い需要予測
    送荷データ(工場→特約店)、実販データ(特約店→販売店)、
    POSデータをEDIで集約して、営業部門のアナリストが分析します。

    売上(工場出荷時)と実販(特約店出荷時)、販売店出荷データはズレがあるため、三層のデータを分析して活用し、需要見込みを立案します。

    需要見込みは週次の会議体(複数の人が集まって意思決定を行う会議)で、
    関連各部と共有され、さらに物流担当者が日次ベースで日々の出荷を見直すシステムにより需要予測の精度を大幅に向上させました。
  2. フレキシブルな生産体制
    1日前又は2日前の調整は可能
  3. 生産リードタイムの短縮
    従来は、品質検査結果を待ってから出荷されていました。
    品質保証体制の抜本的対策として品質を工程で作り込み、品質が保証されたものだけを出荷する太鼓判システムを導入。
    フレッシュマネジメントの3日台達成に大きく寄与。

    万が一、各工程で異常値が出た場合は、原因を明らかにするとともに、品質が確保されるまで次の工程に進めないシステム設計となっており、出荷にストップがかかるようになっています。
  4. 物流リードタイムの短縮
    全国8つの工場で作られたアサヒスーパードライは、隣接する物流倉庫に格納されます。そこからダイレクトにエリアの特約店に配送します。
    生産物流拠点は地産地消を意識して機能しており、物流リードタイムは半日~1日以内、工場からの直送比率は90%となっています。

アサヒビールの最大の強みは、経営の方針がぶれていないことにあり、環境の変化に的確に順応できるようスキルが蓄積されている点です。
アサヒスーパードライはアサヒビールの企業風土といっても過言ではないでしょう。

キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)

アサヒのCCC
2016年3月期より、短信で買掛金情報にその他の債務も含むため、CCCは2014-15年度(11四半期)のトレンドとなります。DIO(在庫)とCCCは相関関係にあります。

在庫鮮度管理事例 

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